やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。 作:あかう
筋肉万歳!
な、話です。
さて、そんなわけで前回、臨時神会が行われ、ソーマ・ファミリアとの戦争遊戯の細かいところのルールを設定し、その裏でベル君達はアイズ、そしてオッタルと共に、三十七階層でウダイオスを討伐し、モンスターを狩るだけ狩って地上へと戻ったわけだが、ベル君にはとある疑問があった。
「そういえば、どうしてアイズさんはソロでウダイオスを討伐したんですか?」
「アイツ……筋肉無い……解釈違い……」
「……そういうものなのか」
「うん……そう」
どうやら筋肉のないウダイオスと、筋肉のベル君やオッタルが戦うのは解釈違いだったようだ。
スパルトイとかならまだセーフだったが、ウダイオスレベルになると話は違ってくるらしい。
まぁ解釈違いならば仕方がない。
人には命に変えてでも守り通さなければならないものがあるのだ。
その後ギルドに戻り、魔石を換金したり色々していたわけだが、未だ日は高い。
どの程度かと言うと丁度真上に太陽が位置しており、だいたい正午だ。
まぁ当然といえば当然なのだが、現在のオラリオ最高戦力と言っていい彼らはダンジョンを侵攻する速度が馬鹿みたいに速い。
走っていれば勝手にモンスターは死んでいくのだ。
流石筋肉である。
そこで、その辺の屋台で買ったジャガ丸君を頬張りながらアイズがもう一度潜ることを提案してきた。
オッタルとしてもベル君達としても断る理由はないに等しいため、当然その案に賛成した。
その道中のことである。
ベル君達が十八階層を爆進している時、そいつは現れた。
「ちょっ、ちょっと待って欲しい!」
進行方向から男とも女とも言えぬ機械的な声が響く。
よくわからないがとりあえず人間の声だし、目の前に真っ黒なローブを着た人間っぽいのが立っている。
流石に人間は殺せないので、止まるしかない。
強烈な慣性を全身の筋肉で押さえつける。
ズザザザザ、と地面を削り、凄まじい砂埃を立てながら一行はなんとか謎の人物の前で停止する。
削れた土で謎の人物が腰くらいまで埋まった。
「なんの御用ですか?」
「まず引き上げてくれないか?」
ベル君が謎の人物の両腕を掴み、引っ張り上げる。
重さというものを全く感じなかったが、ベル君の剛筋からしたら骸骨も人間もだいたい同じ重さに感じるのでその辺は疑問を持たなかった。
「さて、いきなりですまないが、君たちには
「本当にいきなりだな」
「わー。うさんくさいですねー」
「おいベル。無視しようぜ無視」
「筋肉……無い……」
散々な言われようであった。
「いや、待ってほしい。本当に待ってほしい。私はこれでもギルドの者だ」
「ギルドの?」
「私はウラノスの私兵でね。今、ダンジョン内に於いて発生している異常事態の解決を申し付けられているんだ」
「そうか。では行くぞ、ベル」
「ベル……行こう?」
上位ファミリアの二人はギルドが割と嫌いだった。
なんの力も無い癖にアレやれコレやれ金を出せ、と。
そんなことを定期的に言われる二人はギルドにある程度の悪感情を抱いているのだ。
「いや本当に! 本当に待って欲しい! あの宝玉! あの宝玉に関わる事なんだ!」
「宝玉?」
「……あの……ルルネが持ってた……ヤツ?」
「そう! それだ! それが関係している可能性が非常に高いんだ! 事態は深刻! なんとかしなくてはならない!」
「……ちょっと、興味ある」
「ふむ……では、話せ」
もうこの場は上位ファミリアの二人が支配していた。
「二十四階層! 二十四階層の食糧庫にて異常事態が発生している! 詳しいことはリヴィラの『黄金の穴蔵亭』で『ジャガ丸くん抹茶クリーム味』を注文すれば協力者が教えてくれるからそこで聞いてくれ!」
「『黄金の穴蔵亭』……行って見ましょうか」
「かっ……感謝する! では私はこれで!」
謎の人物は逃げた。
で、そんな感じでリヴィラに行くことになった一行。
早速リヴィラの街に突撃したわけだが、リヴィラ内部は順調に筋肉になっていた。
リヴィラ在住の冒険者達は集団筋トレに勤しみ、そして中央の広場には、筋肉の像(モデル・ベル君)ができており、その周りでは崇拝の儀式が執り行われていた。
外部からやってきた冒険者達は、遠巻きにその光景に対してドン引きしている。
これも全部剣姫ってやつのせいなんだ。
そんなドン引きしている冒険者達の隣をまるでこの光景こそが正常であると言わんばかりに平然と通り過ぎるベル君達。
『黄金の穴蔵亭』を探しリヴィラの街を練り歩く。
行く先々でベル君とオッタルを崇め始める者がいたりしたがそんなことはどうでもいい。
数分間歩き続けやっと『黄金の穴蔵亭』を発見したベル君一行。
裏道の薄暗いところにある洞窟とかいう明らかに構える場所を間違っているような場所にその店はあった。
リヴィラの常連と言っても過言ではないアイズですら知らなかったのだから相当に間違っているのだろう。
洞窟の中には下へと伸びる木製の階段があった。
ベル君一行は迷いなくその階段を下ってゆく。
降りてゆくと、その店の内装が姿を現した。
中央には珍しい黄色を放つ水晶。
黒い岩肌の壁に、五つのテーブルとカウンター。
天井から吊るされる魔灯石。
その酒場は思ったより繁盛しており、テーブル席は全て埋まっている。
こんなに立地間違えてる癖になんでこんなに繁盛しているのだろうか。
納得がいかない。
新たな来客に視線を向ける冒険者たち……だったが、その視線は0,1秒足らずで逸し、各々が各々自分達がやっていた行動を必死で再開していた。
なぜそんなことになったか、それは次の5行を見てくれれば即座に理解できることだろう。
ベル君(圧倒的筋肉)
ヴェルフ(魔剣狂い)
リリ(深淵眼)
アイズ(魔物殺戮マシーン)
オッタル(最強&筋肉)
頭おかしいんじゃねぇのコイツら、と言いたくなるようなとんでもない面子である。
目をつけられたならば即死。
そんな恐怖が冒険者達に気づかないフリに徹させた。
カウンター席に座る5人。
ベル君とオッタルは両端に座る。
流石に筋肉がデカすぎて端以外だとだと二つ分席を取ってしまうのだ。
「注文は?」
マスターの声が若干震えているがそれも仕方ないことだろう。
「「「「「ジャガ丸くん抹茶クリーム味」」」」」
ドンガラガッシャーン、と。
店内の至る所から椅子をひっくり返す音が響き渡る。
マスターも尻もちをついている。
周囲の冒険者の視線が、今度は逸らされず5人に向けられる。
それを見た5人は今この酒場にいる全員が協力者であることを悟った。
「……猛者に……剣姫……インドラ・ファミリア団長……過剰戦力にも程が……」
店の奥からメガネをかけた水色のよく似合う美女がヨタヨタと歩み出る。
アイズとオッタルはその女性を知っていた。
「
「そ、の、通りです。猛者オッタル。貴方達も、依頼を?」
「うむ」
万能者ことヘルメス・ファミリア団長アスフィ・アル・アンドロメダが確認するように尋ねて来た。
オッタルはそれを肯定する。
途端、一気に騒がしくなる店内。
店にいた冒険者達は皆で円陣を組み、話し合っている。
どうやらこの様子だと全員がヘルメス・ファミリアのようだ。
「どうしましょうオッタルさん。彼ら作戦会議始めちゃいましたけど」
「ふむ……ならば俺たちも作戦会議で対抗するしかあるまい」
なんで?
えー……とにかくベル君達は、5人で円陣を組んだ。
ベル君とオッタルがデカすぎてリリとアイズが若干浮いているがそこは仕方ないだろう。
「……これやったは良いですけど何会議するんですか?」
「帰るか帰らないかで良いだろう」
「りりはかえりたいです」
「俺は行ってみてぇな」
「私も……興味ある」
「僕も行きたいですね」
「りりはかえりたいです」
「よし、では帰らないで良いな」
と、そんな具合で満場一致だった。え? リリ? 帰らないって言ってたよ。
ベル君達の会議が終わると、ヘルメス・ファミリアの会議も終わっていたようで、アスフィがこちらへと向かって来る。
「えー……お待たせしました。依頼内容は二十四階層食糧庫、そこでモンスター大量発生の原因調査。間違い無いですか?」
「うむ。モンスター云々は聞いていないが目的地は合致する」
「あ、そうですか……まぁ、問題ないでしょう」
よくわかっている。
正直ベル君一人いれば大体なんとかなる。
「貴方達には不要かもしれませんが、念の為こちらの戦力を。私含め総勢十五名。全てヘルメス・ファミリアです。能力は大半がLv3です」
「おや? へるめす・ふぁみりあのとうきゅうはEだったときおくしておりますが?」
「それは……その……」
アスフィがとある獣人に鋭い目を向ける。
その獣人は間抜けな悲鳴をあげるとテーブルの下に縮こまった。
「実は……我々の派閥の多くはLvを偽っており……今回はそれをバラすと脅されて……」
「あー……なるほどー」
「まぁ、なんだ。遠征の義務とか発生するもんな、うん」
「ええ、そうなんですよ……ただでさえ
なんということだろう。
このアスフィも目の中に深淵を飼っていた。
どこぞのギルド職員やサポーターと仲良くできそうである。
「えっと……じゃあ、行きましょうか」
「はい……」
と、そんな感じで出発することとあいなった。
一体、ヘルメス・ファミリアはどうなってしまうのだろうか。
このまま行くと深淵シスターズとかできそう。
過去編どれにする?
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幸せな世界線√(ハッピーエンド)
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不可避の悲劇√(ノーマルエンド)
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平和の礎√(バッドエンド)
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粉微塵の星√(XKクラスシナリオ)
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そもそもいらん。