僧侶「バグって剣しか装備できない」   作:中村翔

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魔王城

ルフェ「第3章。魔王城」

 

吹雪がだんだんと強まっていくのがわかる。

 

ヤト「おとーさん。私も戦おうか?」

 

丁度シルバーデビルとの戦闘が終わったところで勇者に話しかけた。

 

ロト「うーん。このくらいならおとうさん一人で大丈夫だよ。」

 

少女の肩に手を置いてそうつぶやいた。

 

ヤト「でも、おとうさん、さっきから30回以上は連続で戦闘してるけど・・・。」

 

ロト「うん。でも、それももう終わりかな。ほら、あれ。」

 

勇者の指の先には城のようにおおきなたてものがみえていた。

 

が、すぐに吹雪に搔き消されて見えなくなった。

 

ロト「もう見えてるから......すぐに・・・」ばたっ

 

勇者は倒れてしまった!

 

ヤト「おとうさん!?」

 

ヤト(私にルーラは使えないし、近くに建物があるとは思えない)

 

少女は棺桶を取り出して勇者を中に詰めた。

 

勇者は棺桶に入っている間は死ぬことがない。

 

少女は少しだけ重たい棺桶を押し始めた。

 

ヤト「うん・・・しょっ!」

 

途中魔物に出会わなかったのは女神の加護のおかげだと思う。

 

それにしても軽い。棺桶に何も”入ってない”かのように。

 

城の前まで来た。

 

魔王城に入ったらさすがに少女に手の終える魔物はいない。

 

ヤト(おとうさんの勇者メモ・・・)

 

少女は勇者の懐からメモ帳を掠め取った。

 

ヤト(世界樹の葉を乗せて呪文を唱える?)

 

少女はメモに書かれた葉っぱを勇者に乗せて唱えた。

 

ヤト「女神の加護を受けし者。汝、再度女神の加護を受けもう一度立ち上がらん。」

 

勇者は生き返った!

 

ロト「......すまん。もう少し前にキアリーを唱えるべきだった。」

 

ヤト「...おとうさん・・・!!」

 

少女は泣きながら勇者に抱き着いた。

 

ぎぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・!!

 

魔王城の門を開けた。

 

音が”静かに”鳴っていた。

 

無音。音がそこにいる。

 

そこにないはずの音が鳴る。

 

ロト「これが魔王の威圧感・・・!城に入っただけで・・・!」

 

音のない音を感じる。威圧感。

 

ヤト「おとうさん...こわいよ・・・。」

 

ロト「ヤト。忍び足を唱えて。」

 

少女は盗賊の基本スキル”しのびあし”を唱えた。

 

ロト「いいか?ヤト。おとうさんが戦闘中、魔物に触れてはいけないしおとうさんに話しかけちゃだめだ。そうすれば忍び足の効果中魔物がヤトを襲うことはない。」

 

ヤト「はぁーい」

 

勇者が剣をかまえた。

 

ヒドラがあらわれた!

ロトはバイキルトを唱えた!

ロトの攻撃力が二倍になった

ヒドラのこうげき!ロトに87のダメージ!

ロトのこうげき!ヒドラに137のダメージ!

ヒドラはかえんのいきをはいた!ロトに62のダメージ!

ロトのこうげき!ヒドラに122のダメージ!ヒドラをたおした!

3090のEXP95GOLDてにいれた

 

ヤト(こわい・・・)

 

先へ進むごとに瘴気が増していく。

 

ロト「ヤト?ベホイミ!」

 

ヤト「はっ!意識が・・・」

 

ロト「さすがにもう3階だからな。瘴気に当てられたんだろう。」

 

勇者はㇳへロスを唱えた。

 

ロト「これでしばらくは大丈夫だ」

 

ヤト「最初っから唱えてよね」

 

鍵のかかった部屋を見つけた。

 

ロト「ヤト。開けれるかい?」

 

ヤト「かんたんかんたん~!」

 

少女がドアに針金をつっこむと針金をクイっとひねった。

 

がちゃり

 

三秒もたたないうちにドアの鍵を開けた。

 

少女がドアを開けると炎の塊が飛んできた

 

ロト「マホカンタ!」

 

炎が跳ね返った!

 

『ほお。いまの攻撃に対応するか。』

 

ロト「魔王・・・!!」

 

ヤト(あれが魔王?)

 

ドラゴンのような杖を携えた老人のような不気味な魔物。

 

竜王「ワレはりゅうおう。汝は勇者か?まったく、何人勇者を送り込めば気が済むのだ。」

 

ロト「りゅうおう。最近魔物が増えているのは知っているか?」

 

竜王「ああ。なんせ」

 

『ワレが作っているのだからな』

 

竜王「ほう。元凶を断つのが早いという判断か?安直だな、勇者よ。して、汝の名はなんだ?」

 

ロト「ロトだ。」

 

魔王の眉が動いた気がした。

 

竜王「嘘を吐くでない。ロトの一族は10数年前にバズズという輩が村ごと焼き払ったと聞く。」

 

ロト「知っているか。そのバズズを討った勇者の名を。」

 

竜王「なに?バズズが死んでいるわけがなかろう。現に私のところに毎回手紙が届いておる。」

 

ロト「気付かなかったのか?その手紙は偽装されたものだと?」

 

竜王「ふっ、何をたわけたことを。手紙にはローレシアの秘匿情報が書かれていたぞ。おかげでたやすく落とすことができた。」

 

ロト「そう。ローレシアには特に重要な施設はなかった。」

 

竜王「なにぃ!?き、きさま!まさか、味方を売ってワレに近づいて・・・。」

 

勇者の剣を抜き、こう言った。

 

『おかげで近づきやすかったよ。』

 

もはや、勇者かどうかもわからなくなっていた。

 

魔王は怒りのあまりドラゴンの姿へと変貌を遂げていた。

 

りゅうおう「この姿になるとわれモジガガタモテナクナル...ぐ・・・ぐぉぉぉぉぉ!!」

 

勇者と魔王の戦いは明るくなるまで続いた。

 

魔王は片目がつぶれ、翼も捥げていて、勇者は腕が片方動かなくなっていた。

 

りゅうおう「われヲココマデオイツメルトハ...。」

 

ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

魔王が咆哮とともに剣に嚙みついた。

 

ロト「ライデイン!!」

 

勇者の剣から稲妻が走る。

 

ロト「ギガ・スラッシュ!!」

 

勇者の剣が魔王を口の中から貫いた。

 

ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

魔王城が崩れる。

 

ロト「ヤト!」

 

ヤト「おとうさん!」

 

勇者は少女の手を掴むとルーラを唱えた。

 

魔王城が崩れる様を外から眺めていた。

 

しばらくすると火がついたのか煙が燻ぶり、やがて崩れ落ちて消えてしまった。

 

ロト「さて、帰ろうか。家でヤトのシチューでもすすりたいよ。」

 

ヤト「うん!」

 

その大陸の船着き場で船を待っていた。

 

ロト「ヤト。船は一日待たないと出港しないんだってさ。宿をとったからそこに行こう」

 

ロト「ヤト?疲れて眠っちゃったか。」

 

ロト「おやすみ。ヤト。」

 

ロト「・・・」

 

ロト「・・・」

 

ロト「zzz」

 

魔王「勇者は無事に魔王を打ち倒しました。」

魔王「そして勇者ロトは娘とともに故郷へと帰り」

魔王「しあわせにしあわせに永遠に眠ってしまいましたとさ。」

魔王が勇者の剣を掴み呪文を唱えました。

魔王「勇者ロトは幸せに故郷で眠りましたとさ。」

魔王の手からでた魔法の刃で勇者は胸を貫かれました。

魔王「勇者は動かなくなってしまいました。」

魔王「ロト伝説の終わりはBAD END ではありません。」

魔王「この大地の隅から隅まで魔物が支配する楽園になったのです。」

魔王「ロトの剣はもらっていくね?勇者?」

魔王は羽を広げて飛び立っていきました。

ロトの伝説はこれでおしまい。

ほんとのほんとにおしまいなのです

 

 

 

賢者「バグって験(けん)しか装備できない」

 

 

 

ルフェ「これがロト伝説のすべて。ヤトはなんであのとき剣を抜かなかったの?」

 

盗賊「・・・」

 

スライム「ぐすっ・・・。」

 

僧侶(なんも言えない...)

 

盗賊「だってしかたないじゃん...私は勇者じゃないから。」

 

スライム「ぐすっ...なにいってるの?ヤトは物語の登場人物で盗賊ではないでしょ?」

 

盗賊「おとうさん・・・うっ。うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

盗賊は泣き出してしまった。

 

スライム「盗賊...。ちょっとなだめてくるから、僧侶はここにいて。」

 

スライムたちは出ていった。

 

ルフェ「わかってる?ゆ、勇者の娘の正体。」

 

僧侶「正体・・・?今の話に娘の正体は・・・」

 

ルフェ「あ、あの娘が『ヤト』・・・です。」

 

僧侶「!?。そんな馬鹿な!あの娘はシエスタで私の知り合い・・・。」

 

賢者は本をぱらぱらとめくり、僧侶に手渡した。

 

シエスタ『ねえ勇者?結婚しようか?』

シエスタ『勇者?おいしい?』

シエスタ『娘の名前は何がいいかな?』

シエスタ『あいたた...ヤトはやんちゃさんだな。』

シエスタ『ねえ?なんか眠くなってきちゃった。』

こうして勇者シエスタは幸せに天寿を全うしたのです。

 

僧侶は本を真っ二つに破いた。

 

僧侶「あっ、ごっ、ごめん!つい......。」

 

ルフェ「い、いいんだよ。この本はそういう運命だったから。」

 

スライム「ぐすっ、盗賊先に町に戻ってるって。どうしたの?」

 

僧侶「・・・」

 

ソーシュは部屋を飛び出した。

 

ルフェ「彼女の左手の甲・・・見た?」

 

スライム「手袋しててみたことは・・・あっ、」

 

ルフェ「早くした方がいいよ。彼女がいなくなる前に。」

 

スライムが後を追って部屋を出た。

 

ルフェ「これで賢者は歴史上に現れることはなくなる・・・か。」

 

———ノークライムの町

 

盗賊「私は勇者なんかじゃ・・・ぐすっ。」

 

僧侶「シエスタ!」

 

盗賊「?。僧侶?ママの名前、なんで・・・。」

 

僧侶「そう・・・そうなんだ。やっぱり。あなたはシエスタの娘で物語に出てきたヤト・・・なんだね?」

 

盗賊「そう・・・だよ。ママが盗賊だったから私も盗賊で・・・」

 

僧侶「ヤト...私たちと旅をしない?」

 

盗賊「旅?」

 

僧侶「そう。三人で魔王を打ち倒すの。それで、王様から報奨金をもらって楽して暮らす。どう?」

 

スライムのタックル。

 

盗賊「こんな私でも、私なんかでも、魔王を倒せるかな。」

 

スライム「たおせるよ。たぶんね。」

 

 

 

僧侶「バグって剣しか装備できない」 FIN.

 

 

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