チート主人公がスローライフを送る為にヒロイン達や試練から逃げまわる話 作:あいうえあ
全てを倒し終えた瞬間、脳内に某RPGでレベルが上がった時の音が鳴った。メニューを確認するとLvが6になっていた。
地上へと繋がる階段をゆっくりと登りながらステイタスを確認する。
―――
【アル・クラネル】Lv6
筋力 :52
耐久力 :80
技量 :55
敏捷 :66
持久力 :72
魔力 :7
魔力熟知:0
運 :-100
スキルポイント:310P
―――
レベルが一気に二つも上昇している。レベルアップの条件はまだ良く判らないが、この世界だと偉業を成し遂げる事が条件だっけ?今回の戦いは偉業と言う程でも無かったが、かなりギリギリの戦いだった。経験値は常に蓄積されていて、ギリギリの戦いで勝利する事でレベルを上げる事が出来ると言う事だろうか。
そして今回は既にレベル2つ相当の経験値が溜まっていて、一気に清算された。…予想だとこんな感じだが、まだまだ検証が必要だな。
システムの考察はこれくらいで良いだろう。ステイタスやスキルに注目する。
あれだけ身体を酷使したんだ。各種ステイタスが格段に上昇している。特に耐久力が上昇している。殆どの攻撃は躱していたが、狂化によって傷付けられた影響だろう。技量と敏捷、持久力も大きく上昇しているな。…まぁ正直言ってステイタスの数値は余り重要じゃない。
注目すべきは何と言ってもスキルポイントだ。実はこれが一番楽しみだった。いやぁ~こんなに貰っちゃって良いのですか!?
310P。これだけのポイントが有れば、もう全てのスキルが習得できるのではないだろうか。
スキル習得欄に移動する。
―――
〈スキル習得〉
所有スキルポイント:310P
≪戦技≫-
【
≪魔法≫-
【
【
≪作成≫-
≪便利≫-
【異次元インベントリ(解放)+5】20P
【料理スキル】10P(new)
≪魔眼≫-
≪結界≫-
【
──―
あら?またまた習得可能スキルが増えている。新しいスキルには懇切丁寧にnewマークが付けられていた。どうやらLvが上昇すると獲得できるスキルが増える様だ。…ワクワクする。出来る事が増えるこの時間が一番好きだ。この為にダンジョン攻略をしていたと言っても過言ではない。
≪結界≫と言う新たな項目が追加されている。
おいおい…結界と言えば、殆どの作品で限られた者しか扱う事の出来ない上級者技。そんな技を使う事が出来るのか!
鑑定眼!
【結界:
・発動した瞬間、結界内に居る者は発動者を見失う。
・発動者が攻撃行動を行うと、結界による隠密効果は解除される。
うん…何と言うか結界と言えば…もっとこう…無限に剣を創造したり、無限の空間を作り出したり…。スケールの大きいのを想像していたのだが…地味だ。
実際に使用していないので何とも言えないが、逃げる時しか使えなくないか?今の僕には結構有難い効果だけど。
まぁいい。またLvが上がれば新たな結界を取得できる様になるだろう。
他に気になるのは新たな≪戦技≫。
【戦技:
・隠密スキルが上昇する。
・対象に捕捉されていない状態での与えるダメージが上昇する。
・弓:短剣の適性を得る。
隠密と暗殺を合わせたスキルだ。2つ目の効果はオブジェクトが少ない階層では使い難そうだな。そしてどちらかと言うと対モンスターより対人を想定している様なスキルだ。
弓と短剣の適正か…
現在の得物はギルドの安いナイフだ。まだ一日しか使っていないが何回か死闘を共にした為、愛着が有る。しかし、流石にもう使えないだろう。明日新しいのを買おうと思っていたが、弓を使ってみるのも良いな。
【結界:
と言う事は別に弓が合わなければ他の武器種を試していれば、その武器種に合ったスキルが発現すると言う事。これからは気軽に色々な武器や戦い方を試していこう。
しかし、魔法の欄を目に向けると必ずしも全てのスキルが願望や経験で発現する訳では無さそうだ。
【魔法:
・氷属性の魔法。
・凍てついた蒼い火を放つ。
【魔法:
・地属性の魔法。
・
どちらも一癖ある魔法だ。転生神の趣味だろうか。
さて何を習得しようか。個人的に隠密系のスキルが欲しいが、今回の攻略で僕の弱点は対多数と継戦能力と言う事が分かった。二つを補えるのは【魔法:
現在のポイントは310P。所有スキルポイントの兼ね合いを考えると…
【戦技:
【結界:
【魔法:
の三つを取るのが良いのかな。
正直【結界:
【結界:
…単純に結界という代物に、浪漫を感じたと言うのが正直な所なのだが。
10P余るな。
【便利:料理スキル】10P
もついでに習得しておくか。正直いらないけど。
今回も異次元インベントリを習得する事は出来なかったが、新しいバックも買ったばかりだし暫くは我慢しよう。
ピロリン♪
『スキルを習得しました』
◆◆◆◆
そうこうしていると地上に到着した。
魔法や結界、試したい事は沢山有るが流石に今日はもう休もう。あんまり遅くなりすぎると宿の予約も取り辛くなりそうだし。
魔石を換金してもらう為に足早にギルドに向かった。
「はい。20300ヴァリスです」
これで所持金は20300ヴァリスとなった。漸く財布にお金を入れる事が出来る。
いや~前回に比べると結構儲かったな。まぁかなり頑張ったしな。
夜も遅い為か普段賑わいで溢れているギルド内には殆ど人が居らず、職員もぱっと見で2~3人程しかいない。代わりに警備員が増員されている。
小包に溢れんばかりに詰められているヴァリスを眺めているとふと疑問が過る。
この稼ぎは僕のランク帯的には多いのだろうか?
もし不相応に多いのであればあまり見せびらかさない方が良いな。目立ちたくないし、あまり治安が良さそうでも無いしな。この時間なら人も少ないし次回からもこれくらいに来ようかな。
「キミ!ミーシャの担当のアルトさんだよね?」
ふと声を掛けられる。装いを見るにギルドの職員だ。見た事無い顔だ。主要キャラでは無い様だ。
はて?何か悪い事でもしたか?
「同僚のミーシャからお願いされたんだけど、所属ファミリア教えてくれない?」
「へ?」
「あの天然…聞きそびれちゃったそうでさ、ついさっきまで君の帰りを待ってたんだけどあまりに遅いからもう帰っちゃったんだよ」
ふぁ、ファミリア…だと!?
申請にはファミリアが必要なのか。考えてみれば当たり前だ。言うまでも無く僕はファミリアに所属していない。となればここで取るべき行動は…
「わっかりました明日ミーシャさんに伝えておきまぁ~す!!」
逃避だ!!
「え!?ちょっとアルトさーん!」
◆◆◆◆
ファミリアに関してはまた後で考えよう。今日はもう疲れた。
ギルドを後にして宿屋を探す。
狙い目はオラリオの端の方で、人の目に着かなそうな所。
当然だが、ダンジョンの有るバベルの塔周辺が最も冒険者が多い。必然的に塔から遠い場所で宿を探す事になる。勘と少し得た知識を頼りにオラリオ外周近くを徘徊する。
狙い通り、外周近くだと冒険者らしき人物は殆ど見当たらず、旅商人や門番向けに展開している商店や宿が多く存在している。
オラリオの北にはロキ・ファミリアの『黄昏の館』が有り、その少し西には冒険者が集うギルドが有る。ここはそれらが対角線に位置する南区だ。
比較的綺麗な宿屋が立ち並ぶ。その一角にひっそりと少し古びた建物が立っていた。表面は苔と草のベールに覆われている。所謂、隠れ家的な宿屋だ。一見営業している様には見えないが、営業しているとすればここに泊まってみたい。
建物に入ると、エルフの店主が迎え入れてくれた。店内は外装とは裏腹に、掃除が行き届いていてモダンなテイストの家具が綺麗に並んでいた。木造特有の暖かい雰囲気が有り、お世辞にも広いとは言えないが、それが寧ろ親近感を増している。時間がゆっくりと流れている様な、とても落ち着く雰囲気だ。
「いらっしゃい。…貴方、あの外装を見てよくこの宿屋に入ろうと思ったわね」
不意に店主に問いかけられる。
「いいえ。店主、あの外装が良いんですよ」
「ふふ。そう言ってもらえて嬉しいわ。私も気に入ってるのよ」
それからここの価格や設備などの説明を受ける。
ここは中々リーズナブルな価格な割に風呂が付いている。追加料金を払えば食事も用意してくれるらしい。
今日はここに泊まる事にした。汗と少量の返り血で非常に気持ちが悪い。早速風呂に入る事にした。
食事と風呂を終え一人部屋に戻る。
広くは無いがふかふかのベットが設備されている。ベットへと吸い込まれる様に倒れ込み目を閉じた。