やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。   作:あかう

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 今回は筋肉ないしシリアスだしで間話にしようかなと思ったけど本編にめっちゃ関わって来るのでこの扱いにしました!


28,5話 神会

「んなわけでぇ! 第ン千回神会開かせてもらいます! 今回の司会進行はうちことロキや! よろしくな!」

「「「「「イエェェェェェェェイ!!」」」」」

「「「「「「………………」」」」」」

 

 普段通りの音頭によって開かれる神会。

 しかし、返答の歓声と喝采は普段と比べるのも馬鹿らしくなるほどに小さい。

 

 場所は変わらずバベル三十階。

 先程まで観戦席だったそこは大きく様相を変え、今は会議室となっていた。

 そこに座るのは先ほどよりも倍以上いる神々。

 その半分は顔がだらしなく緩んでおり、沈痛な面持ちで下を向く残り半分をニヤニヤと見下ろしていた。

 

「よぅし、んじゃ、まずは戦争遊戯の後始末からやな!」

「「「「「「ッ………………!!」」」」」」

 

 下を向いた神々の体が跳ねる。

 小刻みに震え、ロキの言葉をひたすらに待つその姿は判決を待つ罪人を彷彿とさせた。

 

「あー……まず先に金のこと言っとこか。えーっと……『今回の戦争遊戯において、オラリオ内における全ての賭け事の結果を白紙とし、賭け金は全額返金されるものとする』やって、よかったなぁお前ら」

 

 一気に場の空気が弛緩する。

 緊張していた神々も大きくため息を吐き、安堵している。

 

 が、それは『負けた側の神々』に限った話。

 この宣言を受けて堪らないのは『勝った側の神々』である。

 

「いやいやいやいや待ってくれよオイ!」

「俺ら勝ったんだが!?」

「どぉしてだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「ふざけるなァァァァァァァァ!!!」

 

 そんな具合に批判の嵐が遥か上空の世界で吹き荒れる。

 その勢いはどっかの賭博黙示録の人とか新世界の神とかを思わせる。

 無論それに対して負けた神々は反論する。

 それぞれの主張としてはこうだ。

 

 勝った側の神々曰く、こちらが勝ったのだから渡すモン渡せ。

 負けた側の神々曰く、この量の金が動くとオラリオが機能不全に陥る。

 

 どちらの意見も正当性はある。

 勝ったのだから金を受け取る権利はあるし、だからといって金を渡すとオラリオが滅ぶ。

 論争はヒートアップし、いよいよ暴力沙汰になるかという時。

 

「まぁ待て、落ち着き。まだまだ続きがあるんや」

 

 正直もっと早めに言ってほしかったがそこは流石道化神というかなんというか。

 とにかくそんな一声で先程まで騒がしかった室内がシンと静かになる。

 

「じゃ、読み上げるでー……『ただし、ファミリア名義、または主神名義でソーマ・ファミリアに賭けられたものに関しては返金額を半額とし、インドラ・ファミリア側に賭けられたものに分配されることとする』、と。露骨やなぁ、ホンマに」

 

 露骨なまでのギルドによる忖度であった。

 まぁ仕方ないと言えば仕方ない。

 インドラ・ファミリア側に賭けたのは街の治安維持を担うガネーシャ・ファミリアや、街の食糧事情の大半を担うデメテル・ファミリアに、冒険者には必要不可欠な武具防具を担うへファイストス・ファミリアにゴブニュ・ファミリア。

 更には二大最強ファミリアたるロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリア。

 何よりLv5すら歯が立たない強さを持つ、ベル・クラネル擁するインドラ・ファミリア。

 

 流石のギルドもこれらのファミリアの機嫌を損ねると拙いと判断したようだ。

 実際、全額返金のままだったらどこぞの美の女神と裏に控えている破壊神がオラリオを跡形もなく滅ぼしてしまうことだっただろう。

 その判断は実に正しかったと褒めてやりたい所だ。

 

 勝った側の神々は「まぁ、それなら……」みたいになり、負けた側の神々も「全部消えるよりは……」と納得の姿勢を見せる。

 

「あー……ロキ」

「ん? なんや?」

 

 しかし、そこに待ったを賭けたのはインドラだった。

 周囲の神々に緊張が走る。

 この神なら『いやちゃんと全部寄越せ』とか言いかねないからである。

 ロキもその糸目を見開き、インドラの意を見極めようとする。

 

「あー……いや、何、別にさっきの半額云々のヤツで私は構わないのだが……それはそもそも()()()のか? 出来たとして()()()なのか?」

「「「「「!!!!」」」」」

 

 神々もそのインドラの指摘にハッとする。

 そう、これにはそもそも『可能かどうか』の問題が存在するのだ。

 人間の性善説を信じるのならば解決するのだが、性悪説を適用するのならば話は変わってくる。

 

 それはこの賭けの胴元が冒険者であるという一点に尽きる。

 ある程度はギルドが主導、ある程度の集金こそしてはいるものの、一番金が動いているのは冒険者の胴元。

 貪欲で()()()()彼らが金に何も手をつけていないか? と問われれば誰もがその答えを濁すしかない。

 更に言うと手をつけていなかったとしてもその後に集計する側の懐に入るかもしれない。

 

 そんな具合なのだ。

 ロキがギルドより提出された書類に視線を落とす。

 全員の視線がロキへと向かう。

 誰もがロキからの返答を固唾を飲み待つ────が、

 

「俺が! ガネェェェェェェェシャだァァァ!!」

 

 と、なんの脈絡もない突然のガネーシャ。

 不意をつかれた神々はその咆哮をモロに喰らい、近くにいた者は悶絶している。

 

「なんだよいきなり!」

「こういう時にふざけてんじゃねぇ!」

「バカヤロー! 松田ァ! ふざけるなァァァァァァ!!!」

 

 どうやらまだ新世界の神は帰っていなかったらしい。

 そんなことより。

 

「心配することはない! 既に胴元の下にあった金は俺の眷属達によって差し押さえられている!! そして集計も俺主導で行う!!」

 

 流石【群衆の主】、そこら辺は抜かりなかったようだ。

 これはいい判断だと言える。『ガネーシャ』はそう言う存在なのだ。

 都市の者もこれには納得するしかないし、間違いも起きないだろう。

 周囲の神々もこの働きに賞賛を送る。

 

「おし、金云々はもう大丈夫やな。んじゃ次は今回の戦争遊戯が終わっての諸々や。えー……まず事前に決めとった通りソーマ・ファミリアはインドラ・ファミリアに無条件で服従、と」

「……仕方ない」

 

 ソーマが苦虫をすり潰したような顔で服従を呑む。

 実際負けたのだから仕方ないだろう。

 

「んで、次が、えー……インドラ・ファミリアの等級を特例としてSに昇格、と……ええな?」

「構わないとも。むしろそのくらいが妥当だ」

 

【等級】とはファミリアごとに設定された『格』を表すものであり、そのファミリアが都市内においてどれほどの力を持っているかを表している。

 IからSまでの段階があり、その中でもD以上の等級になると、『遠征』の義務が与えられる。

『遠征』とは、ギルドがファミリアに強制任務(ミッション)として課す、『ダンジョン攻略』を効率よく進めるためのファミリア単位で行うダンジョンアタックである。

 その達成条件は『何かしらの結果を残すこと』であり、未開拓領域のマッピング、希少素材の収集、未到達領域への進出等を行うことによって、それは達成されたと扱われる。

 

 等級は本来は派閥内の眷属の数と、団員のLvの高さによって決められるが、今回、インドラ・ファミリアは等級Aであるイシュタル・ファミリアを含む数多のファミリアを単体で攻略したことから、少なくともSはあるだろうということでSになった。

 

「それと、インドラ・ファミリア団長、ベル・クラネルのステイタス開示……こっちはどうなんや?」

「断固拒否だ。流石に私も可愛い眷属(こども)をギルドの贄にする気はない」

「……何か、()()()んか? 」

「私は彼を鍛えただけだとも。元々彼に素質があっただけさ」

「……まぁ、ええ」

 

 事実、ベル君のステイタス開示はインドラ・ファミリアとして自殺行為と言っても過言ではない。

【破壊天憤怒】の効果なんて知られた日にはベル君をありとあらゆる方法で殺しにかかってくるだろう。

 それだけベル君のステイタスは『ヤバい』のだ。

 

 神会の空気は微妙な感じになったが、その後も戦争遊戯後の色々な決め事は続いた。

 そして、最後に色々と都合を決めた後。

 

「……これで戦争遊戯云々は終わりやな。よし、んじゃあ次が、えー……そう、王国(ラキア)のことや」

「またかよ」

「あの馬鹿か」

「もう送還した方がいいんじゃね?」

「なんでアイツ叛逆されないんだ?」

「顔がいいからだろ。美の神とタメ張れるぞ」

 

 散々な言われようであった。

 しかし、遊戯などではない本当の戦争が起こりそうだというにも関わらず場の空気は全く引き締まる雰囲気がない。

 それもそのはず。ラキアはまぁ、ハッキリ言って弱い。

 

 国民ほぼ全員が軍神アレスの眷属である国家型ファミリアであり、その軍も勿論アレスの恩恵を受けている。

 ものの、そのうちの殆どがLv1で、Lv2がチラホラいる程度。

 オラリオのLv5だの6だのには逆立ちしたって勝てない。

 

 そんななので正直勝ちが分かりきっている。

 だから皆こうも楽観的なのだ。

 

「まぁ、アッチはいつも通りでええやろ」

 

 と、そんな感じで結論はついた。

 そして。

 

「おし、んじゃあ次はお待ちかね、命名式や」

 

 瞬間、神々の間に緊張が走る。

 その場にいた特定の神、特に後から来た神の顔色がサッと青くなる。

 負けて元々顔色が悪かった神に至っては真っ白になっている。

 

 そして、そんな神々を見て他の神々は、『ニチャア』と。

 その唇を大きく、悍ましく釣り上げる。

 

「資料は行き渡っとるなー? んじゃあトップバッターは……セトんところのセティっちゅうヤツやー!」

「た、頼む、どうか、どうかお手柔らかに……」

「「「「「断る」」」」」

 

「ノォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 まぁ、なんというか、ご愁傷様というか。

 これはランクアップした冒険者に二つ名を授ける神聖な儀式……なのだが。

 いつぞやでも紹介した通り、神々のセンスは俗に言う『痛い』名前を量産する。

 しかし、人間の感性からしたら『圧倒的ハイセンス』以外の何者でも無く、ただ『カッコイイ』と感じてしまうのだ。

 

 だからこそ、人間達はそんな『カッコイイ』名前を誇らしげに連呼するし、自信満々に名乗る。

 発狂する主神の前で。

 そしてそれを他の神々が大爆笑して差し上げる。

 つまりそう言うことである。

 

『──決定。冒険者、セティ・セルティ、称号【暁の聖龍騎士(バーニング・ファイティング・ファイター)】』

「グアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!」

 

 そんな地獄のような儀式は次々と被害者を出してゆく。

 ちなみにLv2から3、3から4と言うようにランクアップする毎に二つ名がまた貰えるのだが、アイズとオッタルは今の二つ名が一番合っていると変更はなかった。

 

 で、待ちに待ったベル君のターンが遂に回ってくる。

 

「次が……インドラんとこのベル・クラネルや」

「やっとか」

「待ってたぜぇ!」

「イイの考えてきてるぜ俺はぁ!」

「うふふふふふふふふふふふふふふ」

 

 怖い(率直な感想)

 

「【超人(ムロフシ)】!!!」

「【(オーガ)】!!!」

「【雷霆化身(アヴァターラ)】!!!」

「【覇王(ラオウ)】!!!」

「【剛力怪獣(ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ)】!!!」

「【空堕とし(ソラナキ)】!!!」

「【殴龍(ストライク・ドラゴン)】!!!」

 

 ……うん、なんと言うか、まだ他と比べたらまともであった。

 

「ま、まともや」

「まともすぎる」

「ちゃんとしてる……」

 

 他の神々も驚愕していた。

 インドラも満足そうにしている。

 そして意外とベル君の二つ名決めには時間がかかり、1時間程度が経過した後。

 

「「「「「決まったァァァァァァァァァァァァ!!!!!」」」」」

 

 遥か上空の世界で新たなる英雄の器の名が決まった。

 

『────決定。冒険者、ベル・クラネル、称号【強者(オリオン)】』 

 

 

 

 





 大丈夫かな、コレ。
 アルテミス様発狂しそうなんだよなコレ。

 ………ま、いっか。

 おまけ

【神々がベル君をどう思ってるか一覧】

ヘスティア→いつもハイパーウルトラジャンボ・ジャガ丸くんデラックスを一瞬で食べ終えるやべーやつ。

へファイストス→ヴェルフを変えた筋肉。

ヘルメス→どうしてこうなった?

ロキ→最重要警戒人物。

フレイヤ→最&高。

ミアハ→最近すごい筋肉。

タケミカヅチ→最近すごい筋肉。

アポロン→最&高だけど手を出したら多分死ぬ。

デメテル→雷霆のやべーやつ。

ゴブニュ→常連の性癖を歪めたやべーやつ。

ガネーシャ→警戒が少なからず必要な人物。

ソーマ→酒の効かないやべーやつ。

イシュタル→利用価値はあるクソ野郎。

ディアンケヒト→自分の金を飛ばしたクズ。

デュオニュソス→最重要警戒人物。

イケロス→面白そうなヤツ。

タナトス→誰ソレ。

ウラノス→最重要警戒人物。

ゼウス→え?どうしてそうなった?

ヘラ→え?どうしてそうなった?

インドラ→最高の眷属。

シヴァ→神を呼び出すやべーやつ。
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