あなたは新人トレーナーである   作:語部創太

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プロローグ

 あなたは新人トレーナーである。

 

 

 

 この春から晴れて、府中にある中央トレセン学園のトレーナーとして働くこととなった。

 

 桜舞い散る並木道を歩きながら、あなたはこの職業に就くまでの過去を思い出していた。。

 

 

 

※※※

 

 

 

 あなたは男性であり、世間的に見れば「まだまだ若造」と言われがちな年齢である。

 

 容姿は端麗というほどでもなければ、不細工と罵られるほどでもない。

 

 いわゆる平均的な顔立ちであり、同じように身長や体型も同年代の平均値からそうかけ離れてはいない。

 

 

 

 そんなあなたには、いくつかの短所と長所がある。

 

 まず短所だが、それは『優柔不断』で『お人好し』なところである。

 

 友人たちとレストランで食事をする際、メニューを考える時間が誰よりも長いくらいには優柔不断なあなた。

 この短所は、担当ウマ娘のトレーニングメニューを考える際や出走レースを決める際にも発揮され、あなたを疲れやすく寝不足にさせることだろう。

 

 小学生の頃、帰りの掃除を頼まれた際に自分が当番ではなくとも引き受けてしまうお人好しなあなた。

 この短所は、担当ウマ娘と過ごすはずだった大切な時間をその他の取るに足らない頼みごとを解決する時間に奪われてしまうことを示唆している。

 

 次に長所だが、それはあなたの『洞察力』である。

 

 頼みごとを少しでも早く解決する経験によって培われた洞察力は、ウマ娘に対しては特にその脚質・距離適性・芝適正など数多くのステータスを即座に看破することが出来るだろう。

 また、相手が何を望んでいるかも一目で見抜くことが出来るので、相手とのコミュニケーションに役立つことだろう。

 さらに、あなたの『優柔不断』さを多少なりとも軽減させる効果も期待できる。

 

 

 

※※※

 

 

 

 さて、トレーナーとして数日経ったある日。

 あなたが学園内を歩いていると、カウボーイハットを被ったウマ娘の生徒がチラシを配っているところに出くわした。

 

「バーベキューですヨー!

 よろしくおねがいしマース!」

 

 その特徴的なしゃべり方から、あなたは彼女が『タイキシャトル』だと気付く。

 トレセン学園最強のチームリギルに所属する彼女が、周りのウマ娘やトレーナーにチラシを配っている姿を見ていると、「アナタもドーゾ!」とチラシを差し出された。

 

 お礼を言って受けとって見ると、どうやら新入生のウマ娘や新人トレーナーを対象にした、チームリギル主催のバーベキュー大会が開かれるらしい。

 

 チームリギルに入部を希望する有望なウマ娘と知り合い親密になれる絶好の機会になりそうだ。

 あなたは丁寧に折り畳んだチラシをポケットにしまった。

 

 

 

---

 

 

 

 またある日。

 あなたは昼食を食べるために、カフェテリアへとやってきた。

 日替わり定食(ニンジンゼリー付き)を受け取り、空いている席を探していると、隣で「グムグム」と苦しそうな声が聞こえた。

 

 ふと近くの席を見れば、喉を押さえて顔を真っ青にしたウマ娘がいる。

 完全に窒息している。

 あなたは慌てて、そのウマ娘の背中を渾身の力でバンバンと平手で叩く。

 

「──ゴパァッ!?」

 

 と汚い音と共に口から吐き出されたのは、ニンジンまるまる1本。

 

「す、すいません助かりました、ありがとうございます!」

 

 そう言って頭を下げているウマ娘の机の上には、ジェンガよりも高く食事が盛られている。

 なるほど、この子がスペシャルウィークか。

 

 オグリキャップと並ぶトレセン学園が誇るフードファイターは、たいへん申し訳なさそうにしている。

 食い意地が張りすぎてニンジン丸飲みを試みたのがひどく恥ずかしかったらしい。

 

 あなたは気にするほどのことではないと言い、その場を立ち去ろうとする。

 しかし、スペシャルウィークの目が自分のお盆の上に注がれていることに気付いてしまった。

 

 ……。

 

「いいんですか!? ありがとうございます!!」

 

 おそるおそるニンジンゼリーを差し出すと、ヨダレをだらだら流していたスペシャルウィークの顔がパアッと輝いた。

 しかしタダで受けとるわけにはいかないと思ったのか、スペシャルウィークがうんうんと唸る。

 なお、その手はがっしりとニンジンゼリーを掴んでいることは言うまでもない。

 

「……そうだ! 今度スピカの練習公開日があるので、良ければぜひ見に来てください!」

 

 チームリギルに並ぶと言われているほど勢いのあるチームスピカ。

 そのチームの練習メニューを見れば自分に何が必要か掴めるかもしれない。

 あなたはぜひ見に行かせてもらうとお礼を言った。

 

 

 

---

 

 

 

 チームリギルの主催するバーベキューの日がやってきた。

 それと、今日はチームスピカの公開練習日でもあるらしい。

 

 あなたはどちらに行くか、考えることにした。

 

「おぅ、おめえさては焼きそば星人だな!?

 このゴールドシップ様特製の焼きそばをやろう!!」

 

「ちょっとお待ちなさいゴールドシップゥゥゥ!!!」

 

「やっべマックちゃんが来た逃げろぉい!!」

 

 ……嵐のような騒々しさのついでに押し付けられた焼きそばを見て、あなたは困惑する。

 

 さて、あなたは──

どうする?

  • リギルのバーベキューへ行く
  • スピカの練習に行く
  • とりあえずゴルシの焼きそばを食べる
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