これより後も、この海域で幾度となく戦闘が繰り広げられることになったのは、これより後の時期について記された書類などを見ていただければわかることである。
当鎮守府においては、艤装の開発を優先したことで足につける装備が充実したために、この戦い方は一度きりの実践のみで終わりとなった。
そのため、実際の戦いで効果があるかどうかは検証していない。
艦娘たちも「あの時はイケると思ったんだけど、今はちょっと」という意見のほうが多いようだ。
ただ、訓練そのものについて無駄であるとか不要であるとは思っていないようだ。
と言うのも、任務の合間に鎮守府の空き地を利用して、高さ競争や飛び上がった時にとった格好の芸術点を競うなどの趣向を試しているのをたびたび見かけているからである。
時には、施設の壁に誰かの体の跡が塗装されているかのように残っていることもあるにはあるのだが、度を越していない範囲であれば、許容すべきであると考えている。
こうした行為のうちから、ある日突然何らかの新戦法、あるいは何らかの発見がなされる可能性を期待してのことである。
当然のことながら、他の鎮守府が先に何かを成し遂げることもあるであろう。それを知った当鎮守府の艦娘たちが、興味を持って試すことも十分以上にあり得ることだ。
私からも艦娘たちに伝えるつもりではあるが、実際に行うのは艦娘たちである。
そのため、この点についてどの程度介入するかは、その時々で試行錯誤を続けることになるであろう。
噂によると、どこかの鎮守府、あるいはどこかの深海側が海に投じた料理に含まれる何かの成分が、同じく海に生息していた何かの存在に作用して暴れだし、艦娘たちと深海棲艦のみならず他の鎮守府も出動して退治しなければならなかったとも聞いている。
いや、暴れだしたのは艦娘だったか、深海棲艦だったか。それとも提督だったか、はたまた上層部だったかは定かではないが。
そもそも事実かどうかも確認していないため何とも言えないが、何かの存在から装飾品を作ったというほほえましい内容から、島を投げた、大陸をつなげた程度ではおさまらず、月を食べた、天の川のヌシと素手で戦った、宇宙の深淵から別次元の空間を引きずり出したというすさまじい話まであるようだが。
とにかくそうしたことは、今のところ当鎮守府とは無縁である。
なお、この戦いのあと数日ほど、当鎮守府を含めた各所の出撃海域において艦娘を見たとたんに笑いを抑えるようにして戦場を離脱する深海棲艦の姿が確認されたことはすでに周知されていることであるし、出撃した艦娘が深海棲艦の姿を確認したとたんに笑い出して戦闘が成立しなかった場合があることも周知されているため、この件について特に付記する必要はないように思われる。
○○年□□月△▽日
◇◇鎮守府提督 ♠♥♦♣