勇者一行とバケツさん   作:(`・ω・´)ノ

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…スッー

遅 く な っ て す み ま せ ん で し た



なかなか時間がとれず、内容もペラッペラですが、楽しんでいってください。


第15話 勇者ちゃんと『覚醒』

6000もの魔物と戦い続ける一行。

周囲に死体の山を築き始めて早10分は経とうとしていた。

 

「ユイ!ニーナ!ギギ!大丈夫か!?」

「ヤァッ!ッ!?はぁッ…はぁッ……。大丈夫です!」

「よゆー」

「『凍れ』!数が多いわね……。ちょっと疲れてきたわ」

「ハァ…ハァ……。だ、だい、じょうぶ、です………」

「無理はするな!よく戦ってくれたな!ギギ!下がって休んでいろ!ノエル、ユイ、ニーナ!すまんがもう少し頑張ってくれ!」

「あ、ありが、とう。ご、ござい、ます……」

「も、もちろんです!ッと、あっぶな…」

「はーい」

「『大地よ、槍になれ』!こんだけ多いと詠唱に時間掛けれないのが困るわね…」

 

ギギがふらふらと村の障壁内に入るのを確認して、ローウェンは剣から持ち替えた斧を握る手に力を込める。

 

「セェァアア!!」

 

アーマーダイルを力任せに叩き斬り、そのまま近くの魔物も斬り捨てる。

勢いよく振るった斧はアーマーダイルの後方にいた魔物たちもまとめて斬り裂いたが、すぐに別の魔物が現れ休む間もなくローウェンは斧を振るった。

 

(クソっ…!)

 

心の中で毒づく。

魔物はあまりにも多く、後方のニーナやユイは魔力を使い過ぎ、ノエルは戦い方を知ったばかりだと言うのに前線に立たされ続け、もうふらふらだ。

ノエルを支えているのは『仲間を守る』という強い意思のみ。

握力がなくなっているのか剣がすっぽ抜けることも何度もあり、背後からの攻撃に気づかず危ない場面もあった。

ニーナとユイの援護もノエルに付きっきりで、今のところ何とかなっているがもう全員限界で、あまり長くは持ちそうになかった。

 

(どうする…)

 

策は…ないことは無い。

しかしその策は森ごと斬ってしまうため、村への被害が大きすぎる。

どうすればいいか。

時間さえかければ、ローウェン一人で魔物を全て斬ることも可能ではある。

しかし森の奥から感じる強い魔力がいつ動き出すかわからないため、時間をかけたくなかった。

 

「ローウェンさん」

 

顔を上げる。

いつの間にかノエルが隣に来ていた。

ノエルの背後に迫っていた魔物を一太刀のもとに切り捨て、会話を続ける。

 

「ノエル?どうしたんだ」

「いい作戦を思いつきました」

「作戦?」

「はい。上手く行けば一撃で魔物を全滅させられます。…手伝ってくれますか?」

 

ノエルはニッと笑った。

ローウェンはノエルの笑みにつられて、思わず笑う。

 

「俺は何をすればいい?」

「ローウェンさん!」

「俺もこの数は困っていてな。1人で狩り尽くせないことは無いが、時間がかかるんだ。一発で終わるならそっちの方がいい。作戦を教えてくれ」

「はい!」

 

ノエルとローウェンは魔物と戦いながら、作戦を話し合った。

ノエルは真剣に、ローウェンは時折笑いながら、作戦を練っていく。

ノエルの作戦は穴も多く、上手く行けば…といったあやふやなところも多かったが、ローウェンからして見ても面白いものだった。

 

「その作戦で行くぞ。俺が抑えておくから、ユイとニーナにも作戦を伝えてくれ」

「はい!作戦名『魔物狩り尽くし大作戦』、決行です!」

「名前も決めていたのか……」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

ローウェンは斧を振るう。

己が身より溢れ出る闘気を込めて、全力で横に薙ぐ。

 

「ウォォオオアアア!!」

 

一閃。

空気をも押し斬り、木々を断ち切りながら闘気が飛ぶ。

目の前に並ぶ魔物たちをぶった斬り、一振りにて100を超える魔物を亡き者にした。

しかし魔物は後から後から現れ、斧を振りきって隙だらけのローウェンに襲いかかる。

 

「ユイ、行くわよ!」

「せーの」

「「『凍れ』!」」

 

ローウェンに襲いかかった魔物たちは、ニーナとユイの魔法により凍りついた。

ユイが覚えられないためわずか一小節だけだが、詠唱をすることにより火力の増した魔法が周囲一面を氷漬けにする。

 

「最後にボクが―紋章よ!力を貸して!!」

 

凍りついて身動きが取れない魔物たち。

彼らが目にしたのは、煌々と白く輝く『勇者』の紋章。

ノエルの握る剣は紋章と同じく光り輝き、破魔の力が渦巻く。

 

「―ヤァァアアア!!」

 

一閃。

振り抜いた剣から放たれた破魔の力は、魔物の体を構成する魔力のみを消し飛ばし、消滅させる。

森の木々には一切傷をつけず、魔物のみを消し飛ばす浄化の光。

光が収まった後、魔物は死体すら残ることなく消滅していた。

剣を振り抜いた姿勢のまま、ノエルはふらりと体を揺らし地面に倒れ込む。

そんなノエルを支えたのは、ローウェンだった。

 

「すごいなノエル!よくやった!」

「ローウェンさん…。魔物と戦っている時に、できるって教えてくれたんです」

「教えてくれたって…誰が?」

「紋章が……」

「紋章が?そんな話は聞いたことがないが…」

「『覚醒』よ」

「ニーナ?『覚醒』ってアレか?先代勇者様が魔王と戦った際に起きた力の解放のこと」

「ええ。眠っていた紋章の力が解放されるアレよ」

「しかし、『覚醒』は一回だけだろ?文献にも一度しか解放しているところは載っていなかったぞ」

「3回できるわよ。基本的には最後の解放を『覚醒』って呼んでるけどね。紋章に目覚めた時が一回目で、強大な敵と戦うときとか現状を変える時に2回覚醒するの。特に最後の覚醒は強烈だから、『覚醒=三回目』みたいに伝わってるけどね」

「ということは、ノエルの『覚醒』は…紋章に目覚めた時じゃないから二回目…か?」

「た、多分1回目です」

「でしょうね」

「しかし、紋章はもう刻まれていただろ?」

「ほら、見てください」

 

ノエルは右手の甲を見せる。

そこに刻まれた『勇者』の紋章は、柔らかな白い光を放っていた。

 

「紋章が、光っている」

「はい。多分、これが『覚醒』したっていう証拠なんだと思います。心の中で、声がしたんです。沢山の人の声で、『勇者』の力の使い方を教える声が。そしたら怪我も治って元気になって、力の使い方も分かりました」

「紋章が刻まれただけで、目覚めてはいなかったのか…。だから、光っていなかった」

「本来なら刻まれた時に女神に使い方を教えて貰えるんだけどね。面倒だからって紋章に眠る先代たちに教えるよう指示したんでしょ」

「はい、そうみたいです」

 

ノエルは苦笑した。

 

「そ、そうなのか…。とりあえず、ノエルのおかげで雑魚は片付いたな」

「ええ、残るは森の奥の強い魔力だけ」

「…魔力、大きくなってないですか?」

「大きくなってる」

「え、そうなんですか?」

「ああ。ギギは魔力がないから分からないだろうが…凄いな。さっきの雑魚どもを全部足しても足りないくらい莫大な魔力だ」

「そ、そんな……」

「だ、大丈夫です!頑張ります!」

「直ぐに戻るから、お茶でも飲んでゆっくりしてなさい」

「ギギ、村長に伝えてきてくれ。『魔物は勇者一行が討伐したから、安心していい』ってな」

「私たち、勝つよ」

「りょ、了解しました!勇者様、賢者様、ユイ様、ローウェン様!皆様の勝利を願います!」

「任せてください!」

「ああ、任せろ」

「当たり前よ。ゆっくり待ってなさい」

「うん。勝つ」

 

ギギが走るのを見届けて、ノエルは強い魔力を感じる方へ顔を向けた。

 

「…やっぱり、ちょっとずつ魔力が大きくなってますね」

「ああ。早いうちに斃した方がいいな」

「ええ。とっとと行くわよ」

「ユイは俺の肩に乗りな」

「うん。よいしょ」

「よし、準備万端。とっとと行くか」

「はい。―行きます!」

 

一行は強い魔力のもとへ走りだした。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

ネルネッカは焦燥していた。

祭壇を起動させる魔力が足りない。

祭壇に捧げていた魔物たちの魔力では足りないことは最初からわかっていた。

だからこそ、勇者達に魔物を嗾けたのである。

魔物が勇者様を倒せばよし、倒せなくても、死した魔物たちの魔力を捧げることで祭壇を起動できる…はずだった。

起動しない理由はノエルにある。

勇者の力により魔物が持つ魔力が消滅したため、祭壇に魔力を捧げられなかったのだ。

しかしそれを知らないネルネッカは何故だと原因を考えながらも、近づいてくる勇者達への対処を考えていた。

どうすればいい。

ひとつ、手はある。

ネルネッカの体を捧げるのだ。

百年以上生きたネルネッカの肉体には、膨大な魔力が蓄積されている。

我が身を使えば、ノエルによって消された魔力を補って余りある膨大な魔力により祭壇を起動させることなど容易いだろう。

しかしそれは、自分の消滅を意味している。

祭壇は捧げられた供物に宿る魔力を際限なく吸収する。

自らの肉体を祭壇に捧げたのならば、魔力の全てを吸い取られるだろう。

魔力を失えば魔物は死ぬ。

故に、祭壇に捧げられることは死を意味するのである。

ネルネッカは木陰にいるエルラパウロをちらりと見た。

エルラパウロは今も尚意識を失ったままだ。

このまままともに戦えば、意識を失っているエルラパウロはもちろん、満身創痍な自分も呆気なく敗北するだろう。

しかし自らを祭壇に捧げれば、祭壇に封じられた凶悪な魔物―ギルタブリルが目覚め、勇者を蹴散らしエルラパウロを勝利へと導いてくれるはず。

この人に勝利を捧げられるのならば、命など惜しくはない。

 

「……エル、ラ…パウ、ロ、様、に……え、栄光、を……!」

 

ネルネッカは震える声で叫ぶと、自らの爪で胸を貫き2つの心臓を引き摺りだし祭壇へ捧げた。

あまりの激痛に身悶えしながら、奪われたもう1つの心臓の代わりに、魔力を生成する臓器であり魔物の証である魔晶を2つの心臓の真ん中に置く。

血を吐き胸から血を流しながら、ネルネッカは嗤う。

 

「……『古き王が十一の子よ、血の契約に従い我が下へ集え』!」

 

祭壇に描かれた魔法陣が輝く。

召喚魔法の光だ。

魔法陣の上に、巨獣の影が現れる。

影は祭壇に捧げられた魔物達とネルネッカの血と魔力を吸い上げ、姿を顕にする。

ネルネッカは干からび木乃伊のようになりながらも、決して魔法陣から目をそらすことなく古の魔物の召喚を見ていた。

魔法陣がより一層光を増す。

眩く輝く魔法陣には、老人の顔を持ち人の腕と蠍の尾が特徴的な巨大な魔物が現れた。

それを見て、ネルネッカは満足そうに頷く。

 

「古き王の子、ギルタブリルよ……。契約、に…従い、我が、て、敵を……討…て」

 

ネルネッカはそう言い残し、力尽きた。

シュウシュウと音を立てて、ネルネッカの肉体が消滅する。

ギルタブリルはネルネッカの肉体を構成していた魔力をも余さず取り込むと、喉を鳴らした。

 

Urugurururuguu……

 

地を這うような低い声で唸りながら、ギルタブリルは己に近い魔力の臭いを辿りエルラパウロの方を向く。

エルラパウロはまだ意識を失ったままで、ギルタブリルが牙を剥き唸り声を挙げるもピクリとも動かない。

ギルタブリルはそんなエルラパウロへ興味を失ったらしく、次に濃い魔力を感じる方―ノエル達の方へ顔を向けた。

 

Uuuu……Ugarararararua!!」

 

ノエルが放つ特徴的な魔力にニーナが持つ強大な魔力、更にはユイの放つ極上の魔力の匂い。

魔力を食らう古の魔物ギルタブリルにとっては、どれも最高のご馳走だ。

しかも匂いは、どうぞ食べてくれと言わんばかりにこちらへ向かってくる。

 

GYuRUlugueaa!!」

 

ギルタブリルは歓喜の咆哮を挙げると、ノエル達のもとへ駆け出した。

 

 

 

 





ご覧いただきありがとうございました。

まだまだリアルが忙しくなかなか時間が取れませんが、ちょっとずつ書いて投稿しますので、気長にお付き合い頂けると助かります。

感想、評価など頂けると幸いです。

作品の路線を見失ったため、書き直してもよろしいでしょうか。

  • いいよ!(ほのぼの系に書き直し)
  • ダメです(R-15のまま続行)
  • えぐめマシマシで(R-18Gへ路線変更)
  • 別作品としてほのぼのを書けば?
  • 別作品としてR-18Gを書いて♡
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