あなたは手に持っている焼きそばを食べることにした。
美味しそうな匂いで集中が削がれるし、何より腹の虫が鳴ってしまった。
輪ゴムを外してパックを開ければ、焦げたソースの匂いが鼻孔をガツンと刺激する。
噂によれば、ゴールドシップの作った焼きそばは絶品で、レース場でのゲリラ販売はものの数分で売り切れてしまうほどの人気らしい。
どれほどまでに美味いのか。
あなたは唾を飲み込んだ。
割り箸を割り、麵をつまむ。そうして口の中に思いっきり頬張ろうと――
「……ジーッ」
――した時、あなたはどこからか視線を感じた。
「ジーッ」
というか、すぐ真横である。
身体が触れるか触れないかというぐらいの距離感に、そのウマ娘は立っていた。
「ジーッ!」
その目は焼きそばにくぎ付けになっており、閉じた口の端からはヨダレがつぅと垂れている。
「ジジーッ!!」
誰が爺だこの野郎。
あなたはため息をついた。
無言、というか思い切り声に出して自分を――というか焼きそばを見つめるウマ娘に尋ねる。
――これ、食べるかい?
「いいの!?」
言うが早いか、ウマ娘はあなたの手からパックを奪い取り焼きそばを口いっぱいに頬張った。
「おぃひ~!!」
――そうかい。良かったね。
美味しそうに食べる姿を見て、あなたのお腹がグゥと音を立てた。
「あなた、良い人!」
満面の笑みで自分を見上げてくるウマ娘に苦笑いを返す。
パックの焼きそばを半分くらい残した状態で、ウマ娘は何やらガサゴソとポケットを探り始めた。
「じゃじゃーん! コッペパン!」
掲げた手には、2本のコッペパン。
それを割り開き、中に焼きそばを詰めていく。
「焼きそばパーン!」
なるほど、頭いい。
なぜ具なしのコッペパンを持っていたかは気にしないことにして、あなたは自慢げに見上げてくるウマ娘に拍手する。
「はい、どーぞ!」
ニヘヘと嬉しそうに笑いながら差し出されたのは焼きそばパン。
受け取ると、ウマ娘はすかさずもう1つのコッペパンに残りの焼きそばを全部詰め込んだ。
「いっただっきまーす!!」
――いただきます。
モグモグと噛みしめたそれは、今まで食べたどの総菜パンよりも美味と感じる逸品だった。
あなたがその美味さを噛みしめながら食べ進めていると、ウマ娘と目が合った。
「美味しかった?」
――うん。ありがとう。
「わたし、良い人!」
――そうだね。とっても良い人だ。
笑顔の似合う良い子だな、とあなたは思う。
明るく元気なその姿に思わず頬を緩んでしまう。
あなたが、場合によっては厭らしいと思われるような笑みを浮かべている間に焼きそばパンを食べ終わったウマ娘は、どこから持ってきたのかスクールカバンをガサゴソと漁りだした。
「じゃあ、はいコレ!」
――うん?
差し出された紙を受け取ってみると、そこにはこう書かれていた。
『トレーナー契約書』
………………うん!?
あなたは驚きに目を見開き、ウマ娘と書類を何度も見比べる。
「あなた、良い人!」
――う、うん
「わたし、良い人!」
――う、うん?
「だから、今日からあなたがわたしのトレーナー!」
ちょっと何言ってるか分からない。
頭いっぱいに???だらけのあなたは――
どうする?
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目の前のウマ娘と契約する
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保留し、リギルのバーベキューに行く
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保留し、スピカの練習に行く
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断る