野生のトリモンが亡命してきた・・・どうする?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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5人の帰還者であります

「では和田さんはアルさんと出会ってからは人として生活をすることができたと」

 

「はい、アル閣下の根回しと交渉のお陰で私は生きる希望を見いだし、現に日本に連れ帰って来てくれました」

 

「アルさんの性格等を教えて貰っても」

 

「はい、アル閣下は基本的に我々以外には冷淡で必要であれば味方でも普通に背後から射殺する方でしたが、日本人にだけはとても優しく愛とユーモアのある方です」

 

「二面性があると?」

 

「いや、本当は優しいのが本性で、サテラスという国柄、恐怖で支配していた国なので……優秀な指揮官は冷淡な方が多かった印象があります」

 

「上に評価されるための顔だったと」

 

「はい」

 

「なるほど……」

 

「……アル閣下はどうなるのでしょうか」

 

「どうとは?」

 

「アル閣下は近界民なので玄界には恨まれていると思っているので……殺されるかもしれないと仰っていましたので……どうか助命してはくれませんか」

 

「一応日本人を救助してくれたこと、未知のトリガー、ブラックトリガーを含めて提出した事、航海情報と遠征艇も渡しているので上の判断になりますが恐らく亡命を受け入れると思われます」

 

「良かった……」

 

「ご家族と連絡が取れたのでビデオ通話しますか」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

「えー、日本国民5名のDNA情報が一致したため行方不明だった和田勝美 (わだ かつみ)、武安昭(たけ やすあき)、福長康子(ふくなが やすこ)、横田賢(よこた まさる)、里見秋成(さとみ あきなり)の5名は日本国民であると断定できました。またアルこと米田節子の死亡時期と現年齢から逆算すると丁度死亡時期と合致します。肉親である子供達と孫達が居ることも突き止めています」

 

「近界民……アルの亡命ですか」

 

「衝撃度合いだとベレンコ中尉亡命事件に匹敵するぞ」

 

「鬼怒田さん古すぎませんかそれ……」

 

「実際にそうだろう、彼ら彼女らの話では近界人同士での戦争で最低250名、多ければ300名もの人を単独で殺害している。緊急脱出ができるうちではそんなに死人は出ないが、これが事実だとすればトップエース級だぞ」

 

「黒トリガーを使用してなくても200名は殺害しているところにも注目すべきですね。彼らの話だと圧倒的なトリオン量で奇襲とゲリラ戦、キルゾーンの作成と話を聞くだけでも恐るべき技量が伺えます」

 

「彼女……アルをボーダーに入れることはできないかな」

 

「唐沢君何を言って」

 

「彼女は今何を言っても受け入れる積もりだ。死すら寛容している節がある。ボーダーとして働くことになればこちらの監視もしやすく、そして我々はトップエースの経験をゆっくりと吸収することができる。ちなみに彼女のトリオン量は幾らなのかな?」

 

「まだ断定的でしかありませんが通常トリガーで70、黒トリガー装備時には150は超えるかと」

 

「「「70!?」」」

 

「本当かね寺島君」

 

「ええ、こちらとしては彼女のトリオン量があれば迎撃兵器の開発に弾みが付くので亡命受け入れてはくれませんかねぇ鬼怒田室長」

 

「ぐっ! しかし……いや、だが……」

 

「……認めようじゃないか」

 

「城戸司令」

 

「林道、迅のサイドエフェクトでも受け入れる未来の方が良いと出ているのだろ」

 

「え、あ、はい! そうです」

 

「よろしい、ならば亡命を許可する代わりに1ボーダー隊員として扱うことにしよう。国籍等の調整を頼む」

 

「「「わかりました」」」

 

 

 

 

 

 

 

 ボーダー本部の一室で拉致されていた日本人5名は事情聴取と家族との連絡を終えて夕食を食べていた

 

「お、お母さんとお父さん達に連絡が取れた……泣いて喜んでた……」

 

「福長はよく頑張ったよ。拐われた時6歳でしょ……頑張った頑張った」

 

「和田姉が居てくれたから……私生きてここに来れた……」

 

「俺も横田も里見もお袋達泣いてたもんな」

 

「老けてたなぁ母さん父さん」

 

「米が食えるのだけでもやっと日本に戻ってこれたんだって実感湧くし、本当上手いな……親子丼だよなこれって」

 

「近界だと米が無いから硬いパンにアル閣下が親子丼擬きって言って乗せてたよな……アル閣下大丈夫かな」

 

「とりあえず俺達全員アル閣下に生きて日本に帰して貰った恩しかねーし、助命願いはしたから……何とかなることを願おう」

 

「私達もこれからどうなるかね……親元に帰されるのは決定事項だとしてももう私達普通に働くのは無理だもんね……」

 

「近界生活が長すぎて最終学歴小卒じゃん。キツいって」

 

「か、帰ってこれたのは嬉しいけど……そっか……未来の事を考えると……」

 

「あー、アル閣下の下で働ければなぁ」

 

「確かに、アル閣下の下で働ければ最高だわな」

 

「和田姉さんは8年、俺達は5年アル閣下と生活してたからな……正直日本に帰れなくてもアル閣下の下だったいいやって考えてた事も有ったな」

 

「横田でもよ帰って来れたんだからこれからの事を考えないと」

 

「は、箸の使い方忘れてなくて良かった……」

 

「日本人らしくしようって箸で食べれる物は箸で食べてたもんな。パスタ擬きを箸で食うの普通奇行だよな」

 

「でもこうして覚えてたんだから米を箸で食べれるんだよな」

 

「あぁ……しっかし地球も凄くトリオン技術が進んだのかね、よくわかんないけどノートパソコンって言うの見て驚いたわ! パソコンって箱形の大きいのだったよね」

 

「小学校で使ってたのはそうでしたね」

 

「お、覚えてないや……ごめんなさい」

 

「あぁ、福長しゃぁないって、俺もわからないしさ」

 

「横田兄……」

 

 親子丼を食べながら今後の事を雑談していると女性職員が入ってきた

 

「失礼するわね、私の名前は沢村響子……皆さんの今後の事をサポートする職員よ。よろしくね!」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

「元気が有るようでよろしい! じゃあ説明するわね……まず君達はボーダーが設立して初めての近界からの帰還者に当たるわ! これはボーダーとしてもありがたい情報よ」

 

「拐われた人がまだ近界で生きている可能性があると言うことでしょうか」

 

「そう! 武君鋭いわね。ボーダーが表向き活動を開始した2年前、近界人の大規模襲撃が有った話しはされているわね」

 

「ええ、私達が拐われてからの日本や世界の動きはある程度教わりました」

 

「そこであなた達はとりあえずボーダーから複数の選択肢を提示するわね……」

 

 1つ目……ボーダーが支援して普通の生活を送る

 

 これはボーダーから金銭面と学業支援を行い数年後自立できるように促すプラン

 

 2つ目……ボーダーの非戦闘員として就職する

 

 近界での生活や技術をアドバイザー的な役割で情報を貰う代わりに職員として雇うプラン

 

 3つ目……ボーダーの戦闘員として就職する

 

 近界での戦闘経験を生かしてボーダーの一般戦闘員となり近界民から地球を守るプラン

 

 4つ目……ボーダーの広報要員として就職する

 

 近界での生活、近界とはどんなところなのかを本にしたり、講壇したりするプラン

 

「主にこの4つのプランを提示するね、近界の情報は基本ボーダーがシャットアウトしているのだけど広報部に所属することになったら言って良い情報を精査して発信して貰うわ」

 

「具体的な金額を教えて頂けますか」

 

「1つ目のプランは1人あたり年100万、指定の学校の特別学級に入って勉強して貰うわ。親御さんの近くで生活できるのがメリットかもしれないわね」

 

「2つ目と4つ目は基本200万プラス出来高となるわ。3つ目は最初の1年は支援金100万の支給後は出来高となるわ」

 

「それだと3つ目選びにくいが」

 

「最初どんな隊員でもC級という訓練生から始まるの、そこからB級になると正規隊員、A級でエリート隊員となるわ。正規隊員は出来高制、エリート隊員は基本給プラス出来高制となるわ」

 

「B級の平均月収はどれぐらいですか?」

 

「そうね……手取り10万から15万くらいかしら、A級だと最低が30万で高い人だと80貰ってるわ」

 

「なるほど……80万以上貰うことは可能ですか?」

 

「スポンサーが付かないとなんとも言えないわね……折衷案として戦闘要員をやりながら広報の仕事をすることもできるわ。その場合特別手当てが月に10万ほど出るわね……その分イベント等に出て貰うけど」

 

「戦闘要員をやりながら勉強を教えて貰うことは可能ですか?」

 

「可能よ。その場合三門市のボーダーと提携している通信制の学校に通って貰うことになるわね」

 

「通信制?」

 

「パソコンで授業を受けるの。その場合ボーダー本部があなた達の居住場所になるからボーダー本部の一室を与えるからそこで寝泊まりしながらパソコンで授業を受ける形になるわね」

 

「はいはーい! 閣下の扱いはどうなるのですか?」

 

「閣下? ……あぁ、アルさんね。アルさんは戦闘員兼ボーダーの新技術のテスター兼本部のトリオンタンクの役割をこなして貰う代わりに亡命の承諾、身分証の発行、生活スペースの確保、賃金の保証をするつもりよ」

 

「閣下と共に戦うことは可能ですか?」

 

「可能よB級隊員に上がればチームを組む事が可能よ。オペレーターを含めて5名、それ以下の数でもチームを組むことは可能よ」

 

「私、武、福長、横田、里見……うーむ」

 

「閣下ダントツだからなぁ福長、閣下を支えてやれよ」

 

「え!? でも和田姉の方が良いんじゃ……」

 

「3馬鹿制御できるの私か閣下しか居ないし、閣下と話し合って決めたいけど、福長は中長距離向きだから閣下のサポートには向いているわ。閣下トリオンの暴力と神業で中距離、短距離無敵だし、長距離に福長が居ればキルゾーンの作成がだぶんやりやすいんじゃないかな」

 

「俺ら3馬鹿だってよ! 和田も馬鹿だろうが」

 

「武! 煩いわよ!」

 

「とりあえずB級に上がってから考えような2人共、何でB級に上がれる前提なんだ?」

 

「横田の言う通りだな、とりあえず戦闘要員なのは確定として、広報をやるかやらないか」

 

「私は勿論やるわよ。近界での生活は手帳に残しているから詳しく思い出せるし、金少しでも貯めたいからね」

 

「最年長だし俺参加」

 

「わ、私は……技術職って有りますか?」

 

「技術職ですか? 有りますが興味有るのですか?」

 

「戦闘員やりながらトリガー弄れたらなぁって……駄目でしょうか」

 

「いやいや、歓迎しますよ」

 

「横田どうする?」

 

「里見は?」

 

「チームで動くなら入った方が得だろな。上の2人やる気だし」

 

「はぁ、俺苦手なんだよなぁ目立つの……和田さん、武さん手伝ってくださいよ」

 

「「任せろ」」

 

「では皆さん戦闘要員兼広報が4人と技術職兼任が1人と報告しますね……ようこそボーダーへ! ただ親御さんに会ってから意見が変わるのもアリなので最初は親御さんに会ってから再度決めてくださいね。親御さん達は戦闘区域外で会えるようにセッティングしますので、とりあえずゆっくりと休んでください」

 

「親御と会う前に閣下とも会わせてください」

 

「わかったわ明日会えるようにするわね」

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