【完結】チート転生者かと思ったが特にそんなことは無く、森に引き籠もってたら王様にスカウトされた   作:榊 樹

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感想多過ぎてビックリ。
返信間に合ってないけど、きちんと目を通しております。


妖精騎士ベディヴィエール

妖精騎士ベディヴィエール、妖精騎士ベディヴィエール・・・ふふ、かっこいい。

 

そんなかっこいい名をくれてウッキウキの俺に、なんとモルガン様はモースと戦う力も下さった。

 

武器()の名は銀色の蒼穹(アガートラム)

その名の通り、銀色を基調とした美しい弓で、距離が遠くなるほどに威力が増すというシンプルな特性を秘めた剛弓である。

 

この弓で俺は遠距離から、そして近距離はもふもふな先輩ことウッドワスさんが担当し、妖精國で強靱無敵最強の陣形として瞬く間に戦果を上げていった。

一応、真ん中で分かれてブレードとしても使用出来るが、近接戦闘に関してはモルガン様に禁止されているし、俺もモース相手に肉薄するのはゴメンなので、多分使用されることは今後一切無い。

 

そんな名実共に妖精騎士として相応しい実力を示した俺は、いつしか"隻眼のベディヴィエール" なんて言うかっこいい二つ名で呼ばれるようにもなって・・・・・・たっはー! これはもう「俺、また何かやっちゃいましたか?」まで秒読み間違い無しだな! 千年以上もの時を経て、遂に俺の時代、来ちゃった感じですかい?

 

そんなノリに乗ってノリノリなベディヴィエール様は、今日も張り切ってお仕事である。

キャメロットの城壁に陣取り、モルガン様から頂いたスカウター式の単眼鏡(魔法陣が目の周りにぶわ〜って展開されてめっちゃ遠くまで見える)を眼帯を着けてない方の目に装着し、標的をロックオン。

 

魔力で作られた光の矢が轟音を立てて放たれ、地平線の彼方まで飛んで行った。そして、半分の距離まで到達すると六本の矢に分裂し、そのまま後は標的へと一直線。

スカウターから見えるモース達に着弾すると同時に大きな砂埃を上げ、晴れた後にはクレーターしか残っていなかった。

 

それを別のモースにも数回繰り返し、残るのは全て同じ結果だけ。

モースが手も足も出ず、このベディヴィエール様に敗北したという結果だけが残るのだぁ!

 

 

「・・・任務、完了」

 

 

その言葉と共に、展開されていた単眼鏡の魔法陣が閉じて銀色の縁だけが残り、弓は二つに折って左右の腰に着けたホルスターに収める。

 

モルガン様が治めるキャメロット、その名物になりつつある俺の剛弓の音に、今更住民は驚くこともせず、城壁から見下ろせる町はいつも通りの賑わいを見せていた。

 

そんな城下町へと降りることはせず、モルガン様から頂いたブーツで空を翔けて報告のためにお城まで向かう。

正門からではなく、裏手に回って玉座まで直行だ。

 

本来なら非常識極まりない行為だし、バレたらウッドワスさんに叱られるが、何故かいつもお忙しいモルガン様がお一人で待機してらっしゃるので、玉座の前に着地してそのまま跪く。

 

 

「ご命令通り、西のモース達は始末しておきました」

「流石だな、私の騎士。褒美をやろう、もっと近くに寄れ」

「はい」

 

 

膝をポンポンと叩いて、そう促すモルガン様へと恐る恐る近付く。

 

 

「し、失礼します・・・」

 

 

辺りを何度も確認して、彼女の膝へと腰を掛ける。いつかの日のように横ではなく、モルガン様へと背を向けるようにして。

そうすれば、いつも通りモルガン様が背後から万年ロリ体型な俺の身体を包むようにして抱き込むと、頭を優しく撫で始めた。

 

 

「お仕事、お疲れ様。辛くはなかったか? 何か困ったことは?」

「ぁ、ぃ、いえ、モルガン様から頂いたお力のお陰で、とても楽しく・・・楽しく? ・・・いえ、えっと、いい感じにやっていけてます・・・!」

 

 

仕事が終わると毎日のようにこうされるのだが未だに慣れない。

と言うか、何故ここまで良くしてくれるのかが全く分からないので、何かしら裏があるのではと警戒してしまう。

 

 

「そう怯えるな。私は何もしないぞ」

「は、ははははひぇ!? すみません、また声に!! あの、決してそう思ってるとかではなく、あ、いえ、ほんのちょっぴり思っちゃったというか、けどそれは誤解というか、あのあの・・・!」

「あぁ、分かってる。よく分かってるとも。だから安心しろ。お前が無事なら、私はそれだけで満足なのだから」

 

 

な、謎の信頼が・・・重過ぎるッ・・・!

いや本当に、なんでこんなに好感度高いんだ?

最初の頃なんて、英雄様のためにモルガン様を打倒しようと画策していたくらいだぞ?

・・・いやまぁ、画策と言うほど何かしてた訳ではありませんけども。と言うか、何かをする前にこうして見付かっちゃった訳ですけども。

 

 

「・・・前から思っていたが、普段使ってるあの口調はなんだ」

「ぇ、ぁ・・・そ、それは・・・」

 

 

え、そ、それ聞いちゃいますか!?

それ聞いちゃうんですか!!?

 

仕事モードの俺の事を聞いちゃうんですか!?

 

 

「何か事情があるのか?」

「ぁ、いえ・・・あの、その・・・そ、そっちの方が・・・カッコいいかなって・・・。えっと、ふ、不快・・・でしたか?」

 

「・・・・・・いや、とても凛々しくてカッコイイと、私は思いますよ」

 

 

多分、モルガン様は本心から言ってるんだろうけど、なんかこう・・・母親にバレたみたいで凄まじく恥ずかしい・・・。

穴があったら入りたい・・・。

 

あ、そう言えば、すぐそこに大きな穴が・・・。

 

 

「すみません悪巫山戯が過ぎました。だから早まらないで下さい」

「え、あ、はい・・・?」

 

 

抱き締める力が強くなって、縋るような声に何かマズイ事を言ったかと思い返してみるが、どう考えても俺が恥ずかしくなってた記憶しかないので頭を捻るしかない。

 

と言うか、早まるって何を? もしかしてモルガン様、俺が思ってる以上にあのキャラを気に入ってたりします?

やれやれ系を目指そうとして、寡黙キャラになっちゃったベディヴィエールを?

 

・・・・・・・・・なるほど。やはり、俺は間違っていなかった。

正直、路線ミスったなーとか思ってたが、やっぱカッコイイよね。うんうん、流石モルガン様。分かってらっしゃる。

 

 

・・・と、所で、あの・・・いつまで強く抱き締められるのでしょうか? 流石にそろそろ他の妖精が来そうなんですけど・・・。具体的にはモフモフのウッドワスさんとか。

 

・・・ウッドワスさんと言えば、あの手入れが行き届いた毛皮、非常に魅力的だよな。モフモフしたいなと常々思っていたが、背中は任されてもモフらせてくれる許可だけはどうしてももらえないので参ってた。

いやまぁ、モルガン様のために毎日大変なお手入れを頑張ってるらしいので、俺が先に手を出すのも違うってのは分かるのだが・・・。

 

最近、お熱なオーロラさんとやらの絵画を描いてあげたら、少しくらいは触らしてくれるだろうか?

 

 

「・・・ソールズベリーを統治するあの妖精とは会ってはいけません」

「え・・・・・・え、はい? オーロラさんの事ですか? ・・・でも、どうして」

「アレは貴女に悪い影響しか与えません。いいですか、決して会わぬように。それから、仮に接触しようとしてくれば、必ず私に報告すること。いいですね?」

「え・・・っと、ぁー・・・はい、分かり・・・ました?」

「よろしい」

 

 

凄い綺麗なお方だと聞いたので、インスピレーションを得るためにも一目でも見たいなと思っていたが、ここまで言われては仕方ない。

現役族長同士の恋の物語とか民衆には結構ウケるだろうし、もしかしたらウッドワスさんもご褒美にモフらせてくれるかと思ったんだが・・・。

 

 

「・・・・・・私と一緒であれば、会うくらいなら許可しましょう」

「え、本当ですか? ・・・あ、それならウッドワスさんもご一緒でいいですか? あの人、かなりオーロラさんのことを気にしてるようで」

「ふふっ、女王と妖精騎士、それに排熱大公まで行けば、要らぬ警戒をされてしまいますよ」

「あ、それも・・・そうですね、すみません・・・」

 

 

点数稼ぎにウッドワスさんを誘おうと思ったが、確かに自分で言うのもなんだが顔触れが豪華過ぎる。

 

いかんな、自覚があるつもりでも一般オタクだった時期があまりにも長過ぎて、その時の感覚が抜けきらない。もうちょっと自分が今をときめく妖精騎士ベディヴィエールである自覚をしっかり持たねば。

 

 

 

 

 

 

この国と言うか、この島にはある一定の周期で厄災と呼ばれる文字通りの災害が発生する。

どんな物かについてはその時々で違うのだが、唯一の共通点を挙げるとするならば、妖精がめっちゃ死ぬってことくらい。

 

しかし、その共通点も今は昔の話。

我ら無敵の女王軍が居る限り、そのような惨劇を繰り返すことは決して許さない。

 

 

「・・・ん? こっちに向かって来てるのって、もしかしてモルガン様?」

 

 

(のち)にキャタピラー戦争と呼ばれる、モースが巨大な虫型となって、王蟲の如く進軍してきた意味不明な厄災があった。

 

俺は変わらず、城壁からの援護射撃が役目だったのだが、単眼鏡で戦場の様子を眺めていると最高戦力として出撃していた筈のモルガン様(本体)が、何故か一人そそくさとお城に戻って来ていた。

 

 

「あ、あの・・・何処か具合が悪いので?」

「・・・無理、マジ無理」

「え」

 

 

そう言って、ただでさえ白い顔を更に青白くしたモルガン様が、スタスタとお城の中へと帰って行った。

俺のように援護射撃に徹するのかと思ったが、本当にお城に籠られてしまい、戦場ではウッドワスさんと二百年くらい前に新しく生まれた牙の氏族であるバーゲストさんが無双していた。

 

数が多過ぎてカバーしきれない範囲は俺が狙撃しまくって、なんか途中で仲間を食べ始めたバーゲストさんにドン引きしたりしながらも、その後に何故か更に強くなったバーゲストさんと相変わらず出鱈目な強さを誇るウッドワスさんとで虫型モースを駆除しまくり、厄災を退けたことでブリテンに平和が戻った。

 

 

 

 

 

 

 

ウッドワスさんに後から聞いた話だが、どうやらモルガン様は大の虫嫌いらしく、虫型モースを見た瞬間に彼自身、聞き間違いかと思うほどの女性らしい悲鳴を上げたのだとか。

で、その後に真顔で宝具を打つと「無理、マジ無理」とだけ残して先に帰ったのだとか。

 

え、なにそれウチの王様可愛すぎじゃね? と思ったのと同時にモルガン様虫嫌いなのかと、ちょっと残念に思ったり。

 

まぁ、虫は女性に嫌われやすいフォルムをしてるってのは理解してるので、それも仕方ない事だと受け入れるしかあるまい。

 

それはそれとして、その女性らしい悲鳴とやらが聞きたいので今度モルガン様にドッキリ仕掛けてみよ。

虫嫌いとは言え、作り物感丸出しのおもちゃなら精々、小さな悲鳴をあげるくらいでそこまでビックリはしないだろう。

 

例えば、玉座のクッションの下にゴキブリを一杯敷き詰めるとか。

或いは、寝起きに頭上から大量の百足(むかで)を落とすとか。

 

・・・・・・さ、流石に殺されるかな?

 




容姿等の質問があったのでこの辺で軽くアホについての説明を。

体型はメリュジーヌと双璧を成すロリであり、髪は銀髪セミロング。
左目に眼帯をしており、右目には常に銀色のD・ゲイザー(遊戯王)みたいなのを装着している。服装はコッコロ(プリコネ)みたいな服にホットパンツ、そして膝上まであるロングブーツを履いた感じ。

武器に関しては色々と悩んだけど、銀色の腕とか「静まれ俺の左腕・・・!」くらいしか思い付かなかったので没に。その他、武器に関しては後々のキャラ解説で載せる予定です。

メリュジーヌサイズだと弓引けんでしょ、とかいうツッコミは無しの方向で。
強いて言えば、作者の趣味です。
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