勇者一行とバケツさん   作:(`・ω・´)ノ

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第8話になります。
楽しんで頂けたら幸いです。


第8話 勇者ちゃんと新たな仲間

剣を拾いユイの家へ戻るローウェン。

玄関まで来ていたノエルとユイに連れられ寝室へ向かうと、ミーシャとアンジェが待っていた。

 

「遅いぞ、ローウェン」

「すまん。あ、ほい勇者さま」

「あ、ローウェンさん剣ありがとうございます」

「どういたしまして。そういやさっき、霧の魔物に刺さった時な。この剣光ってたんだけど、あれなんだ?」

「え、光ってたんですか?」

「うん、光ってた」

「光ってましたよ」

「ああ、光ってたね。それに、霧の魔物の核に刺さっていただろう?」

「見事にな。ちょうど核に突き立てられてた」

「ボク、なんか霧に黒いのが混ざってたのが見えて、黒いのが集まってたところ目掛けて投げたんですけど…」

「まあ、勇者さまの力ってとこだね。私ですら気づかないような微弱な魔力も感知し、あらゆる障壁を貫き魔を討ち滅ぼす。あの魔物、核に三重の防壁が張ってあったよ。もっとも、私にも割られてからしか気づかなかったがね」

「核に防壁が…。俺が吹き飛ばしても効果がなかったのは、それのせいか?」

「ああ。そもそも、アンタの攻撃は核に当たってたよ。ただ障壁に阻まれて、効いてなかっただけさ」

「マジか…。すごいな勇者さま!」

「そ、そうですか?」

「ああ!流石は勇者さまだ!」

「ああ、本当にすごいと思うよ。が、ローウェン落ち着きな。同じくらいすごいことをミーシャが言ってくれるさ」

「ハードル上げないでくださいよ…」

 

ミーシャは頭を抱えながら呟いた。

ローウェンは凄いことってなんだろうと首をかしげ、ノエルは褒められたことに照れながら話を聞こうと姿勢を正す。

 

「えっと、ユイこっちに来てくれる?」

「うん。……何するの?」

「ちょっとね。ーよいしょっ」

 

ミーシャはユイの額に両手を翳した。

ミーシャの手が一瞬紫色の光を放ち、ユイの額を照らす。

 

「ミーシャ!?何をー」

「黙って見てな、ローウェン」

 

慌ててミーシャを止めようとするローウェンを制し、アンジェはユイを眺めた。

アンジェに止められ、ローウェンは近くにあった椅子に腰掛けた。

立ったままでは、駆け出しそうになるからである。

ノエルは突然のことにぽかんとしていた。

 

「ーふう、お待たせしました」

「お母さん、今の何?」

「ちょっとしたおまじないよ」

「どう見ても魔法なのによく言うよ。ミーシャ、キミは一般人ではなかったのかい?」

「ええ。先祖に魔物がいるために肌の色を変えるくらいの魔法が使える、ただの一般人です」

「ミーシャ、魔法が使えるのか!」

「ま、待ってくださいローウェンさん!ユイちゃんのおでこ!」

「額がどうしたってー『勇者』の紋章!?」

 

ユイの額を見て、ローウェンとノエルは目を見開く。

ユイの額には、女神から力を受けた証拠である『勇者』の紋章が刻まれていた。

しかしミーシャは、首を横に振る。

 

「いいえ、ローウェンさん。それは『勇者』の紋章ではありません」

「だ、だよな。勇者さまが2人いるなんて聞いたことないし。しかし、この形はー」

「よく見てください。よく似てますが、少し形が違うんです」

「ち、違いが分かりますか?ローウェンさん」

「うーん………。あ、ここの線が二本になってるな。位置も少し違う……。ここもだ……。なんだこれ」

「分からないんです」

「え…」

「だから、アンタの知恵を借りたくてね。紋章や魔物については、私よりアンタの方が知っているだろう?」

「ああ、勉強したからな。しかし、こんな紋章どっかで見たかな…」

「この紋章は、この子が産まれた時には既にありました。最初は私も『勇者』さまの紋章かと思ったんですが、魔力が見えるわけでもなく…。しかしこの子が5歳になった時に、突然『声が聞こえる』と言いだしまして。動物や植物、挙句は魔物の声まで聞こえるそうで」

「…あー、うん。分かった」

「本当ですか!?」

「多分だけどな。……しかし、そんなことが有り得るのか?もしそうなら、今回の魔王は本当にヤバいぞ」

「そ、そうなんですか?」

「ああ。おそらくそれは、『黒龍』と呼ばれる魔物の紋章だ」

「『黒龍』って、あの『黒龍騎士物語』に出てくるあの『黒龍』かい?」

「え、それって物語の話じゃないんですか?」

「いや、黒龍は存在する。1回戦ったしな」

「なんで生きてるんですか!?」

「手加減してくれてな。何とか生き延びることが出来た」

「えぇ…」

「ねぇ、ローウェン。『黒龍』ってなに?」

「ユイ、絵本とかで見たことないか?薄暗い洞窟に住み人々を襲う真っ黒な龍と、その龍から街を守る騎士の話」

「知らない」

「すみません、本は高くて…」

「…あー、すまん。悪いことを言った」

「いえ、謝らないでください!気にしてませんから!」

「そ、そうか。まあ、昔から生きてるめちゃくちゃ強い魔物だと思ってくれたらいい」

「それで、ローウェン。その黒龍の紋章が、なんでこの子に出てるんだい?それに、この紋章と今代の魔王にどんな関係があるのか教えてもらおうか」

「…俺の妄想も多段に含まれてるが、それでもいいか?」

「いいからとっとと吐きな」

 

ローウェンはアンジェに促されて、語り出した。

ローウェン曰く、かの魔物『黒龍』は自己中心的で横暴、自尊心が非常に高いらしい。

そんな黒龍が、世界を我が物顔で弄び支配する今代の魔王にいい顔などするわけが無い。

しかし黒龍は面倒臭がりでもある。

故に血族であるユイに力を与え、魔王を討伐させようとしているのではないか。

そうローウェンは考えたのだった。

 

「まああくまで、俺の想像だけどな」

「なるほど…。でも、それでなんで今代の魔王が強いってことになるんですか?」

「そりゃあ、かの黒龍に目をつけられるんだ。それなりの強さはあると思っていい」

「なんでミーシャの話を聞いて黒龍の紋章だと分かったのかも疑問だね」

「黒龍の力だよ。この子、おそらく魔力見えるぞ」

「「「えっ」」」

「ユイ、霧の魔物の魔力は見えたか?」

「奥に黒い塊は見えた。ノエルに言ったら、そこ目掛けて剣を投げた」

「あ、そういえばユイちゃんに『あそこに黒いのがある』って言われました。ボクにも黒い煙が集まって見えたので、核だと思ったんです」

「なるほどな」

「え、でも私の魔力は見えなかったみたいでしたけど…」

「多分、強い魔力じゃないと見えないんだろう。ミーシャのは弱すぎたんだな」

「そういえば、私が魔法を使う時も感づいていたね」

「杖に黒いのが集まってた」

「…驚いたね。本当に見えてたのかい」

「動植物に魔物の声が聞こえるのも、黒龍に同じ力があったからな。多分それだろう」

「そういえば、ローウェンさん黒龍と戦ったって…」

「王国軍にいた時にな。寝ぼけて出てきて火を吐いてきたから、あっちいけって殴っただけだ。そのあとは黒龍に玩具にされて、死なない程度に嬲られて終わったがな。…黒龍が飽きるまでサンドバッグにされたのは良い思い出だ」

「絶対良くない思い出ですよねそれ」

 

しれっと黒龍に殺されかけていたことを暴露したローウェンにドン引きしながら、5人はこれからのことを話し合った。

ユイを旅に連れて行くかどうかである。

黒龍には魔物を引き寄せる力もあり、それが原因かどうかは分からないが実際にこの村には強力な魔物が2体も来ていた。

また、魔結晶があったとはいえ、1000匹もの魔物を連れていたことを考えると、魔物を引き寄せるという力もあながち嘘ではないらしい。

そう考えると、このままここにいるのは危険すぎる。

しかし、まだ齢10歳程の幼いユイを旅に連れ回すのも危険だ。

どうしようかと考えていたとき、ユイは立ち上がった。

 

「私、ノエルと一緒に行く」

「ユイちゃん!?」

「ユイ、危ないんだぞ。怪我をするかもしれないし、野宿なんかも沢山する。ユイはまだ幼いんだ。無理する必要は無い」

「行く。歳ならノエルと変わらないはず」

「ボクは15歳だよ!」

「…嘘。12歳くらいだと思った」

「背と胸がなくて悪かったなぁ!」

「まあ、ノエルの叫びは置いといて」

「置かないでください!」

「このままこの村にいるのも危険だからねぇ。いっそのこと、ミーシャも連れていくかい?」

「いや、危険だ。ミーシャは体も弱い」

「人の体に有害な魔力を持っているからね。走ることすら無理そうだ」

「すみません…」

「別に悪いことじゃない。魔法も使えるしな。しかし、魔物に追われることも多いこの旅に連れ回すには、不安すぎる。だから、王都の俺の家をミーシャに貸そうと思う。あそこなら警備兵の兵舎も病院も近くにあるから、体が弱くても安心だ」

「なるほどね。あそこなら確かに安全だ。ユイを連れていても、王都は防壁があるしね。並の魔物じゃ太刀打ちできないよ」

「ううん、ノエルについてく」

「ユイ。ローウェンも言ったが、まだキミに旅は早い」

「ついてく!」

「頑なだね…。ミーシャはどうする?」

「私はお言葉に甘えて、ローウェンさんのご自宅にお世話になろうと思います。旅にはついていけないでしょうからね」

「ああ、それがいい」

「で、ユイなんですけど…。ローウェンさん、ノエルさん。お願いできませんか?」

「…いいのか?この子の力は非常に魅力的だ。しかし、危険だぞ」

「構いません。黒龍の紋章がこの子にあるのなら、黒龍の意思に従いお二人と共に魔王を討伐した方がいいと思います。何より、この子がこんなにも行きたいと言っているんです。私は、この子の意志を尊重したい」

「お母さん…!」

「……勇者さまはどうする?」

「え、ボクですか!?」

「ああ。このパーティーのリーダーは勇者さまだ。決めるのは当然リーダーだろ」

「…ユイちゃん。多分この旅は長くて、辛くて、苦しいものになる。それでもいいの?」

「うん。力があるなら、使いこなしたい。この力で、黒龍の力で、みんなを守りたい」

「…ローウェンさん」

「応。勇者さまの御心のままに」

「ミーシャさん、ユイちゃんと旅に行かせてください」

「…どうか、よろしくお願いします」

 

ノエルは、ユイと共に行くことを決めた。

ローウェンは頷き、ミーシャはユイを抱きしめ、アンジェはやれやれと首を振る。

もう誰も、ユイに旅を止めろと言うことは無かった。

 

勇者は 仲間 を 手に入れた !





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フーテンの熊さん様、ハシビ様、サンゴ侍2様、遅くなりましたが評価を頂きまして、ありがとうございます。
これからもこの小説に、どうぞお付き合い下さい。

作品の路線を見失ったため、書き直してもよろしいでしょうか。

  • いいよ!(ほのぼの系に書き直し)
  • ダメです(R-15のまま続行)
  • えぐめマシマシで(R-18Gへ路線変更)
  • 別作品としてほのぼのを書けば?
  • 別作品としてR-18Gを書いて♡
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