勇者一行とバケツさん   作:(`・ω・´)ノ

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第4話です。
楽しんでいただけたら幸いです。


第4話 勇者ちゃんと女の子

女の子を拾ったノエルとローウェン。

2人は謎の女の子の秘密を知るべく、先代『聖女』こと武器貸し屋『魔女の唇』の店主、アンジェリカ・フローレンスのもとへ向かった。

 

武器貸し屋『魔女の唇』地下1階、アンジェの生活スペースにて。

ノエルとローウェン、アンジェの3人は、謎の少女を客用のベッドに寝かせて囲むように立っていた。

ローウェンはアンジェに、少女のことを詳しく話した。

「と、言うわけだ。頼んだ」

「この子が魔物を引き連れてきたってのは分かった。で、この子をどうしたらいいんだい?」

「とりあえずは治療だな。吹き飛ばしちまったから、擦り傷まみれだ」

「まったく。外が騒がしいと思ったらお前の仕業か」

 

アンジェはベッドに寝かせられた謎の少女に片手を翳す。

アンジェの右腕が緑に光ったかと思うと、少女の腕や足に無数にあった擦り傷が一瞬でなくなった。

ノエルは何が起こったか分からず、目を見開く。

 

「おー、流石だな」

「大したもんじゃないよ。杖がないからこの程度しかできないしね」

「こ、これが『聖女』の能力…ですか?」

 

アンジェはローウェンを睨みつけた。

 

「お前…話したのかい?」

「ああ。お前が隠しておきたいのは分かるが…緊急事態だし、相手は勇者さまだからな。先代の話をしてあげて欲しいのもあって、話した」

「お前はまったく…。いいさ、別に話されたからどうってものでもないからね。まあ、言いふらしたりされると困るが…」

「い、言いません!絶対言いません!」

「ならよし。ったく、これだからローウェンは…」

「悪かったよ。緊急事態だったんだ」

「緊急事態、ねぇ…」

 

アンジェはちらりと少女を見た。

まだ意識が戻っていないようで、ピクリとも動かない。

しかしアンジェが少女の額に指を置くと、少女は大きく震え目を開けた。

 

「時間がもったいないからね。とっとと語ってもらおうか」

「え…ここは?」

「よう、嬢ちゃん。俺の名はローウェン。君の名を聞かせてくれるか?」

「ひっ!?」

 

少女はローウェンを見て、ベッド上を大きく後ずさった。

無理もない。

自分を天高く打ち上げた相手が間近にいれば、誰だって恐怖するだろう。

ましてや、その相手がバケツ状のヘルムを被っていて顔が見えなければ、なおさらである。

 

「ほらローウェン。下がってな」

「いきなり顔近づけちゃダメですよ」

「そ、そうか。すまんアンジェ、頼んだ」

 

アンジェは少女に近づくと、指を向けた。

少女は目が虚ろになり、フラフラと頭を揺らす。

 

「問う。お前が魔物を引き連れていた原因はなんだ?魔物を操っていた方法も併せて、詳しく教えろ」

「アンジェさん!?」

「まあ落ち着け。普通に聞いても答えないかもしれないから、あれがいちばん早いんだよ」

 

ノエルはアンジェがいきなり催眠をかけて聞き出そうとしたことに驚いたが、ローウェンの言葉に納得し、静かにする。

少女は頭を左右に揺らしながら、ボソボソと呟くように答え始めた。

 

「父さんが…魔物……これで………」

「これ?首に提げてる結晶のことか?」

 

少女は無言で頷く。

 

「これは……『魔結晶』か」

「知ってるのかアンジェ?」

「ああ。魔王の配下なんかが持ってる、魔物の力を高め持ち主に忠誠を誓わせる特殊な結晶さ。永い時を生きた魔物の体内で、魔物が持つ特殊な力…『魔力』が結晶化した物だよ」

「『魔結晶』か…。そんなものがあるんだな」

「何言ってんだい、お前だって持ってるよ」

「俺が?どこに?」

「背中に担いでるそのバカでかい斧だよ。獅子の目に当たる部分は、お前が倒したあの竜の魔結晶で作られてる。勇者さま、アンタなら見てわかるはずだよ」

「あ、ホントだ…なんか、禍々しい感じがします」

「わからんな…ただの紫色の鉱石にしか見えん」

「魔力を感知できないやつにとってはそんなもんさ。勇者さまや私みたいな紋章持ちなら分かるけどね」

 

ローウェンとアンジェが魔結晶について話していると、少女はガタガタと震え始めた。

 

「赤い…光……母さんは、倒れて……父さん…父さ、ん?父さん…じゃない?赤い…目。目が…違う……赤い………」

「…なるほど。嬢ちゃん、名前は?」

「名前……?名前…ユイ」

「ユイか、いい名だね。この石をお前に渡したのは誰だい?」

「父さん……」

「父親から渡されたのかい。その時、父親はなにか言っていたかい?」

「王都へ……呪え………人を…世界を………」

「そう、言っていたのかい?」

「赤い…人………父さん…隣……違う………父さん…が………赤い人…?赤い……目」

「よし、もういいよ。寝てな」

 

アンジェが少女の額に指を当てると、少女は眠るように気を失った。

断片的ではあったが、少女になにかあったことだけは分かる。

ローウェンとアンジェは顔を合わせると、ノエルを手招きした。

 

「な、なんですか?」

「勇者さま、ちょっとこの子を見張っててくれ。私はローウェンとちょっと確認しなきゃ行けないことができた」

「ちょっと急がなくちゃ行けなくてな。スマンが勇者さま、頼んだ」

「え、ちょっと―」

「意識はすぐには戻らないはずだから、ゆっくりしていてくれ」

「なんかあったら俺たちを呼んでくれ」

「え、えぇ…」

 

ノエルは近くの椅子に腰掛けながら、少女を眺めた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

武器貸し屋『魔女の唇』、地下2階。

物置兼武器の修繕所として活用されているここに、ローウェンとアンジェはいた。

2人は真剣な表情で、先程の少女の言葉について話す。

「赤い目、と言っていたね」

「ああ。そして、倒れた母親と父親ではない赤い人。おそらく、赤い目は魔物だ。父親は殺害または身動きが取れない状況に陥り、成り代わられているのだろう」

「赤い瞳は魔物の特徴だからね。おそらくはドッペルゲンガーのような、成り代わりに特化した魔物だろうね」

「その魔物に襲われ、母親は死亡、または気絶など動けなくなり、あの子は魔結晶を渡され王都を襲撃しようとした、か」

「『呪え、王都を』だからね。王都襲撃を目論んでいたのは間違いないだろう。しかしあの様子だと、操られていたと言うよりは心を壊された、と言ったところかな。目の前で父親が母親を殺害し、自分にまで手をかけようとしたと思えば、あの歳だ。心が壊れてもおかしくない」

「そう、だな」

 

ローウェンを中心に、赤い風が吹き荒れた。

アンジェは指を鳴らし、アンジェの魔力をもってローウェンが無意識に漏らした闘気の渦を抑え込む。

 

「ローウェン、落ち着きな。感情が高ぶると闘気が漏れる癖、治せと言っただろう?」

「…すまん。どうにも許せなくてな」

「…似ているからね、しょうがないさ」

「言わないでくれ」

「ああ、分かってるよ。……それで、どうするんだい?」

「いちばん早いのはこの子を王都の警備兵に渡し、魔結晶を押収。後は国に任せる、だね。でも、嫌なんだろう?」

「ああ。それじゃあ罰を受けるのはこの子だけだ。この子の心を壊した魔物はのうのうと生き残り、また別の人々を襲うだろう」

「で、どうするのさ?」

「決まってる。この子をもといた所へ連れていき、魔物を俺が…全力で屠る」

「全力を出すまでもないさ。人間に化けることに特化した魔物は、そこまで強くないからね」

「それでも、だ。奴がこの世にいた痕跡すら遺させん」

「ふふ。怒っているね、ローウェン」

「ああ。俺は怒っているぞ、アンジェ。あの子が再び目を覚まし、動けるようになったらすぐに行こう」

「そんなに待たなくてもいいさ。私も同行する。ユイを叩き起して、即出発さ」

「……いいのか?この店のこともあるだろう?」

「構わないさ。アンタ…は大丈夫だろうが、勇者さまとユイが心配だからね」

「すまん、恩に着る」

「気にしなくていいさ」

 

2人が話しを終え地下1階に上がると、そこには不思議な光景が広がっていた。

 

「へぇ〜、ユイちゃんってコーヒー飲めるんだ!大人だね〜」

「牛乳入れたら、飲める。ブラックは、無理」

「ボクは牛乳入れてもダメだなぁ」

「お砂糖入れたら?」

「砂糖は高いから…」

「私、お砂糖作れる」

「作れるの!?」

「うん。魔法でパーッて」

「すごいね!」

 

ベッドに寝ているユイと、ベッドの傍に椅子を寄せ、腰掛けるノエル。

2人はにこやかに談笑していた。

どちらも穏やかに会話をしており、内容も普段の生活や自分たちの好きなこと、得意なことなど、当たり障りのないことを話している。

ノエルの顔には優しげな笑みが浮かび、新しく出来た友人との会話を楽しんでいる。

ユイも楽しげに話しをしており、時折自分ができることを自慢するなど、かなり打ち解けていた。

 

「ん〜、こりゃ勇者さまに任せていた方が良かったかな」

「だね。いやはや、流石は勇者さまだ」

 

「あ、ローウェンさん!アンジェさん!ユイちゃん目を覚ましましたよ!」

「ノエル、この人たち―ひッ!?」

「大丈夫、この人たちは悪い人じゃないよ」

「おー、勇者さまに隠れるとは。だいぶ懐かれたね」

「やあ、嬢ちゃん。俺の名はローウェン、よろしくな」

「ッ!?て、敵!私を吹き飛ばした、敵!!」

「違うよ、ユイちゃん。ローウェンさんはユイちゃんを助けるために吹っ飛ばしたんだよ」

「助ける…?」

「そう!ユイちゃんが魔物から引き離すためにしたんだよ。ね、ローウェンさん」

「ん、ああ。そうだ。あのままだと魔物ごとやっちゃいそうだったからな」

「悪い人、じゃない?」

「そう!悪い人じゃないよ!」

 

「これもう洗脳じゃないか?」

「無意識だしセーフだよ。いざとなれば私の力でなんとでもできる」

「それはそれでダメだろ」

 

ローウェンとアンジェは顔を合わせると、息をついた。

ノエルはそんな2人の様子に首を傾げながらも、ユイに2人が悪い人ではないことを教えていく。

ユイは時折「そうなのか?」と首を傾げながらも、ノエルの話を頷きながら聞いていた。

 





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  • ダメです(R-15のまま続行)
  • えぐめマシマシで(R-18Gへ路線変更)
  • 別作品としてほのぼのを書けば?
  • 別作品としてR-18Gを書いて♡
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