世界の壊変   作:nof

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 どうも初めまして、nofというチームでやっていきます。それでは本篇どうぞ


プロローグ、あるいはそれに準ずるなにか

「ん……ここは、どこだ?」

 

 気が付くと、俺はよく分からない空間にいた。周りには学校のような空間にショーをやりそうな舞台のある空間、ライブステージ、カフェに……ほとんどものがない白い空間もある。

 そして俺はそれらを見下ろすような、覗き込んでいるような不思議な空間にいる。どうしてこんな所にいるんだろんだろうか。さっきまで寝ようとして、布団の中に潜り込んだ所までは覚えているが。

 

「あ、気がついたみたいだね」

 

 後ろからどこか聞きなれた声がして振り返ると、あの初音ミクがいた。

 

「え、ミク? マジモンのミク?」

「うん。私は初音ミクだよ」

「すっごいけど、なんで?」

 

 ミクがいた事に驚いたが、なぜミクが実際にいるのか、そもそもここはどこなのか、気になることを聞くことにした。

 

ミク説明中……

 

 ミクの話によれば、この世界にはセカイっていう人の想いの結晶みたいなものがあって、それぞれのセカイにそれぞれのミク達がいる。

 セカイが生み出される程の何かを持った人は色んな想いを持っていて、それに関わる悩みや出来事を解決すると曲という形で導き出されるらしい。

 さっき見えた5つの空間はそのセカイそのものらしい。人らしきものは見えなかったが、今はいないだけだそう。

 

「なるほど。まだよくわからない部分はあるけど大体わかった。それで、どうして俺はここに? 想いなんてそんなご大層なものは持ってないと思うんだけど」

「それにはいくつか理由があって、君にやってもらいたいこともあるんだ」

「俺にやってもらいたいこと」

 

 思わずオウム返しをしてしまった。俺にやってもらいたいこと。全くイメージが浮かばない。そういえば、そもそもここは俺のセカイという訳ではないとも言っていた。余計にわからないな。

 

「君にやってもらいたいことは、世界を元に戻すことなんだ」

「世界を?」

「そう。このセカイっていうのは人の想いが形となったもの。想いがセカイっていう場所になって、曲になって外に出るの。それが本来の形。でも最近になってイレギュラーが起きちゃったんだ」

「イレギュラー?」

 

 俺がそう聞き返すと、ミクは困り顔になりながら話す。

 

「うん。本来はセカイを通して曲になることで形になるはずなのに、セカイがないまま曲になって、世界に影響を与えるようになってるんだ」

「それって、あのセカイみたいなのが世界に現れるってこと?」

 

 そう言ってここに来て見つけたいくつかの場所を指す。あのセカイのようなものが世界に現れるとはどういう事なのだろうか。さすがにそのままセカイが現れる訳ではないか。

 俺が自分の予想を口にだすと、ミクはさらに困り顔になる。

 

「ううん、セカイという受け皿がなくなった想いは、曲と一緒に世界を変えてしまうの。君なら思い出せるはずだよ」

 

 そう言われ、俺は現実世界のこと、ここに来る前のことを思い出す。現実世界で俺はついさっき寝ようとしていた。それよりも前はどうだったか。

 

 

 

 

 

 あぁ、そうだ。少し前からミクの歌を聴くと記憶がなくなるという噂話があった。それ自体は大した問題でもなんでもない。ただのホラ話としか思ってなかった。実際に俺はそんなことはなかったし、学校にもそんな人はいなかった。ただの噂話で終わるはずだったんだ。

 

 俺の友人の一人がそうなるまでは。

 

 そいつはテストの成績も良くなければ運動もできない奴だったけど、音楽を、特にボカロを作ることにおいては誰よりも真剣で勉強熱心だった。

 そんなあいつが突然、好きだったはずのボカロに見向きもしなくなった。それどころか作っていた筈のボカロについてすら全て忘れていた。

 あいつは自分の作った作品に誇りを持っていたから、ありえないことだった。ありえないはずだったんだ。

 俺はボカロはどうしたんだと、あんなに頑張ってただろと聞いた。そしたら返ってきたのは「ボカロ? なにそれ」の一言だった。

 あまりのショックで言葉が出なかった。そんなわけが無いと思っていたから。

 

 

 

「そうだ。あいつは、ボカロが好きで曲も作って、その作品を誇りに思ってたあいつは、ボカロを……」

「もう、すでに改変が大きく始まってるの。このイレギュラーな状況は誰かの想いと曲が歪な形で引き起こされてるっていうのは話したけど、その誰かと曲はまだわかってないんだ」

「まだわかってない? それって、今のままじゃ解決出来ないんじゃ」

「そうなんだ。だから君には解決するのを手伝って欲しいんだ」

 

 ミクはこちらを真正面から見てそう言う。確かにこの状況は、何とかして解決したい。でもどうやってやるんだろうか。まず人をどう探すのかもわからない。それに、1人でやるのはかなり難しいと思う。

 

「勿論協力する、って言いたいけど、いくらなんでも俺一人じゃどうしようもないんじゃ」

「それは大丈夫。私も協力するし、他にも協力してくれる人がいるから、その人たちとも協力して解決しよう」

 

 他にも……あの空間の人たちだろうか。それはかなり心強い。セカイを知っているなら、この現状についてもなにか共通するものがあるかもしれない。ミクも協力すると言っているし、希望が見えてきたように感じる。

 

「わかった、やるよ。これを解決して、世界を元に戻す」

 

 こっちは友人がやられてるんだ、大人しく引き下がるなんて出来やしない。

 

「ありがとう! これで1歩前進するよ。それじゃあまず世界に戻って、どういう現象が起きてるかを詳しく調べてもらえるかな。それを私に教えてくれれば、現象の元になった曲と人が割り出せると思うから」

「わかった。まず調査だな。でも、それはわかったけど、どうやってミクに伝えれば?」

 

 やるべき事と目標ははっきりしたが、ミクと連絡が取れなければまた解決が途絶えかねない。俺自身はそこまでボカロに詳しい訳じゃないから、俺一人の解決は不可能だ。

 

「あ、そういえばまだ伝えてなかったね。君のスマホの中に曲を入れておいたから、それを再生すればここに来られて、停止すれば元の世界に戻れるよ」

「……ほんとだ、知らない曲が入ってる。えーっと、UNTITLED? 曲名無し?」

 

 ミクに言われてスマホを起動し、 曲リストを見ると確かに知らない曲が入っていた。UNTITLEDなのは、曲になっていないからだろうか。それをミクに聞いてみる。

 

「うん。セカイと曲は想いと同じで繋がってるから」

「なるほど。じゃあこれで準備は……そうだ、さっき言ってた協力者ってどうすればいいんだ?」

 

 協力者がいるとは聞いているにしても、会うなりなんなりで連絡が取れなければ協力出来ないんじゃ? まあミクに頼んでミクを介するっていうのもありだと思うけど。

 

「それについては私からはあまり干渉出来ないんだ。色々な制限があるから。特に、他のセカイにはそれぞれのミクがいるから。ヒントだけ言うと、君の知ってる人の中にいるはずだよ」

「俺の知り合いに? まあ、わかった。じゃあ俺はどんな事が起きてるのか調査しながら、他の協力してくれる人を探せばいいんだな」

 

 ミクにも事情があるらしいし、ヒントをくれただけありがたいんだろう。俺の知り合いに協力者がいるなら、意外とすぐに見つかるかもしれないし。とにかく、現実世界に戻らないとな。

 

「じゃあ早速戻って色々やってみるよ。これからよろしくな、ミク」

「うん、よろしくね、弓弦君」

 

 そう言って俺はスマホで流れているUNTITLEDを止める。すると視界が少しずつ白くなって、ついには何も見えなくなった。

 

「無理やりこんな事に巻き込んでごめんね。でももう君しかいなかったんだ」

 

 最後にミクが何かを言っていた気がするが、この時俺には何も聞こえなかった。そういえば、俺はミクに名前を言っていただろうか。

 

 

 




今回のメイン書き手・奏演
サブ・白猫、もやしらいふ
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