野生のトリモンが亡命してきた・・・どうする? 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
C級ランク戦
C級隊員同士で行う基本1対1のポイント奪取戦
ブースの中に入り、パネルを操作して対戦相手を決めると数秒後に仮想戦闘フィールドに飛ばされる
仮想戦闘フィールドは市街地の一画だったり工業地帯の一画だったり、大通り、ショッピングモールの中等様々だが、基本障害物が有るようになっているので平原の中、荒野等は無い
使用するトリガーをパネルに入力し、手をかざすと現在のポイントが読み取られ、準備完了
あとは対戦が始まるのを待つだけだ
ブースに入って準備完了すれば、こちらから対戦の申し込みをしなくても相手が希望してくることもあるので、受けなければならない
やろうと思えば格下狩りなんかが横行しそうだが、自分のポイントが高くなればなるほど格下からのポイント奪取は難しくなり、高い人に挑めばポイントをより多く奪うことができる
また対戦を終えたければブースから出れば良く、だいたい200人いるC級のうち50名程度がランク戦を行っている
約50名は支部のためあまり参加せず、約100名は観戦したり、休憩したり、仮想戦闘室で特訓したり、研究会なんてものを開いてフリーのB級にトリガーの扱い方を教わったりしている
「意識が高いようで羨ましい限りでありますなぁ……サテラスは適性があれば嫌でもやらされるから意識が低いのも居たでありますからな……志願兵と徴兵された者の違いでありますか」
ブースの中でぶつくさ言っていると申し込みが入ったので早速始まる様だ
『対戦ステージ市街地A』
「おお、一瞬で風景が変わったであります」
目の前には白い隊服を着た青年が現れ
「あー! お前仮想戦闘の近界民を過去最速タイムを出した奴じゃんか!!」
「おや、同期でありますか?」
「そうだよ畜生! バイパーなんて慣れてない奴が使うと鴨だと聞いたから挑んだのに!!」
「……まぁ本気で挑めば何とかなるかもしれないでありますよ」
「くそ! でも銃手の俺だって勝てるかもしれないから挑ましてもらうぜ!」
『C級ランク戦開始』
「いくぜ!」
ダダダダダンと突撃銃を景気良く私に放つが、私は遮蔽物に隠れる
「おいおい逃げてないで相手してくれ『トリオン漏出過多ベイルアウトします』はぁ!?」
バビューンと対戦相手の男性は緊急離脱してしまった
自分がやったことは簡単
開始前に背中に小さいトリオンキューブを生み出し、相手に見えないようにしてから、試合開始と同時に足元から地面スレスレでバイパー(小さいトリオンキューブを分割せずに1つ)を放つ
あとはは相手が銃を構えた瞬間は意識が銃にいくので背後からトリオン器官にバイパーをぶつければ漏出が始まる
そこに景気良く銃をブッバなしていればトリオン漏出が早まりベイルアウトしてしまうというわけだ
自分もブースに飛ばされて戻ると手の甲に表示されたポイントが1100から1150に上がっていた
「同格で1戦勝負だと50ポイントでありますか……B級目前の隊員と戦ってみるでありますか」
続けて10戦勝負で格上の3870ポイントのアステロイド(散弾銃)と戦ってみることにしたであります
『対戦ステージ河川敷B』
「お、見ない顔だな……今期の新人か?」
「1週間前に入隊したペーペーであります」
「お、ラッキー……それじゃあ遠慮無くポイントよこしてもらいますか」
「よろしくお願いするであります」
左に堤防、右に川、下が砂利になっているフィールドでとりあえず自分はバイパーなので弾道線を既に描き始める
『C級ランク戦開始』
「おらよっと!」
いきなり距離を詰めてショットガンで攻撃してくるが、自分は斜め後ろに飛んで初撃を回避する
当たりそうな弾はバイパーで相殺し、大量に分割して小さなトリオンキューブを設置しておく
ショットガンとバイパーが当たると煙が出て視界が見えなくなるので置き弾が砂利に隠れてわかりづらくなる
散弾銃なので距離を詰めようと煙の中を突っ込んできたので足元の置き弾を起動し、下から多数の小さいトリオンキューブが相手の体を貫通する
動きが鈍った瞬間にバイパーで全身蜂の巣にしてベイルアウト
2戦闘は警戒して距離を詰めてこないので全方位バイパーで防御不可能にして勝利
3.4.5.6戦は全方位バイパーを警戒して川に飛び込んで逃れようとしたが、川にトリオンキューブを流すことで勝手に命中してベイルアウト
7.8.9.10戦は自棄を起こして特攻してきたのを軽くあしらい、10-0で勝利することができた
「ふぅ、ポイントは?」
1485となっていたので335ポイント獲得したことになる
「約2500ポイント高い相手だとこれぐらい奪えるのでありますなぁ……これは格上狩りをした方が特と考えるでありますか」
それに10戦ストレート勝利すれば高いポイントを獲得できるためマッチングの時間もかみすれば10戦した方が時間短縮になるのもわかったため格上狩りを始めた
「鯉沼、今ランク戦やらない方が良いぞ」
「秦なんでだ?」
「新人6名が格上狩りしまくってて吉田、早川、常磐、佐藤なんかが喰われた」
「おいおい、B級目前の奴らだよな?」
「あぁ、全員が10-0で負けてるのもヤバい」
「は!? 完全勝利なんて滅多に無いのに」
「それだけ実力差があるってことだよ……個人ランク戦は観戦できないから又聞きになるが、バイパー使いは走り回りながら弾道線を描き続けれる変態らしいぞ」
「おいおい、流石に冗談だろ。バイパーの弾道線って描くの滅茶苦茶難しいからな。それを走りながらなんて当たらないだろ」
「それが殆ど当たるらしいぞ。C級はシールドが無いから全方向からバイパーぶちこまれたら防御不可能で直ぐにベイルアウトだ」
「他の奴は?」
「弧月使いが4人とスコーピオン使いが1人だったな」
「どんな戦い方をするんだ?」
「弧月使いの女は弧月を投げる」
「投げる? え? 投擲?」
「あぁ、不意を付かれて初戦は必ず負けるらしいぞ、で投擲を警戒すると普通に戦って負けて、投擲の事を意識しなくなった頃にまた投擲されて負けるらしい」
「無茶苦茶だな」
「無茶苦茶だが、投擲距離何mだと思う?」
「普通に考えれば10m位だろ弧月そこそこ重量あるし」
「60mだ」
「60!?」
「それが音もなく時速150km位で飛んでくるから油断すると持ってかれる」
「ヤバいな。遮蔽物に隠れて見失ったら最後弧月が飛んでくるってことだろ? そりゃ勝てねぇわ……名前わかったりしないか?」
「弧月使いの女は和田って言うらしい」
「和田か覚えた……ブースに行くのはやめておくよ……秦、訓練室借りて訓練しようぜ、貯めたポイント奪われるのはやだからな」
「わかった相手をしよう」
休憩がてらロビーに行くと福長が椅子に座って飲み物を飲んでいたので横に座って調子を聞く
「よ! 福長、調子はどうでありますか?」
「アル閣下、とりあえず約1500ポイントは稼ぎましたので今は約2600ポイントで、今日はこれぐらいにして早めの夕食を食堂で取ろうかと……アル閣下は?」
「約2000ポイント稼いだであります。残り約900ポイントでB級でありますな」
「流石です!」
「ただこれからはポイント稼ぐのが辛くなるとおもうでありますよ」
「それはまたどうして?」
「それは……」
そう言いかけるとブースから和田と武が出てきた
「だぁぁ! 和田に負けた」
「武甘いんだよ詰めが詰めが!」
「詰めってお前なんで弧月あの速度で正確に投げれるんだよ」
「前使ってた槍よりは投げやすい」
「くそったれ! 次は負けねぇからな和田」
「いつでも相手になるわよ……あ! 福長にアル閣下」
「この様に喰い合いが発生するであります」
「た、確かにそれだとポイントを獲得しづらくなりますね」
「和田に武は今日どれぐらいポイント稼いだでありますか?」
「私は1750ポイントですね。武は?」
「1932ポイントです。……閣下達もそれぐらいでしょ? どうせ格上狩ってたんでしょ」
「まぁ、それが一番稼ぎやすいでありますからな」
「となると喰い合いを回避するにはポイントが低めのと戦うのが良いか」
「いや、こうやって集まればどれぐらいのポイント帯に居るかわかるでありますからその地帯前後200の値を避ければ大丈夫でありますよ」
「もうここまで来ると1戦完全勝利しても100ポイントくらいしか奪えませんからね」
「……里見と横田待って食事にするでありますかな、あれ? そういえば皆はどこに住んでいるのでありますか?」
「ど、どこって本部に住んでますよ」
「なら今日は自分の部屋で宿営するでありますよ」
「え!? 良いんですか」
「夜1人だと寂しいでありますから来い来いであります! あ! 自分の部屋本当に何もないでありますからカードゲームとか有れば持ってきて欲しいであります」
「あ、俺トランプ持ってるから今日はそれやろうぜ」
「ナイス武!」
「だろ!」
「あ、閣下じゃないですか」
「あ、本当だ」
「お! 里見と横田も来たでありますな! 今日は自分の部屋で宿営であります!」
「酒飲んでもいいっすか!」
「横田お前ここだと未成年の飲酒はまずいんだよ」
「大丈夫っすよ! バレないバレない」
「あ、自分の部屋監視カメラ付いてるでありますからバレるでありますよ」
「ちぇー」
「本当横田は酒好きだな」
「武さんが買ってきてくれる麦酒とか焼酎とか本当に美味しくてヤバいっすよね日本万歳」
「大声出すな、バレたら俺もヤバいんだからな」
「へへ、サーセン」
皆が揃ったので食堂に移動して料理を頼む
「閣下一番安い定食じゃないですか!」
「働かざる者食うべからず……今はただの一般C級隊員だからね」
「それでも支援金を頂いている我々よりもランクの低い物をと考えると……」
「ボーダーは近界民に厳しいでありますから仕方がないでありますよ……渡せる情報も全て渡してしまったでありますからこの体で稼ぐしか無いでありますからな!」
「閣下……今度は私達が支えるので無理しないでください」
「無理してないでありますよ! それにこの食事でもトリオン体で食べれば栄養過多でありますからな! 医師にもう少し太るように言われているので十分なのでありますよ」
「閣下だから食事中もトリオン体なのな! ……はぁ、閣下本当に無茶しないでくださいよ。閣下に何か有れば俺達全員が悲しみますからね」
「武、嬉しいこと言うじゃないかであります」
そんなことを話していると
「お、居た居た邪魔するぜ」
と顎髭を少し生やした男性と金髪の男性、もさもさした男前が話しかけてきた
「食べながらで良いでありますかー」
「おう、邪魔してるのは俺らだからな……いやー、亡命してきた近界民がどんな奴なのか気になってな」
「おりょ? 機密なのでは?」
「A級部隊の一部には通達されてるよほら」
男前の人が肩のエンブレムを見せてきた
B級はボーダー指定のエンブレムで、A級はその部隊に特注のエンブレムが支給される
三本の刃に三日月のエンブレムからA級の部隊であることがわかる
「なるほどであります」
「あ、君達が近界から連れ帰られた日本人達だね! 俺出水公平、この顎髭の人が隊長の」
「太刀川だ。もさもさした男前のこいつが」
「烏丸京介よろしく」
「自分はアル、右から和田、福長、和田の前に居るのが武、横田、里見であります」
「よろしく」
「よ、「「よろしく」」です」
「いやーC級のランク戦、今日の分の情報がさっき公開されたから見てたが強いなお前達……やっぱり戦場を渡り歩いて来た奴らは違うな……全員今のトリガーでもマスタークラスは確実にあるな」
「里見って他に里見が居るから被るな……よし! お前は今から里みんだ」
「さ、里みんですか俺」
「だって里見……里見一馬ってのが15歳の居るんだけどそいつB級だし、経歴だと里見の方がボーダーの先輩になるからとお前可愛い顔してるからな里みん」
「よかったでありますな里みん」
「閣下弄らないでくださいよ」
「なぁどうしてアルは閣下って言われてるんだ? 気になるんだが」
「あ、俺が説明するわ」
「武ェ! お前に出きるのか?」
「うっせぇ和田!! こほん、えー、アル閣下がなぜ閣下なのかって言うと近界のサテラスっていう惑星国家の遠征隊の総司令官だったからってのと等級っていうまぁ階級制度が有ったからアル様って本来は言わなければいけなかったんだが、アル閣下が日本人の皆から様付けはなんか嫌だってって言われたので閣下って呼ぶようになったんですよ」
「えぇ! この人そんなに偉かったのに亡命したの?」
「そうよ、地球だと将軍とか中将とか言われる人が亡命した感じね」
「やば! エグ! 大丈夫なのか? その……家族とか」
「うーん、両親と旦那予定だった人とその家族は殺されたか奴隷階級に落とされたでありましょうな。あと部下を60名ほど別の近界に捨ててきたであります」
「「「……」」」
太刀川、出水、烏丸の3名絶句
若干距離を置かれてしまったようでありますが、まぁ部下捨てたり家族が殺されたかもしれないと言ってケロッとしている自分は他から見たら完全にヤバい奴でありますからな
その後簡単に近界の旅で行った国家についてや長期航海での遠征艇での生活、戦争について等を話したであります
3名と別れた後はトランプを5名と楽しんだであります