僧侶「バグって剣しか装備できない」   作:中村翔

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雪の降る天空の塔

ルフェ「第2章。ロトの紋章」

 

勇者の村から北に少し行ったところ。

 

ロト「あの村だ。」

 

少女が前を見据えた。

 

雪の降りしきる大地の果ての村。

 

ヤト「おとうさん。魔王城に着いたの?」

 

ロト「いや。魔王城へはもう少し先に行ったところになる。」

 

勇者は地図を広げながら歩いていた。

 

村に着くころには大吹雪になっていた。

 

ロト「宿をとりたいのだが・・・。」

 

村人「一泊200Gですがよろしいですか?」

 

ロト「ああ。たのむ。」

 

少女が部屋に入りベッドに腰かけた。

 

ヤト「ふっかふっか!今日の宿はあたりだね。」

 

ロト「こんな北の大地に客は滅多にこんだろうからふかふかなのはあたりまえだ。」

 

勇者は荷物を置くと靴を脱いだ。

 

少女もそれに続き靴を脱ぐ。

 

ヤト「くさい・・・。」

 

少女の感想も納得できるにおいだった。

 

ロト「一月歩き詰めだったんだからあたりまえだ。」

 

ヤト「ねぇおとうさん?ロトの剣見せて?」

 

勇者は腰から剣の鞘を外して少女に渡した。

 

少女はまじまじと剣を眺めてこう言った。

 

ヤト「これがあの、ドラゴン特攻がついてるけどドラゴン以外の敵には銅の剣よりも切れないっていう伝説の剣かぁ。」

 

勇者は残念そうにこう答えた。

 

ロト「もし、オリハルコンがもう一つあってこの剣を研ぐことができたら最強の剣なんだがな。」

 

村人「メシができたからおりておいで」

 

少女たちはご飯を食べ終わると眠りについた。

 

ロト「zzz......zzz......」

 

———ここは夢の中

 

ヤト「だれ?」

 

———私は夢の妖精さん

 

ヤト「妖精さんがなんのごよう?」

 

———あなたの秘密、教えてあげる

 

ヤト「秘密?なんだろ。」

 

———あなたの左手の甲

 

ヤト「?。左手の・・・甲・・・?」

 

———ロトの紋章が隠れている

 

ヤト「ほんとに!?お父さんとおんなじ紋章!?」

 

———目覚めなさい勇者ヤト

 

気が付いた時には夢から覚めていた。

 

勇者はすでに起きていて、顔を洗っていた。

 

ロト「ヤト・・・。顔洗わない方がいいぞ・・・めちゃめちゃ痛い。」

 

そう言った勇者の顔は若干膨れていた。

 

少女は左手の甲をみた。

 

ヤト「・・・」

 

ロトの紋章は浮かんでこなかった。

 

勇者の手の甲をみた

 

くっきりとロトの紋章が刻まれていた。

 

外の吹雪が止んでいた。

 

ヤト「おとうさん!外行ってくるね!」

 

少女は外に出ると遠くの方に見える塔を見た。

 

はるか先にそびえる塔。

 

ヤト「でっか・・・。」

 

少女が歩いて近づいていこうとした

 

「おねえちゃん・・・。」

 

ヤト「えっ・・・?」

 

小さな男の子が少女を見上げていた

 

「うっ・・・ひっく・・・お姉ちゃんがいない・・・。」

 

ヤト「どうしたの?」

 

「お姉ちゃんがいないの・・・」

 

ヤト「どこに行ったのか心当たりはない?」

 

男の子は塔を指さしてこう言った

 

「あそこ」

 

ヤト「・・・」

 

「うっ・・・おねえちゃん・・・」

 

少女はこの時深く考えずに行動していた。

 

なぜ、女の子が”一人”であんな塔に行ったかなんて。

 

ヤト「わかった。私が連れ戻してあげる。」

 

「ありがとう・・・ひっく」

 

少女が走って塔へと近づく。

 

ヤト「はあ・・・はあ・・・。」

 

息が苦しい。

 

喉が痛い。

 

体力の限界を感じる。

 

ヤト「はあ・・・ついたか・・・。」

 

下から見上げる塔は雲よりも高く人が一人は入れるかという細さ。

 

ヤト「登ったのか・・・?」

 

周りを見ても誰もいないし気配もない。

 

ヤト(少しだけ登って様子を見るか)

 

中に入って上をあらためて見てみる

 

ヤト「たっかいなぁーーー・・・。」

 

螺旋状の階段を歩いてゆく

 

ヤト(いない?)

 

気配はない。しかし声は聞こえる。

 

「ひゃーーーっでっけぇだべなぁ・・・。」

 

声は上からと思われる。

 

ヤト「おぉーーーーーい!降りておいで―――――!」

 

「なっなんだべさ!どこから声が聞こえるんだっぺ!?」

 

ヤト「したしたーーーーー!一階にいるよーーー!」

 

「だべ!?そんなら降りてみるべ!まっててくんねーーー!?」

 

ヤト(訛りがひどい・・・。あっ、いや、独り言独り言。)

 

たったったっ!

 

女の子の足音が響いていく・・・。

 

たったったっ!

 

女の子の足音が近づいていく・・・。

 

たったったっ!

 

女の子の

 

どんっ!!

 

『あいたーーー...。』

 

「ごっ、ごめんだべ!わたさ、前見てなくって!」

 

ヤト「ダイジョーブダイジョーブ。弟くんが心配してたよ?帰ろう?」

 

「おとうと・・・だべ?わたさ、一人っ子で・・・。」

 

ヤト「ん?一人っ子?」

 

ひゅーーーーーーーーー......。

 

ふいに空気を斬る音が響いてきた。

 

どしん!!

 

ぐおおおおおおおおおおおん

 

ヤト「さ、下がって!」

 

落ちるように降ってきたドラゴンがしっぽを地面にたたきつけた。

 

ヤト(武器はない・・・使えるものと言ったら・・・コンパス(丸を描くやつ)くらいか)

 

少女はコンパスを握ってドラゴンへと突進した。

 

ぐおおおおおおおおおおおん

 

ヤト(効いてないどころか刺激しただけ・・・!)

 

ドラゴンが不愉快そうにしっぽを少女にたたきつけた。

 

ヤト「がはっ!」

 

少女の体躯がたたきつけられる。

 

ヤト「はぁ・・・はぁ・・・。」

 

ヤト(目がかすむ・・・ここで私・・・死ぬ・・・のかな?)

 

ここで少女の意識がぷっつりと途絶えた。

 

次に目覚めたときには宿屋のベッドの上だった。

 

ヤト「おとうさん・・・あいたた・・・。」

 

ロト「ベホマかけたとはいってもまだ動いちゃだめだ。今日は消化に良いものを食べなさい。」

 

少女はうつらうつらとしつつ話を聞いていた。

 

ロト「しかし、ロトの紋章が浮かび上がるなんて。まあ、いずれはとは思っていたけど・・・。」

 

ヤト「?」

 

少女は左手の甲をみつめた。

 

ヤト(あっ・・・紋章が)

 

ロトの紋章が浮かんでいた。

 

 

 

ルフェ「そして勇者は魔王へ挑む」

 

 

 

賢者「バグって験(けん)しか装備できない」

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