やはり筋肉。筋肉は全てを解決する。   作:あかう

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 筋肉こそ正義!
 な、話です。

 モザイクは原作ネタバレ防止


3話 ステイタスは筋肉で増える。

 さて、そんなわけでアイズ・ヴァレンシュタインからの逃走に成功したベル君(超筋肉)

 落ち着いた彼は今ギルドのシャワー室でいつも通りシャワーを浴びていた。

 シャワー室が筋肉でギチギチだ。

 実に窮屈そうだが、彼はそこでシャワーを浴びる必要があった。

 彼の鋼の肉体はミノタウロスやら他のモンスターやらをその拳だけで倒していたため返り血だの何で酷く汚れており、すぐにでも洗い流さなくてはならなかったのだ。

 その血に塗れた姿は最初こそ冒険者達にSANチェックを要求していたが、もう既に数週間の間で殆どの冒険者達は慣れきった。

 

 シャワーを浴び、綺麗になったベル君がアドバイザーの勇気ある者ことエイナのもとへ向かう。

 エイナはベル君のその目立つ肉体を見ると手を振り、笑顔で出迎えてくれた。

 それを見た他の冒険者が筋肉の来訪を知り、道を開け、その道を悠々とベル君が歩むまでがワンセットだ。

 

「おかえりベル君! 今日は随分と早かったけど、どうしたの?」

「はい! ミノタウロスと筋肉で話し合うことができました!」

「ん?」

 

 エイナは硬直した。

 先程まであれ程生き生きとしていた笑顔も凍りついている。

 

 意味がわからない。色々と意味がわからない。

 “筋肉で話し合う“とかいうちょっとヤバめの言葉が聞こえたような気がしたが気のせいであって欲しい。

 

 と、エイナは心の底から願った。

 周囲にいた冒険者とギルド職員もエイナ同様の状態となっている。

 

「もう一回言ってもらっても良いかな? ベル君?」

「はい! ミノタウロス筋肉話し合うことができました!」 

 

 気のせいではなかった。

 どうやらベル君はミノタウロスと筋肉で話し合ったようだ。

 普通なら確実に有り得ないであろうことでも、何でかベル君の筋肉を見ると“ベル君にならできそう“と思えてしまうエイナ。

 しかし本当にそうだったとして一つ気になることがエイナにはあった。

 

「十階層にミノタウロスなんて出ないはずなんだけど何でミノタウロスと遭遇したの?」

 

 そう。ミノタウロスとは本来中層に出現するLv2相当のモンスターだ。

 決して十階層ような上層に顔を出していいモンスターではない。

 

「いえ、彼とは五階層で出会いました!」

 

 おかしさが増した。

 五階層とは冒険者を1、2ヶ月やって運が良ければいけるかな、くらいの上層も上層である。

 そんなところにミノタウロスが出るなど本当におかしい。

 一体何があったのだろうかと考えている時にとあることが気になった。

 その後のミノタウロスがどうなったか、だ。

 

「ねぇベル君。そのミノタウロス、どうしたの?」

「はい! 極限・筋肉バトルで倒しました! 強敵でした!」

「」

 

 エイナはぶっ倒れそうになるのを我慢しなくてはならなかった。

 周囲にいたベル君がまだひよっ子(?)だと知っている冒険者も職員も卒倒しそうになった。

 今の言葉を訳した場合、意味は

 “Lv1が、Lv2後半相当のモンスターを筋肉で倒した“になる。

 本当に意味がわからない。

 極限・筋肉バトルも意味がわからない。

 でもこいつならできるんだろうなぁと何故か思えちゃうのがベル君の恐ろしいところである。

 

「え、えっと? 倒したの?」

「はい!」

「君今Lv幾つ?」

「1です!」

「冒険者になってからどのくらい?」

「2、3週間です!」

何でミノタウロスを倒せるの!? 

筋肉だからです!!! 

 

 そう、筋肉だからである。

 筋肉以上に納得できる理由がこの世に存在するだろうか? 

 いや、無い。(断言)

 だが、それでもエイナは納得がいかないようだ。

 何故筋肉で納得いかないのだろうか。

 心臓に毛が生えた弊害だろうか? 

 

「いやね? 確かにね? 君の成長はすごいよ? こんな短期間で九階層も易々と攻略できるんだから。それと筋肉が凄いのもわかるよ? でもね? だからって何でそれでミノタウロスが倒せるの!?」

「え、ええっと……スキルの効果じゃないですかね?」

「え? スキル?」

 

 そう、このベル君、原作とは大きく異なり、2つのスキルを発現しているのだ。

 実は今回のミノタウロス討伐にもそのスキル達は大いに活躍していた。

 

 そんなことを聞いてしまったエイナがそのスキルのことが気になってしまうのは自明の理であって何ら可笑しい事ではない。

 そして気になってしまったからには知りたくなっちゃうのが人の性。

 と言うわけでエイナは早速ギルドの部屋を一つ借り、そこでスキルを教えてもらうこととした。

 

「ふぅ……ここなら誰にも聞かれないから、ちょっとスキルの内容教えてくれない? このことは誰にも言わないから。ね?」

「い……いえ、それは流石に……」

「私はアドバイザーとして君の性能とかを把握しておきたいの。そうしたら私にも何か言えるかもしれないし」

「うー……そうですね。わかりました」

 

 と、押しに弱いベル君はペラペラとスキルの詳細を喋ってしまった。

 そのスキルの内容を聞いたエイナは、その効果を聞いてぶっ倒れたがそんな事はもうわかりきった事だろう。

 

 その後、魂の抜けかけたエイナから解放されたベル君は魔石類を換金し、ホームへ向かった。

 ちなみにベル君を待たせすぎると筋トレ(高速)を初めてしまうので、ベル君は優先的に換金させるのが冒険者の暗黙の了解になっている。

 あの【ソーマ・ファミリア】の団員ですらその了解を守っている。

 それほどベル君の筋トレから発生する風圧は凄まじいと言うことだ。

 

 と、そんなホームに向かうベル君を見ていた者がいた。

 皆さんご存知、美の女神フレイヤ────シルである。

 このところ、この女神は原作と同じくベル君に夢中なのだ。

 何故そのようになってしまったか。

 本人曰く、「魂が純白で純粋無垢で筋肉(魂が)だから」とのこと。

 ちょっと待ってほしい。

 純粋はまだいい。純粋無垢もわかる。

 

 

 筋肉? 

 

 流石の私もこれは予想外だった。

 魂に筋肉がついたのか? それとも魂の形が筋肉なのか? 

 筋肉とは魂にすら作用するのか? 

 まぁ筋肉とは筋肉であるがためそのようなことが起こっても何ら不思議ではないが。

 

 と、そんなわけで彼女は今日もベル君を視界に収めては、その大きく鋼のような肉体と内面のギャップのすごいベル君を脳内でそれはそれはメチャクチャにする真っピンクな妄想をし、流れ出る鼻血と格闘していた。

 そんなことをしている間にベル君は通りすぎ、ホームへと戻って行ってしまった。

 実を言うとこの女神、毎回毎回ベル君に話しかけようとしているのだが、毎回毎回妄想に気を取られ逃してしまうポンコツだったのだ。

 今回も逃したことを嘆きつつ次こそはと決意を胸に秘めるフレイヤであった。

 

 さて、と言うわけで無事にホームに着いたベル君。

 扉を開けると主神、インドラが腹筋をしながら迎えてくれた。

 神は普通の人間と何ら変わりない身体能力になっており、神々曰く“全知零能“

 となっているはずなのだがその圧倒的筋肉から行われる腹筋は周囲にジェット気流クラスの風を発生させていた。

 

「やぁ! おかえりベル君! 随分と早かったね!」

「はい! 神様! 聞いてください! 僕ミノタウロスと筋肉で話し合えたんです!」

「何だって!? それはすごい! 偉業じゃあないか! 流石私が見込んだ筋肉だ!」

「有難う御座います! ステイタス更新お願いします!」

 

 流石我らがインドラ(マッスル)様。

 エイナやその他大勢とは違いこの説明でしっかりと理解したようだ。

 腹筋をやめ、気流が収まるとインドラはベル君に服を脱ぎ、ベッドにうつ伏せになるよう促した。

 そして自らの血を二ヶ月前とは3、4倍にはなっている広い背中に垂らした。

 

「う〜ん……まだランクアップには届かないかぁ……でも偉業の経験値も溜まってるね! すぐにランクアップできそうだよ!」

「そうですか! 有難う御座います!」

 

 ランクアップとはつまるところレベルアップのことであり、それは偉業────つまり凄いことをすればできるのだ。

 まぁそれは置いておいて、皆さんお待ちかねのステイタス公開だ。

 

 ベル・クラネル

 

 Lv,1

 

 力:EX 4722 → EX 4825

 耐久:EX 3332 →EX 3588

 器用:H102 →H105

 敏捷:G258 →G260

 魔力:I0 →I0

 

 魔法

【】

 

 スキル

筋肉一筋(ナイスマッスル)

 

 ・力、耐久の経験値に倍率(現:13倍)

 ・筋肉の量により効果上昇

 ・筋肉がある限り効果持続

 

剛筋之皇帝(ジ・エンペラー)

 

 ・力、耐久に常時圧倒的補正

 ・損傷(ダメージ)を10分の1

 ・損傷(ダメージ)を自動回復

 ・状態異常完全耐性

 ・毒、酸完全耐性

 ・一定以下の威力の攻撃無効

 ・一定以下の威力の攻撃反射

 

 

 

 …………ん? 見間違え? 

 

 と、諸君は思ったことだろう。

 私も最初はそう思った。

 だがしかし、見間違えなどではない。証拠としてもう一度見てもらおう。

 

 

 ベル・クラネル

 

 Lv,1

 

 力:EX 4722 → EX 4825

 耐久:EX 3332 →EX 3588

 器用:H102 →H105

 敏捷:G258 →G260

 魔力:I0 →I0

 

 魔法

【】

 

 スキル

筋肉一筋(ナイスマッスル)

 

 ・力、耐久の経験値に倍率(現:13倍)

 ・筋肉の量により効果上昇

 ・筋肉がある限り効果持続

 

剛筋之皇帝(ジ・エンペラー)

 

 ・力、耐久に常時圧倒的補正

 ・損傷(ダメージ)を10分の1

 ・損傷(ダメージ)を自動回復

 ・状態異常完全耐性

 ・毒、酸完全耐性

 ・一定以下の威力の攻撃無効

 ・一定以下の威力の攻撃反射

 

 

 

 さて、これで見間違えでないことが証明されただろう。

 と言うわけでこのステイタスの解説をしていこう。

 まず普通のところから行ってみよう。

 第一に器用。これはベル君が筋肉であり、精密な作業を必要しないが故のこの値だ。

 これは普通である。

 

 次に敏捷。これはベル君が筋肉であり、原作のように逃げる必要がなかったからのこの値だ。

 これは普通である。

 

 最後に魔力、及び魔法。これは魔法が発現していないためだ。

 これも普通である。

 

 これで、普通が終わった。

 普通が終わったということは異常の始まりということで────

 さぁ諸君。地獄の始まりだ。

 

 まず力。その値4825。4桁だ。

 頭おかしいとしか思えない。

 まぁこれはわかるだろう。スキルと筋肉のせいだ。

 

 次に耐久。その値3588。これも4桁。

 頭おかしいとしか思えない(2回目)

 まぁこれもスキルと筋肉だ。

 

 そして全ての元凶、スキルだ。

 まずは筋肉一筋。読みはナイスマッスルだ。

 効果としては原作ベル君の憧憬一途と同じような効果だが、筋肉仕様になっており、なおかつ成長補正が力と耐久のみになっていて、倍率制になっている。

 この倍率が一番の問題だ。

 なんだ13倍って。

 しかもスキルの詳細を見る限りこれよりも倍率が大きくなるようだ。

 原作よりもぶっ壊れている。

 

 それと剛筋之皇帝。読みはジ・エンペラーだ。

 まず確実に頭おかしい。

 効果を要約すると攻撃が90%カットされた上で威力が一定以下だったら無効化され反射。

 しかもダメージを与えても自動で回復される。

 だからと言って毒や状態異常でどうにかしようにも無効化される。

 状態異常には魅了も含まれるため、勿論魅了も無効化する。

 さらに力と耐久に圧倒的補正というおまけ付き。

 つまるところ無敵要塞になっちゃうスキルだ。

 確実に頭おかしい。(2回目)

 

「うーん……魔法は出ませんか……」

「まぁ気にするな! いずれ発現するさ! 筋肉を鍛えればな!」

「はい! やっぱり筋肉ですね! わかりました!」

 

 と、筋トレをインドラと共に開始するベル君。

 部屋の中が乱気流だ。

 というかこれ以上を望むのかベル君よ。

 しかし、魔法とは筋肉で出るものなのか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────なんか出そうなのが怖い。

 そう。筋肉だから。

 

 






 ・・・もしかして、やりすぎちゃった?
 まぁ筋肉だし、いいよね!

 
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