やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。   作:あかう

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 筋肉万歳!
 な、話です。


17話 インドラ・ファミリアは圧倒的筋肉から完全無欠筋肉になった。

 さて、そんなわけで前回、まさかのベル君が化身召喚というとんでもないことをやらかして精神疲弊に陥り、地上へと帰還することになったわけだが、一階層のダンジョンの出口に到着したあたりで、

 

「……ハッ! 今日のノルマ(筋トレ)終わってない!!」

「おお! 起きたか!」

「お前らぁッ! ベルが復活したぞッ!」

 

 と、意識を覚醒させるベル君。

 

「筋肉ってすごかったのね! おかげでなんであの猪野郎があんなに強かったのか分かったわ!」

「いやー! すごかったね! あの量の食人花を倒しちゃうなんてね!」

 

 と、アマゾネス二人がベル君を称える。

 よろしい。

 ティオナはとっとと染まれ。

 

 で、今どんな状況かというと、ベル君を神輿のように4人で担いで運んでいる最中だ。

 体形は前半二人が頭近く、アマゾネス姉妹が足近くを持っている。

 ベル君の大きさだとここまでやらないと地面に引き摺ってしまうのだ。

 別にベル君の耐久なら引き摺ったところで傷つくことなどないのだが、引き摺ると攻撃と判定されてしまうようで、反射されてしまうのだ。

 なので仕方がなくこの形に収まっている。

 

 ところで、此処で勘のいい人は一人いないことに気づいたのではないか。

 そう、アイズだ。

 彼女が今何をやっているかというと、

 ベル君の上に置いてある魔石だのドロップアイテムだのの山の上で不動明王のポーズ(胡座)をとっている。

 

 ロキ・ファミリアきっての脳筋と筋肉が、筋肉を神輿のように担ぎ、その上に御神体かのように鎮座するアイズ。

 その姿はまるで筋肉教のプロパガンダ。

 それは移動の時間だけで多くの冒険者を汚染させる程の筋肉領域を展開していた。

 

「あ、すみません。降りますね」

 

 神輿状態から器用に飛んで降りるベル君。

 アイズは器用にその力を利用して跳び、やや後方に着地した。

 そして凄まじい速さで魔石とドロップアイテムの入った袋をキャッチし、ベル君に渡す。

 

「よし! 帰るぞ!」

 

 ガレスの号令により、一行は帰還を再開した。

 ベル君とかいう圧倒的お荷物が最強の荷物持ちとなって復活した一行は、とんでもない速さで地上へと帰還したそうな。

 

「着いたわね!」

 

 と、バベル前の広場にて変なテンションで色々と話し合う一行。

 どうやらこの人たちも筋肉領域に当てられてテンションが上がっていたようだ。

 それでもティオナは染まっていないらしい。

 どれだけ意思が強いんだコイツ。

 

「はい!」

「換金はベルとベートの二人に頼むね!」

「はい!」

「俺は一向に構わねぇぜッッ!」

「取り分はこちらが8でよいか!?」

 

 自然な流れで換金することになったベート。

 ベル君は元から決定していたのでまぁわかるが、ベートがここでOKを出すのは意外だった。

 で、ガレスがなんかどさくさに紛れてベル君に無茶な要求を吹っかけている。

 魔石とドロップアイテムの半分くらいはベル君が獲得したというにも関わらずだ。

 流石のベル君もこれには首を横に振るだろう。

 

「いいですよ!」

「いいの!?」

 

 どうやらよかったらしい。

 

「元はと言えば皆さんの借金返済のためですので!」

「ベル、いい子」

 

 本当によくできた子である。

 あの空前絶後のクソジジイ(ゼウス)に育てられたとはとても思えない。

 いや、反面教師か? 

 

「では我々は先に帰っているぞ! フィンに色々報告せにゃならんのでな!」

 

 と、帰っていくアマゾネスとガレス。

 

「では行きましょうか!」

「応ッッ!」 

 

 というわけでギルドの換金所まで来た二人。

 例によってベル君の姿を見かけた冒険者達がベル君に順番を譲る。

 その光景を初めて見たベートは若干驚いたが、まぁコイツならこんなこともあるか、と即座に納得し、窓口へ向かう。

 

 窓口では今現在、冒険者が換金の結果を待っているところだった。

 流石のベル君も一人分くらいは筋トレせずとも待てる。

 

 しばらくするとギルドの職員が結果を伝えに来た。

 

「では、こちらの魔石、2700ヴァリスで買い取らせていただきます」

 

 2700ヴァリスとは、人一人が普通に生活するのならば、切り詰めれば一週間は生きていける金額であり、ソロで活動している普通のLv1ならば随分と稼いでいる方だ。

 だが、ベル君はここで冒険者にソーマ・ファミリアの紋章を確認した。

 隣にいるベートにもその旨を伝え、二人して耳を塞ぐ。

 なぜ耳を塞ぐのか、それは、

 

「んだとぉっ!? ふざけるなぁ!! これは俺がっ! 命懸けで取って来たモンなんだぞぉ!? 少なくとも1万ヴァリスはあんだろぉ!?」

「はい、ではこちらの魔石をお返ししますので、お引き取りください」

「いや待てよ! もう一回! もう一回精査をしろよ! そしたら絶対に1万ヴァリスは越すはずだ!」

「次の方ー。どうぞー」

 

 と、このようにソーマ・ファミリアの団員は換金の時に大声で喚く習性があるからだ。

 しかし、このギルド職員、ソーマ・ファミリアに良く慣れている。

 流れるようにソーマ・ファミリアの団員を処理した。

 彼にはビタミンB1の素質があるのかもしれない。

 

「はい、お願いします」

「オイテメェ! ふざ……け……」

 

 威勢よく振り向いたソーマ・ファミリアの団員だったが、ベル君とベート、それとベル君の背中に張り付いているアイズを見て段々と声が小さくなっていく。

 

「ふざけ……なんだ? 言ってみろぉ」

「い、いえ、なんでも……ないっす……はは、は、は……すいませんっしたァァッッ!!」

 

 と、凄まじい速度で帰って行くソーマ・ファミリアの冒険者。

 キッチリ金はもらって行っているところが小物らしい。

 

「はい、クラネル様ですね。今回はどのくらいですか?」

「これですね」

 

 と、魔石でパンパンになった袋(40Lくらい)を二つと、ドロップアイテムでこれまたパンパンになった袋(同じくらい)を見せるベル君。

 

「あ、はい……はぁ……では少々お待ちください……オイ! お前達! インドラ・ファミリアの団長だぁ!」

「またかァ!?」「今日もか!? 今日もなのか!?」「今回の量は!?」

「いつもの倍だよクソが! さっさとやるぞ!」

 

 裏で繰り広げられる会話。

 それを聞いたベートは戦慄する。

 

「お前、毎日この半分くらい狩ってきてやがるのか?」

「はい。基本は毎日ですね」

「お前十七階層には行かねぇんだよな?」

「そうですね」

「一体全体何がどうなってやがる?」

「筋肉ですが?」

「そうか」(納得)

 

 やはり筋肉だった。

 と、まぁそんな当然なことは置いておいて、だ。

 陰から筋肉達のそんな様子を見ていた者がいた。

 それは子供のような体と、その体に見合わない大きさのバックパックを背負った少女。

 そう、みなさんご存知、リリルカ・アーデである。

 

 彼女はこの街に住む冒険者の一人ではあるので、当然ベル君のことは前々から知っていたが、確実にやばいということで敬遠していた。

 しかし、彼女は今、ベル君とベートの会話を聞いて、彼は使えるんじゃないか、と思っていた。

 サポーターとして雇ってもらおうか、と、リリは思った。

 だが、幾つか懸念点があった。

 

 まず、ベル君が特に武器も防具も身につけていない点だ。

 なんならバックパックすら背負っていない。ベルトに大体のものは括り付けている。

 

 そして二つ目は、ベル君がそもそもサポーターを欲していない可能性があることだ。

 本当にあの量の魔石とドロップアイテムを毎日のように取って来ているとしたら、一人でほとんど役割を完結しており、サポーターなんているだけ邪魔だ、という状態なのかもしれない。

 

 最後に、隣にいるベートと背中にくっついているアイズの存在だ。

 見た感じ仲良さげにしている。で、彼らと仲の良いということはつまり、この街でも指折りの武闘派なのではないかという点だ。

 もしも彼がモンスターの群れを見たらとりあえず突っ込んでいくというタイプの人種だったとしたら、確実に命がやばい。

 リリの。

 上層ならば別に構わないが、中層とかになったら突っ込んでいった後に後ろからモンスター、とかになったら普通に死ねる。

 

 そこらを加味した上で、リリルカはベル君に手を出すべきでは無いと判断した。

 申し訳ない諸君。リリルカ救済はもう少し先だ。

 

 で、ベル君はかなりの量のお金を獲得し、ホームに帰る。

 アイズはベートが連行して行った。

 引き剥がすベートに対抗するアイズの姿は、まるで木に止まったカブトムシが捕らえられまいと抵抗しているかのようであった。

 

 そんなこんなあってホームに到着したベル君。

 扉を開けようとノブを握った時、中から叫び声が響いてきた。

 これはインドラの声だ。

 主神に何かしらの危機が迫っていると直感したベルは勢いよく扉を開き、突入する。

 

「神様! 大丈夫ですか!?」

『おお、その様子では回復したようだな。重畳だ』

「ベル君! 助けてくれ! 具体的にはこの不審者を殺してくれ!」

 

 そこには四つん這いになったインドラに座っている化身さんの姿があった。

 インドラは涙目になっているが、化身さんは呑気にお茶を飲みながらジャガ丸君を齧っている。

 

「えっと……魔法で召喚された方……ですよね?」

「え!? ちょっと待ってベル君! それはどういうことだい!?」

『うむ。そうだな、自己紹介がまだだったか。我が名はシヴァ。破壊を司る神にしてインダス、ガンジスの流域を統べる大神────の、化身である』

「化身というと?」

『遠隔操作ができる分身体だ。貴様風に言えば召喚した巨人に意識を移し、動かしているようなものだ』

「なるほど……つまり貴方は本体ではないと」

『うむ。そういうことだ』

「ちょっ! ベル君!? ベル君!? 私説明が欲しいな!」

 

 と、いうわけで色々と説明をすることになったベル君。

 魔法で召喚したことや、なんか知らんが超強かったことなどをインドラにする。

 すると、なぜだかわからないが途中からインドラがとんでもんないくらいご機嫌になった。

 

「と、そういうわけです」

「ふふふふふ、成程、ふふふふっふふふ」

『む? どうした? 遂に壊れたか?』

 

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

「ええぇぇぇ!?」

『笑うでない。揺れて不快だ』

 

 インドラはひとしきり笑うと、急にすごい勢いで立ち上がった。

 化身は浮遊して無事だったが、いきなりの事だったのでかなり驚いたようだった。

 

『ええい! 何をするか!』

「ふふふふふ、シヴァよ。今の己の立場が理解できておらぬようだなぁ」

『何だと……!?』

「そう、貴様は今、ベル君の使い魔、召喚物。そうだな?」

「え、あ、はい」

「つまり、だ」

『…………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様はベル君のペットで! ベル君の主神であるこの我の下僕なのだァ!!」

 

「『な、何だってぇー!?』」

 

 なんとこの雷神。ヒンドゥー教3大神の一柱を自らの下僕であると言い張りやがった。

 これには流石の破壊神様もビックリ。

 

『馬鹿な! そんなわけがなかろう! 我大神ぞ!?』

「だからなんだ! 我だって大神の資格くらい持っておるわ! ベル君が我の眷属である限り貴様は我が従僕よォ!」

 

 まぁ、何というか、筋は通っているのである。

 ベル君はシヴァへの命令権を持っており、インドラはベル君への命令権を持っているのだ。

 これはつまり間接的にインドラがシヴァへの命令権を持っているという事なので、シヴァがインドラの従僕というのはあながち間違いではない。

 

『ぐぅぅぅぅぅッッ! かくなる上は貴様を殺』

「あ、やめてくださいね」

 

 流石に自分よりも格の低い神にいいように使われたくないシヴァはインドラを殺そうとするが、ベル君に止められる。

 

『インドラアァァァァァァァァッッッッッ!!!!』

「ハァッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ!!」

 

 すごい調子に乗っているインドラだが、天界に戻った時シヴァに殺されなければいいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 まさかのペット枠シヴァ様。



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