顔をみたことがない相手のことを好きになれますか。
あなたは、あなたのことを好きだといってくれる人がいることを知っていますか。
人知れず誰かがあなたに恋をして、勝手に失恋していることを知っていますか。
あなたのことが好きになる寸前の人がいることを、知っていますか。

1 / 1

お題:犯罪者、モンスターハンター、不正、ほうじ茶、同じセリフを3回『違うよ』

※こちらの文章を書くにあたり、語尾プッチンの省略をお許しくださいプッチン。
※また、こちらのお話はフィクションですプッチン。実在の人物・団体・出来事とは関係ありませんプッチン。
※さらに、こちらのお話はフィクションですプッチン。似たような人物・団体・出来事とは関係ありませんプッチン。
※電車で移動中の際に作成をさせていただきましたため、誤字脱字をお許しくださいプッチン。



誰にも知られずに恋が終わっていく

 

 

 

『誰にも知られずに恋が終わっていく』

 

 

 

恋愛というのは一種の病気だ。お酒を飲んで酔っ払ったような感覚とも聞いたことがある。飲んだことはないけれど。チョコレートを食べると恋の味がするとも聞いたことがある。チョコレートの麻薬作用がほんの一瞬きくとか、そういうのらしい。詳しいことはよく知らない。

 

誰が誰を好きで。誰と誰が付き合って。誰かが誰かにフラれて。

学生時代には誰しも一度は恋に落ちるというのもまやかしだ。だって、私はまだ誰にも恋なんてしていない。友達のことは好き。先輩のことも好き。先生のことも好き。でも、それは恋愛の好きではない…と思う。

 

なんでこんなことを想うのかって?

 

ぼけーっとした表情で机に頬杖をついたまま、教室を見回す。教室内は既にカップルばかり。やれ今年の夏はどこにいくだの、一緒に旅行にいくだのと。夏休み前にこいつら頭が沸いたんだと思う。

そんな奴らはお構いなしに、鞄から携帯ゲーム機を取り出して、電源を入れる。モンスターハンターシリーズの新作だ。

 

「よし、このクエストなら一人でもできそう」

 

先日はじめたばかりの新作のこのゲームは、ある人と一緒に遊びたいから買ってしまった。だから、ゲーム機まるごとソフトと一緒にお年玉で買ったのだ。普段はあまりゲームをするほうでもないから、大して上手でもない。でも、その人は「下手でもいいよ」と言って一緒に遊んでくれたり、手伝ってくれる優しい人。

 

「あれ、またモンハンしてるの?」

 

友達が声をかけてきてくれて、「やっほー」とあいさつを返す。残念ながら、クエストを始めてしまったので友達の顔をみることはできなかった。ごめんね。

 

「なんだっけ、あんたが熱をあげてる配信者って。…びんちょうまぐろだっけ?」

 

「違うよ!びーだまさんだよ!」

 

『び』しかあってないじゃん!なんて二人で笑った。そうなのだ。私がこのゲームを買ったのは、その配信者さんがモンハンが大好きだから。たまたま、nicotubeを見ていた時にオススメ動画として出たのをきっかけに生放送に顔を出した。それからは常連になり、毎日ゲーム配信を見守っている。

 

「そうそう、そのびーだまさん?あんた最近、本当に熱心に見てるよね。まさかモンハンも買うなんて思わなかったし…」

 

「だって、びーだまさんと一緒に遊びたかったんだもん」

 

びーだまさんの放送は、なんていうか…人がたくさん集まる放送っていったらいいのかな。人柄故なのか、びーだまさんは視聴者と一緒の目線でお話をしてくれる。準備が終わってなかったら待っていてくれるし、知らないことを教えてくれたりもする。それが配信者として当たり前、なんて他の視聴者さんたちにいわれているけど…。私はそんなことないと思う。ここまで視聴者に慕われてワイワイできる放送ってなかなかないんじゃないかな。

 

「あんた本当にびーだまさん好きだねえ…」

 

「だってあんなに優しい配信者さん、他にいないよ?」

 

「あんたの場合、他の配信を観に行かないだけじゃない」

 

私の友人は、どちらかと言えば人気配信者の配信を観に行く方が多い。だから、一緒に遊べる楽しみだとか…コメントを読んでくれる喜びだとか、そういうことを知らないんだ。丁度、クエストが終わったときにチャイムが鳴った。

 

「じゃ、またお昼休みね」

 

「またねー」

 

自分のクラスへと戻っていった友達を見送って、ゲーム機を鞄にしまう。この授業が終われば、次はようやくお昼休みだ。お昼休みは、びーだまさんの別のチャンネルでゲーム配信があるから楽しみ!あと一時間。よし、頑張ろうっと。

 

 

 

 

…………。………。……。

 

 

 

 

「はい、今日の授業終わり。今日のここのところはテストに出るからな」

 

眠くなる授業も終わり、ようやくお昼休みだ!鞄から携帯とイヤホンを取り出して、最後にお弁当。お弁当を開くより先に携帯からnicotubeにアクセス。もうすでにびーだまさんの配信が始まっていた。

 

「あ~~!はじまっちゃってたあ…」

 

『今日はビンボーマンオンラインをやってるよ~!』

 

すかさず携帯からコメントを入れると、『こんにちは』と空読みちゃんがコメントを読んでくれた。それに反応して、びーだまさんも「はい、こんにちはー!」と返してくれた。嬉しい!

 

『あ、犯罪者猫さんだったのか!お昼休みかな?』

 

私のアカウント名が【犯罪者猫】、いいじゃん、猫かわいいじゃん。びーだまさんも猫好きって言ってたもん。携帯の画面にかじりついていると、後ろから冷たいペットボトルを首元にあてられて絞められたイルカみたいな声をだしてしまった。

 

「~~~っ!ちょっと!」

 

「また噛り付いてみてんの?お弁当食べなよね。はい、お茶買ってきたよ」

 

ほうじ茶のペットボトルを机に置いて、私の前の席に座る。友達がお弁当を広げはじめたのをみて、自分もお弁当を広げる。

 

「今日は何やってるの?」

 

「ビンボーマンオンラインだって」

 

友達も携帯をのぞき込んできた。イヤホンの片方を渡して二人でびーだまさんの配信を覗いている。

 

『友達と二人でお弁当食べながら観てますw』

 

『え!?二人で観てくれてるのか!ありがとね~犯罪者猫さん~』

 

コメントを打てば、すかさずコメントに反応を返してくれる。嬉しい。へへへ、と頬を緩んでいたのを見れていたのか、友達に「幸せそうだねえ」と笑われた。うっさいなあ、もう。

たまにコメントを貰えない時もあるけど、そういう時はびーだまさんが好きな話をしてる時だからそれもいいところだと思って聞いてしまう。全部コメントは拾わなくたっていい。たまにコメント拾ってくれるだけで嬉しいもん。大手の配信なんて視聴者10万とかいてコメントも何万単位だもん。それより全然マシだと思ってる。

 

『俺が勝ったからってすぐ不正とか言わないでよ、も~!違うよ、違う違うまぐれなんだって~!』

 

さっきまで視聴者が買ってたのに、びーだまさんのほうが買っちゃったみたい。逆転かな?びーだまさんが勝ったら、こうやって視聴者がいじったりもする。最近は不正って言われたりしてるけど、びーだまさんもいじられるの好きっていったから楽しそう。こういうのがワイワイ出来て楽しいっていうのなんだと思う。やっぱりびーだまさんは面白いから好きだなあ。

 

「びーだまさん、面白いよね」

 

「あんたは、びーだまさん好きすぎ。偏りすぎだから」

 

確かにあんまり他の配信者さんは見ないけど…。配信を見ながら、友達がにやにやこっちを見てくる。

 

「好きなんでしょ?配信者にガチ恋ってのもつらいらしいよ?」

 

「違うよ!もーすぐ恋愛だなんだって結びつけるんだから…」

 

私の周りの席の恋人たちをみる。共学ってだけでどうしてこんなにみんなラブラブなんだろう。彼氏のひざに彼女が乗るとか、彼女のひざまくらとか。みんながいる公共の場所でやれるほど頭が沸いちゃってるんだよ、この人たち。私がびーだまさんとそうなりたい…?いや、私どっちかっていうと一緒にゲームしたいなあ。そんな話をしていたら、友達に呆れられた。

 

「好きになったからってそういう…なんていうの?…イチャイチャしたいって欲求は後からついてくるものなんじゃない?顔も見たことのない人と出会ってすぐどうこうなりたいって、野性的だわ…」

 

「ちーがーうー!別にどうとかこうとか、そうじゃなくて!」

 

「片思いってのも楽しいし、そういうのでいいんじゃないの?」

 

「もう!そんなことばっか言うんだから!」

 

買ってもらったほうじ茶のペットボトルを飲み干して、音を立てて机に置く。お弁当も大方食べ終わったので、配信を横目にかばんにしまい込んだ。「さっさと認めちゃえばいいのに~」と面白がりながら、少し早いけど戻るね、と友達は自分のクラスへ帰って行った。配信はまだ続いている。もう、変なこというから気になっちゃうじゃん。変に意識しながら配信を見ていた。

 

 

『あ、そういえば俺、みんなに報告がある~』

 

 

『聞いてあげないこともない』

 

『なーにーw』

 

『わざわざ報告ありがとうwww』

 

「なんだろ?報告?」

 

報告があるんだ、なんてこの人が言ったことあんまりなかったのにな…と首を傾げる。

 

 

 

『俺、彼女できたあ~~!』

 

 

 

「え」

 

またいつもの冗談なんだろうか。

 

 

 

『今回はいつもの冗談じゃなくてさあ。俺、多分話すことなくなったら普通にのろけとかしそうだから、みんなにいっとこうと思って!』

 

 

 

ちょっと。え、…っと。だめだ、頭が追い付かない。自分がどんな表情をしてるんだろう。コメントもかけない。コメント欄はお祝いの言葉でにぎわっている。でも、私…。私は。

 

さっきまで恋だなんだって騒いでたのが懐かしい。

 

え、嘘じゃん。違うよ。

私、好きだったとかじゃ…なかったんだと思う。

犯罪者猫のアカウントで、「おめでとうございます」とだけ急いでコメントだけ残して、携帯をとじた。

 

 

「こんなの、…恋にもならなかった」

 

 

涙すら流れないから、これは絶対恋なんかじゃない。

 

 

 

~~~Fin~~~

 

 





【 紹 介 】

私:びーだまっていう配信者さんを好んで拝聴している。モンハンもはじめた。後日、相方の配信者・えーゆーさんの方にも同じような感情を持ったが、後日恋人がいると知り今回と同じような結果となる。失恋というほどの失恋でもないが、1週間ほど何も手につかないほどショックを受けていた。また後日、ヒナタニャンという配信者に出会い、ガチ恋過激派になる。懲りてないね、こりゃ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定