『グオオォォォォォォ!!!!!』
「「!?」」
森の木々が音を立てて揺れる程の叫び声を聞いて、俺とリョウは飛び起きた。
「な、なんの声だ…?」
「分からない…地面が揺れるぐらいの轟音を出せる生物なんて聞いたこともない、流石は異世界だな…」
あの冷静沈着なリョウでさえ冷や汗をかいている。
焦りと緊張と恐怖が入れ混じる中、また別の声が聞こえた。
「グガァァァァ…」
「…なんでこいつはあの声を聞いて寝ていられるんだ…?」
「こいつもう置いてくか」
「ダメだろ…」
ソラを叩き起こす。叩いても起きないから蹴り飛ばして起こした。
「ぐぇっ!?なんだよぉ……」
ソラを起こしてすぐにまたあの叫び声が聞こえた。
『グオオォォォォォォォォォォォ!!!!!』
「うわぁぁぁ!!耳いてぇぇ!!」
「なんでお前寝てる間に聞いてるのにこれで起きなかったんだよ…」
「またか…一体なんなんだ…」
「…!?」
2度目の声が聞こえた時、少し遅れて身体中に嫌な気配な纏わりつく。
ゾワゾワとして鳥肌が止まらない、悪寒に似た気配。
一瞬の気持ち悪さに吐き気を催すが、まだ全然耐えれる程度だ。
「(なんなんだ…これ…)…確認しに行くか…?」
「いや、やめておいた方がいいだろう。俺たちだとあの叫び声だけで死ねる」
「まあそりゃあそうだよな…」
「ちょ、ま、何が起こってんだよ!?」
「さっきの声聞きゃわかるだろ!何かがいるんだ!」
「早いところ逃げた方がいいだろう。こっちだ」
「ああ!」
「ちょっと、置いてくなよー!」
俺たちは咆哮聞こえた逆の方角へ走った。
「もうそろそろ大丈夫か…?」
「声は聞こえなくなったが…どうだろうな」
「寝起きでやらせるもんじゃねぇぜ………」
「お前に関しては起きないのが悪いだろ」
しばらく森の中を走って、少し開けた場所に来た。
あの声がした方向とは逆に走ってきた。気付かれてもいなかっただろうし恐らく逃げきれたのだろう…
「…ッ!」
俺が一瞬安心した、安心してしまった瞬間だった。
また、あの嫌な気配が立ち込めた。
『グルルルルル………』
ソラ「なんだよ…あれ……」
リョウ「……あれは…」
シュン「クマ…だろうな…」
この森の木と同じ程度の高さ、あの巨体を支える2つの足、こちらにあからさまな敵意と殺意を向けてくる目、どんな生物をも咬み切らんとする牙。月の光が逆光になり、その牙は更に不気味さを増している。
クマが大きく息を吸い込む。
俺達はこの声を知っている。
『グオオオオォォォォォォ!!!!!!』
逃げ切れたと思い込んでいた声の主が。
今目の前にまで迫っている。