僧侶「バグって剣しか装備できない」   作:中村翔

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賢者という名の語り部「勇者ロト伝説」
勇者の村


ルフェ「第一章。ロトの旅立ち」

 

勇者の故郷の村のある場所。名をアレフガルド。

 

村人「こんにちわ!旅人さん!ここはアレフガルドの村よ」

 

平和そうな村。その奥に勇者の住む小屋があった。

 

「おとーさん。みんなが”旅立ちはまだか?”って聞いてくるんだけど、何のことなの?」

 

少女の目の前には平均より高めの背丈、という優男が立っていた。

 

ロト「ヤト。君は盗賊だから勇者ではないんだよ。だから旅立つ必要はない。ってみんなに言えるかな?」

 

ヤトと呼ばれた少女がクビを背ける。

 

ヤト「やだ!みんなにロトの娘は勇者にしかなれないって怒鳴られたくないもん!」

 

勇者は少女のあたまに手を置いて言った。

 

ロト「おかあさんはそんなに意気地なしじゃなかったぞ。」

 

少女は手を思いっきりはたいてこう言い返した。

 

ヤト「おかあさんは死んだ!おとうさんがザオラルで生き返らせればよかったのに!」

 

勇者の手に赤い紋章が浮かび上がった。

 

ロト「!!。まさか、バズズがこの村に・・・?」

 

村人「勇者さま!ここにおいででしたか!ささっ、祭壇に上がって儀式を再開してくだされ」

 

ロト(ここでバズズの話をしたら、ヤトが・・・。)

 

村人は勇者の手を引っ張る。

 

村人「どうなされましたか?もしやあの噂をご思案なさっているのでは?」

 

ヤト「あの噂って?」

 

村人「おお!ヤトさま!ヤト様には何も関わりのない話ですので・・・ささっ、勇者さま。儀式を再開してくだされ。」

 

ロト(しかたないか・・・。)

 

勇者は祭壇に上がると両手を組んで集中した。

 

ヤト(あの噂って何だろう?)

 

少女の関心は少年へと向いた。

 

ヤト「やあやあ少年。元気かね?」

 

少年「げっ!自称盗賊の勇者ヤトじゃん...。なんか用かよ。」

 

子供にはよく思われていないのであろう。少女はこう言った。

 

ヤト「あの噂知ってるかなって。」

 

少年「あの噂ぁ~?」

 

少年は訝しげに言ったがすぐにわかったようで

 

少年「ああ!あの噂?しらねぇなぁ!俺に聞かずにほかの奴らに聞いてみろよ。」

 

少女は納得したような”演技”をして見せた。

 

ヤト「ふぅ~ん?しらないんだぁ?村長の息子君がねぇ?」

 

少年はイラっとして少女にげんこつをして言った。

 

少年「うるせぇ!そもそも女が男に敬語以外で話してくるなよ!今度はげんこつじゃ済まねえからな!」

 

少女が目に涙を浮かべて走り去っていった。少なくとも少年にはそう見えた。

 

少年「なんだよ・・・泣くなんて卑怯だろ・・・。」

 

「なあ。」

 

少年「なんだよ。」

 

「お前なに話してたんだよ。ヤトを泣かしたなんて大人に知られたら・・・」

 

少年「ばかっ!大きな声で話すな!ヤトはあの噂を知らないんだってさ。まあ当然だよな。勇者が口止めしてんだから。」

 

「ああ。魔物がこの村に近づいてるって話か?それとも、世の中の魔物が増えてきててこのままじゃ世界中が魔物でいっぱいになるって話か?」

 

少年「両方だよ!なんかお前おかしいぞ。もしかして魔物が化けてるんじゃ・・・」

 

「ちがうって。ただ単純に」

 

ミニデーモン「メラミ」

 

「ぎゃーーー!!」

 

少年「なっ、魔物がなんで・・・!!」

 

ミニデーモン「めらm」

 

少女が後ろの枯木からミニデーモンに蹴りを食らわせた。

 

少年「な、なんでヤトが・・・。」

 

ヤト「後ろから盗み聞きしてたの!わかるでしょ!?」

 

ミニデーモン「めらm」

 

少女はひのきのぼうで殴った。

 

少年「ヤト!俺のことはいい!だから村の大人を呼んできて・・・」

 

ミニデーモン「めらm」

 

少女は再度ひのきのぼうで殴り口にさるぐつわのようにひのきのぼうで口を塞いだ。

 

ヤト「ふー。縛ろう。」

 

少女はミニデーモンを近くにあった布団のシーツで縛り上げた。

 

少年「おい・・・縛ってどうすんだよ・・・魔物は殺さないと・・・」

 

ヤト「はあ?殺せるならとっくにやってますが?ひのきのぼうで死ぬのはスライムくらいのもんでしょ。」

 

少年は掴みかかった。

 

少年「お前は勇者だろ!?勇者が魔物を殺すのに武器がひのきのぼうだったから無理でした~・・・なんて言い訳通るかよ!」

 

少女は怒ったような口調で言い放った。

 

ヤト「今そんなことはどうでもいいの。今やるべきは大人に知らせることでしょ?」

 

そんな少女に苛立ちを覚えつつも舌打ちだけで済ませた。

 

少年「ちっ!」

 

ヤト「・・・」

 

ヤト(おとうさんの結界が切れてるいま襲われたらみんな死んじゃう・・・だから)

 

少年が村に走っていったことを確認すると少女は村とは反対の方へと走っていった。

 

少年「勇者さま!む、むらに魔物が入ってきて・・・。」

 

村人A「なに?魔物が・・・?はっはっはっ!また嘘をついて!構ってほしいのは分かるが子供はもう寝る時間だぞ?それに」

 

少年「それに?」

 

村人A「魔物なんて影も形もないじゃないか。」

 

少年が後ろを振り向いてもそこにはなにもいなかった。

 

———村の手前の森

 

ベビーサタン「魔王様に勇者の首を献上するのだ!」

 

魔物たち『『『『『おおー----!!!』』』』』

 

魔物たちの見えない方からばこん!!という音が聞こえた。

 

ベビーサタン「な、なんだ!?村人だな!早くひっ捕まえろ!!」

 

『ばこっ!!』

 

ベビーサタン「どこだ!?どこにいる!?」

 

魔物たちの見えない所でばこっ!という音が鳴り続けている。

 

ベビーサタン「そうか・・・勇者の娘だな??出てこい!」

 

ヤト「さっきからここにいるでしょ?見えてないの?」

 

ベビーサタンから見て三歩先に少女が立っていた。

 

ヤト「 こ こ に い る よ 」

 

ベビーサタン「め、めらm」

 

ばこっ!!

 

呪文を言い終わる前に殴りかかった。

 

ベビ―サタン「つ、つかまえろ!!」

 

少女は魔物から常に三歩先にいてぼうを構えていた。

 

———二時間後

 

ベビーサタン「はぁ・・・!はぁ・・・!!くっ、なぜ殺さない、勇者!!」

 

ヤト「私は盗賊だよ?勇者はこの村には”いない”」

 

ベビーサタン「そんなばかな!!たしかにこの近くに勇者がいると・・・」

 

少女は折れかかったひのきのぼうをテープで補強しつつ魔物の相手をしていた

 

ヤト「いい?あなたたちが何と言おうとこの村には勇者は”いなかった”の。OK?」

 

グリズリー「ぐおおお!」

 

少女の体格を優に三倍は越えるであろうクマの魔物が立ちはだかった。

 

ヤト「やあ!!」

 

クマの魔物にはきかなかった。

 

少女は軽く舌打ちをした。

 

ヤト「ちっ...。」

 

グリズリーが少女に爪を向けたとき

 

『きいいいいん』

 

地面に亀裂が入り光が飛び出した。

 

がきん!!

 

グリズリーが大きくのけぞる。

 

ヤト「はぁぁぁぁぁぁ...!」

 

少女が大きく溜息をつくとその場から逃げ出した。

 

がきん!

 

グリズリーの体が弾かれる。

 

ベビーサタン「なんだこの光の柱は・・・。」

 

———村

 

ロト「はあ・・・おわったおわった・・・。」

 

ヤト「おとうさん!魔物が・・・」

 

村人「いま魔物?って言わなかったか?」

 

ロト「いや、なんでもない。ヤト、部屋に入ってなさい。」

 

ヤト「でも、魔物が・・・。」

 

ロト「わかってる。でも、結界はもう張り終わったんだからもう安心だろ?な?」

 

ヤト「・・・うん。」

 

少女は家へと入っていった。

 

次の日の朝明るくなり始める前に少女は起こされた。

 

ロト「ヤト・・・ヤト!」

 

ヤト「ううーーーん...なに?」

 

ロト「出発だ。みんなに気付かれる前に行くぞ。」

 

ヤト「行くってどこへ?」

 

ロト「魔王城だ。」

 

それから先はよく覚えていない。ただ、村を出るまで誰とも会わなかったということは知っている。

 

朝一番に起きているおじさんも、家畜のえさやりをしているあの女の子もいつ寝てるのかわからない村長でさえ・・・いなかった。

 

 

 

ルフェ「そしてロトはつぎの町へ」

 

 

 

賢者「バグって験(けん)しか装備できない」

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