やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。 作:あかう
筋肉とは?
な、話です。
さて、そんなこんなでシヴァ様をペットにしたベル君。
翌日、早速ベル君がダンジョンに潜ろうとシヴァを呼ぶ。
「シヴァさーん! ダンジョン行きましょー!」
『む。了解した』
「あ、ちょっと待って! シヴァは留守番!」
シヴァはOKを出したが、インドラから静止の声がかかった。
どうやらシヴァは留守番らしい。
一体何故そうする必要があるのだろうか、と、ベル君は疑問に思った。
「え? どうしたんですか神様。シヴァさん強いですよ?」
「いやそう言うわけじゃなくてね……あとこれの名前は今からポチね」
『貴様覚えておけよ?』
シヴァはポチになった。
その名前は流石に安直すぎではないだろうか。
それはそれとして本当にインドラが天界で殺されないか心配である。
「いやさ……昨日さ? ダンジョンでコレが戦った時すごい揺れたって言ってたじゃん?」
「言いましたね」
「それさ、実はこっちまで伝わって来ててね」
「そうだったんですか?」
まぁ当然である。
迷宮都市オラリオは迷宮の上に存在するのだから、迷宮が揺れればオラリオも揺れるのは自明の理というものだ。
「でね? それと同時にね、神の力とか神威の波動とかも伝わってきちゃったんだ。だから皆そいつのこと送還しようとしたんだけど柱が昇らなかった」
「それ拙いやつじゃないですか?」
「うん。だから拙いの」
下界において神の力の波動を感じ取ったということは一柱の神が送還されると同義なのだが、今回のシヴァは特例のため送還されなかったのだ。
『では我を送還すればよかろう』
シヴァはここでまるで解決策を出すかのようにしてこのペットな状況から脱出しようと画策する。
今の話題は『シヴァが
そんなシヴァ本人からしても若干苦しいかなー? という理論が勿論通るはずもなく、
「逃げようとするな。っていうか今は無理だ」
と、バッサリ切り捨てるインドラ。
まだシヴァ────じゃなかった。ポチはペットのままなのだ。
「え? 無理なんですか?」
「うん。私の予想だと────
で、実は元々ここに「今は無理だ」に関する色々な事が書かれていたのだが、それを書いてしまうととんでもなく長くなってしまうので、間話という形で次回に出させてもらう。
そんなこんなあってダンジョンへと出発したベル君。
十八階層に行った感じゴライアスさえいなければ正直何とかなりそうだったので────いてもどうにでもなるのだが────今日は二十階層くらいを目安にして行こうかな、と思った時。
「おーい! ベルー!」
と、進行方向の少し左の方から声が聞こえてきた。
そちらの方を見てみると、赤髪のベル君専属鍛治師ことヴェルフがベル君に向かって歩いてきていた。
「ベル、今からダンジョンか?」
「はい!」
「そうだよな。じゃあ俺も着いて行っていいよな?」
「はい!」
「じゃあコイツも着いて来ていいよな?」
「はい! ……え?」
と、ヴェルフが下の方を指差す。
指差した方向をベル君が見ると、そこには大きなバックパックを背負った小人族の少女がいた。
大きなバックパックを背負った小人族の少女こと、リリルカ・アーデはとても後悔していた。
彼女は先日、ベル君に雇ってもらうことは危険だと判断し、他の
そしてついさっき、今日はどの冒険者から毟ってやろうかと辺りを散策していると、魔剣を大量に持っていたヴェルフを発見したのだ。
リリはそんな金が足生やして歩いてるみたいな冒険者に目をつけ、自身を売り込んだ。
すると、
「お! 丁度俺も今サポーターを探してたんだ!」
と、即決で雇ってくれた。
さて、ここからどうするか、とリリが企み始めたところで、
「じゃあ早速だがコレ持っといてくれ!」
と、数十本の魔剣と、どこから持って来たんだ、と言うような大剣を7本渡してきた。
持つことだけならばスキルのおかげでどうとでもなったが、重いものは重い。
コレはとんでもないヤツに引っかかった。と、内心で思っていたところに。
「お? ありゃあ……おーい! ベルー!」
「!?」
リリは驚愕した。
雇い主が圧倒的危険人物の名前を親しげに呼んだからである。
ヴェルフが歩いて行った方向を見ると、超目立つ男が確かにのっしのっしと歩いて来ていた。
「俺も着いていっていいよな?」
「!!!?」
リリは仰天した。
そして次の瞬間、凄まじい焦燥がリリを襲う。
まさか、この男とパーティだったのか?
リリは死ぬのか?
と。
いや、まだだ。まだ着いていくと決まったわけではない。
そう自分を奮起させるリリ。
しかし現実は非情であった。
「コイツも着いて来ていいよな?」
「はい!」
終わった。
リリはここで下層辺りに連れて行かれて死ぬんだ。
と、リリは思った。
「…………で、どちら様?」
「さっき雇ったサポーターだ。コイツに今回のダンジョンアタックに必要なモンをもう渡してある」
魔剣と剣しか渡されてないんですけど!
ポーションも食料もなかったんですけど!
と、リリは心の中で叫んだ。
だが問題はない。ベル君がいればその辺は筋肉でどうとでもなる。
「へぇ〜……あ、初めまして。インドラ・ファミリア団長のベル・クラネルです」
「あ、はい。ご噂はかねがね……今回サポーターを務めさせていただくリリルカ・アーデと申します……よろしくお願いします……」
「はい! よろしくお願いします!」
「……敬語は大丈夫ですよ」
「あ、うん。わかった」
とりあえず自己紹介をされたので返したリリ。
ここで本名を言ってしまったのはただのうっかりである。
で、早速ダンジョンに潜ることになったベル君達。
冒険者達がベル君を見るなり道を開けるその光景を見た二人は、
「ほー。便利だなー」
「一体全体何がどうなってるんですか……」
感心と困惑の二通りの反応を見せた。
これも筋肉への慣れ度の違いである。
と、そんなこんなあったがベル君のパーティは順調にダンジョンを下って行っていた。
ヴェルフとかいう超広範囲殲滅砲台とリリという魔石
(何なんですかこの速さ。リリはやっぱりやばいのに着いて来ちゃったんじゃ……)
と、分かりきっていたことにまた後悔するリリ。
だが、この速さにはリリも一枚噛んでいることを自覚するべきである。
こちらに向かってくるのであればベル君が粉砕するし、逃げるのなら魔剣で焼き尽くす。
そして死んだモンスターの魔石を即座に回収していくリリ。
この3人の凄いところは3人それぞれが特化した役割が何一つ被っていないところだ。
だがまぁ、そんなことは全く考えてもいないリリは、圧倒的すぎる進行速度に絶望している。
そんなリリの曇った心とリンクしているように霧が立ち込める十階層を歩いていくベル君達。
すると、突然ヴェルフが立ち止まった。
「よし。この辺でいいな」
「どうしたの? ヴェルフ」
「実は今日な、お前のための剣の試作品を幾つか持ってきていてな! ここで試し切りしてもらいてぇんだ。ホラ、オークってでかい割にいい感じにザコくて試し切りに丁度いいかなと思ってな」
確かに十階層に出現するオークはベル君ほどの巨体を持っているが、その肉質は非常に柔らかく、動きも遅い。
そのため、多くの上級冒険者が試し切りの相手として重宝しているらしい。(当社比)
「じゃあ、まずはコイツだ」
そう言ってリリのバックパックから剣を取り出す。
それは剣というには大きすぎた。
大きく、
分厚く、
重く、
そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。
と、いうナレーションが似合いそうな大剣をベル君に渡した。
ツッコミどころがあるとすればその剣が試作
一体どこからそんな電波を受信してしまったのだろう。
「おお! 硬そう!」
「ああ、硬い。硬いが今回は多分ぶっ壊れる」
「壊れちゃうの!?」
どうやら壊れ得る前提で作った剣らしい。
以前の、というか原作のヴェルフではあり得ない剣の打ち方だ。
「まぁ、今の俺は鍛治スキルも持ってねぇからな。今回で一番お前の力に耐えられる剣の形を見つけておきたいんだ」
「なるほど……」
と、つまりはそういうことらしい。
最初に一番いい剣の形を見つけておこうという算段で、今後はそれをベースにして剣を作る、そういう話のようだ。
「じゃあ早速」
そういうと遠目に見えていたオークに切り掛かるベル君。
ベル君は冗談から斬り下ろし、剣は見事にオークを両断したものの、剣も見事に先端部分から4分の1ほどが捩じ切れて、先の方は少し前方に埋まっている。
「ヴェルフー! 壊れたー!」
「よし、じゃあ次だ」
と、リリに指示を出して新しい剣を出させるヴェルフ。
次の剣は逆に薄かった。
大きくはあるが細剣かってほど細かった。
銘は
別にチョコはかかっていない。
ベルがその剣を受け取ると、握る力でものの見事に砕け散った。
「まぁ、だろうな。次だ」
次に出て来たのはもはや剣ではなかった。
それはもはや柱であった。
8角形の太い鉄の柱に、細い鉄棒がくっついている。
銘は
確かに鈍器ではある。
「……剣なのか? コレは?」
「まぁ、剣ではないな。だが頑丈だ」
どうやら頑丈性を重視したものらしい。
とりあえず迫って来ていたオークにそれを振ってみるが、オークは切れずにぶっ飛び、遠くの方へ消えてしまった。
剣(?)は無事だった。
「……やっぱないな。使える場所が限られすぎるし魔石の回収が面倒すぎる」
この柱みたいな剣だが、あのオークが切れないとなると、鈍器としか使用できない。
そうなると、十分に振れるスペースがないといけない上、ぶっ飛んでいったモンスターの魔石を回収するのも手間になってしまう。
「次だ。四番」
そして出て来たのが、今度は巨大な包丁だった。
いや、どちらかというと鉈だろうか?
銘は
ロキとティオナが見たら発狂しそうである。
ベル君はそれをとりあえずオークに斬り下ろす。
すると、オークは真っ二つにしたものの、剣は地面に当たって砕けた。
「うーむ……自信作だったんだがな……」
「あ、ご、ごめん」
「いや、いい。次だ」
次出て来たのは、筋肉だった。
いや、ちょっと何言ってるのかわかんないとは思う。
思うだろうがコレ以外に説明のしようがないのだ。
鉄でできたマッチョマンの上半身に、剣の柄が生えていると言った感じだ。
筋肉のクオリティが無駄に高いのが特徴だ。
銘は
…コレは…アレですね。
完全にネタ枠です本当にありがとうございます。
「いやどうしてこうなったの!?」
「何なんですかコレ!?」
と、二人から声が上がる。
流石のベル君もそう来るとは予測していなかったようだ。
逆にどうやって予測するのだろうか。
「いやな? お前、なんかスキルで筋肉がないと破壊! みたいなのあっただろ? だから形で何とかできねぇかなって思ってな」
「な、なるほど……?」
とりあえず納得したベル君。
納得しないでいただきたい。
で、切ってみたものの普通に砕けた。
というか形状的に切る、というより叩く、の方が正解である。
「……まぁ無理……だよね」
「じゃあこっちも無理か」
と、取り出したのは今度は下半身であった。
見た目としては犬神家のポーズに柄が生えた感じだ。
銘は
完全無欠なネタ枠です本当にありがとうございます。
「だからどうしてそうなっちゃったんですか!?」
「さっきのよりは剣っぽい……かな?」
「正気ですか!?」
ベル君は正気・・・ではなさそうだな、うん。
早く目を覚ましてほしいものだ。
ちなみ剣(?)はあっさり折れた。
流石に形状に無理があったようだ。
「無理だね」
「まぁそうだよな。これとさっきのやつは若干ふざけて作ったからな」
「ふざけたんですか!?」
「いや、お前逆に考えてもみろよ。あの形を剣として運用するってなったら結構無理あるだろ?」
「そうですけど!そうなんですけど!」
どうやらふざけて作っていたらしい。
それはそれとしてリリがもはやツッコミ役と化している。
コレは筋肉化したらどうなるかが楽しみである。
「じゃあ、次で最後だ……安心しろ、最後のは真面目だし本命だ」
『お前ふざけてないだろうな』というリリの視線がヴェルフに突き刺さる。
最後に出て来たのは最初に出した鉄塊と同じ形の剣だった。
ただ少し違うのは刀身が赤くなっているという点だ。
確かに真面目に作ったようだ。
「コレ……魔剣なんだけど」
「言いたいことはわかる。だが魔剣に満ちる魔力がいい感じに壊れないようにしてくれるんじゃないかと思ってな」
「うーん……まぁ、やってみようかな」
まぁ魔剣が普通の剣と同じ扱いができるわけもなく
コレはベル君関係なく自然の摂理というか、普通というか、常識というか。
よく考えたらわかること、なのだが多分考えすぎた結果、本末転倒になってしまったのだろう。
「あー……やっぱ無理か」
「やっぱりなんですか!?」
「いや、普通考えたらわかるだろ」
「貴方が普通を語らないでくれます!?」
と、ヴェルフにキレるリリ。
ヴェルフも実はちゃんと分かっていたらしい。
キレ散らかすリリを宥めた後、どの形がいいか話し合った結果。
「うーむ。やっぱ最初の形だな」
「・・・そうだね」
「リリモソウオモイマス」
と、結局最初の形が一番良かったという結論に至った。
まさにシンプル・イズ・ベストである。
で、先ほどまで暴れていたリリは疲れ切っていた。
ここにいいると身が持たない、早く帰りたい。と思った頃。
「じゃあ素材と俺のランクアップか。少なくとも18までは行きたいと思うんだが、どうだ?」
「順調にいけば30くらいまで行けるんじゃない?」
「あー・・・そうだな。そうするか」
「!?」
という会話が広げられた。
どうやら帰るのはもう少し後になりそうである。
そんなわけで続きは次次回である。
筋肉先生はお仕置き天国ゴーゴーヘブンな見た目をしています。