その巨大な学園は、都会のど真ん中の一等地にそびえ立っていた。
まるで・・・そこが世界の中心であるかのように・・・。
『私立希望ヶ峰学園』。
あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げる事を目的とした、政府公認の超特権的な学園・・・。
この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然・・・とまで言われている。
何百年と言う歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい・・・。
国の将来を担う“希望”を育て上げる事を目的とした、まさに、“希望の学園”と呼ぶに相応しい場所だ。
そんな学園への入学資格は二つ・・・。
“現役の高校生であること”。
“各分野において超一流であること”。
新入生の募集等は行っておらず、学園側にスカウトされた生徒のみが入学を許可される。
そんな、超が何個もつく程、超すごい学園の校門の前に・・・俺は立っていた。
・・・筈だった。
状況を説明する前にオーソドックスに自己紹介でもしておこう。
俺の名前は風切零。
見た目、成績ともに中の下。
テストの偏差値も50行くか行かないかで一喜一憂していたし、モテたことなんて一度もない。
そんな俺でも希望ヶ峰学園に入学出来るような超一流の才能が一つだけある。
『超高校級の一般人』。
【超高校級の一般人】
それが俺に当てられた才能だ。
何でもここまで特色がないのは逆に研究対象になるとか・・・。
さて、自己紹介もこれくらいにして今の状況でも説明しよう。
率直に言うと俺は誘拐された。
希望ヶ峰学園の登校日初日の事。
隣に黒塗りの車が止まったと思ったら黒ずくめの男達に車に押し込まれて薬を嗅がされ気を失った。
そして目が覚めたら何故か教室っぽい(と言うより明らかに教室なのだが)所に居た訳だ。
だんだんと頭が覚醒してきて現在の教室の様子を把握する。
先ずは窓。
そんなに気を失っていなかったのだろうか光が差し込んでいる。
窓を開いてみれば鳥の声も聞こえてくる。
次に教室には似つかわしくないカメラ。
監視でもしているのだろうか?
教室の中を調べ終えとりあえず外に出てみようと教室にのドアに手をかける。
その時だった。
後ろのロッカーからガタッ、と音が鳴る。
教室が静かなせいで余計にその音が鮮明に聞こえてくる。
恐る恐るロッカーに近付いていきゆっくりとロッカーの戸を開く。
すると中からまるでテレビでよくやるスローのリプレイのように見事な弧を描きながら女の子が倒れてきた。
「痛ァ!」
「だ、大丈夫か・・・?」
女の子はしばらく頭を押さえていると、突然俺の胸ぐらを掴んできた。
「こんのスカタン!美少女が倒れてきたんやぞ!ソフトに支えるんが男ちゃうんか?ん?」
「え!?」
少女のいきなりの言葉に困惑しながらもとりあえず少女の手を胸ぐらから離す。
「ちょ!落ち着けって!」
「落ち着けるか!お前もウチの事拐った黒づくめの仲間やろ!?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!お前も誘拐されたのか!?」
俺は女の子の肩を持ち強く揺する。
女の子も困惑しているようで先程から動きが止まっている。
「ちょ、ちょい落ち着こか・・・・。とりあえず先ずは自己紹介から始めるで。ウチの名前は堺茜。“超高校級の漫才師”や」
【超高校級の漫才師】
「俺は風切零。超高校級の一般人だ」
「一般人て・・・。才能なんか、それ?」
俺は気にしている事をつかれてショックを受ける。
確かに一般人なんて才能でも何でもない。
まだ“超高校級の幸運”の方が納得した筈だ。
「んで、ここは何処やねん?」
「俺が知るかよ・・・。今さっき目が覚めて外に出ようとしたらこれだ・・・」
「自分も今日希望ヶ峰学園の新入生やろ?」
「まぁな」
俺は再び扉に向かい取っ手に手をつける。
しかしそこで手が止まった。
ここから出れば後には戻れない。
そんな気がして・・・。
「・・・・・どないしたんや?」
「いや、何でもない・・・・」
俺は堺の声を後押しにドアを開けた。
残りの超高校級誰にしよ