勇者一行とバケツさん   作:(`・ω・´)ノ

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第9話です。

いつもの倍くらい長くなってしまいました。
やっぱりキャラクターの独白や過去を交えると長くなってしまいますね。

それでは、楽しんで頂けたら幸いです。


第9話 勇者ちゃんと野宿

ユイを連れて旅を続けることを決めたノエルとローウェン。

彼女ら3人はアンジェ、ミーシャと共にユイの家で1晩を過ごすと、ヤチェ村を出て次なる目的地、バーク村へ向かっていた。

アンジェは自分の店があるため、ミーシャの護衛も兼ねて王都へと帰って行った。

 

「勇者さま、何かあったらこれに魔力をこめな。込め方は知っているね?」

「は、はい。グッと握ってドワーッて感じですよね?」

「…うん、まあ。感覚だからね。うん。そんな感じでいいよ」

「込めたらどうなるんですか?」

「それはお楽しみってやつさ。まあ、一度しか使えないから慎重にね」

「はい、ありがとうございます!」

そんな感じで貰った銀の装飾が美しいペンダントを首から提げ、ノエルは鼻歌交じりに先頭を歩いていた。

ローウェンはその後ろを、ユイは長い時間歩いて足が疲れたため、ローウェンに肩車されてついて行っている。

 

「ローウェンさん、こっちであってるんですか?」

「うん?ああ、あってるあってる。ほら」

 

ローウェンは地図を広げて見せた。

周囲の地形や生息する魔物、周囲に生えている主な植物等細かに書き込んであるそれは、ローウェンお手製のものだ。

10年かけて丁寧に作られたそれは、信頼に値するものだった。

 

「このまままっすぐ行ったら山がある。山には少しばかり面倒くさい魔物がいてな。こいつだ」

「『マーダーラビット』に『ニードルツリー』?聞いたことない魔物ですけど…」

「ああ、珍しい魔物だが、この山には両方生息していてな。マーダーラビットは血の匂いに反応して集団で襲いかかってくるウサギ型の魔物で、血を流していなければ問題ないし、数は多いがそれほど強くもない。ニードルツリーは熱を感知して鋭い棘を飛びしてくる木型の魔物で、針は鋭いがそれだけで、貫通するほどの威力でもないし防具がなくてもせいぜい血が滲む程度で済む。ただ、数が多いから…」

「…ニードルツリーに襲われて血を流したら、その匂いにつられてきたマーダーラビットに襲われるってことですね?」

「怖い…」

「まあ、そういうことだ。針は叩き落とせるくらいの速度だから見えてれば全く怖くないんだが、夜だと見えにくいからな。マーダーラビットを交わしながらニードルツリーも避けるのは、夜だと難しい。よって、今日は山の麓で野宿だ」

「野宿、初めて」

「ボクは何度も経験があるので、任せてください!」

「お、勇者さま凄いな!」

「はい!家がなくなってからは瓦礫とか布とか使ってよくやりました!」

 

空気が凍った。

あーそうかこの子魔王に故郷焼かれた元ストリートチルドレンだった地雷踏んだと顔をしかめるローウェンと、蝶に気を取られて話を聞いていなかったが空気が変わったためとりあえずローウェンの兜を叩くユイ。

ノエルはそんな二人を見て、変なこと言ったっけ?と首を傾げた。

 

「あー、うん。なるほどな。じゃあ、テントとかは俺が持ってきてるから、着いたらユイと一緒にお願いできるか?俺はその間に食料取ってくるから」

「わかりました!任せてください!」

「ローウェン。私、テント建てたことある」

「おお、凄いな!頼もしいぞ!」

「ユイちゃんすごいね!」

「ふふん」

 

3人はテクテクと日中ずっと歩き続け、空が赤くなるころようやく山の麓に着いた。

真っ赤な太陽が山を照らし、木々が煌々と輝いて見える。

ローウェンは道沿いの木を指さす。

ノエルとユイも指差された木を見るが、どう見てもただの木だった。

よく見ると幹や枝がトゲトゲしているようにも見える。

 

「あれがニードルツリーだ。一見ちょっとトゲトゲした普通の木だが、人が近づくと棘が巨大化し、射出される。俺みたいに全身甲冑なら怖くないが、勇者さまやユイは危険だな。首や足に刺さると血は出るしマーダーラビットは来るしで最悪だ」

「あれがニードルツリー…」

「トゲトゲ…」

「ちなみに樹液には肌を綺麗にする効果があるらしい」

「一本切り倒して持っていきましょう!」

「ノエル、声大きい」

「木を担いで旅するのはなぁ」

 

美肌効果につられたノエルは、2人に冷静に咎められシュンとした。

そんなノエルは放って、ローウェンはユイと背に負っていた巨大なバックパックを下ろす。

 

「2人とも、魔物食べたことあるか?」

「え、魔物って食べれるんですか?」

「食べたこと、ない」

「うん、2人ともないみたいだな。よしじゃあせっかくだ。今からマーダーラビット狩ってくるな」

「え?」

「え?」

「魔物、食べたことないんだろ?マーダーラビットは臭みがあるが肉質もウサギと変わらないから、初めて魔物を食べるならピッタリだ」

「…魔物食べてお腹壊したりしませんか?」

「俺は魔物食って腹下したことないぞ」

「美味しい?」

「俺は好きだぞ。まあ物は試しだ。取ってくるから、テント頼んだ」

 

そう言ってローウェンはガサガサと草木をかき分け山へ入っていった。

じゃあボク達もとノエルがバックパックからテントを出すとローウェンが戻ってくる。

 

「え、もう捕まえたんですか?」

「まだ。迷いそうだから目印が欲しくてな。勇者さま、そん中からロープ取ってくれ」

「2本あるんですけど」

「先っちょが赤い方を頼む」

「えっと…はい」

「ありがとう。…これでよし。じゃ、行ってくる」

 

ローウェンは適当な木にロープを結ぶと、もう片方の先っちょを右手に握って森へ入っていった。

その様子を見て、ユイは思わずつぶやく。

 

「ローウェン、熊みたい」

「ぷッ、ふふふ…」

 

ユイの言葉がツボに入り震えながら、ノエルは頑張って場所を整えテントを立てた。

途中ユイの熊の真似により笑いすぎて動けなくなったのは、ローウェンには内緒である。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

笑われているとも知らない熊ことローウェンは、ロープを片手に困っていた。

 

「うーん、気配はあるが出てこないな…。警戒されているのか」

 

ローウェンは飛んできたニードルツリーの棘針を片手で打ち落としながら独りごちた。

森に入ってもう20分。

そろそろテントも張り終え、ふたりが心配し始める頃である。

日もそろそろ落ち暗くなりそうだったため、ローウェンは手っ取り早く済ませることにした。

ローウェンは再び飛んできたニードルツリーの棘を掴むと、ヘルム内のスリットから自分の顔に突き刺した。

引き抜いて、血を滴らせる。

 

「さあこい、クソウサギ」

 

その言葉を合図に、ローウェンの背後から3匹のマーダーラビットが現れた。

ローウェンは蹴りを顔に叩き込み、首の骨を折ることで3匹を絶命させる。

続いてローウェンから見て右側から5匹のマーダーラビットが飛びかかってきた。

ローウェンはロープを巧みに使い、5匹をつるし上げる。

 

「お前らの首をはねて誘き寄せてもいいが…少し量が多くなるもんな。よし」

 

ローウェンは1番右のマーダーラビットの首を跳ねた。

 

「1匹だけにしよう」

 

血の匂いにつられて無数のマーダーラビットが姿を見せる。

しかし飛びかかって来たのは2匹だけで、他は逃げていった。

 

「ありゃ。血の匂いを嗅いで逃げるマーダーラビットなんて初めて見たぞ。何かあるのか?」

 

2匹を片手で捉え、首の骨を折って絶命させながら呟いた。

しめて10匹のマーダーラビットを抱えて、ローウェンはくるりと背を向ける。

すると突然、背後から猪型の魔獣『タックルボア』が迫ってきた。

ローウェンは声が出ないほど驚き、反射的に鼻先へ裏拳を振り抜いた。

咄嗟のことで加減ができず本気で放った裏拳は、タックルボアの顔を吹き飛ばし―そのまま近くに生えていた木を薙ぎ倒し、その木につられて隣りの木が…と連鎖してドミノ倒しのように木が倒れる。

巨木が倒れずに残るまで14本もの木を薙ぎ倒したローウェンは、やっちまったと頭を抱えた。

とりあえずと巻き込まれて倒れたニードルツリーを引っこ抜き、担いで持って帰る。

周囲の木にぶつけてこれ以上森を破壊しないようにしながら木とウサギ、そして猪を持って帰ってきたローウェンを見て、ノエルとユイはたいそう驚いた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「森から大きな音がして心配してたら…木を薙ぎ倒すなんて危ないですよ!潰されたらどうするんですか!」

「いや木を倒すつもりは微塵もなかったんだよ…」

「ローウェン、危ないよ」

「うん、すまん。悪かった」

 

ローウェンを待つ間にノエルとユイで枯れ木を集め火をつけた焚き火を囲んで、ローウェンは説教を受けながら夕食の準備をした。

魔物の皮を剥ぎ血を抜いて内蔵を出し、食べれるように調理する。

魔物の肉は、魔物が雑食のため臭い。

故にしっかりと血抜きしバックパックから出した塩をまぶす。

 

「ローウェン、私塩作れる」

「え、マジか」

「ユイちゃん、砂糖も作れるそうです」

「塩、砂糖、あと胡椒とかスパイスとか、食べたことあるやつは作れる」

「本当に凄いな!胡椒を頼む!」

「ん、はい」

「…本当に胡椒だ。助かるよ、ありがとう!」

「ん」

 

ユイが作ってくれた胡椒も使い臭みを消して、マーダーラビットの肉は串焼きにする。

タックルボアの肉は塩と胡椒では臭みが取り切れないため、持ってきた野菜と一緒にスープにした。

 

「野菜まで持ってきてたんですね」

「いや、これはミーシャがくれた。床下で寝かせてたんだとさ」

「うちの畑で作ったやつ。お父さんが作った」

「…これ、形見じゃないですか?」

「…言うな勇者さま。料理し辛い」

「2人とも、なんで小声?」

「い、いやー気にしなくていいぞ!」

「美味しそうな野菜ですねって話してたの!」

「そ、そうだぞ!」

「お父さんの野菜は美味しい。食べて食べて」

「あ、ああ!」

「い、いただくね!」

 

食べていいのか迷ったが、ユイが良いと言っているので調理する。

スープは肉も野菜もふんだんに使った、贅沢なものに仕上がった。

 

「よし、肉に火も通ってるしスープも出来たな。じゃあ食べてくれ」

「わーい」

「いただきますね!」

 

ノエルとユイは即座に肉に手を伸ばした。

そこら辺はやっぱり子供なんだなと思いながら、ローウェンも串焼きを齧る。

少し焦げた表面の香ばしさと少し筋張って固い肉から溢れる肉汁がローウェンの口を満たした。

うん、上手くできた。

2人を見ると、2人とも美味しそうに串焼きを頬張っている。

 

「どうだ、美味いか?」

「とっても美味しいです!」

「美味しい」

「そうか。良かった」

「魔物って美味しいんですね!」

「ちゃんと調理すれば、普通の動物と同じように食べれるさ」

「そういえば血抜きの時に使ってたあの袋ってなんですか?」

「ああ、これか?」

 

ローウェンは足元に転がしていた麻袋を持ち上げた。

麻袋の中には、血抜きの時に出たタックルボアとマーダーラビットの血がたっぷりと詰められている。

 

「これは『ゲリオスの麻袋』と言ってな。高い上に使い捨てだが、中に入れたものは零れず、そのまま保管できるんだ」

「そのままで…」

「だから、ここに入れた血は固まることも無く、入れた時と同じ状態で保たれてる」

「なんで貯めたの?」

「2つ理由がある。1つ目は、これに入れている間、血の匂いが出ないからマーダーラビットが襲ってこない。まあタックルボアの頭を吹き飛ばしたから怯えて近寄ってこないとは思うが、念の為にな。2つ目は、明日もしマーダーラビットから逃げなくちゃいけない状態になった時に、この袋を囮として使うためだ」

「囮?」

「ああ。この袋を遠くに投げて、石でも投げて叩き割るとどうなる?」

「そりゃあ中に入ってたタックルボアと10匹のマーダーラビットの血が飛び散る-その臭いに反応しているうちに逃げるってことですね!」

「その通り!」

「ローウェン、ノエル、串焼き焦げるよ」

「お、いけねぇ」

「ありがとうユイちゃん」

 

両手に串焼きを持つユイの頭を撫で、ローウェンとノエルは串焼きを火から少し離した。

その後は難しい話などは特にせず、スープを飲んで串焼きを食べて、3人はこれから色々なことが起こることを明るく語りあった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

夕飯をすませ、ノエルとユイは眠ろうとしていた。

テント内で雑魚寝という形だが、ノエル的には散々慣れているため問題は無い。

ユイが心配だったが、初めての野宿にさっきまでハイテンションだったため、疲れて眠たそうにしていた。

ユイを連れてテントに入り、横になる。

自分が背負っていた小さなバックパックを枕代わりにし、目を閉じた。

疲れているのもあってすぐに眠れると思ったが、なかなか寝付けない。

広いテントだから足を伸ばして寝れるのだが、ノエルはなかなか眠れない。

寝なくちゃと思ってもう一度目を閉じると、王都で言われたことが頭を巡る。

『勇者なのだから』この言葉が、頭からこびりついて離れない。

『勇者なのだから、〇〇しなさい』

『勇者なのだから、〇〇してはいけません』

『勇者なのだから』

『勇者なのだから』

『勇者なのだから―――』

頭をぐるぐると回り続ける。

まるで呪いだ。

何者でもなかったただの哀れな孤児。

魔王に故郷を焼かれ、家族も住むところもみんな無くした子供。

それだけだった。

だと言うのに、『勇者』の紋章が手の甲に出てからというもの。

魔王を倒せだの世界を救えだの、今まで何もしてくれなかった奴らが偉そうに命令してくる。

勇者だからなんだ。

お前たちは何もしてくれなかったくせに。

頭の中で勇者であることを強制する声と、それに対する怨嗟の言葉がぐるぐると回る。

ノエルは思考を変えようと、星を見にテントから出た。

テントから出ると、火の番をしてしたローウェンがニードルツリーに腰掛けながらこちらに手を振った。

 

「よう、眠れないのか?」

「はい。…なんか、寝付けなくて。星を見てたら眠くなるかなと思って出てきました」

「なるほどな。ユイは?」

「ぐっすりです」

「だろうな」

 

2人は笑った。

ローウェンはニードルツリーの樹皮をひっぺがし、ノエルに座るように示した。

ノエルは恐る恐る、ローウェンの隣に座る。

トゲトゲがないため、座って痛いということはなかった。

ノエルは空を見上げる。

欠けたところのない見事な満月が、不完全なノエルを嘲笑っているように見えた。

ローウェンは火を眺めながら、口を開いた。

 

「なんこ、あったのか?」

「…分かります?」

「そりゃあ、そんな顔してたらな。……話してくれるか?」

「…ただの愚痴ですけど、いいんですか?」

「構わないさ。仲間だろ?」

「……ありがとうございます」

 

ノエルは、自身が『勇者』であることがわかってから王都で体験したことを話した。

孤児であることをいいことに、勇者の親権を求めて争う貴族たち。

勇者だからと言動を強制する醜い大人。

魔王に村を焼かれたとき何もしてくれなかったくせに、勇者としての務めを果たせ、魔王を倒せと言う王国。

何もかもが嫌だった。

憎たらしかった。怖かった。

 

「ボクは、『勇者』になんかなりたくなかった。魔王と戦いたくなんかないし、世界なんか救いたくない。痛いのは嫌だ、死ぬのは嫌だ、怖い思いするのは嫌だ、裏切られるのは嫌だ。なんでボクを助けてくれなかった奴らを助けなきゃいけないんだ。王様なんか嫌いだ、貴族の奴らもみんな嫌いだ。あいつらはボクに勇者であることを強制する。『勇者だからちゃんとしろ』とか、『勇者なんだから私たちを助けろ』とか。なんでボクが。お前らがやれよ。貴族のくせに。国民を盾にして、助けを求めるなんて。ふざけるな。ふざけるな、ふざけるな―――」

 

積もり積もった怒りと怨みが溢れ出て止まらない。

ローウェンはそれを、時折頷きながら最後まで聞いていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

心のままに溜め込んだ悪意をぶちまけたノエル。

息を荒らげる彼女に水を手渡しながら、ローウェンは呟いた。

 

「そうか。そう、感じていたのか……」

「軽蔑、したでしょう?ボクは、『勇者』なんて呼ばれるし選ばれたけど…こんな人間なんです」

「勇者さま、嫌…ノエル様。すまなかった」

「え、ちょ、なんッ…なんでローウェンさんが謝るんですか!?」

「俺たち王国は、貴女に『勇者』であることを強制した。貴女をノエル・ホワイトという個人ではなく、『勇者』としてしか見なかった。本当に、申し訳ない」

「ローウェンさん、頭をあげてください!貴方は、ボクの手を取ってくれた。優しくしてくれた。1人だったボクに着いてきてくれた!貴方は、ボクを見てくれた!だから…貴方は、謝らないでください」

「ノエル様―」

「様もいらないです。ボクは、貴方が来てくれて嬉しかった。アンジェさんや、ユイちゃんも…『勇者』じゃなく、ボク自身を見てくれた。『勇者』じゃなくボクを信じて、着いてきてくれた。それが、嬉しかったんです。ボクは王国は嫌いだけど、貴方やアンジェさん、ユイちゃん、ミーシャさんも。ボクを見てくれる人のためなら、魔王と戦っても良いと思えたんです」

「ノエル…」

「貴方はボクが勇者だから声をかけたんじゃない。路地裏で困っていたから声をかけてくれた。勇者だとわかっても、ボクを見て手を差し伸べてくれた。王都でボクが受けたことに怒り、憤り、共感して…着いてきてくれた。ボクは、貴方が着いてきてくれたから、『勇者』であることを喜べた。貴方がいてくれたおかげなんです」

「ノエル…。俺は―」

 

ローウェンが呟いた瞬間だった。

ノエルの右手の甲に刻まれた『勇者』の紋章。

先程まで黒かったそれが、白く輝き出したのである。

 

「え、何っ?」

「ノエル、大丈夫か?」

「は、はい。痛くないし、びっくりはしましたけど…」

「光ってるな…」

「はい…。なんでしょうこれ…」

「歴代勇者の話や劇は散々みたが、こんなのは知らないな…」

 

ローウェンはしげしげと『勇者』の紋章を眺める。

 

「これ光るのか…。触っていいか?」

「はい、大丈夫です」

「ありがとう。じゃあ失礼して―ッ!?」

 

瞬間、ローウェンの手が弾かれた。

びっくりして固まる2人。

ぽかんとしたノエルの顔に思わずローウェンが吹き出し、そんなローウェンにノエルも思わず笑った。

 

「―はは。っと、う、うん。ごほん。ノエル、貴女の気持ちは分かった。『勇者』になりたくなかったことも、王国が嫌いなことも」

「は、はい。…ボクは王国が嫌いだし、滅びてもいいと思ってます」

「魔王と戦いたくないことも、死にたくないことも分かった」

「はい。痛いのも怖いのも嫌です」

「―そして、貴女が人の為に戦える優しい人であることもわかった」

「…ボクは、優しくなんかないです」

「痛いのも戦うのも嫌なのに、剣を握り魔物に立ち向かえる。ノエルは、優しいよ」

「ローウェン、さん」

「霧の魔物の時、俺はノエルに救われた。ノエルは俺が負けそうだったからとか思うかもしれないが、多分俺じゃない誰かが霧の魔物に襲われていたとしても、おそらく君は助けるだろう。自分が傷ついてでも、守ろうとするだろう」

「そんな、ことは…」

「だから、俺が君を守る。俺は特別な力は何も無いが、この体と、魔物に関する知識には自信がある」

「装備の鑑定と道具の作成も、ですよね」

「…覚えてくれていたのか」

「はい。初めて手を差し伸べてくれた人ですから」

「はは。…きっと、力になれるはずだ。俺は貴女の盾として、貴女を守り抜くことを我が名ローウェン・ラブロ・アルグレウスに誓う」

「ふふ。ローウェンさんのフルネーム、初めて聞きました」

「ああ、あんまり好きじゃなくてな。長いし、よく舌を噛む」

「ふふ、ふふふ。…ローウェンさん、良いんですか?」

「ああ。男に二言はない」

「…じゃあ、ボクも。我が名ノエル・ホワイトに誓う。ボクを見てボク自身を信じてくれる人たちのために、魔王を討ち世界を救おう」

「いいのか?」

「貴方がボクを信じてくれるなら、ボクもそれに応えます。女に二言はないんです」

満月が照らす夜。

2人は、互いのために己の使命を名に誓う。

勇者は 真の仲間 を 手に入れた !





ご覧いただき、ありがとうございます。

冒頭でも言いましたが、今回はいつもの倍以上の長さになってしまっています。
作者としては、あまり長すぎると途中で読むのに疲れてしまうため、1話辺り3000文字程度で書いていたのですが、皆さんはどれくらいの文字数がよろしいでしょうか。
アンケートを取りますので、よろしければお答えして頂きたいと思います。

感想、ご意見等ございましたら、お気軽にお書きください。

作品の路線を見失ったため、書き直してもよろしいでしょうか。

  • いいよ!(ほのぼの系に書き直し)
  • ダメです(R-15のまま続行)
  • えぐめマシマシで(R-18Gへ路線変更)
  • 別作品としてほのぼのを書けば?
  • 別作品としてR-18Gを書いて♡
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