ミミナナと姉妹になりました、頑張って生きてます 作:興味本位
夏油様も書きたい
結果がこれでした
夏油傑は目の前の惨状をどこか他人事のように見ていた
檻の中にいる子どもを
左腕を切られ血を流している子どもを
それを見ながら普通の顔をしている――を
慌てて入ってきて喚き散らしている――を
冷静に冷静に冷静に見て発言する
「これはなんですか?」
冷静に冷静に冷静に声をだした
選択肢に〇をつけながら質問した
0、
最初の記憶はなんだったろう思い出そうとしてみた
原体験とかその辺、幼少期の思い出でも自我を持った最初の記録でもいい
自分が自分であることを確立したその瞬間のこと
そんな記憶の底で鎮座している潜在的な追憶
そこまで大層なものじゃないか
何となく覚えてることを思い出そうとしてみた
記憶の価値なんて人によって違う
価値があるなしで判断するものじゃないけど
覚えている覚えていないで
重要度は変わってくるのかな
思い入れは変わってくるかもだね
覚えているとなんとなく大切なんじゃね?とか思うし
私はそんなことを考えている
昔のことばかり気にしても仕方ないけど
しんどい時は振り返って浸るでしょ思い出に
私は昔のことを思い出す
そんな私の最初の記憶
最初じゃなくて今回の記憶
両親の顔だった
優しそうな両親の顔
私たちの幸せを切に願っている
愛に溢れた表情
次は痣だらけの両親の顔だった
優しそうな顔は変わっていない
二人とも隠し切れない痣があった
愛に溢れた表情には涙もあった
次は傷だらけの家
人為的に壊された跡があった
ガラスはいつも散乱していた
愛溢れた家庭と一緒に
違うものも流されていて
振り返れば怖い怖い誰かがいて
前を向けば醜い醜い誰かもいて
右を向いて泣いてる子
左を向いて怒ってる子
今に戻る
現在を認識する
小さい村でのこと
小さい世界の話
私こと枷場寧々子は人生を諦めている
違いました
自分でどうにかするのを諦めている
小さい私の
小さい話なので
良かったら少し聞いて下さい
1、
『ここはどこ?わたしはだれ?』
目の前には知らない男女の顔があった
二人とも笑いながら私のことを抱きしめているわけだけども
ちょっと痛いです出来れば安全なところに置いて下さい
そして私は
自分が自分と認識できるくらいになって
死ねるほどの知恵熱を出して生死をさまよった
自分じゃない自分を認識して
自分である自分に違和感を持ったのだ
仕方ないことだと思うし
一種の儀式的なものだと思う
だってね~
「てんせいか~」
流暢とは言えない滑舌で漏らす
両親はその姿を見てきゃきゃと喜んでいるけれど
服で隠しきれていない
痛々しい色があるのでその喜びも半減といったところかな
最初は物騒な家庭に転生したのかと思った
殴り合う肉体派家族の一員として誕生したのか?
とか思ったけど違いました
横ですやすやと寝ている二人を見る
『菜々子』と『美々子』の姿を再認識する
そして頷く
多分あれだよね
ここクソ村だ!!
記憶にも残したくないクソ田舎じゃねーか!!
そう結論づけるまでそこまでの時間は使わなかった
現実を飲み込むまでの時間は相当使ったけど
何故ってあの大人気漫画の世界だ
愛と勇気、友情努力勝利で溢れている漫画で
呪いあう世界だ
友情努力勝利と共に愛と勇気で呪いあって
命の価値が平等に軽い世界
一歩間違えても一歩正解しても
同じ歩調で真っ逆さまに落ちてしまう
そんな不安定な世界で
菜々子と美々子の最後はあっけなかった
夏油傑への愛も何もかも無価値なように
雑に殺されて終わってしまう
そんな世界に放り出されたわけだ
「寧々子~?また難しそうな顔してどうしのかなぁ?今はお昼寝の時間だよぉ」
パパんきついぜ
その優しさに心が壊されそうだ
精神年齢的にも微かに死にたくなるからやめてくれ
何歳で死んだのとか、前世の自分はどんなやつとかは朧気だけど
ミーハーな性格だったことはわかる
今はその幸運に感謝してもいいな
私は父親に抱っこされながら寝ている二人の隣へ運ばれる
でも素直に寝てたとしても
他の理由で起きることになるわけだよ
ガンガンと大きな音がする
扉を壊す勢いで叩きつける
ノックではなく殴ることで家主に挨拶しているのだろう
私はそれが怖かった
続けて大合唱が始まる
―枷場!!枷場!!
―化け物が!!てめぇらは化け物だ!!
―さっさといなくなれって言ってるだろうが!!
―疫病神がなんでまだいるんだ
―消えろ消えろ消えろ消えてしまえ
―ガキなんて作ってどうするつもりだ
―また不吉なことがおこる
―また不吉なことを起こす
―今のうちに殺してしまおう
―そうしようそうしよう
―あぁそれがいいそれがいい
―あいつらがいなくなれば村はずっとずっとよくなる
―良くなるに違いないからあいつらは人間じゃない
―村は清く正しく美しく
―悪者はみんなで一緒に倒してしまおう
―異常は不吉、不吉は不幸、不幸は枷場
―ならいなくなってくれれば万々歳だ
笑い声が聞こえて
泣き声が聞こえて
そんなのが最初の記憶だったかな
消したいもんだけど途切れ途切れで覚えていて
ある程度のことができるようになったり
記憶がしっかりしてきた頃になって
お父さんとお母さんはいなくなっていた
そして私たちの家が誰かの家になって
私たちはそこで何とか住ませてもらっていて
みんなで仲良く痣をつくっている
「夏油さま、早く来てください」
頑張って生きてますんで、助けてください私を
読んでいただきありがとうございます。
ミミナナと夏油様が好きでやってしまいました。