ムジツさんは今日も無実   作:じゃん@論破

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その3:白い忍者泥棒事件
第1話「笑いたきゃ笑えよ」


 

 風はおだやかに吹き抜け、雲はのびのびと漂う。心地良い陽気である。私立伊之泉杜(イノセント)学園高等部校舎の屋上で、牟児津(むじつ) 真白(ましろ)瓜生田(うりゅうだ) 李下(りか)は並んで腰かけていた。

 牟児津は肩口に切り揃えたざくろ色の髪を高い位置で2つに結び、半袖の白いブラウスと濃いベージュのミニスカートを着ている。手にはこぼれそうなほど大きなあんパンを持っていた。

 瓜生田は、艶やかな黒色の髪を眉の高さで平らに切り、後ろは腰まで伸ばしている。七分袖のブラウスの上にピンクのリボンをかけ、膝下丈のロングスカートを履いている。膝の上に包みを開き、お手製の弁当を広げていた。

 

 「いい天気だね。空が広いや」

 「そうだねえ」

 

 今は昼休み。午前の疲れを癒やし、午後に向けて英気を養う時間だ。ほとんどの生徒は昼食を摂り、学友との会話に花を咲かせるだろう。牟児津と瓜生田もその例に漏れず、ゆっくり食事ができる場所を求めて屋上までやって来たのだった。ここは2人の他に誰もいない。この静かな屋上を二人占めしているということが、清々しさをいっそう増しているのかも知れない。今時分は少し暑くなってきて、日陰にいるのがちょうどいいくらいだ。牟児津はあんパンの包みを開けた。自分の顔くらいあるサイズのパンに、大きく口を開けてかぶりつこうとする。

 

 「いただきま──」

 

 

 しかし、その口がパンに届くより早く──ばんっ!と大きな音がした。

 

 

 「うわっ!?」

 

 反射的に音のした方を見る。校舎から屋上に出るためのドアが勢いよく開け放たれた音だ。屋上から校舎の中は、影になっていてよく見えない。誰かがドアを開けたのだろうが、その誰かが見当たらない。どういうことか理解するよりも早く、影の中から()()は飛び出してきた。

 

 「えぇっ!?」

 

 人だ。女の子だ。制服を着た女子生徒だ。()()は弾丸のような、あるいは暴走特急のような速度で──少なくとも牟児津にはそう感じられた──光あふれる屋外へ飛ぶように躍り出る。

 そして、牟児津に飛びかかった。

 

 「うわなんqあwせdrftgyふじこlp!!?」

 「わっ!わわわっ!?」

 

 飛びかかった女子生徒と絡まり合いながら、牟児津は屋上をごろごろ転がった。何がなんだか分からない。とにかく目が回るばかりだ。やっと回転が止まって気が付けば、牟児津は謎の女子生徒に組み伏せられていた。

 

 「ム、ムジツさーーーん!?」

 「うぅん……?」

 

 瓜生田は敏感に危機を察知し、とっさに動線から外れて事なきを得ていた。逃げ遅れた牟児津は頭の痛みを感じつつ目を開く。眼前には、女子生徒の必死の形相があった。

 

 「ひえっ……!?な、なんですか……?」

 「返して」

 「へぇ?」

 「返して!」

 「なにを!?」

 「盗ったもの!返しなさい!」

 「あわわわわわっ」

 

 牟児津はマウンティングされながら頭を揺さぶられる。状況の理解に努めようとする思考が物理的に掻き乱される。牟児津に跨がる女子生徒はやや興奮状態で、自分が揺さぶるせいで牟児津が答えられないことに気付いていない。慌てて瓜生田が止めに入る。

 

 「どうどう。落ち着いてください。それじゃ話せませんよ。ほら、降りて」

 「えっ……?あっ、ちょっと……!」

 

 突然の襲撃を受けた上に脳を揺らされ、牟児津は完全に伸びていた。謎の女子生徒は、瓜生田に肩を触られて初めてその存在に気が付いたらしい。驚いて力が緩んだのを見逃さず、牟児津は這うように逃げ出した。それでもその生徒は牟児津から目を離すまいとしているが、瓜生田に促されるまま一旦牟児津と離れた場所に座らされた。

 

 「ムジツさん。大丈夫?」

 「だいじょぶなわけがない……」

 「ちょっと、いきなり飛びかかったら危ないじゃないですか」

 

 自力で立てないほどに消耗した牟児津を猫のように抱えて、瓜生田は立ち上がった。そのまま瓜生田は腰掛け、牟児津は瓜生田の膝の上にぐったりと背中を丸めて座った。牟児津と引き離されても、その生徒は牟児津を睨み続けている。クセのかかったショートヘアはぶどう色で、太陽光を受けてキラキラと輝いている。半袖のワイシャツと膝上丈のスカートから活動的な印象を受ける。

 

 「なんなんですかいったい。ムジツさんがどうしたっていうんですか」

 「私の……持ち物を盗んだでしょ」

 

 ひとまず状況を整理しようと瓜生田は尋ねた。その答えは、にわかには信じがたいものだった。瓜生田は膝の上でまだ目を回している牟児津を見た。

 

 「盗んだ?ムジツさん、心当たりある?」

 「ないぃ〜……」

 「ないそうですけど」

 「とぼけないで。私は犯人を追いかけてここまで来たの。屋上に向かって行く犯人を見たんだから、そいつが犯人に決まってる」

 

 どうやらこの女子生徒は自分の持ち物を盗まれ、その犯人を追いかけて屋上までやってきたそうだ。だから屋上にいた牟児津が犯人だと主張している。しかし牟児津と瓜生田にしてみれば、その主張はどう考えてもおかしい。

 

 「だけど、屋上にはあなたより前には誰も来てませんよ。私たち2人しかいませんでしたし、私たちは一緒に上がって来たんです。ね、ムジツさん」

 「そ〜……」

 「だったらボディチェックさせて。徹底的に。パンツの中まで」

 「な、なんでそこまでされなきゃいけないんだ!やだよ!」

 「やましいことがないなら断る理由はないはずでしょ」

 「あるわ!めちゃくちゃ言うな!」

 

 女子生徒は一旦は落ち着いた様子だったが、言葉の端々からまだ冷静でないことが窺える。牟児津はその女子生徒が恐ろしくなり、瓜生田の後ろに回り込んで隠れた。どうやらまたしても身に覚えのない罪を被せられてしまったようだ。それを理解するかしないかのうちに、女子生徒は立ち上がって牟児津に詰め寄った。

 

 「とにかく一緒に来てもらうから。風紀委員も呼んであるし、下手なウソついたって無駄だよ」

 「ふ、風紀委員……!?」

 

 風紀委員、その言葉を聞いた牟児津は背筋が凍った。風紀委員が関わるということは、牟児津の天敵であるあの人物が関わるということだ。必死に逃げようと瓜生田を盾にするがあえなく捕まり、牟児津の貧相な力では女子生徒の手を振りほどくこともできなかった。苦し紛れにギリギリ手が届いた瓜生田の服の裾をつかむ。瓜生田はすぐに自分の手で牟児津の手を握り返し、一瞬で片付けた弁当を持って後に続いた。そのまま3人は、手をつないで屋上を後にした。

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 

 突如として謎の女子生徒に連行されることとなった牟児津は、屋上から1階まで引きずり降ろされる。上履きを靴に替える暇もないまま校舎外へ連れ出された。向かうのはグラウンドの方面である。

 牟児津たちが通う私立伊之泉杜学園は、生徒の自主性を重んじるという校是に基づき、生徒の活動には非常に寛容である。そのためいくつもの部活動と同好会が乱立しており、文化系部活動と運動系部活動でそれぞれ別に部室棟が用意されるほどである。しかし同時に、部室を持つことができる部は基本的に、一定の条件を満たした大きな部に限られる。

 運動部の部室棟は陸上部専用の競技場に隣接しており、外観は一般的なアパートのように見える。その中のひとつは扉が開け放たれていて、黄色と黒のしましまのテープが周囲に張り巡らされている。今まさに、風紀委員による現場検証が行われているようだ。

 そしてそこにはもちろん、牟児津がこの学園で最も苦手とする、金髪の風紀委員長が立ち会っていた。3人組の先頭を歩く女子生徒を見つけると、鬼のような顔でその行く手に立ち塞がる。

 

 「今ここは風紀委員が預かっている。部外者は離れていろ」

 

 風紀委員長の川路(かわじ) 利佳(としよ)は、鋭い眼光を女子生徒に向けた。しかし女子生徒の方も全く負けていない。

 

 「通報した木鵺(きぬえ) 仁美(ひとみ)です。屋上で犯人を捕まえてきました」

 「なんだと?」

 

 思いがけない言葉に、思わず川路は眉を吊り上げる。通報者自身が犯人を捕まえてきたなどという報告は初めてだった。そんなことができるなら、呑気に現場検証をしている風紀委員のなんと間抜けなことか。しかし通報した本人である木鵺の目は確信の色を帯びている。いちおうどんな顔か確認しておこうと、川路はその後ろを覗き込んだ。

 一目見て川路はピンと来た。手で顔を隠しているが身長と髪の色で分かる。それにもうひとつ後ろにいるのっぽの生徒にも見覚えがあった。

 

 「牟児津!!また貴様かァ!!」

 「ひええええっ!!」

 「いったいいくつ罪を重ねるつもりだ貴様は!!いい加減にしろ!!」

 「川路先輩、一個もやってないですってば」

 

 短い間にすっかり顔馴染みとなってしまった牟児津と川路だが、お互いへの印象はとんでもなく悪い。とにかく顔を合わせるタイミングとシチュエーションが悪いのだ。川路は牟児津を叱責し、牟児津はべそをかきながら縮こまる。まさに牟児津にとって川路は天敵であった。

 

 「な、なに……?知り合いなの?」

 「色々ありまして。取りあえず、もう逃げられないですし、手を離してくれません?」

 

 予想外の展開に、一転して蚊帳の外になってしまった木鵺がぽかんと口を開ける。ただひとり、落ち着いて全ての状況を俯瞰することができる瓜生田が、これ以上事態をややこしくしないために状況を整理していく。屋上で牟児津が連れて行かれそうになったときから、ここまでの展開はおおよそ予想できていた。

 今回の事件の被害者らしい木鵺は、別の風紀委員から事情聴取を受けることになった。一方、牟児津は川路が直接話を聞くと言って他の風紀委員を追い払ってしまった。もはや専属聴取人である。しかし牟児津だけで話ができるとはとても思えないので、瓜生田も同席することになった。それも既に定番である。

 

 「今度こそ自白させてやるからな、牟児津」

 「ひい……」

 「昼休み、ついさっきだ。お前は陸上部の部室に忍び込み、盗みを働いた。違うか!」

 「あうっ……ああうっ……」

 「金魚か貴様は!!ヒトの言葉を話せ!!」

 「ひえええっ!!」

 

 相変わらず川路の取り調べは高圧的で、牟児津はたちまち小さくなって何もしゃべれなくなってしまった。何を聞かれても口をパクパクさせて、声にならない声を漏らすばかりだ。横で聞いていた瓜生田が、すかさず助け船を出す。

 

 「川路先輩。ムジツさんはそういうのじゃ余計に話せなくなっちゃうんですってば。知ってるでしょう?」

 「……いちいち相手に合わせてやるほど私は甘くない」

 「私たちも、何がなんだか分からないまま連れて来られちゃって困ってるんです。事件のことを教えてくださいよ。盗みがあったんですか?」

 「陸上部部室で窃盗事件だ。犯人は覆面を被って逃走。分かっているのはそれだけだ」

 「覆面?」

 「詳しくは調査中だ」

 「それじゃあ被害者の方については?」

 「……木鵺仁美。陸上部所属の2年生だ。これで気は済んだか」

 

 事件が発生したばかりということもあり、風紀委員でも分かっている情報は少ない。川路は手帳を開くが、ため息交じりにすぐ閉じてしまった。だが、それだけ分かっていれば瓜生田には十分だった。特に、今回は被害者が特殊であった。

 

 「木鵺仁美先輩……有名ですよね。知ってますよ」

 「……またお前は邪魔をするのか」

 「むしろ貢献と言っていただきたいですね」

 

 牟児津は被害者のフルネームを聞いても、被害者のフルネームだなあとしか思わなかった。だがどうやら、瓜生田と川路にとってはそれだけの意味を持つものではないらしい。それを察知して今回も瓜生田の弁護に期待し、自らは固く口を閉ざした。

 

 「木鵺先輩、伊之泉杜学園(うち)の陸上部のエースですよね。この前も全国大会に出場したとかで、立派な垂れ幕がかかってましたね」

 「……ちっ」

 「ムジツさんは屋上にいたところを木鵺先輩に捕まったんです。もしムジツさんが犯人だとしたら、そこまでは捕まってないってことになりますよね」

 

 何を当たり前のことを、と牟児津は瓜生田に不安の眼差しを向ける。しかし瓜生田は任せてくれと言わんばかりに頷く。その態度を裏付けるように、川路は何も言わない。次に瓜生田が言うことが分かっていたからだ。

 

 「現場が部室ってことは、犯人は部室から屋上まで逃げ切ったってことになります。陸上部エースで全国レベル選手の木鵺先輩から。それって、ムジツさんには無理じゃないですか?」

 「木鵺が犯人を発見した時点で、2人の間にはそれなりの距離があったはずだ。それに屋上までは高低差や曲がり角がある複雑な経路をたどる。コースを走る陸上競技とは条件が違う」

 「なら試してみます?」

 

 当然、そうなるだろうと川路は考えていた。状況においては有利な犯人と、能力においては有利な被害者。容疑者が実際に屋上まで逃げられるかどうかは、試してみるのが最も手っ取り早い。そのためには、容疑者を本気で走らせる必要がある。川路は、木鵺を呼んで立ち上がった。怯えている牟児津はその振動にさえ跳び上がるほど驚いた。

 

 「う、うりゅ……?どういう状況?」

 

 終始川路に怯えていた牟児津は、結局のところ話がどういう結論に落ち着いたのかも分かっていなかった。涙目で瓜生田に尋ねる。

 

 「ムジツさんが木鵺先輩とかけっこするの」

 「なんで!?」

 「そしたらムジツさんは犯人じゃないって分かってもらえるから」

 

 やはり状況は分からないが、どうやら走ればいいらしいことだけは理解できた。うりゅが言うなら間違いないだろう、と牟児津は考えることをやめた。怪我をしないよう、入念にストレッチしてその時を待つ。

 やがて、川路は木鵺を連れて戻ってきた。木鵺には、犯人が屋上まで木鵺から逃げ切ったことを踏まえ、その状況を再現検証すると説明してある。屋上には風紀委員がひとり待機して、牟児津が捕まらずに来られるかを確認する。

 

 「おい牟児津」

 

 川路が声をかける。牟児津はすっかりビビリ癖がついてしまい、その声に条件反射で縮こまる。それにはお構いなしに、川路はガンをつけて言う。

 

 「死ぬ気で走れ。少しでも手を抜いたら……分かってるな?」

 「……っ!!ぉひゃあ……!!」

 

 なぜ川路がそこまで自分に本気で走って欲しいのかは分からない。だが少なくとも死ぬ気で走らなければ死ぬような目に遭うことは確定していた。空気が漏れたような声しか出せず、牟児津はガチガチに緊張して陸上部の部室近くにスタンバイした。木鵺はその牟児津が目視できる離れた場所にいる。木鵺が犯人を目撃したときの場所だ。

 スタートの合図は川路の号令だ。よく通る声を響かせて2人に叫ぶ。

 

 「これより、再現実験を始める!私の、“用意、走れ”でスタートだ!いいな!では位置について!」

 

 川路が手を挙げた。牟児津は緊張しながら構えた。号令までのわずかな時間、牟児津は考える。

 なぜ木鵺と競走しなければいけないのか。瓜生田が何を話したのか。木鵺に捕まらずに走り切れるのか。分からないことだらけだ。だが、一つだけ分かることがある。川路は死ぬ気で走れと言った。ならば死ぬ気で走らなければ、否、走り切らなければならない。それはつまり、木鵺に捕まってはならないということだ。絶対に、逃げ切らなければならないのだ。

 

 「用意!」

 

 かくして、牟児津はこの競走への心構えを決めた。それが自らの立場を危ぶませるものだと気付くべくもなく。

 

 「走れェい!!」

 

 振り下ろされる手。同時に轟く川路の咆哮。普段の牟児津なら恐怖に跳び上がって走るどころではなかっただろう。しかし今やそれ以上の恐怖、あるいは強迫観念に囚われていた牟児津は、力強く地面を蹴ってスタートした。ぐんと体が加速する。続けて2歩目を踏み出し、さらに加速する。史上最高の走り出しだ。今なら水の上も走れそうな気さえする。

 部室棟からグラウンドの横を通って渡り廊下に向かう。風紀委員による人払いがされているため、何も気にせず走れる。校内を全力疾走できるのは爽快な気分だった。そのまま渡り廊下から校舎に入───

 

 「わああああああああっ!!」

 

 ───ったところで、牟児津は絶叫した。その拍子に足がもつれ、前につんのめった。支えるものは何もない。

 死ぬ気で走っていた。間違いなく全力で走った。この後の人生ずっと走れなくなっても構わない勢いで走った。にもかかわらず、後ろから両肩を叩かれた。そんなバカな、と心の叫びが脳内に響く。驚きで体が固まった牟児津は、そのまま顔面を床に擦り付けた。土と埃とゴムの味がした。

 

 「はぶええええっ!!」

 

 盛大に転げた牟児津は、しばらく動けなかった。そして床と一体になり、泣いた。あっという間に追いつかれたためでも、転んだ痛みのためでもない。木鵺に捕まったことで、川路に処罰(ころ)されることが確定したからだ。

 

 「だ……大丈夫?ごめん、転ばせるつもりは……」

 「見ないでぇ……!」

 「見るでしょ」

 

 校舎の床に這いつくばったまま、牟児津はいつまでも泣いていた。

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 

 牟児津が木鵺に捕まった瞬間の叫びは、部室棟にいた川路と瓜生田の耳にも届いていた。あまりに呆気ない結果だ。瓜生田は笑い、川路は眉間のしわを一層深めた。これで牟児津は木鵺から逃げ切れないことが、すなわち犯人ではあり得ないことが証明された。

 

 「どうですか川路先輩。納得されました?」

 「……いや、牟児津が手を抜いた可能性がある以上、確定的なことは言えん」

 「いやあ、本気だと思いますよ。あんな叫んでますし」

 

 姿は見えないが、響いてきた絶叫からは演技のような白々しさは感じられなかった。牟児津が本気で走ったらしいことは、感覚として理解できる。しばらくして、牟児津と木鵺が部室まで戻って来た。牟児津は体の全面を土と埃にまみれさせ、木鵺に肩を借りて現れた。直接現場を見ていない川路と瓜生田も、どうやら牟児津が盛大に転んだらしいことは窺い知れた。

 

 「ぜひぃ……ぜひぃ……」

 「ムジツさん大丈夫?すごい声が聞こえたけど」

 「ぜひぃ……へへ、笑いたきゃ笑えよ……」

 「ほら、ちょっと行ったところでこんな風になってる人が屋上まで逃げ切れるわけないですって」

 

 息も絶え絶えになった牟児津を指して、瓜生田が訴えた。手を抜いた人間の疲れ方ではないし、全力で走ってこの有様なら、牟児津が犯人の条件を満たさないことは明らかである。川路は呆れ半分、苛立ち半分で牟児津を見て、その次に瓜生田に視線を移した。

 

 「お前はどうなんだ」

 「……はい?」

 「屋上にはお前もいたんだろう?お前が犯人という可能性も検証しておくべきだ」

 

 こうなったら徹底的にである。少しでも犯人の可能性がある人物ならば、実際に走らせて検証しておくべきだ。牟児津を走らせた以上、同じく犯人の可能性がある瓜生田も走って確かめるのが筋である。だが瓜生田にも牟児津にも、その結果はやる前から分かり切っていた。

 

 「わ、私はそんな……木鵺先輩から逃げ切るどころか、そもそも屋上まで走りきれないですから」

 「なら試してみるか?」

 

 意趣返しとばかりに、川路は瓜生田の言葉を借りて突きつけた。まずいことになった、と冷や汗をかく瓜生田などお構いなしに、川路は木鵺にもう一度指示して位置につかせた。

 

 「ム、ムジツさん……どうしよ」

 「……やりなよ、うりゅ。私も走らされたんだからさあ」

 

 瓜生田が牟児津に助けを求める。しかし、牟児津は悪い顔をして突き放した。万事休すである。戸惑いつつ、瓜生田は仕方なく部室の前に移動した。

 

 「用意!」

 

 瓜生田と木鵺が身構える。川路が腕を振り下ろした。

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 

 「この実験、意味あったんですか?」

 

 木鵺は息を全く乱さず、川路に不満を漏らした。目の前には滝のような汗をかいて地面に伏せる瓜生田がいた。いくらか回復した牟児津がにやけながら背中をさすり、川路はもはや言葉もなかった。まさか、10歩で捕まるとは思わなかった。

 

 「よかったねえうりゅ。犯人じゃないって証明できたねえ」

 「ぜひぃ……ぜひぃ……わ、笑えないよ……!」

 

 瓜生田の走りは、それはひどいものだった。ただの鈍足と呼ぶにもあまりある足の遅さと歪なフォームから繰り出される尺取虫のような走りは、とても見られたものではなかった。その光景を見て牟児津だけが顔を真っ赤にして笑いを堪えていた。

 半ば自棄になっていたとはいえ、川路はさっきまでの自分を反省した。木鵺が牟児津を犯人だと言ったのなら、少なくとも一緒にいたはずの瓜生田は犯人ではないと判断したということなのだ。無駄なことをさせてしまった後悔と自分自身への情けなさで頭がいっぱいになる。川路は、一旦頭を冷やすことにした。

 

 「もういい。分かった」

 

 それだけ言うと、他の風紀委員に指示してその場を引き継ぎ、自分は校舎の中に戻っていった。去り際、何か言いたげに木鵺を睨んだが、結局何も言わなかった。

 

 「えっと……これは、疑いは晴れたっていうことで……?」

 「そんなわけないでしょ。盗んだ犯人じゃなくても、共犯の可能性だってあるんだから」

 「ええ!?」

 

 実験結果からも明らかなとおり、自分たちでは木鵺から逃げ切ることなどできない。それを根拠に、牟児津は今度こそ潔白が証明されたと思い、木鵺に断りを入れて教室に帰ろうとする。しかし木鵺は、まだ牟児津のことを疑っているようだ。そのわけを、木鵺は端的に口にした。

 

 「だってそうでしょ。あんたたちが犯人じゃないなら、私が追いかけてた犯人はどこに消えたっていうの」

 

 そう。木鵺は屋上まで犯人を追ったのだ。しかし牟児津も瓜生田は、木鵺以外に屋上に来た人物を見ていない。屋上にしか逃げ場がない状況であるにもかかわらず、犯人は忽然と姿を消してしまったのだ。その謎が残っている限り、牟児津が何らかの形で事件に関わっている可能性があるというのが、木鵺の主張だ。

 

 「風紀委員は諦めたみたいだけど、犯人が見つかって盗んだものが戻って来るまでは、あんたたちにも付き合ってもらうから」

 「そ、そんなあ……私たちは本当に関係ないのに……」

 「絶対に逃がさないから」

 

 低い声でそう告げ、木鵺は一方的に会話を打ち切った。おそらく学園で最も足が速いであろう木鵺に逃がさないと凄まれるプレッシャーは、牟児津には過ぎたものだった。何も言えなくなった牟児津を一瞥してから、木鵺は足早に去って行った。後には白目を剥いて震える牟児津と、呼吸を整えるのに必死な瓜生田が残された。

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 

 牟児津は、はっと我に返った。あまりのプレッシャーに晒されたせいで、しばらく思考を完全に停止させていたようだ。木鵺にロックオン宣言をされてからどれくらいの時間が経ったのだろう。すでに瓜生田は元の調子を取り戻し、牟児津の肩を叩いていた。

 

 「あ、戻って来た」

 「ほあ。うりゅ。え、私いま気絶してた?」

 「気絶っていうか上の空だったよ。大丈夫?」

 「うん……いや、大丈夫じゃないかも」

 

 ぼんやりとした頭で、自分の身に降りかかった災難を思い返す。何がなんだか分からないが窃盗の疑いをかけられ、川路に怒鳴られたり走らされたりした挙句、派手に転倒して顔面を打ち、しまいには絶対に逃げられない相手から追われる羽目になってしまった。この短い時間に何がどうなってこうなったのか、結果以外なにも思い出せなかった。

 茫然とする牟児津の頬を、熱い滴が一筋伝った。

 

 「お腹減ったなあ……」

 「あんパンならあるよ。ムジツさんの。地面には落としてないからね」

 「マジで!?やった!ナイスうりゅ!」

 

 突然襲ってきた不幸の連続のさらに先まで記憶をたどると、牟児津は自分がまだ一口も昼食にありつけていなかったことを思い出した。幸いにも屋上で食べようとしていたあんパンは、瓜生田によって無事なまま回収されていた。自分の元に戻ってきたあんパンに、牟児津は大きな口を開けてかぶりついた。

 

 「ん〜〜〜♡生き返る〜〜〜♡」

 「う〜ん!いい顔です!なるほどなるほど、ムジツ先輩はあんパンに目がない……と」

 「正確にはあんこ好きね」

 「あんこ全般が!なるほど!閃きの秘訣は糖分にあり、ってことですか!」

 「んへえ?」

 

 空腹が満たされていくと他のことに気を配る余裕が生まれる。あんパンをすっかり胃袋に収めると、牟児津は瓜生田以外に誰かその場にいることにようやく気付いた。

 

 「あ、ムジツさんにお客さんだよ」

 

 そう言って瓜生田は、隣で一心不乱にメモを取る少女を示した。

 まず目を引くのはチェック柄の大きなハンチング帽だ。服装は、よくアイロンがかかったワイシャツにサスペンダーで吊した半ズボン、足下はくたびれたローファーを履いている。何を意識しているのか、ブレザーの袖を胸の前で結んで肩にかけている。その少女はメモを取り終わると、腰に下げたポシェットに手帳を突っ込み、ハンチング帽を取った。チョコレート色のボブカットが露わになる。

 

 「初めましてムジツ先輩!!私、この度ムジツ先輩の番記者を務めることになりました、益子(ますこ) 実耶(みや)です!!これから長いお付き合いになりますので、よろしくお願いします!!」

 「声でっけ」

 

 金物同士を打ち鳴らすようなカンカン響く声で、益子は自己紹介した。屋外だというのに牟児津はその声で耳が痛くなった。名前は取りあえず分かったが、何者なのかがいまいち分かっていない。何か聞き慣れない言葉を口走っていたような気もする。

 

 「ばんきしゃ?うりゅ、なにそれ」

 「1人の人にずっと付いて回って取材する記者のことだよ。専属記者ってこと」

 「この子が?私の?なんで?」

 

 益子が言った言葉の意味は分かったが、今度は言ってる意味が分からなくなった。いつの間にか現れたこの少女は、一体全体何を言っているのだろうか?

 

 「あまり自分で言うものではありませんが、何を隠そうこの益子実耶、寺屋成(じやなる)部長の腹心とでも言いましょうか、部長が一番可愛がっている後輩でして!」

 「本当に自分で言うものじゃないね」

 「聞けばムジツ先輩、先日の黒板アート消失事件の折、私が残した取材記録が、真相解明のその一助、なったならぬと立つ噂!ぁこれも何かの(えにし)やと、音に聞こえしムジツ先輩、その番記者の任を拝命した次第!べんべん!」

 「うるせ〜」

 

 益子はひとり盛り上がって、いつの間にか講釈師のような語り口調になっていた。寺屋成とは、牟児津が自分のクラスで起きた事件の容疑者となったときに情報提供をしてくれた、新聞部部長の寺屋成(じやなる) 令穂(れいほ)のことである。確かそのとき、情報提供の見返りに記者を付けるという話をしていたような気がする。それがこの益子か、と牟児津は理解した。

 しかし、牟児津の益子に対する第一印象はあまり好ましいものではなかった。耳に刺さる声だし、無駄にテンションは高いし、何より目立たず静かな学園生活を送りたい牟児津にとって、番記者など最も遠ざけるべき存在だ。それなのに、益子は無遠慮にも頬と頬がくっつきそうなくらい近付いて来る。

 

 「黒板アート消失事件、そして先日のヒノまる誘拐事件、どちらも面目躍如の大活躍と窺っていますよ!後者は記事になる前に握り潰されてしまったのが残念ですが。しかし今日も何やら事件のご様子!風紀委員が慌ただしくしていましたからね!実耶ちゃんのスクープアンテナがビンビンに反応していますよ〜ぉ!ムジツ先輩は今回も謎を解くんですよね?ね?ね?い〜えいえご心配なく!記録は全てこの益子にお任せあれ!ムジツ先輩はいつも通り華麗に謎を解いていただければ、あとは私が脚色に次ぐ脚色で下駄なり厚底ブーツなり履かせて──」

 「うっさいわ!」

 「おぐしっ!」

 

 牟児津はたまらず手が、いや頭が出た。ごづっ、という重い音とともに、益子は牟児津渾身の頭突きを食らって吹っ飛んだ。調子に乗って捲し立てている最中だったが、舌を噛まなかっただけマシである。

 

 「人の気も知らないであーだこーだうるせえ!こっちは身に覚えの無い疑いかけられてうんざりしてんだよ!なにが番記者だ!あんたの三文記事のネタになる気なんかこれっぽっちもないわ!分かったか!」

 「うぅ……ひ、ひっさつ、わざは……頭突き……と。がくっ」

 「分かってない!」

 

 最後の力を振り絞って益子はメモを残し、のびてしまった。思わず頭突きを食らわせてしまったが、このままここに放置しておくわけにもいかない。今まで雨あられとばかりに降り注いでいた言葉の猛連撃がぴたりと止むと、ようやく牟児津は冷静さを取り戻した。ひとまず、牟児津は瓜生田に頼んで益子を抱えてもらい、保健室まで移動することにした。

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 

 「んばっ!!」

 

 益子の体が浮き上がった。ぐんと持ち上がった上体がブランケットをめくり、ベッドの下に弾き落とした。すぐさま辺りをきょろきょろと見渡すと、ベッドの上にいる自分と、その横で丸椅子に座っている牟児津と瓜生田を見つけた。

 

 「ムジツ先輩!瓜生田さん!ここは……?」

 「保健室だよ。ムジツさんの頭突きでのびちゃったから、休ませてたんだ。ほらムジツさん。謝って」

 「ごめん……」

 

 最後に覚えているのは、視界を埋め尽くす牟児津の顔面だった。そこから現在まで抜け落ちている記憶を、瓜生田が端的に補足する。並んで座っていた牟児津は、いまいち納得いかなさそうに謝罪を口にした。益子は寝起き間もなくにして、おおよその事態を把握した。

 

 「いえいえ、お気になさらず。取材をしていればこういうこともありますので。それよりもムジツ先輩は私を心配してここまで運んでくれたんですよね?」

 「実際運んだのはうりゅだよ」

 「そうなんですね。ありがとうございます。改めてこれからどうぞよろしくお願いします」

 「本当に番記者をする気なの?」

 「当然です!寺屋成部長が私を信頼して任せてくれたお仕事ですからね!早速今回のこの事件、題して『陸上部の覆面泥棒事件』!解決まで密着させてもらいますよ!」

 「はあ……ん?ちょっと待って。なんであんた犯人が覆面してたってこと知ってんの?それ知ってんのは私かうりゅか木鵺さん、あとは犯人しか……」

 「瓜生田さんに聞きました」

 「言いました」

 「確かな情報筋だなあオイ!」

 

 益子が口を滑らせたのかと思いきや、隣にいる関係者からの情報提供だったらしい。おそらく牟児津が放心していたときにある程度話をしたのだろうが、なぜ瓜生田は見ず知らずの益子に情報提供などしたのだろうか。抗議しようとした牟児津を先に制し、瓜生田は言い聞かせるように話す。

 

 「あのねムジツさん。分かってるとは思うけど、今回もムジツさんは疑われちゃってるの。川路先輩はムジツさんが関わってる事件はなんでもムジツさんから疑い始めるし、木鵺先輩だってあらゆる可能性を考えてるからムジツさんを追いかけてくるよ。状況的には黒板のときとか生物部のときとほぼ同じ。だよね?」

 「やだあ……怖いこと言わないでうりゅ……」

 「じゃあ、どうしなくちゃいけないか分かるよね?どうするの?」

 「……はんにん、みつける」

 「はい、よくできました」

 「幼児みたいですね」

 

 涙目で瓜生田にすがりつく牟児津と、その頭を優しくなでる瓜生田。実際の年齢はおろか同じ高校生であることすら疑わしくなるような光景だったが、益子は笑ってメモ帳にペンを走らせていた。

 状況を考えるに、牟児津は事件に無関係であると木鵺に納得させるには、犯人を捕まえる以外に方法はない。あるいは他の方法もあるかも知れないが、現状は思い浮かばない。そうなれば牟児津と瓜生田がやるべきは、情報収集と推理、そして犯人の特定である。

 

 「そうなったときに、協力してくれる人は多いに越したことはないんだよ。今まで私たちでやってた聞き込みを、益子さんがやってくれたらずいぶん楽になると思わない?」

 「……で、でもそれはこまりちゃんが」

 「この前の生物部のときはかなり綱渡りだったし、葛飾先輩に毎回迷惑をかけられないでしょ?益子さんなら新聞部だから聞き込みは得意だろうし、何より迷惑がかからない。あくまで本人の意思で協力してくれるんだから」

 

 それはそうだ、と牟児津は納得しそうになる。今までの事件では風紀委員が捜査した情報を葛飾伝いに手に入れ、それによって解決してきた。しかし葛飾に協力を頼むということは、天敵である川路の懐に飛び込むようなものだ。それを回避しつつ情報も手に入れられるとなれば、益子の存在を利用しない手はない。万が一、益子が何か問題を起こしたとしても、その責任は新聞部部長である寺屋成のところにいく。牟児津にとってはノーリスクと言っていい。

 

 「本人の意思ってところがブラックな感じしますけど、ちょっとやそっとの危険や面倒は覚悟の上です!ムジツ先輩の推理に協力できるなら望むところです!」

 「ほら、本人もこう言ってるし」

 「うぅん……」

 

牟児津は逡巡する。そして。

 

 「じゃあ……取りあえず今のところは協力者ってことで。よろしく」

 「はい!よろしくお願いします!」

 

 この際だから使えるものはなんでも使っておこう、と牟児津は結論を出した。こんなところで時間を食っている場合ではない。平和な学園生活を取り戻すには、一刻も早く犯人を見つけて潔白を証明しなければならないのだ。

 牟児津と益子が固い握手を交わすのとほぼ同時に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。ひとまず捜査は放課後に行うことにし、3人は牟児津のクラスで待ち合わせることを決めて保健室を出た。

 教室に戻る道すがら、牟児津は前を歩くおかっぱ頭を見つけた。今日は一段と疲れた様子で背中を丸めている。

 

 「やあやあ、こまりちゃん」

 「あ……真白さん。おつかれさまです……」

 

 葛飾(かつしか) こまりは、声をかけてきた牟児津に視線だけを向けて応えた。どう見ても牟児津より葛飾の方が疲れている。

 

 「どうしたの?」

 「どうもこうもないですよ……。陸上部で窃盗事件って通報があったので、お昼食べてなかったのに駆り出されたんです。しかもいきなり屋上で待機って言われて行ったんですけど結局なにもなく戻されて、その後もずっと陸上部の部室周辺を色々調べてたんですよ……」

 「あ〜……」

 

 瓜生田が提案した実験で屋上に風紀委員が配置されていたらしいが、葛飾がそれだったようだ。1階から屋上までの階段を無駄に往復させられたのだから、とんだ貧乏くじを引いたものである。そのうえ、事件のせいで昼ご飯を食べ損ねたらしい。

 

 「ホントに勘弁してほしいですよ……陸上部との捜査会議も疲れましたし……」

 「捜査会議って、陸上部となに話すの」

 「被害者が陸上部員で現場が陸上部部室だったので、部長さんに事件概要の説明と捜査への協力をお願いしたんです。あまり大きな声では言えないんですけど、部員が犯人の可能性だって──って言わせないでください!これ捜査情報ですから機密事項なんですよ!?」

 「全部自分で言ってるよ」

 「も、もう!この前もその前も、情報漏洩が川路委員長にバレないようにするの大変なんですからね!今回は何も教えてあげません!盗まれたものが未だ不明ってことも内緒です!」

 「……こまりちゃんはきびしいなあ」

 

 何も言うまい、と牟児津は口を閉ざした。同時に、手間が省けたとも思った。放課後にまず調べるべきことが分かった。

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