「うう……今日も朝からクライマックスな気分だよ~」
「元気だして、響。確かに今回も響は授業に遅れたけど、人としてはいいことしたんだから」
「……うん、ありがとう未来‼」
「ふふ…どういたしまして」
未来の励ましで、元気になった響は笑顔でお礼を言い。
「そういえば、今日だっけ?翼さんの新曲の発売日」
「うん‼学校が終わったらすぐに買いに行くんだ‼未来も一緒に行かない?紅輝さんも誘って晩ごはんは、おばちゃんのお好み焼きで‼」
「……ごめんね響、明日までに出さないといけないレポートがあるから、今日は無理なの」
「そっか~。じゃあまた今度ね‼」
「うん」
その後、響は昼食をとり、午後の授業を受けた。
それから数時間後、午後の授業を受け終え、放課後のHRが終わった響は、未来に「行ってくるね‼」と告げて、
学校を後にした。CDショップに向かう道中、響はふと今朝のニュースの事を思い出していた。
「(仮面ライダーによってノイズは殲滅され、自衛隊と特異災害対策機動部による避難誘導は完了しており、被害は最小限に抑えられた。ここからそう遠く離れてない。紅輝さんも最近ノイズの出現が異常に増えてるって言ってたし…新聞でも仮面ライダーや軍の人たちがノイズを鎮圧したってなってる。仮面ライダーさんはともかく、二年前私が見た奏さんたちは…やっぱり幻だったのかな?)」
響は足を止めて立ち止まる。
「(仮面ライダーさん、いつか会ってみたいなぁ……)」
響はその場で立ち止まり空を見上げる。その時、
「道のド真ん中で立ち止まるな響…危ないぞ」
「えっ?ああ‼す、すみません……って!紅輝さん!」
注意され、謝りながら後ろを振り返ると、響の知る人物が目に映る。
「まったくお前は……周りを見て立ち止まれよな」
「アハハハ……ごめんなさい、ちょっと考え事をしてて」
そう、響に注意したのは紅輝であった。惨劇後、関係を深めていく内に名前で呼び合うようになった。それは未来も同様である。
この後、響と紅輝は、近くの喫茶店へ足を運んだ。
「ごめんなさい、ジュースご馳走になってしまって」
「気にするな…ちょうど何か飲みたいと思ったからな」
「ありがとうございます」
しばらく会話もなく、響はオレンジジュースを、紅輝はコーヒーを口にする。一口飲むと紅輝は口を開く。
「そういえば…未来はどうしたんだ?珍しく一緒じゃないんだな?」
「未来は明日までに提出しないといけないレポートがあるみたいで…今回は私一人です」
「成る程な…ところで、学園生活はどうだ、楽しいか?」
「はい‼毎日充実してますよ‼」
笑顔で答える響の様子から見て嘘はないみたいだ。
「昨日未来からメールで聞いたが、お前…木から降りれなくなった猫を助けて遅刻したらしいじゃないか?」
「未来ってばそんなことまで紅輝さんに教えたの⁉︎」
「ハハハッ!、まぁ…人助けが趣味なお前らしいがな」
響はあれ以来、困った人を放っておけなくなり、人助けが趣味になっている。おそらくあの時の天羽奏の言葉の影響もあるだろうが……。
「今更なんだか、お前が通ってる高校って確か有名な音楽学校だったか?」
「そうですよ‼しかもリディアンには、あのツヴァイウィングの奏さんを輩出し、しかも翼さんが現在通っている学校なのです‼」
「ほぉ、あの有名なツヴァイウィングの、そういえば響、何か買う物があってきたのか?確かリディアンは全寮制だった筈だろ?」
「そうなんです‼今日発売される翼さんの新曲のCDを買いに外出して来たんです‼」
「そうか、所でお前そのCDは予約はしたのか?俺の考えが正しければお前予約してないだろ?」
「あっ!!確かにしてなかった⁉︎ど、どうしよう⁉︎」
響は狼狽えはじめ、紅輝はやはりかと言う表情でため息を吐いていた。
「そうだろうと思って俺がお前の分も買っておいてやった、ホラ」
紅輝はバッグから風鳴翼の新曲CDを取り出す。
「えっ?これって!翼さんの新曲のCD!しかも数百人限定の特典付きだ‼︎」
響は紅輝が取り出した物をみて驚いていた。
「…… いいんですか!これ、もらってしまって」
「構わない。俺はCDが買えれば充分だからな。お前は変なところで抜けてるからな…」
「うっ、ごめんなさい…」
『相変わらずの馬鹿具合だな…』
「うるさいぞカゲロウ…」
「紅輝さん?」
「あっ、いや…すまない、なんでもない」
紅輝は脳内で喋るカゲロウの声につい反応してしまい響はそれを不思議に思いなんとか誤魔化す。
響みたいにファンではないが歌自体は気に入っているのでよく聴いている。
「紅輝さん……CDありがとうございます‼︎」
「喜んでもらえた様でなによりだ」
残っていたコーヒーを全部飲み、響は嬉しそうに特典付きのCDを手に持つ。
そして紅輝は、響の分の代金を支払い、彼女と喫茶店から出る。片耳にイヤホンをつけ歌を聴こうとすると突然響がもう片方のイヤホンを耳に近づけ聴く、響は笑みを浮かべながら紅輝を見る。
「なんだよ?」
「紅輝さんも翼さんの曲、聴いてたんですね」
「まぁ、ファンって程じゃないが、個人的に歌がいいだけだ」
「へ~」
「……用はすんだだろ。そろそろ帰るぞ」
「あっ‼ま、待ってくださ~い‼」
慌てて紅輝を追いかける響。それから帰る道中、響は貰ったCDを大事そうに抱えながら歩いていた。
「今日はありがとうございます、紅輝さん‼」
「気にするな」
「~♪〜♪」
「ふっ…(元気に笑っていた方が響らしいな)
鼻歌を歌いながら歩く響と、その響を見ながら微笑む紅輝……だが紅輝は何かを感じ取り、表情は厳しいものへと変わった。そして響は、紅輝が止まったことに気づき、紅輝の方に顔を向ける。
「?……紅輝さん?」
紅輝の視線の先に目を向けると、そこには、大量のチリのような物があった。
「コレは⁉」
「ノイズ…………」
「きゃぁあああああ⁉」
「ッ⁉悲鳴⁉」
「あっちからか‼」
紅輝達は悲鳴が聞こえた方に走り出した。駆けつけると、1人の少女が怯えながら座りこんでいた。少女の視線の先に、大量のノイズがいたからだ。
紅輝と響は、すぐに駆け出した。響が少女を抱き抱えて奥の路地へと入っていく。
「オイ…大丈夫か?」
「うん‼ありがとう!お姉ちゃん‼お兄ちゃん‼︎」
「良かった~」
「……………………」
少女がなんともないことを知り、響は安心する。紅輝は無事を確認すると、無言のまま後ろを振り返る。振り返るとそこには、大量のノイズが迫っていた。
「……響、走れるか?」
「えっ?うっ、うん。走れますけど」
「俺がノイズの気を引く。その間にお前はその娘を連れて逃げろ」
「え?だ、ダメですよ⁉︎それじゃあ紅輝さんが!」
「いいから行け‼絶対に生きて戻ってくる…約束だ」
「…………ッ」
紅輝にまっすぐ見つめられながら言われた響は何も言えず、紅輝に言われた通り、少女を連れて奥へと走っていった。
「絶対に生きて戻ってきてよ‼︎紅輝さん‼︎」
響達が走り去ったのを確認した紅輝は、デモンズドライバーを装着する
「ノイズ共……お前らの相手は俺だ」
スパイダー!
スパイダーバイスタンプを起動し、スパイダーバイスタンプを、ドライバーの上部にあるデモンズレッドパッドに押印する。
Deal…
待機音が鳴り、腕を顔前に寄せ、バイスタンプを構える。
「変身」
ドライバーの正面のモニター、オーインジェクターに押印した。
Decide Up!
すると紅輝のとなり糸を垂らしながら銀色の蜘蛛が現れ…
Deep. (深く)
Drop. (落ちる)
Danger. (危機)
(仮面)Rider.
Demons!!
銀色の蜘蛛が糸を吐きながら跳び回り糸が紅輝を包み込み、変身が完了し、複眼が左右に一つずつ光を発する。
「うおぉぉぉっ‼」
デモンズへ変身した紅輝は、オーインバスター50を構え、ノイズの大軍に突っ込んでいく。
数時間が過ぎた。
囮となった紅輝と別れた響は、少女を連れて工場地帯に逃げていた。
「はぁ…………はぁ……わぁっ‼」
響は足がもつれて少女と一緒に倒れてしまう。何とか立ち上がるも、大量のノイズに囲まれていたことに気づく。
「そんな……⁉こんなに逃げたのに⁉」
「お姉ちゃん……あたしたち、死んじゃうの?」
絶望する響に、少女は怯えながら響の袖を掴む。
そんな少女を見て響は、少女を抱き寄せ、コンサート会場で奏に言われたことを思い出す。
『生きることを、諦めるな‼』
「(そうだ。あの日、あの時、私は間違いなくあの人に救われた──)」
―ドクン―
「(私を助けてくれたあの人は、とても優しく、力強い歌を口ずさんでいた──)」
あの時の事を思い出す響の体に、変化が起こり始める。
「(私にできること…………できること、きっとあるはずだ‼)」
―ドクン―
「(――歌が)」
「お姉ちゃん?」
「生きるのを、諦めないで‼」
響は少女に力強く言い放つ。すると、響の体が光りだす。
「(────とても、優しく、力強い、歌がッ‼)」
「
響は歌のようなものを呟いた。すると響を包むかのように、響の体から光が放出される。
「っ⁉︎あの光、それにあの方向は…まさか⁉︎」
ノイズと戦っていた紅輝もその光を目撃し、速攻でノイズを倒し、光が発した元へ急いで向かう。
やがて光がおさまると、響の姿が変わっていた。
その姿は、奏や翼と同じ装者の姿であった。
祝え、今ここに……新たな歌姫が誕生した瞬間である。