覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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バウンティラッシュ、楽しいです!
またまたキャラが増えるということで、環境がどうなっていくか楽しみです!


第35話"幕引きの一撃"

「グララララ!! おれがこんな小僧と肩を並べる事になるたァ、分からねェもんだ……」

「小僧じゃねェ! おれはモンキー・D・ルフィだ!」

「フッ、そうだな。ルフィ、仕上げは任せたぞ」

「あァ、任せろ!」

 

 振動により氷漬けにされた腕と薙刀を解かした白ひげはルフィの言葉にニヤリと笑う。

 

「あらら、随分仲が良いんじゃないの。この目で見てなければ信じられねェな」

「海のゴミが馴れ合っちゃるのォ……!」

「わっしらも早いとここの戦争を終わらせたいんでねェ。先手は貰うよォ〜!  八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)!!!」

 

 大量の光の弾を発射する黄猿。

 簡単に人を殺す光弾が視界一杯に広がりルフィと白ひげに襲い掛かる。

 

「軽いなァ!!」

「ただの目眩しじゃァ! 犬噛紅蓮!!!」

「フンッ!!」

 

 光弾を腕の一振りで掻き消した白ひげへと背後から犬の形状をしたマグマで食らいつくべく襲い掛かるが、それもまた振動エネルギーを纏う拳で叩き落とされる。

 迎撃した勢いで薙刀を無防備な赤犬へと振り下ろすが、それを青雉が氷の雉で防ぐ。

 

氷河時代(アイスエイジ)!」

 

 青雉が視界全てを凍てつかせる。

 極寒の環境へと塗り替えられ、白ひげの足と大地を凍結させ縫い付ける。

 そこへ光の速度で蹴りかかる黄猿。

 

「させねェ!」

「グゥッ!? 本当にシャボンディの時とは大違いだねェ……!」

 

 空を駆け光速の蹴りを迎撃するルフィ。

 思わず片膝をついた黄猿は吐血し、肩で息をする。

 シャボンディ諸島で相対した時とはまるで別人だ。

 腕力も、能力も、覚悟も、覇気も、何もかもが違う。

 

 戦争が始まった時に感じていた"麦わらのルフィ"の強さともまるで異なる。

 

 黄猿はルフィの恐ろしいまでの成長速度に冷や汗を流した。

 

「君は確実にここで殺さないとダメみたいだ。生かしておいたら恐ろしい事になりそうだねェ」

「何でそんな怪我をしてんのか知らねェけど、邪魔すんならぶっ飛ばす!!」

「本当に頭に来るねェ!!!」

 

 ぶつかり合う光と太陽。

 この戦争で急激に熟練した見聞色の覇気で光の挙動を予測し、的確に迎撃するルフィ。

 自然系の流動する肉体を武装色の覇気により捉え、確実にダメージを与えていく。

 対する黄猿も光速の連打で迎撃を穿ち、光の分身による質量攻撃によりルフィに甚大なダメージを与えていく。

 

「流星火山!!!」

「おいおい、無茶するなァ……!」

「お前なら合わせられるだろうが、クザン!」

「全く、仕方ねェな……!」

 

 巨大な拳の形をした火山弾が上空から無数に降り注ぐ。

 自身もろともの赤犬による大規模な破壊攻撃に青雉はため息を吐き、白ひげをその場に留めるため、極寒の環境により威力を底上げした氷の矛を四方八方から放つ。

 

 大地に足を氷漬けにされ、四方八方からは氷の矛が飛来。頭上からは一撃必殺級の火山弾が無数に降り注ぐ。

 

 そんな絶望的な状況を前に白ひげはニヤリと笑う。

 

「舐めるんじゃねェぞ、小僧共!!!」

 

 白ひげを中心として発生する覇王色と振動の爆発。

 空間そのものを破壊する音が鳴り響き、氷も、溶岩も、全てが掻き消える。

 

 振動エネルギーの暴力はそれだけに収まらず、ダメージに片膝をつく赤犬と青雉の肉体で暴れ回った。

 

「ごガァッッ!!?」

「うグゥッッ!!!」

「ダメージでろくに力が出てねェぞ、小僧共!」

「ま、マジで化け物だぜ……! 限界寸前だとは思えねェ」

「これは気合を入れんとのォ。手負いの獣程、面倒なものもない……!」

 

 老いてなお、病魔に侵されてなお、甚大なダメージを負ってなお、ここまでの強さを持つ白ひげへと畏敬の念を覚える赤犬と青雉。

 タフネスだけで言えば、白ひげは自分達よりも遥かに上かもしれない。

 

「このまま戦争に負けりゃァ、海軍は世界に赤っ恥晒す事になる……ッ! それだけは避けにゃァならんぞ、クザン!!」

「分かってるよ。ったく、おれァ、面倒くせェのは嫌いだってのによォ。だが、そうも言ってられねェか……!」

「お前と共闘するとは、何年振りかのォ!」

「さァな。だが、同期同士仲良くいくとしましょうや!!」

「グララララ! お前らに新時代が止められるかァ!」

 

 ぶつかる三人の男達。

 万象を焼き焦がすマグマが降り注ぎ、一切合切を凍て付かせる氷河が環境を支配する。

 世界を滅ぼす振動が全てを破壊する。

 

 降り注ぐ火山弾を掻い潜り青雉へと強烈な拳を叩き込む白ひげ。

 吹き飛ばされながらも氷の道を作り出し、その上をマグマと化した赤犬が滑り白ひげへと拳を叩き込む。

 

 振動で灼熱を相殺し、薙刀の一撃を赤犬へと振り下ろすも肉体を流動させいなされる。

 そして、無防備な体勢を晒した白ひげへとマグマの拳を振り下ろそうとした赤犬だが、突如飛来した気配にマグマ化を解く。

 

「グゥッ!!」

「チッ! ボルサリーノ!!」

「お〜、ごめんよ〜。"麦わら"が随分と強くてねェ〜!」

 

 吹き飛んできたのは全身に大小様々な傷を負う黄猿だった。

 頬は赤く腫れ、口の端からは血が見えている。

 

「よし! おっさん、そろそろ頼む!!」

「あァ、行ってこい! フンッ、ヌゥッッン!!!!」

「な、なん──」

 

 突如上空へとルフィを放り投げた白ひげ。

 それもただ腕力で放り投げただけに非ず。

 能力を使い、覇気を使い、力を溜める事による強烈な打ち上げ。

 

 遥か上空へと一瞬の内に上っていったルフィは、分厚い雷雲の中へと消え去った。

 

「グララララ! ここからはおれがお前らの相手をしてやろう……!」

「何を企んどるのかは分からんが、お前を殺してから"麦わらのルフィ"を殺そうが同じことじゃ」

「ん〜、でも何か嫌な予感がするねェ……」

「あァ、"麦わら"はともかく、白ひげは無駄な事はやらねェはず。何企んでやがる……」

 

 ルフィを上空へと打ち上げ、楽しげに笑う白ひげに警戒する大将達。

 しかし、いくら考えても答えは見つからず、更に遥か上空へルフィを追うだけの体力も既にない。

 

 故に、大将達の取る行動は一つしかなかった。

 即ち、白ひげの即座の討伐。

 頭によぎる嫌な予感を無視して三人は白ひげへと襲い掛かる。

 

 光の剣で白ひげへと光の速度で斬りかかる。

 氷の矛が白ひげと斬り結ぶ黄猿を援護する。

 マグマの犬が一瞬の隙を狙う。

 

 その全てをダメージを負いながらも打ち崩し、反撃する白ひげ。

 

 肉体のあらゆる場所に火傷、凍傷、刺し傷を負いながらも一歩も引かず渡り合う姿は正に伝説。

 

 光の剣を避け、氷の雉をも避けた先に待ち構えたマグマの拳を振り抜く赤犬の一撃を裏拳で弾き飛ばし、体勢を崩した赤犬の顔面を掴み宙に持ち上げる。

 

「グゥッ、白ひげッ! ガァッッ!!?」

 

 赤犬の顔面に直接破壊エネルギーが流される。

 血反吐を吐いて崩れ落ちる赤犬を蹴り飛ばし、白ひげは地面を大きく揺らす。

 振動から宙へ逃げた黄猿は無数の光弾を放ち、それを目眩しに青雉は白ひげの周囲に氷で出来た鏡を無数に作り出す。

 

「八咫鏡!」

 

 白ひげを囲む氷鏡を光と化した黄猿が縦横無尽に反射し光速で飛び回る。

 まるで氷と光の牢獄の中、ありとあらゆる方向から光線を射出し、隙を見て光の速度で蹴りを放つ。

 

 避けた光線が氷鏡を反射し、再度向かってくる。

 避ける度に光線は増加し、牢獄の中に安全圏を加速度的に減らしていく。

 牢獄を破壊すべく振動エネルギーを溜めても、察知した黄猿が強烈な蹴りで妨害をし、氷鏡を殴ろうが全力を尽くす青雉による氷の強化により破壊することが出来ない。

 

「いい連携だ……! だが、その程度でおれをヤレると思うなよォ!!!」

 

 白ひげが力を薙刀を持つ腕に溜める。

 無数の光線が白ひげの肉体を貫き、黄猿の強烈な蹴りが突き刺さり、口から血反吐を吐いてなお笑う。

 

「まずいッ!」

「ォォアアアッッ!!!!」

 

 振り抜いた覇王色を纏った薙刀により空間がずれる。

 氷と光の牢獄が一刀両断され、直線上の大地を二つに別たれ、凄まじい爆風が吹き荒れた。

 

 瞬間、頭上に濃密な覇王色が雷鳴の如く降り注ぐ。

 

「おいおい、こりゃヤベェぞ……」

 

 白ひげの一撃により消えた分厚い雲から現れたのは巨大な拳。

 視界全てに広がり、空を埋め尽くす程の超巨大な拳。

 何もかもを破壊する黒き拳を振りかぶる白き神が姿を現した。

 

「お〜、あんなのを落とされたら、この島ごと潰されちゃうよォ……!!」

「グッ、あん時の選択が間違いじゃったか……!」

「言ってる場合じゃねェぞ、ありゃァ……。何とかして防がねェと、文字通り島ごと海の藻屑だ……!」

 

 あんなものをまともに食らえば島ごと一溜りもないだろう。

 感じる圧力も覇気も、満身創痍の大将達にとって恐ろしいものに見えた。

 あの規格外の大きさゆえに逃げ場もない。

 

 即ち、迎撃する他に道はない。

 

 即座に大将達は動いた。

 三者三様、己の体力の全てを消費し力を行使する。

 

 灼熱の地獄へと環境を侵し、武装色の防御膜と共にマグマを活性化させる。

 

 致死の極寒へと環境を侵し、武装色の防御膜と共に氷河を活性化させる。

 

 目を焼く眩い光で環境を侵し、武装色の防御膜と共に極光を活性化させる。

 

 体力、覇気共に限界寸前の大将達が今出せる、全力全開。

 

「準備出来たぞ、おっさん! 頼んだ!!」

「久方ぶりの覚醒だ。後はお前に任せたぞ、ルフィ……!!! 」

 

 腕を大きく広げた白ひげが覚醒した"グラグラの実"の能力を解放した。

 マリンフォードの上空に振動が発生する。

 始まりは小さな振動が、白ひげの覇王色の覇気に呼応して加速度的に膨れ上がる。

 

「大将達は手が離せないんだ! あんた達、白ひげを止めないと大変な事になるよ!!!」

「は、ハッ!!」

「白ひげの覚醒技なんて久しぶりだね……!」

 

 息も絶え絶えな中将達が白ひげへと突撃していく。

 倒れそうな肉体に鞭を打ち、刀を、拳を、武器を叩き付けていく中将達。

 海軍中将にして、大海賊時代以前から活躍する伝説の女海兵、"大参謀"つるもまた能力と共に白ひげへと蹴りを叩き付けた。

 

 悪人の心をも改心させる洗濯の力が突き刺さり、うめき声を上げる白ひげ。

 

「グララララ……!! おれの覇気を超えてから出直してこい、洗濯ババァ!!!」

「ババアとは失礼だねェ!!」

 

 中将達による怒涛の攻撃により全身に数多の傷を負う白ひげは、それらを意志のみで耐え、覇王色を全開で放出する。

 物理的な圧力を伴った覇気に吹き飛ばされる中将達。

 

「これで仕上げだ……! "振迦天堕"!!!」

 

 空が堕ちた。

 そう錯覚する程の現象が地上に降りかかった。

 

「がァッッ!!!!?」

 

 マリンフォードの大地全てに等しく降り注ぐ振動の嵐。

 振動の壁が大将、中将関係なく大地へと縫い付ける。

 恐ろしいまでの質量が押し潰さんと、抗い難い振動エネルギーと共に堕ちてくる。

 

「や、ヤベェ……! こりゃァ、マジでヤベェぞ!」

「ガタガタ喧しい……! 死んでも力入れろ、クザンッ!!!!」

「これを防いで、上のアレも防がないとダメなんてねェ……! 全く、"麦わら"には嫌になる……!!!」

 

 武装色の防御膜と全力全開の大将達による質量攻撃が振動の壁を迎え撃つ。

 

「バレットのおっさん!!! 白ひげのおっさんを頼む!!!」

 

 天上から伸びた手が、能力と覇気の過剰行使により限界を迎え気絶した白ひげを掴む。

 白ひげの頭上に空いた振動の壁の穴から掴み出し、その勢いのままに戦艦へと放り投げるルフィ。

 

「この戦争を終わらせる!!! バレットのおっさん、船を出せェ!!!」

「白ひげは受け取った! ぶちかませ!!!」

 

 天上には神の拳。

 地上には振動の檻に囚われ抗う海軍達。

 

 大将も中将も、インペルダウンの看守達も、皆が青ざめた顔で天を見上げる。

 

「"ゴムゴムの"ォ……!!!」

 

 兄を助け出すために地獄を越えてここまで来た。

 己の弱さを知り、己の未熟さを知り、己の情けなさを知った。

 それを乗り越えて今がある!

 

 兄を救うため、極悪非道な海賊達を解放した。

 

 兄を救うため、正しい覚悟を決めた男を殴り飛ばした。

 

 全てを背負う覚悟は出来た。

 

 もう、誰も失わない!!!

 

「ぶわっはっはっは!!! 強くなったのう、ルフィ!」

「"猿神銃(バジュラングガン)"!!!!!」

 

 幕引きの一撃が落とされる。

 

 天から堕ちる拳はまるで神の怒り。

 

 空を裂く一条の黒き神撃は灼熱のマグマを、極寒の氷河を、眩い極光を打ち砕き、大地へと突き刺さった。

 

 響き渡る轟音。

 莫大な覇王色の雷鳴が響き渡り、全てを破壊する。

 

 力を使い果たし、神から人へと戻り落下するルフィ。

 

 意識を落とす間際に見た眼下には最早何もなく。

 

 島も、海すらもなくなった真っ暗闇へとルフィは落ちていった。

 

「"シャンブルズ"」

 

 忽然と消えたルフィ。

 後に残るは大海にポカリと空いた大穴のみ。

 何も聞こえず、何の気配もない。

 

 

 

 

 天下に轟く怪物達が集まった此度の頂上戦争。

 短くも長い、濃密な戦争はこれにて終幕。

 

 海軍、海賊、互いの正義。

 幕を下ろしたのは神の一撃。

 

 此度の戦争、海賊側の完全勝利で終わりを迎える!!!

 

 

 

 

 

 

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