覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

37 / 39
今年の漫画のワンピースも様々な謎が判明してきてとても面白いです!
全ての謎が解ける時が楽しみなような寂しいような……?
どちらにせよ、全てが分かる時が楽しみです!!


第37話"3D2Y"

「ハハハハ!!! 娼館に行っていた時の元気はどうした、サンジ!!! 力が入ってねェぞ!!!」

「ち、くしょうがッ!!」

「おらおら、まだまだ足りねェぞォ!!!」

 

 "偉大なる航路(グランドライン)"前半の海に存在する"モモイロ島"の浜辺にて二人の男が激しい戦いを繰り広げていた。

 金色の髪の男、サンジが燃え盛る脚で強靭な蹴りをもう一人の大男、ダイナーへと繰り出し、しかしそれが命中することなく反撃の蹴りで吹き飛ばされる。

 

 そんな一方的な光景が長く続いていた。

 

「はぁ、はぁ……ッ。限界だ、一回休憩ッ! マジで死ぬ!」

「おいおい、情けねェな。体が壊れりゃ直して、覇気が尽きても補充してやってんだ。死ぬこたァねェだろうが」

「夜も寝ねェで永遠とやってれば、こうもなるだろうが!!!」

「睡眠も取らなくて済むように能力を使ってやってんだ。足りてねェのは根性だけだろうが」

 

 ダイナーと共に別の島の街で娼館巡りをした翌日からサンジは拷問が可愛く思えるようなしごきを受けていた。

 朝昼夜の三食の時間を除き、睡眠時間も摂らずの地獄の修行から何日が経っただろうか。

 どれだけ疲れ果てようとも眠気を感じぬ己の体に気味の悪さを感じながら、ダイナーを睨み付けるサンジ。

 

「まァ、仕方ねェ。そろそろ昼時だ。飯にするか」

「ぶはァァッ! やっと休憩だ……」

 

 暫しの間の地獄からの解放に倒れ込み喜ぶサンジ。

 それを横目に物質化した覇気で巨大なテーブルと二つの椅子を作り出すダイナー。

 

「おら、キャンディちゃん達が作った"攻めの料理"だ。体は食事から。残さず食えよ?」

「分かってる。おれは出されたものは残さねェ」

 

 ダイナーが漆黒の覇気の箱から取り出し、テーブルの上に並べた多すぎる料理の数々を見たサンジは、口元を引き攣らせながらもそう言い切る。

 

 まるで出来立てのようにほかほかと湯気をあげる料理にサンジは何度目か分からない程の感嘆の声を上げる。

 

「やっぱり、あいつらの作る飯は凄ェ。香りを嗅いでいるだけで力が漲ってくるようだ。"99のバイタルレシピ"だったか? 教えてもらえねェかな」

「それはあいつらに聞くことだな。この修行にはあいつらの作る"攻めの料理"が必要不可欠。感謝しておけよ?」

「あぁ、そこは感謝しねェとなんねェな。だが、おれを女にしようとしたのはクソ許せねェ……!!!」

「ハハハハ! ありゃァ、中々面白かったぜ!」

 

 愉快そうに笑うダイナーに苛立ちながらも、食材と作ってくれた者に感謝し食事を始める。

 "攻めの料理""99のバイタルレシピ"とは食事によって強靭で美しい体と優しい心を作り出す正しく攻めの料理である。

 この修行を始めてからサンジはこの料理の凄さを実感していた。

 

 味がいいだけでなく、食べるだけで力が漲る。

 肉体に目を向ければ、修行初日と比べても、筋肉量、筋肉の質、骨格、様々なものが強靭になっているのが見てとれた。

 

「料理で体を作るなんて考えたこともなかった……。毎日のメシであいつらの体作りの補助が出来るのか……! 教えてもらって、ナミさんやロビンちゃんをもっとセクシャルなBODYにしてあげよ〜♡♡♡」

「気持ち悪ィな、こいつ」

 

 テーブルの上に並べられた料理を凄まじい速度で食べていくサンジ。

 みるみる内に全て平らげたサンジは、食後の一服を、美味しそうに楽しみだした。

 

「よく食った。そんなお前に面白ェニュースだ。今朝と先日の新聞だ。見てみろ」

「あん? なんだ──」

 

 サンジの目の前に広げられた二つの新聞。

 その数日前の新聞の一面に、新たな"四皇"の文字とその下に描かれた己の船長であるルフィの新たな手配書があった。

 

「な、なに〜〜!!!!? ルフィ!!!!?」

「ハハハハ! やり切ったな、お前のところの船長は!!! 愉快、愉快」

「お、お、お、おい、ダイナー、こりゃァ、一体どういうことだ……!!!?」

「落ち着け、サンジ。他のページも見てみろ」

 

 慌てて新聞に目を通すサンジはその内容に驚愕した。

 

 海軍に捕らえられ処刑が決定した兄であるエースを奪還するために、インペルダウンに乗り込み、そのままマリンフォードでの頂上戦争に乱入したこと。

 

 インペルダウンの囚人達を仲間に引き入れ、"白ひげ海賊団"と共に完璧なる作戦で海軍を打ち倒した事。

 

 伝説の海兵達をも倒す脅威的な戦闘能力について。

 

 そのどれもが初耳だった。

 

 ましてや、新たな手配書。

 

 見たこともない白い姿のルフィの写真。

 懸賞金30億ベリーという考えられない数字。

 

 そして、何よりも"四皇"というこの海で恐れられる最悪の称号。

 

「あいつは何やってんだ〜〜!!!?」

「ハハハハ!!!! 最後の一撃は痛快だったぜ?」

「あん? お前、ダイナー! 知ってやがったな! 何でおれに教えねェんだ!!」

「教えてどうするんだ? お前が行ってもゴミのように殺されちまうだろう戦場だぜ? 親友をそんな場所に送ることはおれには出来ねェな」

「うッ。だが、ルフィがそんな大変なことになってんのに、おれは何も知らなかった……!」

「ちなみに、お前の船長が大変だった時に、お前は娼館に行ってたぜ?」

「ダイナー!!! てめェ!!!!」

「ハハハハ!!!! そう怒るんじゃねェよ。お前の代わりにおれが少し横槍入れてきたから、それで勘弁してくれ」

 

 顔の前で手を合わせ謝るダイナーを未だ睨み付けるサンジだが、もう一つの新聞に目を通した瞬間、その怒りは別のものに変わった。

 

 

『頂上戦争の勝者にして新たなる"四皇""麦わらのルフィ"結婚!』

 

『お相手は元"王下七武海""海賊女帝"ボア・ハンコック!』

 

 その大きな見出しの下には白いタキシードを着たルフィと白いドレスを着た見たこともない程の美女、ボア・ハンコックが見つめ合う写真。

 教会のような場所で撮られた写真に写るハンコックは大層幸せそうな表情を浮かべている。

 

 世界一の美女で知られるハンコックとの写真と、結婚という衝撃的な文字を着火剤として、花束の前半の二文字にバツが書かれた『3D2Y』の文字にも気づかずサンジは烈火の怒りに包まれた。

 

「あの野郎、おれはこんな地獄にいるのに、何してやがる!!!!!!」

「ハハハハ!!!! 全く面白ェ男だな!!!」

 

 嫉妬と憤怒を糧にサンジは炎を燃やす。

 

 "四皇""麦わらの一味"コック、"黒足のサンジ"。

 

 桃色の美しい島にて、終わりの見えない地獄に抗う!

 

 

 

□■□■□■□■□■□■

 

 

「ルフィが"四皇"!!!?」

「あぁ。"四皇""白ひげ"が引退を宣言し、その空席に此度の戦争で類稀な活躍をした"麦わら"が座ることになった」

「……!!!?」

 

 古びた洋館の一室で二人の男が言葉を交わしていた。

 

 世界最強の剣士にして、"王下七武海"の一人である"鷹の目"ジュラキュール・ミホーク。

 

 "最悪の世代"にして、シャボンディ諸島にて前代未聞の大事件を起こした海賊の船員、"海賊狩り"ロロノア・ゾロ。

 

 ミホークから伝えられた特大の知らせにゾロは驚愕する。

 顎が外れてしまうのではないかという程に愕然とするゾロに言葉を続ける。

 

「"白ひげ海賊団"2番隊隊長"火拳のエース"の公開処刑を巡る、"四皇"と海軍との此度の戦争。結果は誰も予想すらしていなかった、乱入した"麦わらのルフィ"の勝利……」

「……!!!?」

 

 ミホークが語るこの数日の間に起きていた大事件と、世界の動きにゾロは驚愕のあまり言葉を失っていた。

 

 "麦わらの一味"の他の仲間達も新聞で同時期に知った事だが、ルフィの兄である"火拳のエース"を巡る戦争があったこと。

 

 ルフィが最悪の犯罪者達を仲間にし、戦争の場に乱入し、エースを救い、海軍戦力を壊滅させたこと。

 

 その危険性と実績で席の空いた"四皇"の座についたこと。

 

 そんな嘘のような情報の数々に、普段冷静なゾロですら呆気に取られていた。

 

「"麦わら"の最後の一撃は賞賛に値するものだった。事前に島を出ていなければ、おれでも危なかったやもしれん」

「"鷹の目"でもか……!!?」

「"白ひげ"の覚醒した能力が一切の行動を阻害し、"麦わら"による島諸共穿つ不可避の一撃。対処のしようはあるが、少々面倒だろうな」

「ルフィがそんなに強くなってんのか……?」

 

 かつて己が手も足も出ずに負けた、"剣士"の頂である目の前の男の言葉に、ゾロは疑問と困惑に目を丸くする。

 そんなゾロの様子に小さく笑いながらミホークは言葉を続ける。

 

「凄まじい成長速度だった。悪魔の実の能力の練度、覇気、戦闘技術、あらゆる要素があの戦争の中で進化していた」

「お前が言う程か……!」

「未だ実力は荒削りではあるが、それでも"麦わら"は既に"新世界"でも指折りの実力者になっただろう。……随分と離されてしまったな、ロロノア」

「……フン。うちの船長はいずれ"海賊王"になる男だ。"四皇"程度、驚くことじゃねェ。そして、おれもお前を越えて"世界最強の剣豪"になる男。この程度の距離はあってないようなもんだ……!!」

「フッ、相変わらずの男だな」

 

 聞いたルフィの現在の実力に驚愕していたゾロだったが、ミホークの煽るような言葉に目をギラギラと輝かせながら言い放つ。

 

 今までルフィの底知れない力と、逆境を乗り越える様を見てきた。

 シャボンディ諸島で仲間達が散り散りになってから数日だが、その己が知らぬ間にもルフィの身に様々な事が起きたのだろう。

 

 ゾロはルフィの屈託のない笑顔を思い出して笑みをこぼす。

 そんなゾロへ一部の新聞を渡すミホーク。その顔はニヤニヤとしており、ミホークへと怪訝な目を向けるゾロ。

 

「今日仕入れた新聞だ。お前の船長はまた愉快な事をしているぞ」

「なに?」

 

 手渡された新聞。

 その最初の一面には純白のタキシードを着たルフィと、ウェディングドレスを着た見覚えのない美しい女性が見つめ合った写真が印刷されていた。

 そして写真の上に大きく書かれた『結婚』の見出し。

 

 それを見た瞬間、ゾロも、遥か遠くの地にいる"麦わらの一味"の仲間達も同様に叫んだ。

 

「えええ〜〜!!!!? ルフィが結婚〜〜!!!!!?」

 

 異なる場所にいながらのシンクロ。

 驚愕に叫びながらも、その後に理解した花束のルフィからの暗号を元に"麦わらの一味"は力を蓄える期間を迎える事になる。

 

 最初の二文字にバツ印が記された『3D2Y』の意味。

 

 即ち、『3D(三日後)』ではなく、『2Y(二年後)』のシャボンディ諸島への集合まで。

 

 新たなる海の覇者、"四皇""麦わらの一味"はその名に相応しい実力をつけるため、修行の時を迎える!

 

 

 

□■□■□■□■□■□■

 

 

 

「そっかぁ、ルフィ結婚しちゃったんだね……」

 

 とある島で一人の少女が新聞の一面を見ながらそう呟いた。

 

 その瞳に暗い光を灯しながら。

 

 魔王が復活する時は近い。

 

 最も新しい魔王の復活が!

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。