覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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明けましておめでとうございます!
今年もワンピースが楽しみですね!!
いよいよ、アニメも新しい章が始まるのでとても楽しみです!!!


第36話"伝説の再来"

「ルフィは本当に無事なのか!!? もう三日も目覚めぬぞ!!!」

「何度言えば分かる女帝屋。もう峠は越えた。安静にしていれば目も覚める」

「見ていた限り、ローの腕は確かだよい。妻なら旦那の事を信じてやれよい」

「旦那……。そ、そうじゃな! 妻ならば、旦那の事を信じねばならぬな!!」

「扱い方が分かってきたよい……」

 

 バレット謹製巨大戦艦のベッド上に眠るルフィを囲み騒ぐ三人。

 マリンフォード頂上戦争によって負った甚大なダメージと疲労による眠りから目覚めないルフィを想い、焦りと苛立ちを爆発させるハンコック。

 そんな彼女を落ち着かせるべく言葉をかけるマルコと、頂上戦争の最後、大海の穴に落ちていくルフィを救い出した男、トラファルガー・ロー。

 

「しかし、あの時は助かったよい。お前がいなけりゃ、恩人を海の底にやるところだった」

「助ける義理もねェが、悪縁も縁。あんな所で死なれるのも面白くねェ」

「ははは、素直じゃない男だよい」

「チッ」

 

 マリンフォードの大地ごと海軍戦力を海の底に沈めた後、全ての覇気と体力を使い果たし大海の大穴へと落ちるルフィを助けたのがローだった。

 ルフィと同じく"最悪の世代"の一人であるローが突如潜水艦と共に戦艦へと現れ、能力によってルフィを救い出した。

 

 ハンコックの発言により彼女の統治する"女ヶ島"へと船を進める間も、到着した今もマルコと共にローはルフィのみならず、戦争で傷付いた海賊達の治療を行っていた。

 

 二人の優秀な医者の力もあり、相当なダメージを負っていた白ひげも既に目を覚まし、しかしルフィだけが目覚めないままだった。

 

 インペルダウンから始まる連戦による連戦。

 己の限界を超えた力まで使い果たしたルフィのダメージと疲労は相当なもの。

 常識外に急成長した覇気の過剰使用もまた目覚めの妨げになっているとは、マルコの言葉だった。

 

「そろそろ、あいつらも宴を我慢できなくなってきてやがるよい。大体、あいつらがここまで大人しくしているのが驚きだよい」

「……あァ。世界から存在を消された大監獄の囚人共が逃げ出さねェのが信じられねェ。……いや、なんか肉を焼く匂いが──」

「──肉ゥゥゥ!!!!!」

「うぉッ!!!?」

 

 どこからともなく漂ってきた肉を焼く芳しい香り。

 その瞬間、ピクリとも動かずベッドの上で寝ていたルフィが起き上がり、目を輝かせ、涎を垂れ流し、一瞬の内に走り去ってしまった。

 

 あまりにも突然のことに固まってしまう三人。

 そして、次の瞬間には喜び一色の叫び声と共に後を追うハンコックの姿。

 

「ルフィ〜〜!!! そなたの好きな肉ならたくさん用意しておるぞ〜〜♡」

「……まァ、無事起きてよかったよい」

「……くだらねェ」

「主役が起きたんだ。宴の始まりだよい」

「おれはいらねェ。起きたんならおれは船に戻る」

「んな事言ってねェで、お前も来るよい! お前がいなかったら親父の顔も潰れてたんだ。引きずってでも連れて行くよい! 勿論、お前の仲間達もな!!」

「チッ……」

 

 甲板上から聞こえてくる歓声と悲鳴、驚愕の声。

 その声が聞こえる方へ歩いていくマルコとロー。

 

 二人の医者により、未来の"海賊王""麦わらのルフィ"は完全回復を遂げる。

 

「悪運の強ェ男だ……」

 

 

□■□■□■□■□■□■

 

 

「んん! んんッ!! うんめェ〜〜!!!!」

「相変わらずいい食べっぷりね〜い、麦ちゃん!!!」

「汚ねェ食い方しやがる……」

「カハハハ! そういう所は兄貴そっくりじゃねェか、麦わら小僧!」

「豪快なルフィも素敵……♡」

 

 突如現れ肉を貪る"麦わらのルフィ"。

 

 頂上戦争の立役者であるルフィの回復を待ち、勝利を祝す宴を我慢していた海賊一同だが、その我慢の限界を迎えたバギーが肉を焼き始めた瞬間現れたルフィに皆が驚愕の声と歓声を上げた。

 

 口から涎を垂れ流し、目を輝かせて生焼けの肉に食らい付いたルフィの姿を見てから皆の行動は早かった。

 

 数万人の海賊達による超巨大戦艦の甲板上での大宴会の始まり。

 

 海獣の肉が焼かれ、女ヶ島産の美食が広い甲板に並ぶ。

 獲れたての新鮮な魚介類が男らしく捌かれ並び、大量の酒や飲み物がそこら中に積まれる。

 

 "白ひげ海賊団"の面々が、世界に名を消された大悪党達が、革命家達が、立場も何もなく食らい、飲み、踊り、騒いでいる。

 

 次から次へと料理を口に運び、恐ろしい勢いで貪るルフィにボンクレーは回復への安心感を覚え、クロコダイルは下品だと顔を歪める。

 インペルダウンでのエースと同じ食べ方にバレットが笑い、ハンコックが男らしいルフィにうっとりとする。

 

「うんめェな〜〜! すげェ腹減ってるし、おれどれだけ寝てたんだ?」

「あれから三日が経っておるぞ、ルフィ。全く目覚めぬから心配したぞ……!」

「三日も寝てたのか〜〜!? 慣れねェ覇気使ったからかな」

「それもあるが、それ程疲労していたという事じゃな。あ、この"海王類入りペンネゴルゴンゾーラ"も美味しいぞ♡」

「おう、ありがとう。ま、いいや! エースも助けられたし!! 確かに美味ェなこれ!」

「女ヶ島名物なのじゃ……! 口に合ってよかった……♡」

 

 ゴムの体を活かし手を伸ばして様々な場所から食べ物を取っては、恐ろしい速度で食らい尽くすルフィの顔を見て頬を赤らめるハンコック。

 マリンフォードでハンコックの恐ろしい強さと容赦のなさを見ていた海賊達は、そんな彼女の様子に口を引き攣らせる。

 

 そんな彼らの様子も知らず、ルフィへと次々と女ヶ島明産の料理を手渡し、そんな夫婦のようなやり取りに一人興奮するハンコック。

 そんな二人の元に近づく人影。

 

「おい、ルフィ。お前、結婚したんなら、なんで兄のおれに言わねェ」

「エース! 無事で良かった!!」

「おう、お前のおかげで助かった。でけェ借りが出来ちまったな。それは、それとして、結婚なんて大事な事はおれにもきちんと報告しやがれ。嫁さんを紹介しろよ」

「結婚? 何言ってんだ、エース?」

「る、ルフィ、その話しは……」

「あん? だから、お前と"海賊女帝"ボア・ハンコックは結婚して夫婦なんだろ?」

「ん?」

 

 ルフィとハンコックの前に現れたエースは頭を下げて感謝をした。

 エースの無事に喜び抱きつくルフィと、エースの言葉に狼狽するハンコック。

 共に戦った仲間達どころか、世界中に己とルフィは結婚していると勢い任せに嘘を口にしたハンコックだが、その話を知らないルフィの困惑で丸くなった目を見てますます慌てふためく。

 

「おれ、結婚なんかしてねェぞ」

「なに? お前と結婚しているって"海賊女帝"が皆に言ってたぞ?」

 

 お互いの反応に目を丸くして頭を傾げる二人。

 頭上には疑問符が浮かんでいるように見える。

 そんな二人に慌てるのはハンコックの姿。

 

 周囲ではバレットやクロコダイルが修羅場だとニヤニヤと笑っている。

 

「ち、違うのじゃ! 違うのじゃ! ルフィ、わらわは……」

「お前、おれと結婚してるって言ったのか?」

「ゆ、許してくれルフィ……! 嘘を吐くつもりはなかったのじゃ! そうなればいいなと思っていたのが、ここまでの話に……!!」

 

 おろおろと狼狽しながら早口で宣うハンコックを見るルフィ。

 そんな状況に周囲の海賊達も聞き耳を立て、バレットとクロコダイルの笑みがますます深くなる。

 

「なぁ、ハンコック。マリンフォードで言ってたお願いって何なんだ?」

「そ、それは……!」

「お前にはたくさん助けられた。お前がいなかったらおれはインペルダウンに行く事も出来なかったし、エースを助ける事も出来なかった。ハンコックには返しきれねェ恩が出来た。だから、今度はおれが返す番だ!」

「ルフィ……」

 

 ルフィの屈託のない笑顔にハンコックは目に涙を浮かべる。

 マリンフォード頂上戦争の時に交わした約束を覚えていた事と、こんなつまらない嘘を吹聴していた己に対する優しさに、今すぐにでも抱きつきたくなる衝動を抑え、ハンコックは話し出した。

 

「わらわは此度の戦争で"王下七武海"の権利を失った。七武海の名の下に女ヶ島──アマゾンリリーを守ってきたが、それがない以上、ここはただの海賊の国じゃ。そうなれば、再起した海軍達が押し寄せる。わらわの名前のみで守り続けるのも難しい」

 

 現実だった。

 王下七武海という世界政府の公認があってこそ守られてきた"女ヶ島""アマゾンリリー"の存在。

 住まう住人皆が高い戦闘力を持てど、海軍の強者達が乗り込んできてしまえばひとたまりもないだろう。

 

「本当は……! 本当は、わらわと、け、け……結婚してこの国を治めてほしい……! じゃが、そなたがそういうものに縛られるような男ではないと知っておる。じゃから、せめてこの国が海軍からも海賊からも攻められぬよう、そなたの名を貸してほしい!」

 

 傲慢で唯我独尊なあのボア・ハンコックが頭を下げた。

 

 始め、ハンコックの印象は最悪だった。

 ルフィが気に入らない、嫌いなタイプの人間だった。

 それが、短い間ではあるが、このエース奪還において大きな恩を受け、またその人間性にも好意を抱く程になった。

 

「……おれは冒険がしてェ。"ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)"を見つけて"海賊王"になりてェ。おれは世界で一番自由に生きてェ。」

「そう、か……。分かった、すまぬな! こんな話をして──」

「──でも、おれは全部背負うって決めたんだ……! 結婚ってのは好きなやつ同士がするもんなんだろ? おれ、そういうのはあんまりよく分からねェけど、それでもいいなら結婚しようハンコック! おれ、お前のこと結構好きだし!」

「る、ルフィ……!!」

「あ、でも冒険はするぞ!」

「よ、よいのじゃ、よいのじゃ! そなたは好きなようにするといい……!」

「じゃぁ、これからよろしくなハンコック!」

 

 瞬間湧き上がる大歓声。

 甲板上で騒いでいた海賊達がますます盛り上がり、祝福のどんちゃん騒ぎ。

 

「いつの間にか立派になったな、ルフィ……! サボのやつにも見せてやりたかったぜ……」

「ムルンフフフ! よくやったわね、ハンコック! あの鈍感な子を落とすなんてやるじゃない!」

「ギャハハハハ!! こんな所でプロポーズなんざ、面白ェ! 今日は無礼講だ! ド派手に盛り上がれ!!!」

「飲めや、踊れや! 海軍のクソ野郎共への勝利と結婚祝いだ!!!」

 

 様々な感情が押し寄せ涙を浮かべるエースと笑い騒ぐ海賊達。

 

「でも、名前貸すのおれでいいのか? 白ひげのおっさんの方がいいんじゃねェのか?」

「そうか、そなたはまだ知らぬのじゃったな」

「グララララ! おれァもう引退だって言っただろう、ルフィ。おいマルコ、昨日届いた新聞読んでやれ」

「任せろよい」

 

 今世界中を騒がせるニュース。

 

 "火拳のエース"の処刑決定を発端とする海軍対白ひげ海賊団の頂上戦争。

 

 "新聞王"と呼ばれる男により世界中にばらまかれたニュースの内容はこうだ。

 

『"火拳のエース"を巡る天下分け目の頂上戦争は突如乱入した"麦わらのルフィ"の完全勝利である』

 

『世界最高の海底監獄から数多の大悪党を引き連れ、完璧に従えた常ならぬ人望と統率力』

 

『"四皇""白ひげ海賊団"をも味方につけ、見事兄を救い出した事実』

 

『計算され尽くした作戦で、海軍の作戦の全てを凌駕した頭脳』

 

『歴史に名を残す伝説の海兵達を倒し、島諸共海軍戦力を壊滅させた強さ』

 

 そう読むと新聞の一面をルフィへと見せつけるマルコ。

 

「新たな"四皇"の誕生、祝福するよい」

 

 

 "麦わらのルフィ"

 懸賞金

 30億ベリー

 

 白き神と化し目に手を当てて大きく笑っているルフィが印刷された新たな手配書。

 新聞の一面の上部には新たなる"四皇"の文字と、"白ひげ"エドワード・ニューゲート引退の文字。

 

「えええ〜〜!!!!? おれが"四皇"〜〜!!!!?」

「グララララ! 随分若ェ"四皇"だ!!」

「ただのルーキーだと思っていたが、最後の一撃には痺れたよい!」

 

 新たな手配書を見て驚愕の声を上げるルフィ。

 30億ベリーというそれまでの十倍の懸賞金額。

 そして、何より"四皇"という新聞の文字。

 

 大躍進という言葉では足りない程の急激な躍進にルフィは驚いた。

 

「どうじゃ、わらわの夫は凄いじゃろう!」

「グララララ! 惚気が随分と早ェな!」

「そうか、おれシャンクスと同じ"四皇"になったのか……!」

 

 尊敬し、憧れる、先日思いもよらず出会ってしまった恩人の顔を思い浮かべるルフィ。

 

「そうか! それならハンコックの国を守れるくらいに"四皇"として強くならねェとな!」

「ルフィ♡ 愛しております♡」

「あ、そうだ! 白ひげのおっさんと一緒にエースに謝らねェと!」

「あァ、それならもういいんだ。おれは親父の覚悟を尊重する。これからは、親父と本当の親父(・・・・・)を超える事を夢にする」

「エース、お前……!」

「お前が寝ている間に色々あったんだ。まァ、そういう事だから、これからもよろしく頼むよ」

「ししし! 分かった!」

 

 今までのエースと異なる晴れ晴れとした表情にルフィは笑顔を浮かべる。

 

「まァ、そういう事だ。お前にも心配かけちまったなルフィ。あと、おれのことはニューゲートと呼べ」

「分かった、ニューゲート! 解決したんなら良かった!」

「グララララ! 今日のところは面倒臭ェことは考えねェで、宴を楽しめ!」

「おう!」

 

 そう言うなり甲板上にある砲塔の上に飛び上がったルフィ。

 そして、威圧感を感じぬ覇王色の覇気を放ち、皆の注目を集める。

 

「皆助けてくれてありがとう! お前らがいなかったらエースを助けられなかった! この恩は絶対に返す!」

 

 だから。

 

「お前ら、皆おれの仲間になれ!!!!!」

 

 飲んで、食って、踊って、歌って、どんちゃん騒ぎをしていた彼らに静寂が訪れた。

 

 突然の仲間へと誘うルフィの言葉に皆が言葉を失っていた。

 

 かつてルフィに計画を潰された仇敵であるクロコダイルも。

 

 何かと縁がありながら、敵対し続けるバギーも。

 

 今しがたルフィと夫婦の契りを結んだハンコックも。

 

 大監獄に囚われていた大悪党達も、ルフィと縁ある者達も、皆が言葉を失い、呆然とルフィを眺める。

 

「インペルダウンの奴らが今まで、どれだけ悪ィことをしていたのかは分からねェけど、これからはおれがもうさせねェ! 皆、おれと一緒に冒険して、楽しもう!!!」

「グララララ! じゃァ、息子達も頼まれちゃくれねェか。なァ、マルコ?」

「あぁ、"麦わら"となら楽しい旅が出来そうだ。昨日他の奴らもそう言っていたよい。エースはどうする?」

「弟の船に乗るってのもどうかとは思ったが、ルフィの夢の果てを側で見るってのも悪くねェ。おれはなるぜ、お前の仲間に!」

 

 仲間になると口々に言う白ひげ海賊団の面々にルフィは笑い、他の海賊達に目を向ける。

 

「カハハハ! ならば、おれがこの人数を乗せる船を造り動かしてやろう」

「わちしは、最初から麦ちゃんに着いて行きたかったわよーう!」

「この人数で毎日酒を飲めれば楽しいだろうのんな〜!」

「ムルンフフフ! まぁ、美女の首は諦めるしかないわねェ。でも、麦わら坊やに着いていたらダイナーに会えそうな気がするわ!」

 

 次々と名乗り出る海賊達。

 その勢いは加速度的に増し、そして。

 

「どこかの誰かと組むよりはマシか……。いいだろう、だが、少しでも情けねェ姿を見せればおれが殺すぜ、"麦わら"……!」

「クロコダイル……! 分かった、それでいい!」

「マジかよ、クロコダイルまで仲間になんのかよ……!? ……よっしゃァ、おれ様もなってやるぜ、お前の仲間によォ! だが、宝は早いもの勝ちだぜ、"麦わら"ァ!!!」

「おれは宝はいらねェ! 欲しいやつが貰えばいい!」

 

 かつてルフィと敵対した者達までもがついに同意した。

 

「わらわはルフィに着いて行きます♡」

 

 最強の夫婦がここに誕生した。

 

「よし!! 皆で"ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)"を目指すぞォ!!! これからおれ達は仲間だ!!! 乾杯!!!!」

『うォォォォ!!!!!』

 

 "凪の帯(カームベルト)"に存在する"女ヶ島"近郊の海上にて、一つの大海賊団が誕生した。

 

 かつて存在した『世界最強の海賊団』のような海賊団に世界はこれより大いに荒れる事になる。

 

 "ロックス海賊団"再来。海軍が震え上がる伝説が蘇った。

 

 しかし、かつての"ロックス海賊団"と異なり罪なき民衆に悪事をする事はないだろう。

 

 ここに未来の"海賊王"が率いる最強の一味、"麦わらの一味"が新生した!

 

「懐かしいなァ。お前たちは負けるんじゃねェぞ……!」

 

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