やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。 作:あかう
筋肉スゲェ!
な、会です。
意外な人はおまけ枠で最後の方に出るぞ!
そんなわけで前回、ダンジョンに潜ることになった筋肉三人とアイズとアマゾネス。
最初、アマゾネスのティオナは“ベル君は足手纏いになりそう“と、ベル君の参加を渋っていたが、アイズの“この前に食人花をボコボコにしてたでしょ“というド正論を受け、ベル君の参加に賛同してくれた。
その道中でもう一人アマゾネス、ティオネを拾い、ダンジョンを潜っていく。
ティオネもアイズのド正論を喰らったので、ベル君の参加にはなんの文句も言わない。
順調に下の方へ潜っていき、今は五階層くらいだ。
「あ、この辺ですね、僕がミノタウロスと戦ったところ」
「へぇー! ……あ、そういえば君、今何Lvくらいなの?」
「2ですね!」
「2なの!?」
「お前Lv2だったのか!?」
「お主Lv2じゃったのか!?」
「あんたLv2だったの!?」
「ベル、Lv2だったの……!?」
まぁ食人花を容易にボコボコにしたり、ガレスと互角の力を持っている男をまさかLv 2とは普通は思わないだろう。
これには流石のロキ・ファミリア幹部五人もびっくり。
「えー!? じゃあなんでそんなに強いの!? Lv詐称してる!?」
「何か裏があるんでしょう! 正直に話しなさい!」
「「「……」」」
と、そんな具合で気になっちゃったアマゾネス二人。
他三人はもうすでにある程度察しはついたようだ。読者諸君も大体はわかっていることだろう。
そう、
「筋肉です」
つまりそういうことであった。
このことは最早常識と言っていい程に達しているまであるのではなかろうか?
そうだよね?
「「?????」」
しかしまだ筋肉に染まっていない二人はその結論に辿り着いたわけが分からず、宇宙を展開する。
これもステイタス社会の“肉体よりアビリティ”という考え方の弊害だろう。
ベル君には早くオラリオを筋肉に染め上げ、この思想を吹き飛ばしていただきたいものだ。
「ティオナ……ティオネ……筋肉は、最強」
「筋トレを始めてから男どもの力と耐久のアビリティが大幅に伸びてるんだぜ? お前らもどうだ?」
「筋肉はいいぞぉ! 強さの源じゃあ!」
宇宙を展開した二人に、ここぞとばかりに布教を始める汚染済み三人。
そしてベル君は現れたウォーシャドウを粉砕している。
と、ここでガレスが対ティオネに於いて必殺となる文句を思いついた。
老人特有の悪い顔をしたガレスが言い放つ必殺、それは。
「ティオネよ、筋肉をつけりゃあフィンを落とせるかもしれんぞぉ!」
「筋肉つけるわ!」
文句は見事に必殺だったようで、一人は入信させることに成功した。
流石にチョロすぎだろう、と思ったかもしれないが、それは違う。
普段だったならば成功はしなかっただろうが、宇宙を展開させたことによって、思考力が低下していたからこそ成功したのだ。
これで間接的にフィンも筋肉になるだろう。まさに一石二鳥だ。
となると、残るはリヴェリアなのだが、さて、どうしたものか。
────ここはベル君のヒロインに……いや、やめておこう。色々キツい。
まぁ、いずれ汚染できるだろう。
で、ティオナはというとその持ち前の精神力でなんとか耐え切った。
なんともしぶとい。
早く染まった方が楽だというのに。
まぁそんなこんなあったが、しっかりと安全地帯、十八階層に到達することができた。
ベル君にとっては初となる十八階層である。
そんなわけで初めて見た迷宮らしからぬ光溢れる光景に興奮するベル君。
深紅の目がキラキラしている。
「おおおおおおおお! すごい綺麗ですね!」
「あ? お前、此処は初めてかぁ?」
「はい! 今までは階層主がアレで深く行っても十五階層くらいまででしたから!」
「ほぉ? お主ならゴライアスも余裕で倒せそうなもんじゃがのぅ?」
「いやぁ……エイナさんもそう言ってたんですけど、流石にまだ階層主は難しいかなって」
「ゴライアスと……ベル……うん、良い。いける」
ベル君はこう言っているが、実際は魔法さえ使えばワンパンで終わる。
ちなみにそう言った時のエイナさんは、瞳孔が開きまくっていたという。
そして何故かその後にエイナさんは休暇をもらったらしい。
本人は断ったそうだが、無理矢理休まされたようだ。
何故休暇をもらえたのだろうか、とても不思議だ。
理由が全くわからない。
あ、アイズはスルーの方向で。
「あ! じゃあせっかくだし、街に行こうよ! 買い物は絶対しないけど!」
「リヴィラってやつですね!?」
「うん! まぁ色々と勉強になるだろうし!」
「はい! 行きましょう!」
と、そんなわけで街に行くことになったベル君一行。
中心に聳える大樹の横にある湖に浮かぶ巨大な島、その上に街はある。
慣れた様子で門をくぐろうとする幹部達の横で、ベル君は不思議なものを見つけた。
門に数字が書かれていたのだ。
「あの、この334ってなんですか?」
「それはのぅ、この街が再築された数を表しとるんじゃ。今は334代目の街、つまり333回この街はぶっ壊れたことになるのぅ」
「なるほど〜……まぁダンジョンですからね」
「うむ、そういうもんじゃ」
ベル君はそれに対してほとんど動揺を見せなかった。
筋肉だから仕方がない。
なんなら記念に一回くらい壊しておこうかなとか物騒なことも思ったりした。
やったら指名手配待ったなしなので是非とも止めていただきたい。
「ねぇ、ここで一休みしてから下に行かない? 魔石も大量にあるし、整理してから行きたいわ」
そう、ベル君とアイズの狩りが効率的すぎて今、荷物はとんでもないことになっていたのだ。
どれくらいかというと、全員が修了式の日にまとめて全部持って帰る小学生みたいになっていた。
ティオネは鍛えたいからと言って魔石よりも重いドロップアイテムをこれまた大量に持っていた。
なのでもうかなり皆疲れているのだ。
ベル君はピンピンしているが。
「あぁ? 宿はどうするんだ? 野営道具なんざ持ってきてねぇぞ」
「街の宿でいいじゃろ、今回くらい」
「えぇ? 高いじゃない。この人数よ?」
「ティオネけちー。いいじゃんたまには」
「あんたがズボラすぎるのよ!」
と、そんな具合でどうするかと幹部達が揉め始めたところで、ベル君がとあるものを発見した。
「皆さん。あの辺に人だかりができていますが、あそこには何があるんでしょうか?」
ベル君が街の端の方のとある場所を指差す。
そこには確かに人だかりができていた。
「ん? あそこには特に何もなかったと思うんじゃが……行ってみるか」
幹部達もそこに何があったのかを思い出せなかったので、気になって行ってみることにした。
そこでは思ったよりも大きな人だかりができており、その人だかりはとある洞窟、つまり店を中心としてできていることがわかった。
ダンジョンは再生してしまうため、こういう壁際に店を作るときは、1から建設するかこういう洞窟を利用するかの二択なのだ。
その洞窟の前には、「ヴィリーの宿」という看板が提がっていたため、宿屋なのだろう。
ベル君はとりあえずその辺にいた人間に話を聞いてみることにした。
「あの、すみません」
「ん……うおお!? そ、その筋肉、まさか、インドラ・ファミリアの……」
ベル君の筋肉は地下世界でも有名なようだ。
流石筋肉である。
「あ、はい。インドラ・ファミリア団長ベル・クラネルです」
「儂らもおるぞぉ」
「ん? うおお!? ロキ・ファミリアぁ!?」
「あの……これは何があったんですか?」
「お、おう、実はそこの宿で殺しがあってなぁ……」
どうやら殺しがあったらしい。
そこで立ち入り調査を敢行する運びとなった一行は、ベル君の筋肉を利用し、人をかき分け、洞窟の奥の方へ歩いて行った。
そこには広いエントランスに、受付らしきものがあった。
パッと目につく装飾を見ただけでも、ここがリヴィラの中でも上等な宿であることが窺える。
横を見ると、布の垂れ下がった縦長の穴が多くあった。
恐らくあれが部屋なのだろう。
そのうちの一つ、冒険者が三名ほど待機している部屋に筋肉パワーで押し入る。
その部屋は赤く染まっていた。
床には、人間としてあるべき部分、頭部を失った男が横たわっていた。
服は下半身のみで、上半身は顕になっており、見事な筋肉が見える。
よく見ると、頭があっただろう部分には、頭だったものが窺える。
血の海に浮かんだ薄紅色の肉片と、脳漿。
眼球らしきものも少し離れた場所にあった。
吐き気を催すその光景だったが、ベル君一行は顔を顰めただけに留まった。
この場にいる全員、戦闘スタイルの問題で、モンスターをこういう状態にすることが多々あるので、耐性がついているのだ。
だが流石にキツいものはキツかったようで、
「ぐろ……」
と、ティオナが思わず、と言ったように呟く。
すると、その場にいた現場検証をしていた男二人が勢いよくこちらを振り向く。
その姿はかの有名なバイオなハザードに良く似ていた。
「なんだテメェら! 此処は立ち入り禁止だぁ!」
「落ち着けボールス。すまんが儂らにも調査を協力させてはくれんか」
男のうちの一人は、ボールスという、このリヴィラの長的存在だ。
もっとわかりやすく言えばジャイアンである。
その男が唾を散らしながらこちらへ詰め寄る。
「協力だぁ? ……お前らロキんところの中でも屈指の脳筋集団じゃねぇか。せめてフィンを呼んできやがれ」
幹部達は心外だという顔をしたが、彼らは実際に生粋の脳筋である。
というか幹部はフィンとリヴェリア以外全員脳筋まである。
「大丈夫じゃ。こちらにはインドラ・ファミリアのベル君がおる」
「どっからどう見ても脳筋じゃねぇか」
ベル君は困惑した顔をした。
ベル君は頭がいいので、別に脳筋というわけではない。
だがベル君は脳筋を言葉通り“脳の筋肉”と解釈して、“脳の筋肉ってどうやって見るんだ? ”とか考えていた。
「で? 何かわかったことは?」
「ああ、くたばった野郎はローブの女を連れ込んできた全身型鎧の冒険者だ。兜で顔はわからなかったが、女が消えていたからその女が犯人だろう。なぁ、ヴィリー」
「ん、少なくとも俺はその部屋にはその男と女しか入れてねぇよ」
と、隣にいた獣人の青年が肯定する。
店の看板と、彼のヴィリーという名から、彼がこの宿の主だろう。
ヴィリーは補足をするように続けて説明する。
「昨日の夜に二人で来てよ、どっちも顔隠して、宿を貸し切りたいって頼まれたんだ」
「あぁ……なるほどのぉ……そういう……」
「ああ、そういうことだ、喚けば洞窟中に響くし、なんなら覗こうと思えばいくらでも覗ける」
「「「……」」」
「「???」」
狼は顔を赤くし、絶壁は悟った顔をし、入信者は何か考え込んでいる。
恐らく小人を連れ込んで色々する妄想でもしているのだろう。
そして純真無垢な二人は何もわかっていないようだった。
「まぁ、そんなわけで何すんのか予想できたからこっちとしちゃあ白けたんだが、もらうもん貰ったしな。くたばっちまえとは思ったが・・・まさかこんなことになるとはな・・・」
と、ヴィリーは軽い口調で言ってはいるものの、顔色はとても悪い。
それを見たベル君は、筋肉でどうにかできないかな、とポージングをする。
サイド・トライセップスだ。
「そのローブ女の顔は?」
「いや、目深に被ってたから顔は見えなかった。だが、ローブの上からでもわかる。滅茶苦茶いい体してたぜ。本当に」
「おお、実はオレ様もチラッと見かけたんだが、ありゃあいい女だ。間違いねぇ」
そして見事にスルーされた。
アイズは反応していたようだがそれ以外には見事にスルーされた。
と、まぁ欲望に忠実な男二人がどうでもいいことを力説している。
アマゾネス二人はそんな男二人に極寒の視線を送った。
「・・・でもさぁ、自分のお店なのに中で何があったかわからなかったの?あの受付にいたんでしょ?」
「勘弁してくれよ、おい。一晩中奥の部屋から響いてくる声聞きながら寝ろってか?満員の札を店の前に置いてさっさと酒場行っちまったぜ」
ベートが確認を取ってくると、どうやら本当のことらしい。
どうやら飲み明かし、朝になって帰ってきたらこの惨状、ということのようだ。
脱ぎ散らかされた服と、半裸の男、この二つから死ぬ直前まで何を行おうとしていたかは想像に難くない。
まぁ、うん、これ以上の言及はちょっとアレだな。
とりあえず隙をついて殺されたのだろう。
「ローブの女の目撃情報は?」
「子分どもに見張らせてるが、ねぇな」
「証文とかは書かんかったのか?」
「気前よく魔石をドン、と渡されて釣りもいらねぇっつうんだからよ・・・それで済ませちまった・・・で、お前はいつまでそれやってんだ?」
ここでやっと反応されたベル君。
それで気づいた幹部達が驚いた後、気づかなかったことを謝罪した。
これにはベル君もニッコリである。
「で、この冒険者の身元は?」
「おう、今から開錠薬を使って・・・」
「この筋肉はガネーシャ・ファミリアのハシャーナさんですね」
『!?』
おまけ
〜死体を見た直後〜
(ベルよ、女には気をつけろ・・・特に、お前の叔母のyグホアァッ!!)
「!!?」
はい、ぶっ飛ばされたザルドさんでした!
話せたのはベル君の【筋肉】の発展アビリティを通じてです。
復活は・・・今のところ無し。