やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。 作:あかう
筋肉万歳!
な、話です。
前回、フレイヤ・ファミリアのオッタルを除いたほぼ全ての団員を無力化するとかいう、少なくとも真っ当なLv2には出来ない芸当をやってのけたベル君。
そんなベル君は今、満身創痍の状態になっており、ヒーラー達から治療を受けている。
フレイヤ・ファミリアの団員達に筋トレをさせながら。
『997ァ! 998ィ! 999ゥ! 1000ッ!!』
「はいOKです! 皆さん休憩に入って下さい! 水分補給を気持ち悪くならない程度に行って下さいね! 皆さんはあと2セット後に食事にしますので頑張って下さい!」
ベル君が冒険者達に指示を出す。
指示された団員の中には、かの
「クソがぁぁぁぁぁァァァァァァぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァ!! ヤメロォッ! ヤメロオォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!」
「ヒエ……ヒエエ……コワイ……コワイ……」
そして少し離れたところで巨人に捕まれたアレンとへグニが何か言っていた。
何故こうなったか、その経緯を見てみよう。
〜戦闘直後〜
そんなわけでフレイヤ・ファミリアのLv 6達を決死の覚悟で捕まえたベル君。
その後ガリバー四兄弟にヒーラーを呼んでくるよう頼んだわけだが、ボロボロになったベル君はガリバー四兄弟が走り去った後、その傷のせいで座ることもできずずっと立って待っていた。
そんな時、巨人に捕まっているヘディンがベル君に問いかけた。
「……おい、ベル・クラネル」
「はい?」
「何故お前はそれほどまでに強い? 貴様は数週間前まで無名だったはずだ。だというのに何故我々をこうも容易く超克するのだ? 答えろ」
と。そうベル君に問いかけた。
だがまぁ、読者諸君ならばもう既に理解していると思うが、こういう時ベル君が答えることはただ一つである。
「筋肉です」
そう、筋肉だ。筋肉こそ最強なのだ。
実際、今回ベル君が勝てた要因であるベル君のスキルも魔法も筋肉由来によるものだ。
「そうか、やはり筋肉か」
と、ヘディンが見せた反応は納得であった。
当然だ。現に彼らが強者であると仰ぐ団長、オッタルも筋肉なのだ。
だからこそ“筋肉だから強い“という理論が納得できてしまったのだ。
「筋肉……やはり筋肉なのか……やはり筋肉こそが強さなのか……はは……」
と、自嘲気味に笑うヘディン。
それも仕方のないことだろう。
魔法を生身の筋肉で防がれ、筋肉の魔法で敗北したのだ。
自らの今までの研鑽が筋肉で真っ向から粉砕され、ヘディンは若干ヤケになっていた。
「おい、ヘディン。どうした。おい……おい! ヘディン! なんとか言え!」
「へ、ヘディン? どうしたの?」
ヘディンの異変に気づいたアレンとへグニがヘディンに声をかける。
ヘディンはそれに返事をせず、うわごとのように「筋肉か……筋肉か……」と呟き続けている。
「「「「連れてきたぞ! ベル・クラネル!」」」」
そして、四兄弟がヒーラーを引き連れ、帰ってきた時。
ヘディンは何かを悟ったような、諦めたような顔をして、
「私に筋肉の鍛え方を教えろ。ベル・クラネル」
『!?』
そう言い放った。
「正気に戻れぇ! ヘディンンンンンンンンンッッッ!!!」
「ヘディン! ねぇヘディン! どうしちゃったんだよヘディン!」
「どうしたヘディン!」「狂ったかヘディン!」「遂に脳がやられたかヘディン!」
「とっとと元に戻れヘディン! お前まで脳筋になったら色々ヤバい!」
幹部達はどうにかヘディンに思いとどまらせようとするが、
当然、拒む必要など微塵もないベル君の回答は。
「はい! 喜んで!」
フレイヤ・ファミリアの悲鳴がオラリオ中に轟いた。
〜現在〜
と、そういうことであった。
そこからベル君がヘディンに筋トレの仕方を教えることになり、巨人からヘディンを解放して筋トレを開始。それに復活したLv1〜4の団員達が便乗。
野原に広がる筋トレに汚染され、脳が筋肉にやられてしまった四兄弟が途中から筋トレに加わった。
ヒーラー達は状況が全くと言っていいほどわからなかったが、とりあえず見るに耐えないレベルの大怪我をしているベル君を総掛かりで治療する。
巨人の手に取り残された二人は、その異常な光景に片や正気を失わないように抵抗し、片や恐怖に震えている。
ベル君の筋トレはそれほどまで過酷であり、他人に影響を与えるのだ。
まぁだがそんなこと知ったこっちゃないと休憩を挟みながら筋トレを続けさせるベル君。
そして冒頭に至るというわけだ。
庭に掛け声と悲痛な叫びが響く中、我らがオッタル団長が帰ってきた。
ちなみに言っておくがもう休憩は終わっており、筋トレが再開されている。
オッタルは庭を見渡すと、こう一言。
「……一体何がどうなっているんだ」
と。
「あ! オッタルさん! フレイヤ様はどうされましたか!?」
「ああ、バベルにいるヘルンに任せてきた」
「そうですか!」
「うむ……で、これはどういう状況だ」
庭を埋め尽くす団員達の筋トレ風景に、巨人が二体。
叫ぶアレン。恐怖するへグニ。大怪我をしたベル。
正しく意味不明である。
「はい! いい感じに歓迎してもらえました! そして頼まれたので筋肉にしています!」
「…………?」
「筋肉にしているんです! 今!」
「…………そうか……」
オッタルはとりあえず納得しておくことにした。
「ところでベルよ。あそこにアレンとへグニが捕まっているが……アレは何故ああなっているんだ?」
「はい! 歓迎して頂いたので捕まえました!」
「ふむ、なるほど。ではヘディンとアルフリッグ達はどうした」
「あそこで筋トレしてますよ!」
「…………そうか……奴らとは戦ったのか?」
「はい! ギリギリでしたがなんとか勝てました!」
「……ヘイズ。本当か?」
オッタルはベルを治療しているヒーラーたちのリーダー格、ヘイズに問いかけた。
「本当ですね」
即答だった。
若干食い気味ですらあった。
「……………………………………そうか……」
オッタルは色々と思うことはあったが口には出さなかった。
「オッタルさんも参加しますか!? もう少しでご飯になっちゃうので少しだけですけど!」
「……そうだな、参加させてもらおう」
オッタルは筋トレ畑へ行き、筋トレを開始した。
思った以上のそのキツさに、オッタルは団員達がいつぞやのボフマンのように一晩でムキムキになってしまうのだろうかとかなり不安になった。
その後途中で昼を食べ、午後もオーバーワークにならない程度の筋トレを全快したベル君と団員がしている最中、復活したてのフレイヤがきたものの、筋トレをしている団員達の魂の輝きがとんでもないことになっていたようで即座にホームの神室へ搬送される事態になったという事件はあったが、それ以外に大きな事故はなく、ベル君のフレイヤ・ファミリアでの修練初回は終了することとなった。
『ご指導! 有難う御座いましたァ!!』
フレイヤ・ファミリアの団員達が一糸乱れぬ動きでベル君に礼をする。
「まぁ……何だ。
比較的まともなオッタルがまともな挨拶をする。
フレイヤはまだ寝ているようだ。
「やはり筋肉。筋肉は全てを解決する」
「筋肉」「筋肉だ」「筋肉万歳」「筋肉こそ最強」
「「「「さぁ、筋肉を崇めよ」」」」
すっかり汚染された五人が口々に筋肉を賛美する。
ここでタイトル回収だ。
「二度と来るな!」
「キンニク……キンニク……」
なんとか正気を保ったアレンと若干汚染されているへグニ。
アレンは二度と来るななどと言っているがもう遅い。もはやフレイヤ・ファミリアは筋肉だ。
「はい! ではまた!」
と、帰っていくベル君。
さあ。明日はロキ・ファミリアだ。
ロキ・ファミリアは一体どうなってしまうのだろうか。
〜次の日のフレイヤ・ファミリア〜
『555ォ! 556ゥ! 557ァ!』
「グオオオオアアアアアアッッッ!!!!ヤメロォォォォォッッッ!!」
「クフ、クフフフフフ。筋肉。筋肉こそ真理。筋肉を崇めよ……フフッ……ハハハハハハ」
「へグニぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッッ!! 正気に戻れェェェェェッッッ!!」
「」バタン
「フレイヤ様ァッ!?」
大惨事である。
フレイヤ・ファミリア筋肉化完了!!
ロキ・ファミリアは一体どうなってしまうんだ!
・・・関係ないけどフィンを思い浮かべるとどうしても“槍を持ったチルチャック(ダン飯)“になってしまう・・・