adoさん歌うますぎます!
これからのワンピースも楽しみすぎですたい!!
"海軍"にとって"覇王"とは恐怖の象徴である。
大海賊時代以前よりこの世界を荒らす規格外の化け物は海軍の最大の敵である。
海軍の新兵はまず"覇王"ルイン・ダイナーについて教育される事になる。肉体改造、戦闘訓練、戦術を学ぶよりも先ず教育される理由は、単に覇王に手を出す事のないようにだ。
覇王の懸賞金額等の基礎情報。
覇王のこれまで行って来た悪行の数々。
そして、覇王の戦闘力。
世界政府及び海軍から"触れるべからず"を発令された男の"触れるべからず"の理由の全てを教育される。
絶対に触れてはいけない。絶対に怒らせるような事をしてはいけない、と教育されてきた新兵達からは"覇王"を恐怖の象徴として頭に刷り込まれる。
歴戦の海兵達は、絶対に触れてはいけないと、身を持って恐怖を知っている。
海軍の中でもエリートが揃う海軍本部の若き海兵、額に十字の傷がある少年、コビーもまた、覇王の恐怖を教育された一人である。
「"剃"!」
眼前でニヤリと笑う老海兵へと高速で迫り、拳を突き出すコビー。
未だ超人体技である六式の全てを扱う事が出来ないコビーにとって、剃の勢いを乗せた拳が最も威力を持つ技となる。
新兵とは思えない速く鋭い一撃だったが、己に届く前に頭に拳骨を落とす老海兵。
「わっはっは! まだまだ甘いのう!」
「っぶぁ!!!」
余りの衝撃に白目を剥くコビーに大笑いする老海兵は海軍の英雄──モンキー・D・ガープである。
かつて海賊王や大海賊達と激闘を繰り広げて来た伝説の男だ。
老いた現在においても身に纏う覇気は強靭であり、隆々とした肉体は激闘の歴史を感じさせる。
「──いてて」
「今日もカスリもしなかったな……」
頭の巨大なたんこぶをさすりながら座るコビーに金髪長髪の男、ヘルメッポが同じくたんこぶをさすりながら声をかける。
同時期に海軍へと入隊した彼らは良き友人、ライバルとなり切磋琢磨していた。
「お前ら、筋は良いが、まだまだじゃの! もっとメシを食って運動せんかい!」
「ガープ中将、僕頑張ります!!!」
「これ以上やったら死んじまうぜ……」
「休んでる暇はないぞ! これからみっちりシゴいてやるからのう」
拳を鳴らしながらニヤリと笑うガープに冷や汗を流すコビーとヘルメッポ。
二人が気合を入れようとした瞬間、海軍本部訓練場へと何かが飛来した。
空気を切り裂くような音の後、ズドンッ! という衝撃音と共に地面へと墜落したそれは、バスターコールでシャボンディ諸島に任務へ出ていた二名であった。
「大将"黄猿"!!?」
海軍が誇る最強戦力の一人、海軍大将"黄猿"と共に任務に出ていた部下の戦桃丸は、全身がひしゃげた無残な状態で横たわっていた。
墜落した衝撃で出来たクレーターの中で横たわる二人を見たコビーは驚愕の声を上げる。
「至急! 至急! 大将"黄猿"と他一名が第二訓練場に重傷で飛来! 深刻な傷を負っている! 衛生兵は至急第二訓練場へ来られたし! 繰り返す──」
ヘルメッポは訓練場に設置されている電伝虫で本部中に緊急事態発生の放送をする。
そんな中、黄猿達が飛ばされてきた方向を睨みつけるガープは溜息を吐く。
「……ダイナーか」
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「"覇王"により黄猿が重傷を負った」
荘厳な建物の中、五人の老人達が話し合いをしていた。
「"触れるべからず"の覇王に手を出したのか……」
「目を覚ました黄猿の話だと、例の麦わらの一味絡みらしい」
「またあの一味か」
「あの男が何かに影響されるというのも珍しい話だな」
彼らはこの世界で最も権力を持つ天竜人達の中において最高位の五人。
世界政府の頂点に立つ五人の天竜人──五老星である。
この世界の歴史の全てを知り、世界を操る五人にとって、世界最強の男、覇王ルイン・ダイナーは最悪の相手だった。
どのような手を打っても対処できない彼に、彼らはとうとう手を出す事をやめ、触れるべからずとした。
「なんでも、麦わらの一味の中に友人がいるらしい」
「……覇王に友人だと?」
「長い歴史の中でも聞いたことがないぞ。しかし、それが事実ならば面倒な事になる」
「左様。麦わらの一味に手を出した時、手に負えぬ化け物が真に敵になる」
「だが、奴は前時代の覇者。本人もこの時代の事には直接手を出すことはないと言っている」
「事態が拗れぬよう祈るしかないな……」
世界最高の権力者達は一様に深いため息を吐く。
最強無敵の化け物は何者にも縛られることはない。化け物の考えを読むことも出来ない。彼がどう動くかなど、誰にも分かりはしないのだ。
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「──エースの処刑が決まったか……」
シャボンディ諸島、多くの荒くれ者が集まる大衆酒場にて新聞を読んだダイナーは呟く。
「こりゃァ、久しぶりの大戦争になるなァ」
古い知人の顔を思い出しダイナーは酒を呷った。
白ひげ海賊団2番隊隊長、ポートガス・D・エース。
"火拳のエース"の名で知られる男は先日海軍に囚われた
白ひげ海賊団にて絶対の禁忌とされる『仲間殺し』を行ったマーシャル・D・ティーチを制裁すべく追跡したエースは、バナロ島でのティーチとの戦闘の末敗れ、海軍へと引き渡された。
監獄に投獄されて直ぐに処刑が決定し、その知らせは世界中に駆け巡った。
当然、息子の処刑の知らせを白ひげが知らぬ訳もなく、又、息子の処刑を絶対に許す訳もない。
海賊王亡き後、最も"
「……白ひげ。お前の死に場所はそこになるのか?」
かつての白ひげは強かった。海賊王ゴール・D・ロジャーと鎬を削っていたあの頃は正に強さの権化だっただろう。
今よりも凶悪、強靭な海賊達が多かったあの時代においても頂点に位置していた男だが、やはり老いには勝てず、今ではあの頃とは比べようもない。
今回の戦争、白ひげの勝ちの目はかなり低いだろう。
海軍、そして王下七武海が相手では、老いた白ひげではエースの救出は難しかろう。
「時代が進む時が来た。約束の男が現れるのはいつになるか」
その時、酒場の入り口の扉を乱雑に蹴り開け、複数の男達が入ってきた。
体中に刺青を入れた禿頭の大男とその後ろで下品に笑う男達は、客がいるテーブルを蹴り飛ばしながらカウンターまでやって来る。
「おい、マスター。命が惜しけりゃ酒を全て寄越せ。あァ、今客どもが飲んでるのはいらねェぞ?」
リーダーと思われる禿頭の大男がそう言うと、後ろの男達は耳障りの悪い笑い声を上げる。
「なぁ、兄ちゃん。いいヤツ飲んでんじゃねぇか。おれにも飲ませてくれよ」
ダイナーの前に置かれている上等なダークラムの酒瓶を見た男は、ダイナーの肩に腕を回して笑う。
「あいつ、懸賞金9600万ベリーの"血墨のグール"だ! 殺した相手の血を混ぜた塗料で相手の名前を体に入れる、って噂の……」
「なんだよ、おれも有名になったもんだな! 昨日まで海軍大将が来てたっていうから、大将の名前を彫れるって楽しみにしてたが仕方ねぇ。それは新世界に取っておくぜェ」
「──おい。いつまで手ェ置いてるつもりだァ?」
心の芯から凍えるような低い声が周囲に響いた。
店内の温度が数度下がったかのように錯覚する程に、男達は恐怖を覚えてしまっていた。
未だ"覇気"を知らないグール達にはこれが、極々少量出た覇王色の覇気だとは分からなかった。
「今、俺ァ機嫌悪ィんだ。さっさと失せろ、馬鹿共」
「なんだと、クソ野郎ッ!! ぶっ殺してやるッ」
「白髪頭にその面……ッ! せ、船長! そ、そいつ、"覇王"ダイナーですぜ!!!」
『は、覇王!!?』
海賊一同と他の客達もが揃って驚愕の声を上げる。
確かに、誰もが一度は見たことがある手配者の顔にそっくりだ。
端正な美貌には、苛立ちから青筋が浮き上がり、世にも恐ろしい魔性のそれだ。
「忠告はしたからなァ。自業自得だ」
その言葉の一瞬後、海賊達の頭と胴とが別たれた。
総勢三十人の頭が宙に飛び、遅れて残された胴が倒れ込む。
首からは鮮血が勢いよく吹き出し、酒場の床は血の海へと変貌する。
余りの惨状に悲鳴を上げる客達と店員。
全く動いた様子のない、カウンター席に座ったままのダイナーは酒瓶の残りを一気に呷り、席を立つ。
ダイナーから黒い武装色の覇気のエネルギーが溢れ出し、質量を持ち、十数の人型となる。
「お代だ。騒がせちまって悪かったなァ。後片付けはこいつらがやる」
多めのベリーをカウンターに置いたダイナーは、そう言うと店を後にした。
店内には呆然とする客と店員、斬首された死体が三十とそれを片付ける十数の黒い人型が残された。
覇王には誰も"触れるべからず"。
彼、彼女らはこの日、頭の固い政府が出したその意味を初めて知ることになった。
まるで災厄。手を出したら最後の、絶対に触れてはならない災い。
自然災害と同じく、過ぎ去るのを祈り待つしかないのだ。
頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?
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カイドウさん乱入上等!
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カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
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カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!