勇者一行とバケツさん   作:(`・ω・´)ノ

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3話目です。
楽しんで頂けたら幸いです。


第3話 勇者ちゃんと魔物退治

武器貸し屋『魔女の唇』を出たノエル。

入口前で待っていたローウェンと共に王都を出た。

頑丈そうな壁に覆われた王都は、外から見るとまるで巨大な檻のように見える。

何かを閉じ込めているような……。

 

「よし、これで勇者っぽくなったな。マントがないのがいただけないが…」

「布の服にひのきのぼうよりはずっといいと思います」

「はは、確かに。さて、じゃあまずは剣の使い方だな。手頃な魔物を引き寄せるから、まずは戦ってみるか」

「ええ!?いきなり実践ですか!?」

「ああ。剣の振るい方とかを教えてもいいんだが…俺と勇者さまじゃあ体つきが違うからな。当然リーチやら体の使い方も変わってくる。だから、自分の体に合う動きを覚えるんだ。それができれば、剣の型や効率のいい剣の振り方なんかを教えられる」

「体に会う動き…」

「できるか?」

「やってみます」

 

ノエルの言葉に少し微笑むと、ローウェンは大きく息を吸い込んだ。

 

「耳塞いどいた方が良いぞ」

「え?あ、はい」

「オーオオォォォオオオ゛オ゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

「うっわあぁぁああ!?」

 

咆哮。

正しくそう呼ぶべき音の爆発は、ノエルを軽く吹き飛ばす程だった。

 

「おっとすまん。大丈夫か?」

「大丈夫ですけど…びっくりしました」

 

音の発生源であるローウェンは、王都の壁が震えるほどの大声を上げておきながらケロッとしていた。

ノエルはローウェンの規格外さを身をもって知った。

 

「あの、さっきのはなんですか?」

「ああ、あれは『咆哮(ハウル)』と言ってな。魔物の声を真似て、襲って来る魔物を威嚇したり誘き寄せたりするんだ」

「な、なにか能力みたいな感じですか?」

「いや?これはただの技術だ。そもそも俺は紋章がないから能力持ってないしな」

 

能力とは、女神に認められた人間だけが使うことの出来る超常現象のことを指す。

女神に認められた者には体のどこかに紋章を刻まれ、特異な能力が使えるようになる。

しかしローウェンは女神への信仰心はあるもののただの一般人であるため、紋章を刻まれることはなかった。

要するに、『咆哮』はただ敵意を込めた叫び声である。

なにかの能力かと疑われるほど大きな叫び声は、魔物を集めるのには十分すぎる代物だった。

 

「よし、集まってきたな」

「お、多くないですか!?」

「ちょっと声がデカすぎたか。まあ、少ないよりいいだろう」

「最初は少ない方が良かったですよー!」

「そうかぁ?」

「そうですよ!」

「そうかぁ」

 

ローウェンは息を着くと、借りてきた剣を鞘に収め地面に突き立てた。

そして背中に括りつけていた、獅子の装飾を持つ巨大な戦斧を引き抜く。

 

「よし、じゃあ勇者さまに何体か持ってこよう。何体がいい?」

「え、えーじゃあ…5匹くらい?」

「5匹だな、わかった。それ以外は俺が蹴散らしてくるから、ちょっと待っててくれ」

「は、はい。わかりました。……蹴散らす?あの数をですか!?」

 

ノエルは魔物の大群を指さす。

ローウェンの咆哮に呼び寄せられた魔物は、軽く1000匹は超えるだろう。

それらが一心不乱に土煙を上げながら迫るその様は、まるで悪夢のようだ。

しかしローウェンはにっこり笑うと、斧を担いだ。

 

「なぁに、こいつらは数こそあれ強くない。すぐ終わるさ」

「いやいや、流石にー」

「んじゃ、行ってくるなー」

「えぇぇええええ!?」

 

ローウェンはノエルの言葉を遮ると、魔物の群れへ突貫した。

ノエルの驚く声を聴きながら、魔物の群れへ迫る。

 

「行くぞ!!」

 

轟音、遅れて暴風。

風圧に負けてゴロゴロと地面をころがったノエルは、頭をぶつけた痛みに涙目になりながらも顔を上げた。

 

「え―」

 

先程までノエルが立っていた草原。

なだらかな大地には足首までの高さの草が生い茂り、見渡す限りそれが続いていたはずの平野。

それが、無くなっていた。

大地はひっくり返されたかのように土が露呈し、所々に魔物であっただろう肉片が転がっている。

もうもうと舞い上がる土煙に噎せながら、ノエルは本当にローウェンが紋章を持っていないのか首を傾げた。

 

「よう、大丈夫か?」

「大丈夫に見えます?」

「うん、言い返せるなら大丈夫だ」

「えぇ…」

「それより、ちょっと大変なことになってな」

「大変なこと?地形破壊よりも?」

「ああ。人類の危機かもしれん」

「人類の危機って…何があったんですか?」

 

土煙が晴れる。

惨状を引き起こした原因であるローウェンは、斧を背中にしまい、両手に何かを抱えていた。

いわゆるお姫様抱っこで運ばれてきたのは、ノエルよりも幼い少女だった。

 

「女の子?」

「ああ。……魔物を引き連れていた」

 

ローウェンは苦虫を噛み潰したような顔(ヘルムで見えないが、そんな顔をしているようにノエルは感じた)で呟いた。

 

「それって、この子が魔物を操っていたってことですか?」

「おそらくな。単に魔物に追われて逃げていただけだったらまだ良かった…いや良くはないが。まだマシだったんだがな…」

「魔物を操るってやっぱりまずいんですか?」

「いや、不味いわけじゃない。魔物使い(テイマー)っていう魔物を使役する人達もいるくらいだからな。問題は、この子がどこに行こうとしていたかってことなんだ」

「どこに行こうとしていたか、ですか?」

「ああ。俺らの後ろには何がある?」

 

ノエルは振り返ってみた。

巨大な石壁に覆われた王都がある。

王都が、ある?

 

「まさかこの子、魔物を王都に―!?」

「かもしれん。だからまずいんだ」

「で、でも!ローウェンさんの咆哮に呼ばれたとか―」

「いや、魔物達の目を見たところ、咆哮に呼ばれた時特有の焦りや恐怖心を感じられなかった。人類に対する敵意と殺意。それしかない」

「ということは―」

「ああ。この子が魔物を先導し、王都を滅ぼそうとしていたのかもしれん」

「そんな……」

「あくまで『かもしれん』ってだけだ。とにかく、詳しく話を聞かなくちゃな…」

 

ローウェンとノエルは王都へ引き返す。

出ていったかと思えば直ぐに戻ってきた2人に門番は首を傾げたが、ローウェンが斧を振るったと一言告げると大慌てで兵を集め、魔物の遺体を回収しに行った。

魔物の遺体が散らばっていると、それを食べに他の魔物が集まるからだ。

何より、魔物の遺体は加工すると良い武器になるため、重宝される。

もっとも、ローウェンはミンチと読んでも差し支えないほどバラバラにしたため、武器にできるかは怪しいところだが。

 

「ローウェンさん!王都の近くで斧振り回すのやめてくださいって言ったでしょ!咆哮も!住民からも文句出てるんですよ!」

「すまん!頑張れ」

「このバケツ頭!」

「かっこいいだろう!」

 

ドヤ顔で胸を張るローウェンに1発拳を叩き込もうとして止めた門番は、魔物回収へ走っていった。

 

「…良いんですか?」

「あいつらはあれが仕事!よし、行くぞー」

「宿…ですかね?」

「いや、下手したらこの子自身も操られている可能性があるからな。アンジェのとこだ」

「アンジェさんのところ?」

「ああ。あいつは紋章持ちでな。毒や麻痺みたいなのから弱体化まで、あらゆる異常状態を解除できるんだ」

「それって…」

「ああ。あいつは『聖女』だ。元…というか先代のだがな。今は『魔女』なんて名乗ってるが、腕は俺が知る限り最高峰だ」

「アンジェさんが…『聖女』」

 

 

ノエルは信じられなかった。

先代の『勇者』はおとぎ話になるくらい昔のことだが、実在した。

ならば、先代の『聖女』や『騎士』、『賢者』がいてもおかしくは無い。

だが、『勇者』『聖女』『騎士』『賢者』この4つの力は魔王が現れた時にしか女神から与えられないものだ。

つまり―

 

「アンジェさんって何歳ですか!?」

「さあな。本人に聞きな」

 





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  • ダメです(R-15のまま続行)
  • えぐめマシマシで(R-18Gへ路線変更)
  • 別作品としてほのぼのを書けば?
  • 別作品としてR-18Gを書いて♡
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