覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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最近映画の影響もあり、ワンピースの作品が増えてきて嬉しいです!
もう一度映画を見に行こうか迷っています!
また、沢山のお気に入り、ご評価、誤字のご報告、ありがとうございます!!!


第6話"地獄での宴"

 世界政府の三大機関、"インペルダウン"。

 ここは、弩級の海洋生物、"海王類"がひしめく"凪の帯"の深海に存在する「世界一の大監獄」である。

 深海という逃げ場のない環境、鉄壁とまで称される程の警備から、侵入、脱獄共に不可能の監獄と呼ばれている。

 そんな鉄壁の監獄に史上類を見ない侵入者が発生した。

 

「──さっさと開けろォ。開けねェと、この扉ぶっ壊しちまうぞ」

 

 正義の門を通る事なく上空から侵入した下手人、"覇王"ダイナーは到着早々そんな恐ろしいことを言う。

 早く開門しろ、という不可能な事を騒ぎ立てるダイナーに、警備の男達は頭を抱えてしまっていた。

 "触れるべからず"。世界政府から討伐を諦められた世界最強の男が目の前にいる。

 少しでも選択を誤れば命の保証がない状況に男達は冷や汗を流し、内一人が緊張で手が震える中、監獄署長へと電伝虫を繋げた。

 

 プルプルプルという鳴き声が鳴り、数秒後低い声が出る。

 

『どうした』

「し、署長!! 緊急事態発生です!! 正面入り口扉前に"覇王"ルイン・ダイナーが侵入しました!! 死刑囚、ポートガス・D・エースに会わせろと要求しています!!!」

「──分かっている」

 

 警備の男が緊張と焦りから早口で報告した時、一人の大男が扉を開け、現れた。

 

『マゼラン署長!!!』

 

 悪魔のような角と翼を持つ大男、インペルダウンの監獄署長、マゼラン。

 超人系悪魔の実、"ドクドクの実"を食らった"毒人間"である彼は、世界一の大監獄において、最強の看守と呼ばれている。

 そんな男が緊張に顔を引き攣らせながらダイナーへと問いかける。

 

「話は聞いていた。何故ポートガス・D・エースに会いに行く」

「処刑される知り合いと、最後の話しをしに行くだけだが」

「……ここは、世界の悪党共を閉じ込めておくための地獄の大砦。庶民の皆の安心安全のため、絶対に脱獄者を出す訳にはいかない」

 

 緊張に冷や汗をかきながら、しかし、それでも確固たる意思をもって断言する。

 

「──会うだけだ。ヘタな事をした場合、全力で足掻かせてもらう。貴様が相手でもだ……!!」

「……フッ。安心しろ。本当に話しをしに来ただけだ。お前の覚悟に免じて、何があってもここでは騒がねェ」

 

 民衆を守るため、己の責務を遂げるため、政府の厳命に逆らってまで覚悟を見せたマゼランに、ニヤリと笑うダイナー。

 いつからか、"触れるべからず"のダイナーに真っ向から覚悟を示す者はいなくなった。

 強大過ぎる力に震え上がり、己の正義を貫き通す者がいなくなった現在、マゼランが見せた覚悟は、かつての自分(・・)を思い浮かばせた。

 

「良い男だ。これからも励むといい」

 

 そう言ったダイナーは、マゼランの横を通りインペルダウン内部へと入って行く。

 この日、インペルダウンの侵入者ゼロの歴史が終わりを迎えた。

 しかし、"覇王"相手に一滴の血も流さない偉業は、未来永劫破られることはないだろう。

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

「──久しいな、エース」

 

 "インペルダウン"最下層。LEVEL6、“無限地獄”。

 伝説級の海賊や犯罪者達が数多く幽閉されている地獄の底。

 そんな地獄の最下層に一人の男が幽閉されていた。

 

「…………ダイナーさん……。何故、あんたがここに……」

 

 全身血だらけで鎖に縛られる男の名は、ポートガス・D・エース。

 白ひげ海賊団2番隊隊長。"火拳のエース"の名で知られる彼は、息も絶え絶えでダイナーに問いかける。

 

「忠告を無視して、無様にとっ捕まったバカの顔を見に来た」

 

 ニヤリと笑うダイナーに、溜息を吐いてから力なく笑うエース。

 

「……うるせェ。あんたの忠告があろうが無かろうが、おれはティーチを追っていた……」

「お前もニューゲートも頑固だな」

「……おれは白ひげの息子だ。似たんじゃねェか?」

「……ふっ。お前がそう言うなら、ニューゲートがお前の親父だわなァ」

 

 エースは白ひげを親父と慕い、白ひげもまたエースを息子と愛した。

 かつて幾度も刃を交えた仇敵の実の息子でありながら、息子と呼んでくれた白ひげは、エースにとって唯一の父親だった。

 己の血を呪い、世界最悪の父親を憎んだエースは、しかし、白ひげという親父に救われた。

 

「ーーニューゲートはお前を助けるために動くだろうよ」

「……ッ!」

 

 白ひげを海賊王にする、と常日頃口にしていたエースにとって、己の未熟さによって足を引っ張っている事に悔し気に口を噛む。

 エースもまた、白ひげなら、己を助けるために動くという事は理解していた。

 助けに来ないでくれ、という願いは、叶わないだろうという予感。

 

「俺がお前を助けるわけにはいかねェ。ニューゲートの奴にも怒られるだろうしなァ」

 

 ──だから。

 

「最後の晩餐に酒と飯をたらふく持ってきた。今、俺がいる時だけは、自由にさせてやる」

 

 そう言うと、ダイナーの後ろに控える黒い箱形が消え、そこに大量の酒と食料が現れた。

 LEVEL6の囚人達にとって長く飲んでいない酒と美味そうな料理達。

 最低限の食事と、無限の退屈によって体力を失っていた彼らにとって、喉から手が出るほど欲しいものだった。

 皆が一様に涎をダラダラと流す中、突如彼らを縛る海楼石の鎖や手錠が一斉に外れ、牢屋の鍵が開く。

 

「──お前らの分もある。今日一日は自由にしていいが、マゼランと男の約束をしたからな。明日、日が昇ったらまた縛るからなァ」

 

 その瞬間、巨大な歓声と共に全ての牢屋が開き、全囚人が酒と料理に群がる。

 エースを縛る鎖も外れ、その隣で縛られていた元七武海の一人、"海侠のジンベエ"が感嘆の声を挙げる。

 

「海楼石の鎖がこうも簡単に……! 流石は覇王か……ッ!」

「お前はタイガーのところの、ジンベエ……だったか?」

「お頭の事を知っておるのか!!?」

「あいつが冒険に出たての頃と、海賊になる少し前の、二度しか会ってねェがなァ。それよりも、お前も飲め。久しぶりの酒だろう」

「……有り難く頂こう。この恩は必ず返す……!」

 

 そう言うや、清酒の瓶を一気に呷り、久しぶりの海獣のステーキを食らう。

 エースも遅れて、ブドウ酒を呷り、海獣の骨つき肉にかぶりつく。

 極限の空腹と疲労。怪我の痛みと永遠の退屈。家族への心配。それらから一時的に解放されたエースは、涙を流しながら次々に酒を、料理を口へと運ぶ。

 

「うめェ……。うめェよ……」

 

 ダイナーが周囲を見渡せば、見知った顔が数多く集まっている。

 かつて、海賊王や白ひげと、一人で競り合っていた孤高の海賊。

 海賊王の船に乗っていた、国家戦力級とまで言われる戦闘力を持つ男。

 その他にも、元王下七武海や異常に巨大な肉体を持つ男等、伝説級の海賊達が、一心不乱に酒と飯に食いついていた。

 

「よォ、バレット。久しぶりだなァ。体は衰えてないみてェで何よりだ」

「……フン。貴様も相変わらずの化け物ぶりだな」

 

 金髪の大男、ダグラス・バレット。

 かつて海賊王の船に乗っていた最強クラスの男だ。

 樽ごと酒を飲み、肉を平らげる彼は、ダイナーを睨みつけて言葉を返す。

 

「世界最強は諦めてねェのか」

「当たり前だ。貴様を殺しておれが最強になる」

「そりゃァ、一生かかっても無理だなァ。まァ、頑張ってくれ」

「フンッ」

「あァ、そういえば。おい、バレット。そいつ、ロジャーの息子だぞ」

 

 エースを指差して何気なく言ったダイナーにバレットは呆けた。

 

「ロジャーに息子だと?」

「おれの親父は白ひげだ!!!」

 

 疑問を浮かべるバレットと、違う、と怒るエース。

 

「血筋的には間違いなく、エースはロジャーの息子だ。違うと否定しようともな」

「ほぅ。ロジャーにも息子がいたのか……」

「結局、最後までロジャーに勝てなかったからなァ。バレット」

「黙れ!!!」

「ハハハハ! お前達が並んでる姿、ロジャーが見たら何て言うだろうなァ」

 

 肉を奪い合う二人を眺めながら、お気に入りの酒を飲んで愉快に笑うダイナーは、かつての馴染みを思い出す。

 どこまでも自由で、いつも楽しそうにしていた男は、時代を確かに動かし逝った。

 新時代を作るため、意思を繋ぐために行った数々をダイナーは忘れることはないだろう。

 

 また、時代が進もうとしている。

 ──新時代が訪れる未来も近い。

 

 

 

 

 

 

 

頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?

  • カイドウさん乱入上等!
  • カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
  • カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!
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