勇者一行とバケツさん   作:(`・ω・´)ノ

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第14話です。
戦闘シーンを書くのはやっぱり難しいですね。



第14話 勇者ちゃんと超獣軍団

超獣軍団団長エルラパウロ、並びに副団長ネルネッカ。

2人は『賢者』が居る村、バーグ村に襲撃をかけるが、魔力を弾く壁によって村に立入ることが出来ず壁を破壊しようと企むも、勇者の従者ローウェンと賢者ニーナによって返り討ちにされ、逃走していた。

逃げる先は『魔の森』。

ニーナが住む『アートルムの大森林』の一角にある、凶悪な魔物達が集う悪魔の森である。

ニーナの魔法により浄化された森に立ち入れなくなった魔物達が生き残るために血で血を洗う争いを日夜繰り返し、流れた血で植物が育つ地獄のような環境。

強者しか住まうことの出来ない鬱蒼とした森に、ネルネッカは向かう。

ネルネッカはローウェンによる暴行で意識を失ったエルラパウロを抱えたまま森へ辿り着いた。

彼女の背には逃走中に投擲された槍が深深と突き刺さっているが、痛みに耐えながら彼女は森の中に隠した秘密兵器のところまで歩みを進める。

 

「…あった。これ、で、人類、を…滅ぼ、せる」

 

息も絶え絶えに、猟奇的な笑みを浮かべるネルネッカ。

彼女はエルラパウロを木に寄りかからせると、秘密兵器―石の祭壇に触れた。

祭壇の周囲は死に絶えた魔物達で溢れ、流れた血が祭壇に注がれている。

ネルネッカは自らの心臓を抉り出すと、爪で魔法陣を刻んだ。

口から血を流しながらも笑みを浮かべ、祭壇に心臓を捧げる。

 

「……わ、が…配下、共、よ……。敵、を…討て」

 

ネルネッカは呟く。

森に潜む数千の魔物が、ネルネッカの指示に従い森の外へと飛び出した。

向かう先はバーグ村。

無数の魔物が我先にと駆けるのを眺めて、ネルネッカは笑みを浮かべる。

 

「死、を…捧、げ…よ。そ、の…命。我…に、捧…げ、よ」

 

祭壇に置かれた心臓に刻まれた魔法陣が、怪しく光り始めた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

ニーナとローウェンはネルネッカを追いかけ『魔の森』に足を踏み入れようとしてー止めた。

ローウェンは顔を顰め、ニーナは心底嫌そうに苦い顔をしている。

 

「―――ねぇ、感じる?」

「ああ。100…いや、1000以上だな。魔力の臭いだ。しかも奥から別の強い魔力の臭いがする」

「驚いた。臭いでそこまでわかるのね。ネルネッカの配下の魔物よ。大した強さじゃないけど…数がとんでもないわね。1000…3000…5000くらいかしら?しかもこいつら、村を狙ってるわね。戻るわよ」

「ああ。……とりあえず一喝するから、先に行っててくれ」

「一喝?まあいいけど」

 

ニーナは一刻も早く村に戻るために空を駆けた。

ニーナが離れたのを確認すると、ローウェンは大きく息を吸い込む。

 

「カァッ!!!!」

 

咆哮。

ローウェンから放たれたそれは離れたバーグ村にも届き、ローウェンの声が聞こえたノエル、ユイ、ギギの3人は彼の身に何かが起きたのだと察し急いで村の外へ向かう程だった。

それを間近で受けた魔物達は、咆哮により生じた衝撃に吹き飛ばされ宙を舞う。

最前線の数百もの魔物を吹き飛ばしたローウェンは、魔物達が戻ってくる前に急いで村へ向かった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「アンタねぇ…。私がいること忘れたの?」

「いやぁ……。すまん」

「ったく、まだ耳がキンキンしてるわよ。どんな肺活量してんのよアンタ」

「ドラゴンと張り合ったことあるって言ったら信じるか?」

「信じたくないわね…」

 

森を出たローウェンとニーナ。

2人は村を覆う障壁の前で、魔物を待ち構えていた。

魔物達は体が魔力でできているため、ニーナが張ったこの障壁を突破できない。

しかし障壁はエルラパウロの攻撃によって所々ひび割れており、3000を超える魔物の群れに襲われれば障壁が崩れる可能性もあった。

障壁が崩れれば、後に起こるのは魔物たちによる惨殺である。

村人達は抵抗する間もなく貪られ、村は壊滅するだろう。

それだけは避けねばならない。

ニーナは杖を、ローウェンは斧を構え、森に目を凝らした。

 

「―ローウェンさん!」

「うぉッ!?びっくりした…」

「あ、すみません…」

 

背後からかけられた声に2人は飛び上がる。

振り向くと、息を切らしたノエルと余裕そうなユイ、ギギの3人の姿があった。

 

「ローウェンさんの大声が聞こえて…」

「ローウェン、大丈夫?」

「ローウェンさん、賢者様ご無事ですか!?」

「ああ、俺たちは無事だ。ただ―――」

 

ローウェンは3人に、エルラパウロとネルネッカとの戦闘や森を駆ける大量の魔物のことを伝えた。

ユイは状況が判断できず首を傾げ、理解出来たノエルとギギが顔を蒼白に染める。

 

「5000を超える魔物…し、しかも村を………。そ、村長にお伝えしなくては……」

「落ち着けギギ。魔物はあくまで前哨戦だ。俺一人でも事足りる。問題は―」

「―森の奥から感じる強い魔力、ですよね?」

「ええ、その通りよ。エルラパウロとは比べ物にならない程の濃密な魔力。ローウェンが取ってきたネルネッカの心臓の刻印から、生贄を用いた召喚魔法ってことは分かるんだけど…」

「…?ニーナ、それ貸して」

「え?心臓?」

「貸して」

「いいけど…」

 

ユイはネルネッカの心臓を受け取ると、臭いを嗅いだ。

顔を顰め、空へ向かって投球する。

心臓はみるみる遠ざかり、見えなくなった。

 

「―なぁにやってんのこのおバカ!?」

「ユイちゃん何してるの!?」

「あうあうあうあうあう」

 

ニーナとノエルに揺さぶられ、ユイは情けない悲鳴をあげる。

流石に止めると、解放されたユイはふらふらと頭を揺らし、立ってられないのか尻もちを着いた。

 

「んで、なんで投げたんだユイ」

「まだくらくらする…。あれ、もう使えない」

「使えない?どういうことだ?」

「魔力を吸って溜め込んでた」

「…?どういうことですか?ユイさん」

「ユイちゃん、どういうこと?」

「ローウェン。あれ、誰の?」

「ネルネッカのだ。3つある心臓のうちの一つを抉った」

「魔物?」

「ああ。魔王軍が一派、超獣軍団の副団長だ」

「でも、あれ魔物の臭いしなかった」

「え、魔物の心臓なのに臭いがないの?」

「うん。あれ、葉っぱとか空の臭いしかしなかった。でも、魔力を吸って溜め込んでた」

「……なぁ、ニーナ。1発心臓に向かって魔法を撃ってくれ」

「いいけど…目視できないし、多分当たらないわよ?」

「構わない。出来れば、広範囲を狙う感じで頼む」

「広範囲…。ああ、そういう事ね」

 

ニーナは「任せなさい!」と胸を張ると、詠唱を始めた。

 

「『炎よ。厚き壁となりて我等を守り給え』―んでもって、『炎よ。剣となりて我に仇なす敵を討て』。こんな感じかしら?」

「完璧だ。ありがとう」

 

杖の先から炎が溢れ、5人を守るように分厚い壁となった。

さらに杖から生まれた炎が巨大な剣と化し、心臓へ放たれる。

ニーナが放った炎の剣は、ユイが投げた心臓へと一直線に向かい―直後、大爆発が起こった。

爆風は村を覆う障壁にヒビを入れ、ノエル達を襲おうとして、ニーナが張っていた炎の壁により防がれた。

 

「……やっぱりね」

「助かった。ノエル、ユイ、ギギ、無事か?」

「は、はい」

「だいじょぶ」

「な、なんとか…。賢者さま、どういうことですか?なんで心臓に魔法を撃ったら爆発したのか全く分からないんですが…」

「ローウェン、説明お願い」

「任された。ざっくり言うと、あれは空気中の魔力を溜め込み、強い魔力に反応して爆発する爆弾になってやがった」

「ば、爆弾…ってなんですか?」

「あ、そうだよな。えっと…簡単に言うと強い衝撃や熱を与えることで周囲を巻き込んで爆発する武器だ。1000年前、先代賢者さまが空気中の魔力を取り込んで爆発する魔物から着想を得て作った武器だな。しかしまさか、自分の心臓を爆弾にするとは思いもしなかった。しかも魔力に反応して爆発するものとは、恐れ入ったな」

「つ、つまりあれを持ったまま魔法を使うと―」

「ドカン、だな。俺と…魔力を断てるノエルならなんとかなるが、ユイとニーナ、ギギは即死だな。肉片も残らんだろう」

「ヒェッ」

「ローウェン。私も耐えれる」

「私も爆弾って気づけたら大丈夫よ」

「そうか。まあ、とりあえずギギは無理だ。だから投げたんだろう?」

「うん。あのままだと危ない。だから投げた」

「ユイさんはその…爆弾?になってることに気づいていたんですか?」

「全然。でも危なそうだから投げた」

「な、なるほど…」

 

野生の本能とも言うべきユイの勘によって命を救われたギギはほっと息をつくと、ポケットから羊皮紙とペンを取り出し村長宛に魔物の報告を書き記すと笛を取りだし吹いた。

少し待つと小鳥が現れ、ギギの肩に止まった。

ギギは小鳥の足に丸めた羊皮紙を括りつけ、木の実を与えると「村長へ」と鳥を飛ばした。

鳥は村の方へ飛び去っていく。

 

「へぇ、伝令鳥か」

「はい。村で5羽ほど飼っています。村長へ魔物の報告をさせていただきました。ローウェンさんと勇者様、ユイ様、賢者様が対応してくださるため問題ないとも」

「ありがとう、助かる」

 

ギギは照れくさくなり顔を逸らし―森に何かがいるのに気がついた。

 

「て、てて…敵影ッ!?」

「―ッ!ギギ、槍貸せ!」

「は、はい!」

 

ローウェンはギギから槍を借りると、そのまま森に潜む何かに放った。

槍は風圧で周囲の木々をなぎ倒し、隠れていた魔物を消し飛ばす。

森に潜んでいた魔物は槍に貫かれ爆散した。

その音を皮切りに、森から次々に魔物が飛び出してくる。

 

「クッソ、なんで気付けなかった!?」

「アンタが悪いわけじゃないわ!ギギ、よく見つけたわね!」

「たまたまです!」

「ギギ!武器はまだあるか!?」

「あ、あります!槍が2本と剣が1本!」

「いっぱいあるな!よし!ユイを守ってくれ!ニーナ!危ないから後ろにいてくれ!」

「わ、わかりました!」

「ん、わかった。後ろで応援する」

「私も下がるわ。後ろで魔法を撃ちまくるから、巻き込まれないようにしなさい」

「助かる!ノエル、前に言った約束覚えてるか!?」

「た、戦い方を教えてくれるって約束ですよね!?」

「そうだ!教えるから、見て学べ!そして出来そうだったらやってみろ!」

「はい!」

 

ローウェンはノエルとギギの後ろにニーナとユイが下がったのを確認すると、飛びかかってきた狼型の魔物―ブラッドウルフを叩き斬った。

 

「―オオォォォァアアアアアアア!!」

 

咆哮。

ニーナに怒られたため先程よりも声を落としたが、それでも効果は抜群。

ローウェンの殺意と敵意に晒された魔物たちは、周りには目もくれずローウェンを狙う。

ローウェンは斧を振り回し、襲い来る魔物の群れと真っ向から戦い始めた。

ニードルツリーを両断し魔物が集う箇所へ蹴り飛ばし、背後から襲いかかる犬型の魔物―エッジドッグの頭部を裏拳で砕く。

ニードルツリーの棘に貫かれ、鼠型の魔物―マッドラットが悲鳴をあげた。

狼型の魔物―ブラッドウルフが咆哮し、ローウェンに飛びかかる。

ローウェンは縦に両断すると、ブラッドウルフの背後からタックルボアが突進してきた。

 

「ヌゥッ!?」

「ローウェンさん!」

「―ッラァ!」

 

突進を受け止めたローウェンは、両腕でタックルボアの顎を跳ね上げる。

ローウェンに吹き飛ばされたタックルボアは、腹部をローウェンの後方より飛来した氷の槍で貫かれた。

 

「助かった!」

「どういたしまして。援護するわよ」

「ローウェン。ジャンプ」

「応!」

 

ローウェンはユイに言われた通り飛び上がる。

瞬間、地面が凍りついた。

足が氷付けられ、動けなくなった魔物たち。

そこに、黒い光の玉が飛来した。

 

「いけー」

 

白い光球は凍りついた大地に触れた瞬間、爆発する。

ネルネッカの心臓から着想を得たユイのオリジナル魔法は、森ごと魔物を吹き飛ばした。

 

「やった」

「ユイこのおバカ!森を傷つけちゃダメでしょうが!」

「なんで?」

「私も村のみんなもあの森がないと困るからよ!」

「ごめんなさい」

「ユイ、助かった!次は森を巻き込まないように頼む!」

「わかった」

 

ローウェンは再び咆哮し爆発で混乱する魔物たちのヘイトを集めると、斧を構え戦った。

タックルボアを切り捨て、マーダーラビットを殴り飛ばし、ニードルツリーをへし折ってエッジドッグを蹴り殺す。

一対多の戦闘を、ローウェンは着実に立ち回っていた。

 

「ノエル!俺の戦い方が分かるか!?」

「ごめんなさい分かりません!」

「そりゃそうよ、レベルが違いすぎるもの」

「そうか!剣じゃないと分かりにくいよな!」

「はい!お願いしていいですか!?」

「違うそこじゃない」

「―ヌゥン!カァッ!!なんか言ったかニーナ!聞こえなくてな!」

「…なんでもないわよ」

 

斧を投げ飛ばして魔物の群れを吹き飛ばした一瞬で抜剣し、再び襲い来る魔物を斬り捨てる。

 

「―こういう感じだ!分かったか!?」

「分かるわけないでしょ……」

「はい!!」

「嘘でしょ本当にわかったの!?」

「―ヤッ!セイッ!こうですね!」

「ムンッ!ハァッ!そうだ!いい感じだぞ!」

「……なんでできるのよ」

 

ローウェンの戦いぶりを見て学び、ノエルも魔物退治に参加した。

見事にローウェンの戦い方を再現し、さらに小柄な自分の体に合うように肘の折り方やステップなどを工夫し、見事に魔物を仕留めて行く。

敵の位置を考え味方の邪魔をしないように気を配りながら戦うその姿は、とてもつい先日まで戦ったことがないとは思えないほどだった。

ニーナはノエルの剣の才にドン引きしながらも、2人がピンチにならないよう魔物の足止めや弱体化を行う。

ユイも魔物を魔法で攻撃して足止めやトドメをさし、ギギはローウェンが討ち漏らした魔物を狩っていた。

 

「ユイ!頼む!」

「任せて―えい」

 

ユイは両手に魔力を集め、地面へ解き放つ。

地中に放たれた魔力が爆発し、大地が割れた。

魔物たちが地面に飲まれ、消えていく。

ユイは再び両手に魔力を集め、上空に放った。

空中で魔力が爆発し、割れた地面を圧迫して無理やり塞いだ。

 

「あっぶな!?アンタ私たちまで殺す気!?」

「ごめんなさい」

「後でお説教ね!ローウェン、アンタもよ!」

「俺もか!?」

「指示出したんだから当然でしょ!」

 

爆発に仲間が巻き込まれないよう瞬時に魔力の壁を作ったニーナから怒られ、ローウェンとユイは肩を落とす。

 

「ま、まあ魔物をまとめて退治出来ましたし!2人とも流石です!」

「ギギ、いい人」

「お前良い奴だなぁ!」

「ありがとうございます!」

 

ギギのフォローに気合いを入れ直した2人は、再び魔物を薙ぎ払った。

ギギは憧れのローウェンと共に戦い、しかも褒めて貰えたことに喜びながらもローウェンが討ち漏らした魔物を屠っていく。

 

「セェァアア!!」

 

三連。

目にも止まらぬ早さで槍を突き魔物を穿つ。

ギギは足元をちょろちょろとするマッドラット3匹を貫くと、蛇型の魔物―プリッツスネークの首を刎ね、黒い蜘蛛型の魔物―ダークスパイダーを断つ。

ギギは息を吐くと、背後から影がさしたため咄嗟に頭をかばい横に転がった。

顔を上げると、二足歩行のワニのような魔物―アーマーダイルが迫っていた。

アーマーダイルは棍棒を振り上げ、ギギに迫る。

 

「―大丈夫ですか!?」

 

一閃。

鱗が非常に硬く刃が通らないはずのアーマーダイルを両断し、ノエルはギギに声をかける。

 

「だ、大丈夫です。ありがとうございます」

「良かった!」

 

ノエルはそう言い残すと別の魔物を一太刀で切り捨てた。

返す刀でもう一匹、追加でもう一匹、最後にもう一匹、おまけでさらに一匹。

一瞬で五匹の魔物を斬ると、ノエルはさらに別の魔物に刃を向ける。

少し離れたところでは、ローウェンが一振りで百の魔物を屠っているのが見えた。

 

「ボクも頑張らないと!」

 

ノエルは気合いを入れると、魔物を斬るのだった。





ご覧頂きありがとうございます。
感想、ご意見いただけると嬉しいです。

作品の路線を見失ったため、書き直してもよろしいでしょうか。

  • いいよ!(ほのぼの系に書き直し)
  • ダメです(R-15のまま続行)
  • えぐめマシマシで(R-18Gへ路線変更)
  • 別作品としてほのぼのを書けば?
  • 別作品としてR-18Gを書いて♡
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