アニメを見て改めて思います!
ハンコックも好き!
荒れ果てた大地。
まるで隕石が落ちた跡のようなクレーター、地殻変動でも起きたかのような異常なまでの大地の隆起、高熱で溶けたかのような硝子と化した大地。
それら全てが視界の全てに広がっている。
そんな異常な戦地に立つ男が四人。
巨大な金棒を肩に担ぐ人型の龍、"四皇""百獣のカイドウ"
金剛不壊の漆黒の大仏にして、海軍が誇る智将、"仏のセンゴク"
人型の地震、人型の天災たる"四皇"、"白ひげ"エドワード・ニューゲート
そして、山河をも破壊する拳を持つ"海軍の英雄"、モンキー・D・ガープ
怪物達が犇くマリンフォード頂上戦争の中でも指折りの化け物達が肩で息をしながら立っていた。
「──ガープ、貴様少しは落ち着いたか」
「ぶわっはっは! すまん!!」
「すまん、ではないわ、馬鹿者ッ!!!」
ガープの全く気持ちの篭っていない謝罪の言葉に、怒りの覇王色がセンゴクから漏れ出る。
鬼のような形相のセンゴクに爆笑するガープと、ため息を吐きながらも笑う白ひげ。
「グララララ!! お前がそこまでブチ切れてるのを見るなんざ、何十年ぶりだ、ガープ?」
「いやー、すまんすまん! お前らにも面倒掛けたのう!」
「ウォロロロロロ!! 若ェ頃のお前の全力とやれるなんざ、予想も付かなかったぜ。遥々ここまで来て正解だった!!!」
「ふざけるな貴様等!! 貴様等三人のおかげで状況は最悪だ! "火拳のエース"は既にバレットの戦艦の上! "麦わらのルフィ"は最悪の覚醒! 貴様等に罹りっきりになっている間に……!! 聞いているのか、ガープ!!!!」
海軍及び世界政府にとって最悪の状況。
此度の戦争の引き金であり、海軍にとって必ず処刑しなければならない海賊である"火拳のエース"は処刑場から解放され、既に"鬼の跡目"によるマリンフォードの街全てを資材に建造された超巨大戦艦の上に逃げ込み済み。
大将"青雉"と大将"黄猿"が攻略すべく試みているが、大質量の兵器とバレットの覇気、数々の能力者達の攻撃に戦況は芳しくない。
大将"赤犬"の手により瀕死状態に陥っていた"麦わらのルフィ"は奇跡的な回復を遂げ、新たな姿に覚醒し、強大な覇気を放出しながら戦場を縦横無尽に掻き乱している。
中でも、ルフィのあの姿だ。あの姿が問題なのだ。
"麦わらのルフィ"が食らった悪魔の実。
その真実を知るセンゴクは思わず倒れてしまいそうな程の眩暈に手で目を覆った。
「それにしても、あの麦わらを被った小僧は一体どうなってやがんだ? 死にかけだった奴がいきなり回復しやがった」
「それも気にはなるが、あの変身の方が分からねェなァ。エースの話しじゃ、あいつは"
正しくセンゴクのここ数十年の中で一番の頭痛の種がそれだった。
"麦わらのルフィ"が食らったのは"ゴムゴムの実"という肉体を"ゴム"に変化させる"
そう、そのような実だとこの実は認識されている。
世界も、食らったルフィ自身もまた。
しかし、これは隠された偽りの名前。
数百年覚醒する事のなかったこの実を、絶対に覚醒させないように世界政府が作り出した偽りの名前である。
そして、ルフィのあの姿こそが、世界政府──天竜人の頂天たる五老星達が恐れていたもの。
絶対にここで"麦わらのルフィ"を仕留めねばならない。
あの実を覚醒させた者を生かしておく訳にはいかない。
一般市民にも、海賊達にも、絶対に知られる訳にはいかない。
センゴクは苛立ちと焦燥感、悲壮感を隠しながら努めて冷静に口を開く。
「……確かに気にはなるが、気にする程ではない。だが、貴様等に時間を取られ過ぎた。おれは奴らを──」
「なんじゃ、お前も分かっとるじゃろうが。あれはニカじゃ。ニカ!!」
「貴様、ガープッッ!!!!!!」
「あっ、これ言ったらダメなんじゃった。今のナシ!」
「ナシに出来るかァァァッッ!!!!! 馬鹿か貴様ァッッ!!!!」
ルフィが食らった悪魔の実"ゴムゴムの実"、またの名を"
世界政府がその名を消し、その名が広がる事を恐れる実在した"神"の名前。
それがニカ。
そして、ルフィが食らった悪魔の実こそが、覚醒を条件にこのニカになる事が出来る神の名を冠した悪魔の実である。
口に出す事すら許されぬその名を何の気負いもなく大きい声で喋ったガープは、ナシにしようとしたが、既にその声は眼前の白ひげ、カイドウは勿論、映像電伝虫により全世界に届いてしまっていた。
ブチ切れるセンゴク。
遥か彼方の五人の老人達は最悪過ぎる状況に目を回し、怒りや焦り、ありとあらゆる感情をごちゃ混ぜにしていた。
「き、貴様、ガープ!! い、いや待て。名前程度ならばまだ、大丈夫か──」
「ニカと言やァ、ロジャーから聞いた事がある。人々を笑わせ、苦悩から解放してくれる"解放の戦士"にして、"太陽の神"。そうか……、その"実"がそうなのか……!」
「"神"とは大仰だな、おい! ウォロロロロ!! お前等がそこまで隠すって事は、政府が消した歴史に関係する事だろ!!!」
「……貴様が気にする必要はない」
「ウォロロロロロ!!! ニカだのと何の興味はねェが、お前らが困る姿を見るのは面白ェ!! 良い酒が飲めそうだ!!!」
かつて"海賊王"から聞いた話と繋ぎ合わせて結論を出した白ひげと、一気に核心をつきセンゴクの反応に笑い転げるカイドウ。
そんな二人の様子に奥歯を噛み締めながら怒りの覇気を放出するセンゴク。
「そのニカってのが、お前等が消したくて消したくて仕方がねェ"空白の100年"に関係あるんだなァ! ウォロロロロロ!! 面白い、面白ェぞ、センゴク! お前のその面、面白ェ!!!」
「カイドウ、貴様ッ! 只では済まさんぞッ!!」
「ウォロロロロロ!! やってみろよォ!!!」
一触即発。
カイドウの煽りに肉体、精神共に疲れ果てているセンゴクは怒髪天を突いた。
しかし、続く白ひげの言葉に理性を取り戻す。
「そうか……、意志はついにここまで繋がったか。時代がついに来たか。とうとう
「貴様ッ、なにを──」
「センゴク、お前達世界政府が恐れる世界中を巻き込む程の"巨大な戦い"は近い。数百年分の歴史を背負い、あの男はお前達──いや、この世界に戦いを挑むだろう。"ジョイボーイ"が再来した今これより、時代の流れは早くなる!!!」
「なにッ、ジョイボーイだと!!?」
「──ッ!!!」
白ひげの視線の先には、恐ろしいまでの戦闘力で海兵達を蹴散らしていく白きルフィの姿。
その白ひげのジョイボーイという言葉にカイドウは反応し、センゴクもまた言葉を聞き彼を睨み付けていた。
「おい、白ひげのジジイ!! ジョイボーイってどういう事だ!!! あの麦わら小僧がジョイボーイだと?」
「あァ、あいつがジョイボーイで間違いねェ。ジョイボーイってのはニカの事だ。かつて"空白の100年"に実在した人物。間違いなく"麦わらのルフィ"がジョイボーイだ……!!」
「……そんな話、すぐには信じられねェな。帰ってキングの奴に聞いてみるか……」
「なに? ルフィがジョイボーイじゃと!! はて、なんじゃったか……」
「ガープ! 貴様はもう黙っていろ!!!」
二人で巨大な爆弾情報を話す白ひげとカイドウと、会話に混ざろうとするガープ。
そんなガープへと怒鳴りつけるセンゴクは痛む頭を抑えながら、白ひげとカイドウを睨み付ける。
「いいか、もうこれ以上お前等も何も口に出すな。私はこれから"麦わらのルフィ"制圧に向かう。いいか、何も口に出すなよ……!!」
「あァ……」
「お、おう……」
血走りギンギンにキマッたセンゴクの目を見た白ひげとカイドウは、素直に頷く。
二人の返事を聞いたセンゴクは一瞬で姿を消す。
数瞬後には白き神と激突していたため、余程焦っているのだろう。
ガープは内心で心より謝罪をした。
「なんか白けちまったぜ。おれはボチボチ帰る事にする」
「相変わらず、勝手な野郎だ。ガープ、お前らにゃ悪ィが、おれも帰らせてもらうぜ。やる事が出来ちまった」
「勝手にせい。どうせ、わしもこの戦争が終わったらクビじゃ、クビ! クビだけで済むかも分からんのう!」
ぶわっはっは! と笑うガープを尻目にカイドウは巨大な龍へと姿を変化させ飛び立つ。
「あばよォ! 久々に楽しい戦争だったぜェ!!」
「最後まで五月蝿ェ奴だ」
四皇と伝説の海兵入り乱れる四つ巴の戦いもこれにて終幕。
世界の根幹に関わる爆弾情報が世界に発信され、世界中は困惑と恐怖を抱え。
世界の運営者たる五老星は怒りと焦燥を抱く。
この戦いにて死者はおらず、しかし被害は尋常でなく。
化け物達、早くお帰りなさい!
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「カイドウとガープは戦線を離れ、白ひげもまた生き残る事を決めた。エースは既にバレットの庇護の下、そして約束の男は全てを背負う覚悟あり」
マリンフォードから遥か彼方、とある島の酒場にて"覇王"ダイナーは一人呟いた。
酒場の店主や客達を畏怖させるダイナーは、酒瓶を呷りその強い酒を一気に嚥下する。
「運命は大きく変わった。これからどうなっていくか楽しみだなァ」
"麦わらのルフィ"の能力を覚醒させた姿を思い出したダイナーは小さく笑い、未来視を使うことなく、来たるであろう近い未来に思いを馳せる。
すると、酒場の入り口から喜び楽しみ興奮が混ざった気配を感じ取った。
「うぉ〜い、ダイナー! 次行こうぜ、次ィ!!」
「おいおい、まだ行くつもりかァ? もう三軒目だろうが」
「いいじゃねぇか! 今のマミちゃんも最高に可愛かったけどよ、まだ見ぬ美女が待ってるんだ。おれはまだまだ足りねェ!!!」
迫力のあるサンジのその声に店内から、女からは嫌悪の声、男からは称賛の声が上り、ダイナーは目を丸くし次の瞬間には爆笑した。
「ハハハハハハ!!! とんだスケベ野郎だなァ、サンジ。おれの予想を超えてきやがる。ハッ、いいだろう、好きなだけ回ってこい。満足するだけ行ってこい。お前は偉大な男だ」
「ありがとよ、ダイナー! この恩は必ず返すッ!!」
「これは祝いだ。気にする必要はねェ。楽しんでこいよ」
「すまねェ、ありがとう。おれは幸せ者だ……ッ」
涙を浮かべるサンジに金が入った袋を手渡すダイナー。
一体どれ程入っているのか分からない程に巨大な金袋に周囲の者達は騒めき、サンジはそれを感謝して受け取る。
「うぉぉぉぉ! まだ見ぬかわい子ちゃんたち」
「おれァ、飲み歩いてるからなァ」
「分かった! 終わったらお前を探す!」
「ったく、どうしようもねェ奴だぜ……」
サンジの立ち去る背中を眺め呆れるダイナーの声は柔らかく、その表情は優しげだ。
出会った当初は生意気な小さいガキだった。
食べられたものではない料理しか作れず、しかし努力を重ねてダイナーを満足させる程の料理人となった。
長い人生を歩んできたダイナーにとっての唯一無二の親友。
そのスケベ加減に、「類は友を呼ぶ」なんて言葉が頭によぎり、笑った。
「今の内に楽しんでおく事だなサンジ。これからは地獄の修行が始まるぜェ」
ケケケと嫌らしく笑うダイナーは世間が知らぬ悪戯小僧のような表情を浮かべる。
"覇王"ダイナー、親友の娼館への旅路を見送った!