やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。   作:あかう

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筋肉万歳!
な、話です。


2話 ミノタウロスは筋肉でいける。

 さて、そんなわけで今現在ベル君のもとにミノタウロスが突進してきた。

 ミノタウロスなどLv1冒険者にとっては絶望でしかない光景を見てもベル君は、うわぁ、いい筋肉しているな〜としか思っていなかった。

 

 何故内面は原作とあまり変わっていないベル君がここでこんなに冷静なのかと言うと、このベル君、普段からイカれた程発達したインドラの筋肉を見ているので、筋肉系のモンスターに対しての耐性がついているのだ。

 だからベル君はこの場でミノタウロスから逃げなかった────というかミノタウロスに全く恐怖を感じておらず、何ならこの筋肉と闘いたいとすら思っていた。

 

 と、そんな中ベル君はミノタウロスが武器────石斧を持っていることに気づいた。

 ベル君は困った。

 筋肉バトル────互いの筋肉をぶつけ合い、勝敗を決する究極の勝負を行うにおいて、武器は邪魔なのだ。

 だが、武器を手放すことを頼もうにもモンスターと人間では言葉の壁が大きすぎる。

 というわけで何とかミノタウロスに武器を手放してもらうため、ベル君は筋肉による対話、筋肉的会話による交渉を試みた。

 相手はモンスターだが、それと同時に筋肉でもある。筋肉ならば通じてくれるだろう。と、考えたベル君はモストマスキュラーのポーズをとり、筋肉的会話を開始する。

 

 一方でミノタウロスは困惑していた。

 生まれた瞬間に恐ろしい奴らが迫って来たので逃げたら、その先に自分よりも筋肉な筋肉がいたのだ。

 しかもその筋肉はいきなりポーズをとり、こちらに向けて期待に満ちた目を向けている。

 その意味のわからない光景を前にしたミノタウロスの頭上に盛大に疑問符が浮かんだ。

 

 だが、次の瞬間。ミノタウロスはその奇行の意味を理解した。

 頭で考えるのではなく、筋肉で直感的に理解した。

 そう。彼はベル君が思った通り、モンスターであると同時に筋肉だったのだ。

 彼はベル君の筋肉が何を伝えようとしているか、全てを理解した彼は石斧を投げ捨て、返答としてサイドチェストを敢行する。

 

 ────この時、世界で初めてモンスターとの筋肉的会話が成功した。

 これは物凄い快挙だ。筋肉はありとあらゆる壁を乗り越え、意思を伝えることができると証明されたのだから。

 

 ちなみにこの会話を我々に理解できるよう翻訳すると、

『こいよミノタウロス! 武器なんて捨てて、かかってこい!』

『やってやろうじゃねぇかよこの野郎!!』

 となる。

 

 意思疎通に成功した二人は、早速ぶつかり合った。

 互いに互いの筋肉を駆使し、相手を投げ飛ばさん、と互いに互いの腰を掴み、競り合っている。

 その姿はまるで極東にて行われる神聖な競技、SUMOUのようであった。

 周囲の空間が歪む程の力の嵐の中、互いにその場から一歩も動かず、3分が経過した頃。

 ミノタウロスの足元が大きく抉れた。

 あまりにも大きい力のせめぎ合いに迷宮の方が音を上げたのだ。

 バランスを崩したミノタウロスはベル君の力に対抗できずに、ぶん投げられた。

 

 真上に。

 

 ここは迷宮────つまり地下である。

 しかも此処、五階層は炭鉱のような洞窟になっている。

 さて、問題だ。そんなところでミノタウロスを真上に投げたらどうなったか? 

 答えは「ミノタウロスが天井にぶっ刺さった」だ。

 筋肉が岩盤よりも硬いのは常識なので何ら可笑しいことはない。

 と、天井に刺さったミノタウロスは即座に頭を天井から引き抜き、来るであろうベル君の攻撃を防ごうとした。

 

 が、その頭を引き抜く隙は筋肉バトルの中ではあまりにも大きな隙であった。

 ベル君の拳がまともに顔面に刺さった。

 当然その衝撃にミノタウロスの頭は耐えられずに消し飛んだ。

 頭が消え、残ったミノタウロスの体が地面に倒れた。

 この命をかけた極限・筋肉バトル、ベル君が制したのだ。

 ベル君は好敵手に敬意を表し、賛美の腕立て伏せを行った。

 賛美の腕立て伏せとは、亡き相手の筋肉に対する賞賛であり、これを極限・筋肉バトル後に行わないことはスゴイ=シツレイにあたる。

 

 そして腕立て伏せを終えたベル君は魔石を回収し、帰っていった。

 流石に疲れたのと、主神に筋肉的会話の成功を報告するためだ。

 

 と、実は今の一部始終を眺めていた者がいた。

 皆さんご存知、アイズ・ヴァレンシュタインである。

 彼女は17階層に発生し、逃亡したミノタウロスを追いかけて此処五階層まで来ていたのだが、ミノタウロスと組み合っているベル君を見てフリーズしてしまっていたのだ。

 ミノタウロスを切ろうにもあの冒険者を切ってしまうし、何より邪魔していい雰囲気に見えなかった。

 そこは天然なアイズにもわかったようだ。

 というわけでどうしようもなく、とりあえず眺めているしかなかったアイズだったが、この光景を見ているうちにこんなことを思い始めてしまった。

 

 筋骨隆々の男達のくんずほぐれつ…………良い! 

 

 と。

 哀れ、純真無垢な少女はどうやら新しい扉を開いてしまったようだ。

 更に。少女はよからぬことを思いついてしまった。

 思いついてしまったのだ。

 

 あの人にコツを聞けばベートやラウル、男性団員達をガレスみたくムキムキにできるのでは?

 もしそうなったらロキ・ファミリアは楽園と呼んで差し支えないのでは?

 

 と。

 主神ロキが聞いたら卒倒しそうなことを。

 団長、副団長に一体どうしてこうなってしまったんだ、と嘆かれる様なことを。

 そうこう考えているうちにベル君とミノタウロスの戦闘、そして賛美の腕立て伏せが終わっており、ベル君が帰り始めていた。

 アイズは焦った。

 彼にはムキムキになるコツを教えてもらわねばならないのだ。

 楽園を作るためにも。

 と、いうわけでアイズは急いでベル君を追いかけ、話しかけた。

 

「あの……」

「ハイっ!?」

 

 ベル君はとても驚いた。

 迷宮で声をかけられ後ろに振り向いたらとんでもなく可愛い少女がいたのだ。

 驚きもするだろう。

 流石に路地でいきなり筋肉モリモリマッチョマンに話しかけられた時ほど衝撃的ではないが。

 

 

「どうやったら……筋肉がつくんですか?」

「えっ……えっ!?」

 

 ベル君は困惑した。

 可愛い少女にいきなり「どうやったらマッチョになれるんですか?」と聞かれたのだ。

 

 なんで? どうしてそんなこと知りたいの? 

 もしかしてマッチョになりたいの? 

 

 と、まさか周囲の男性を全てマッチョにして楽園を築こうとしているなど何一つ知らない。知る由のないベル君は質問の意図を見当違いな方に解釈していた。

 

「え……えっと……えっと…………だっ、だああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 逃げた。

 ベル君は逃げた。

 あまりの意味不明さに脳が逃避を撰択してしまったのだ。

 まぁ仕方なかろう。

 

「えぇ……」

 

 取り残されたアイズは何故逃げられたのかが全く分からず呆然としていた。

 

「おい、アイズ。何だったんだアイツ?」

 

 と、後ろから追いついてきたベートに声をかけられた。

 どうやら今のやり取りの一部を見られていたようだ。

 そこで、アイズはベートに一つ提案をぶつけてみることにした。

 

「ねぇ……ベートさん」

「あぁ?」

「筋肉……付けない?」

「あぁ!?」

 

 今後、ベートは日夜肉体改造に励む羽目になった。

 ついでにラウルも。 

 

 





 さて・・・

 ソードオラトリアの方どうしよ。

 ちなみにインドラは超イケメンで肌が黒い範馬勇次郎みたいな見た目。
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