2040年
ウルトラマンZが戦っていた時代から20年先の時代。
怪獣たちはなりをひそめ、平和になった時代。
文明は緩やかに発展していた。
ウルトラマンZが地球で姿を最後に表してから18年が経過していた。
人々は、遠く離れた橋に帰ったのだと静かに讃えた。
穏やかな日常を送っていた人類に突如として異変が起きた。
太平洋プレートを基点とする大地震。
その被害規模は震災と言っても過言ではない領域に達していた。
そして、時を同じくして北海道南方に現れた巨大遺跡、さらにそれに呼応するかのように各地に現れる小遺跡。
すべての遺跡の入り口に太陽をかたどった紋章が刻印されていたことから同一の文明と確認し、古代文字の解読の結果文明の名はアークエリスとされた。
アークエリスが浮上し、遺跡調査が開始されてから半年が経過した頃、遺跡付近で18年ぶりの怪獣を確認。
この時は地球防衛軍が撃退したが、再び怪獣出現が頻発することを予想した日本支部支部長・スズシロゲンは旧ストレイジ隊員を招集し、新規メンバー加えた新生ストレイジを編成した。
物語は新生ストレイジ発足から半年、アークエリス浮上から1年が過ぎた2041年の北海道某所から始まる。
「父さん、今度の遺跡調査俺も連れて行ってくれるの?」
そう壮年の男性に話しかけているのは、クセのある明るい茶髪の細身の少年だった。
年は19歳、少年から青年に変わりつつあるがどこか幼さを残した大きな瞳が特徴的だった。
名はアマカワ ソラ。
大学生というわけではなく、自称考古学者の卵である、
「あー、まぁな。
大学入ってないんだったら現場で実践積んで拍をつけないと、周りの人間にはじかれちゃうからなぁ。」
そういった白衣の上から腕を組むのはソラの父アマカワ イズモだった。
イズモは長めの白髪、鋭い瞳の一貫してオオカミのような風貌の、大学教授であり考古学者だった。
この二人に血の繋がりはない。
とある事情からソラを引き取ったので義理の家族であった。
ここは国立創星大学の研究室の一角であり、イズモはその責任者で、子どもの頃から手伝いに駆り出されていたソラはほとんど研究員として大学からは扱われていた。
ソラは顔を膨れさせながら
「もぅ!
あいつら人のこと色眼鏡で見るから嫌いだよ。
俺は父さんの一番弟子なのに、ソラちゃんかわいいね、お父さんのお手伝い?えらいねー。とか。
そう言うこと言ってくるから嫌なんだよ。」
「まぁまぁそう言うなって。
今度の調査はお前だけじゃなくて研究室の優秀な女の子二人も連れて行くから、そこまで変な目では見られないよ。
それに、今回は防衛軍のストレイジの方々が護衛に来てくれるからそっちの方にみんな興味がいくさ。
まぁ、来週が調査の日なんだから準備しておけよ。」
コーヒーを啜りながらソラを宥めるイズモ。
見た目は似ていないが、どこからどうみても本当の親子のような雰囲気を醸し出す二人。
しかし、運命の歯車はまわりだし、残酷なほどその時は向けて針を刻み始めていた。
一週間後、北海道南方に浮上した最大の遺跡にソラたちはきていた。
イズモが連れてきた学生はショートカットの留学生ジェシーと黒髪ロングのスズシロミソノの二人だった。
「来たのはジェシーとミソノさんだったんだ。
よろしくね。」
「はーい、ソラ!
今日も可愛いわね、食べちゃいたいわ!」
「ジェシーさん、あんまりソラくんをからかっちゃだめだよ。
ソラくん、よろしくね?」
2人とは何度も調査現場で一緒だったので気心も知れている。
その時イズモに話しかけてくる男がいた。
灰色のフライトジャケットに黒いズボン。
新生ストレイジの隊服だ。
「アマカワ教授ですね?
初めまして、本日護衛を務めさせていただくストレイジ隊員2名です。
私は隊長の
ナツカワハルキと申します。
以後お見知り置きを。
隣の女性隊員はユバマイコです。
新人ですが優秀ですのでご安心を。」
護衛とも合流したところで遺跡調査が開始された。
遺跡は奥深く、調査開始から一年が過ぎても全容解明ができていなかった。
ハルキがつぶやく。
「かなり奥深いですね。
みなさん今までよく事故もなく調査をされているものです。
ところで、アマカワ教授はアークエリス文明の第一人者と伺いましたが、失礼ですが突然浮上してきた文献もナニもない文明について第一人者と呼ばれると言うことは、この事態を予期されていたのか、それとも他の方を並べ語れないような発見をされたのでしょうか?
すみません、私どもはこう言うことは疎いもので…」
「お気になさらなくて大丈夫ですよ。
ナツカワ隊長のように、素直に疑問として聞いていただけるのはこちらとしても学者冥利に尽きると言うやつです。
逆にメディア連中は、失礼なことばかり言ってくるもので相手にしていませんがね。」
笑いながら場を和ませるイズモ。
その調子で続けていく。
「私もこの文明があるとわかっていたわけではありません。
たまたま私が研究していた伝承のルーツが、このアークエリス文明に関するもので、調べた結果に文明と符合するものが多くてそう言われているだけですよ。」
「よろしければその伝承をご教授いただきたいですね。
隊長、よろしいですか?」
ダンマリかと思いきや、自己を主張してくるユバ。
「おや、あなたのような若い女性が興味を持たれるのは嬉しいですな。
そうですね、私の研究している伝承の名は金色の翼というものです。
この北海道では古くから伝わっているものです。
簡単に言えば、大きな災いももたらすものとして語り継がれているのがこの金色の翼ということになります。
翼、と言っていますがこれが鳥なのか、天使を指しているものなのか全く分かりません。
現状わかっているのは、この金色の翼が太陽な由来する何かだと言うことと、ある文献にアークエリスの紋章がかたどられていたこと。
そして、この金色の翼は正確な名が明かされていないのです。
なんでも、伝承の一文になぜか、
その名を禁ずる。
その名を言の葉に乗せれば大いなる災が世界を覆う。
しかして真実の名を見つければその翼は輝く。
と言う摩訶不思議な内容でした。
翼が輝けば災いが起こるのかと思えばどうにも違う。
その答えのヒントが、この遺跡にあるのではないかと睨んでいます。」
そこまでイズモが話した瞬間、大きな揺れが遺跡を襲った。
「なんだこの揺れは!
ストレイジ本部、状況を知らせろ!」
『隊長!
北海道の遺跡近辺に怪獣出現です。
これまでにみたことのないタイプ、どうやら遺跡に封印されていた古代の機械獣と推察されます。』
「わかった!
直ちにキングジョーを発進させろ!
機械獣ってまさか、ギルバリスの親戚か⁈」
本部から送られてきた映像を確認するハルキ。
そこにはギルバリスに近いが、もっと鋭角なフォルムの機械の怪獣が遺跡の一部を突き破って暴れていた。
そして怪獣の足が、調査団のある付近を踏み抜く。
「やばい、落ちる!
父さん!」
ソラ、ミソノ、マイコが崩れて斜面となった床を滑り落ちていく。
「ユバ、すぐ助けに向かう!
他の人を守るんだ!」
ハルキの声を最後に視界がブラックアウトした。
「いで!」
強い衝撃で目を覚ましたソラ。
その部屋は本来光源がないはずなのにとても明るくどんな部屋なのか見渡すことができた。
畳六畳くらいのスペースの先に祭壇があり、そこに真紅の宝石が鎮座していた。
一緒に落ちてきた二人はまだ目を覚さない。
その時地響きが聞こえ、砂が天井から落ちてくる。
「やばい、さっきの怪獣が!
くそ!
こんな時に、あのウルトラマンってのがいれば!」
ソラが呟くとミソノとマイコが目を覚ます。
「ここは…また揺れてる!
怖いよソラくん!」
ソラにしがみつくミソノ、それも当然だ。
誰だってこの状況を冷静に受け止められない。
マイコは冷静に周りを確認する。
「出口が見当たらない。
位置探査で確認してもここが最深部ってことしか…
アマカワさん、ここはマッピングしてある場所ですか?」
「いいえ、この一年で調べた限りではこんな部屋スキャンでも把握がありません。
本当に隠し部屋ってことになりますね。」
さらに揺れは激しくなる。
あの怪獣が暴れれば、再び海の藻屑となる可能性だってある。
どうすれば…
その時祭壇の碑文が輝いて見えた。
「こんなところに文字が…え?
なんで古代文字のはずなのに、こんなに読めるんだ?」
ところどころ碑文が削れていて読めないが、書いてある古代文字が辞書もないのにはっきりと読めた。
「我は……をもたらす物。
歴史の……者。
我が翼を受け…者よ。
偽りを…破り、真実の名を。
我が名は…………ル?」
肝心なところが全て読めない。
だけど、この状況を打開するなにかがこの目の前の石だとしたら…
石に手を伸ばすソラ。
「ダメだよソラくん!
こう言うところのお宝は基本的に触ったら罠が発動するんだから。」
「同意します。
アマカワさん、大人しく救助を待ちましょう。」
止めようとする声が聞こえた時にはすでに石はソラの手の中にあった。
頭にいろんなことが流れ込んでくる。
これは…
気づくとソラは虹に輝く水晶の洞窟にいた。
そして目の前には、赤い祭祀服を着た、長髪の男性がいた。
「…まさかここで人に出会うとは。
少年、名を聞こう。」
「…アマカワ、ソラです。」
「ソラ…か。
運命とはなんと因果なものなのだろうな。
その名を持つものが、此度の資格者とは。
さあ、ソラ。
今お前の手にある石はお前の願いを叶える石だ。
どんな願いをも叶える代わりに、代償として守りたいものを滅ぼす。
さぁ、君はどんな願いを叶えたい?」
「守りたいものって、そんなのダメだ!」
「そうか…
しかし、あまり時間もないぞ。
お前が、翼の資格者が現れたからヤツラの残した罠が起動して名前のない機械の獣が暴れてるぞ。
さぁ、ソラ。
君はナニを望む。」
「そんなの決まってる!
みんなを守れる力が欲しい!
代償なんか払ってたまるか!」
それを聞いた男は笑い出した。
「よかろう、滅びの道を避けるための道を授けよう。
真実の名を叫べ。
名とは在り方。
誤ったものを叫べば取り返しがつかないこととなるがな。
だな、答えはお前の魂の中にある。
それでは、良き神話を。」
気づけば元の祭壇まで戻ってきていた。
どうやら石に触れた瞬間に意識を持っていかれたらしい。
二人が心配そうに見てくる。
この二人だけでも守りたいんだ、力を貸してくれ。
どうか頼む、願いを叶える石よ。
その時空の脳裏を一つの名前がよぎる。
そうか、これが碑文の中の…
「大丈夫ソラくん?」
涙目だが心配そうな目で覗きこむミソノを安心させて立ち上がる。
「大丈夫だよ、ミサノさん。
俺は呼ぶよ、二人を守るために!」
そして石に再び手を伸ばすソラ。
もし間違った名前を呼べばどうなるか…
でも、覚悟は決まった!
石に触れた瞬間スパークが起こるが気にせず掴む。
そして掴んだ石を天に掲げてありったけの力で叫ぶ。
「行くぞ!燃え上がれ、EVOL!」
地上に避難した他の調査メンバーは安全なところまで避難させられた。
ハルキは怪獣を見ながら悔しそうに呟く。
「こんなときに戦えないとは…」
しかしその瞬間遺跡の中から真紅の光が立ち上り遺跡を突き破って赤色と銀色の巨人が立ち上がった。
あれはまるで…
「…ウルトラ、マン?」
ソラは困惑していた。
赤い光に包まれたと思えば気付けば空が見える。
そして遺跡が小さい。
となると自分がでかくなったのか。
忘れかけていたが一緒に落ちた二人を安全なところへ避難させると怪獣に向き直る。
拳での攻撃は有効なようで、次第に怪獣を追い詰めていく。
この先ナニをすればいいのか感覚でわかる。
力を拳にためて渾身の力で突き出すると、怪獣のコアにあたり形状崩壊を起こした。
「やった…みんな…守れた。」
力が抜けていく感覚。
意識の飛んだソラは気づけば元の姿に戻っていた。
そこへ、どこからか歩いてきたハルキが歩み寄る。
「君があのウルトラマンだったのか、
ごめんけど、普通の生活には戻れないよ」
変身アイテム考え中ですので、興味を持っていただけたら気長に待ってください