僧侶「バグって剣しか装備できない」   作:中村翔

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霞の降る地~世界樹頂上

霞の降る地――――

 

いってて・・・。

 

盗賊「いったー!尻餅付いた!」

 

霞があたり一面満たしている。

 

僧侶は腕をすりむいている。

 

僧侶「いてて。なんで私ばっかり・・・。」

 

 

どうやら洞窟の中のようだ。

 

盗賊「ここが霞の降る地?霞ってきりのこと?」

 

確かにきりのようではある。

 

僧侶「霞は明け方に湿気の多いとき見られる現象できりとはちょっと違うかな。」

 

盗賊「とりあえず先に進んでみようよ。試練ってここでもあるんでしょ?」

 

ざっざっざっ。

 

ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

妖精「きゃあ!」

 

少女にも似た小さなものがモンスターに襲われてる。

 

僧侶「助けるか。」

 

 

グレムリンたちが現れた!

盗賊の攻撃!グレムリンAに45のダメージ!

僧侶は構えてる。

グレムリンAのこうげき!僧侶の反撃!グレムリンAに28のダメージ!

グレムリンBはメラミを唱えた。僧侶に67のダメージ!

盗賊のこうげき!かいしんの一撃!グレムリンAに92のダメージ!

グレムリンAはたおれた!

僧侶はかまえてる。

グレムリンBのこうげき!僧侶の反撃!グレムリンBに30のダメージ!

盗賊のこうげき!グレムリンBに47のダメージ!

「くけけ。このニンゲン旨そうな匂いしてやがる。ここは引いておくか。けけ。」

グレムリンBはにげだした!

グレムリンをやっつけた!

74EXP 47GOLDてにいれた。

 

 

ざざざー---・・・「メラミ!メラミ!メラミ!どう?落ち着いた?」

 

 

 

妖精(?)「ありがとうございました。まさかとは思いますが妖精の羽根が目当てじゃない

ですよね?」

 

盗賊が妖精の羽根をつまんだ。

 

妖精(?)「きゃあ!やっぱり!妖精の羽根で一攫千金を企んでたのね!」

 

盗賊「いや、妖精なんて初めて見たから本物かどうか確かめただけだよ。」

 

僧侶「盗賊はドーピングしなくても強いもんね?30LVだっけ?」

 

妖精(?)「それは失礼しました。私の名は三護(さんご)三護と呼んでください。」

 

僧侶「さて誤解も晴れたことだし村に行こうか。三護は知らない?」

 

三護「それでしたら私たちの・・・いえ、今は私の・・・でした。家にご案内しましょうか?意外と安全ですよ。」

 

僧侶「頼む。もうMPがすっからかんなんだ。」

 

洞窟の中を上へ上へ登っていく。

 

三護(気を付けてください。ここら辺にグレムリンの巣がありますので。)

 

グレムリンが一匹通りがかった。

 

「ん?この匂い・・・なんだいつもの妖精か。無視無視。」

 

僧侶(無視されとるー!)

 

三護「まああの程度ならワンパンでのしちゃいますけど、ここで戦うとざっと10匹には囲

まれますからね。相手にしちゃだめです。」ギリッ

 

三護が奥歯を噛みしめる音が響いた。

 

三護「さあようこそ!私の家A3へ!」

 

僧侶「ん?A3?」

 

三護「AつまりアジトのAですよ!A3つまり私は家が三軒以上あるのですよ!えっへん!」

 

普通の人間の家に見える。よくみると人間用のお皿に交じって妖精サイズの食器が置いてある。

 

よくできてる・・・。見とれるほどに。

 

三護がコーヒーを入れてくれた。

 

ごくごく。ぷはー!生き返る。

 

三護「3GOLDです。」

 

ちゃっかりしてる。二人分6GOLD払った!

 

ベッドはさすがに妖精サイズはないようだ。

 

ふと本棚に目をやる。妖精の殺し方・・・?手書きの手記のようだ。

 

三護「ふんふーん♪」

 

盗賊「おお。椅子まで妖精サイズ・・・。」

 

こっそり読んでみることにした。

 

 

 

ぺらっ。

妖精の殺し方。

妖精は毒がある。

殺すときにその毒を吸ってしまったらせっかくレベルがあがっても意味がない。

そこでだ。妖精の毒の元である羽根を致死量に満たない量しかでない”眠ってる間”にとってしまうのだ。

あとは簡単だ。虫かごにでも入れて・・・。

この先がかすれて読めそうもない。

パタン。僧侶は本を本棚にしまった。

 

 

三護「お泊りいですか?15GOLDになります。」

 

盗賊「ちゃっかりしてるなー。」

 

僧侶「・・・・・・・。」

 

盗賊「どったの?顔色悪いよ?」

 

僧侶「ほかの妖精はどうしたの?」

 

三護「!!!。ど、どうしたとは?」

 

僧侶「もういい。寝る。」

 

バタン!扉を勢いよく閉める。

 

盗賊すら入れない気だ。

 

三護「・・・あれを見たんですね。」ボソ

 

 

 

♪ー♪♪ー♪♪♪-♪ーー-

 

 

 

夜が明けた。

 

盗賊「あさだー!」

 

僧侶が寝ぼけ眼でドアを開けた。

 

三護「・・・おはようございます♪モーニングサービスは30GOLDです。」

 

僧侶「いらな・・・。」

 

めらめら・・・。煙が立ち込めている。

 

「けけー!ここにいると思ったぜ!ニンゲン!でてこないと焼け死ぬぜー。」

 

盗賊「あっ僧侶!」

 

僧侶がグレムリンたちの前に立った。

 

「けけー。この数を一人でさばききれるとでも・・・。」

 

どかっ!僧侶の正拳突き!グレムリンAはたおれた!

 

「な、なに???一撃だと!?あいつは確か反撃しかしないから弱ったところを魔法でと

どめを刺せばいいはずじゃ・・・。」

 

「さがれ。」

 

白い体毛に猿のような見た目であるはずのシルバーデビルの亜種。紫の体毛で覆われた悪魔族。バズズ。

 

「お前の目的はこれだろう?」

 

バズズの手にはかごが握られていた。かごの中に二匹の妖精。

 

僧侶「!。・・・。・・・。・・・。」

 

「一対一だ。お前の度胸を讃えて一対一で勝負してやろう。」

 

こくっ。僧侶はうなづくとかまえた。

 

 

バズズがあらわれた!

バズズのこうげき!僧侶に27のダメージ!

僧侶の正拳突き!バズズに78のダメージ!

バズズのこうげき!僧侶に34のダメージ!

僧侶の正拳突き!バズズに82のダメージ!

バズズのイオナズン!凄まじい爆発が僧侶を襲う!僧侶に138のダメージ!

僧侶のベホマズン!僧侶の傷が完全に回復した!

(ベホマズンだと!?僧侶を極めし者か!!)

僧侶はかまえている。

バズズの痛恨の一撃!僧侶は反撃した!バズズに158のダメージ!

バズズはたおれた!

4400EXP 240GOLDてにいれた!

 

「バズズの野郎がやられちまった!この土地を放棄する!お前ら!引き揚げろ!」

僧侶「妖精さん!」

 

バズズのかごを開け放った。

 

だが、もう遅かったようだ。

 

三護「妖精は羽根からMPつまりマジックパワーをひきだして戦います。この二人も抵抗したんでしょう。MPが空に・・・それが死因です。」

 

盗賊「そんな・・・!!あんまりだよ・・・!!せっかく助けたのに・・・。」

 

僧侶「人の世に理不尽はつきものだよ。三護だけでも助けられてよかったと思うしかない。ないんだ。」

 

めらめらと燃えていた家がまだ燃えている。

 

三護「霞の試練を越えたのはあなたたちが最初です。」

 

僧侶「・・・。」

 

盗賊「・・・。」

 

三護「冒険のとびらはこの先です。さあ勇者?旅立って。」

 

僧侶たちは無言で旅のとびらに入った。

 

僧侶LV,20  盗賊LV,35

 

霞は目の前を曇らせるばかり。

 

 

ぽわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

陽射しが降り注いでいる。

 

盗賊「ここが最後の試練。陽の降る地。」

 

僧侶「でもなにもない。ただただ原っぱが広がってるだけ。ん?」

 

目の前にお墓がある。

 

故・護(まもる)ここに眠る。

 

お墓に鍵と手紙が供えられていた。

 

ぺらっ

 

試練を乗り越えた証。最後の鍵。有効にお使いください。

 

※護は死んでません!寝てるだけです!最後の試練を待ちすぎて寝ました。

 

最後の鍵を手に入れた!ふくろにしまっておこう。

 

盗賊「これで世界樹に登れるね。」

 

僧侶「ああ。世界樹のてっぺんにはおいしい実がなって・・・。」

 

盗賊「それが目的?私と半分こね?」

 

ルーラ!盗賊の町へ!

 

――――盗賊の町

 

盗賊「装備揃えようかな。せっかくだしカシラにもあっておくね。」

 

盗賊  シエスタ

ぶき:キラーピアス

よろい:光のドレス

たて:まほうのたて

あたま:毛皮のフード

アクセ:はやてのリング

 

僧侶「・・・やっぱりダサいよそのフード。」

 

「いらっしゃい!いらっしゃい!なんとこのぎんのかみかざりが今なら1000GOLD!買うかい?」

 

僧侶「ちゃりん。」

 

「まいどあり!」

 

僧侶「盗賊これ。」

 

盗賊にぎんのかみかざりを渡した。

 

盗賊「へ?私今日誕生日じゃないけど・・・?」

 

僧侶「毎日が記念日。」

 

盗賊「は?ま、まあくれるんなら貰うけど・・・。」

 

盗賊はぎんのかみかざりを装備した。

 

盗賊「じゃあ、ちょっとアジトに行ってくるね。」

 

ひとりか・・・。寝よう。

 

NPC「おとまりですか?45GOLDになります。」

 

ちゃりん。

 

・・・。・・・。・・・。

 

夜も更けてきた。そういえば私はどこから来たんだっけ?

軽い混乱にも似た記憶喪失が襲い掛かってくる。

 

考えるのはやめよう。今は寝て明日は世界樹だ。

 

おいしい木の実♪おいしい実♪

 

♪-♪ー♪-♪ー♪♪♪ー

 

 

盗賊「ソーシュ!お待たせ。じゃあいこうか?」

北の世界の塔へ

 

ガチャリ。最後の鍵を使った。

 

なかには木の幹がそびえている。

 

塔を上ると世界樹の頂上にいけるってことか。

 

盗賊「ねえ?ソーシュ。おなかすかない?」

僧侶「そんなに。」

 

一割登った。

 

盗賊「ねえ。ソーシュ。喉乾かない?」

僧侶「ぜんぜん。」

 

三割登った。

 

盗賊「あっ、おやつ食べる?」

僧侶「たべないよ。」

 

五割登った。

 

盗賊「お昼ごはん食べない?」

僧侶「たべない。」

 

7割登った。

 

盗賊「ほらほら!このマカロンおいしそうでしょ?」

僧侶「そうだね。」

 

9割。もうそろそろ頂上だ。

 

盗賊「あっこれ魔法の粉なんだけど、フルーツに掛けたらおいしいって。」

「まったぁ!!!」

盗賊「ちっ。」

 

盗賊(?)「そいつバズズの手下だよ!妖精の毒で僧侶を殺そうとして・・・。」

 

盗賊「いいがかりだね。そっちこそ飛び降りて死ねば?」

 

盗賊(?)「なっ!?正体ばれたからって悪態つかないでよ!」

 

盗賊「僧侶にはどっちかわかるよね?」

 

僧侶「果物ナイフって装備じゃないから持てるんだよね。」

 

盗賊(?)「な、なに??果物??」

 

ざくっ。盗賊(?)の腹にナイフを刺した。

 

盗賊「やっぱりね!こっちが本物だってわかってたんだよね?」

 

ざくっ!盗賊の背中にナイフを突き立てた。

 

盗賊「ぐふっ!な、なんで!」

 

「なんでわかったんだぁ!!!!」

 

グレムリン二匹の死体の上で笑っていた。

 

僧侶「ハハハ!妖精の羽根は幻覚作用があるの知らないの?つまりどっちも殺す気だっ

たってことだよ。」

 

グレムリンの懐からは変わり果てた三護が見えていた。

 

上へ上へ。上る登る。

 

世界樹の塔最上階。

 

世界樹の実を拝借して。

 

世界樹の実を天に掲げた。

 

!。吸い込まれ・・・。

 

 

 

またきたのかソーシュ。残念だけど反射世界は工事中だよ。通り抜けるだけならOKだけど。

 

僧侶「行く。」

 

ざっざっざっ。

 

ひゅー----!

 

どしん!!

 

戦士「あいたたー・・・。って僧侶!」

 

僧侶「誰だよ。」

 

ゴン!!!

 

さやのままで剣で殴った。

 

僧侶の混乱が解けた!

 

僧侶「てて・・・。っここはどこ?」

 

戦士「世界のへそに吸い込まれて・・・竜星が入ってきたんだけどそれから足元が崩れてひゅーって。」

 

僧侶「今までずっと落ちてたのか」

 

戦士「ん?ずっと?ついさっきの話じゃん。」

そうか。私は竜星にレベルと装備を食われたけど、戦士は時間を食われたんだ。

 

僧侶「レベル50とか羨ましいんだが?」

 

戦士「レベル・・・うそでしょ・・・?レベル1じゃん・・・。」

 

コチラダーマ神殿→

 

僧侶「せっかくだから転職しよう。」

 

反射世界を越えてダーマ神殿へ

 

僧侶LV,20  戦士LV,1

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