ミミナナと姉妹になりました、頑張って生きてます   作:興味本位

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寧々子はどうにもできない

 

2、

 

「アタシたちは何もしてない!!」

 

「あ、危ないって声をかけただけ」

 

「うるさい!!あんたらが適当なこと言ってるって知ってんのよ!!」

 

話し合いなんて公平じゃない

 

「こいつらが変なことしたんだ」

「こいつらがいたから怪我をしたんだ」

「「こいつらが僕たちを殺そうとしたんだ」」

 

話し合いは公平じゃない

 

「孫たちが言ってるじゃないの!!この鬼子たちが」

 

話し合いは不公平だ

力を持ってるものが正しい

多数決はいつだって少数意見が負ける

 

「アタシたちは悪くないって」

 

「なにもしてません」

 

ごめんね

本当にごめん

 

意味ないことをしてしまった

二人にまた傷を作ってしまうから

ちょっと贖罪で私は前に出る

 

衝撃が走って

地面とあいさつをした

 

「寧々子!!」

 

二人の声が聞こえたのでゆっくり立ち上がる

 

「すいませんでした、もう二度と会わないようにします」

「だから二人を殴るのはやめてください」

 

殴られるのは好きじゃない

性癖の人はいるかもしれないけど

殴るのだって色があるんだ

 

悪意しかない暴力なんて価値はない

善意の暴力も聞いたことはないけど

 

「そんな口約束信じられるわけないでしょ!!」

 

もう一発

今度も顔だ

 

いやだな痕が残ったら大変だ

 

立ち上がって謝る

「ごめんなさい」

立ち上がって謝る

「ごめんなさい」

立ち上がって謝る

「ごめんなさい」

 

後ろの子供が笑ってる

悪者をやっつける正義の味方を楽しむように

 

ヒーローショーじゃないぞ観覧すんな金とるぞ

 

何回かのやり取りをした後

子ども二人とヒステリック婆は帰っていった

 

 

「寧々子!!大丈夫寧々子」

 

「すぐに救急箱持ってくるから」

 

大丈夫大丈夫、それに救急箱を持ってこうとすれば怒られるでしょう

伝えようにもうまく力が入らない

 

私は菜々子の姿を眺めながら呼吸をする

 

今日はやらかしたな

やらかしたというか事故に遭ったな

 

そんなことなら助けてやらなきゃ良かった

 

ちょっと前の幸せな時間と

事故の瞬間を思い起こす

 

 

 

 

 

1、

 

今日はなんてことはない日だった

買い出しに行って

いつの間にか秘密基地みたいになった川に行って

3人で仲良く遊んでいた

 

 

「化け物がいたぞーーー!!」

 

 

元気いっぱいの悪意の声が私たちを刺した

 

「枷場の家は悪魔の家」

「村の平和は枷場が壊す」

「だから枷場は悪魔の子」

「枷場はいらない枷場はいらない」

 

「お前たちは呪われた子供なんだ!!」

 

 

得意顔して言ってくるものだから信じそうになった

もちろん事実無根である

 

呪いと言うならむしろ逆だ

 

私たちからは呪いは出てこない

呪霊を発生させるのはお前たち一般人だ

 

潜在的な術式はあるのだろうがわからない

ふとした拍子に呪力が暴発することもあるが

他人に迷惑をかけたことはほぼないはずだ

 

だからこそ

 

風評被害

印象操作

生贄思考

 

誰かに悪者をして欲しいのだ

 

お前が悪いから

お前のせいだと

 

体のいいサンドバックを仕立て上げた

嫌な話だね

 

それを子供が鵜呑みにしているのだから目も当てられない

 

こんなこと無視をすればいいのだけれど

わかっていても怖いモノは怖い

無知の暴力ほど恐ろしいモノはないのだから

 

結果私たちは黙って逃げた

悪ガキから距離をとるように

奥へ更に奥へと

 

「待て化け物!!」

「成敗してやるぅ~~」

 

笑い声とともに追いかけてくるんだから

世の中なんてぶっ壊れてしまえ

 

 

「!!二人とも止まって」

 

急ブレーキをかける

目の前の道は途切れ

急斜面になっていた

 

断崖絶壁ではないが

滑り落ちてしまえば怪我ではすまないことがはっきりわかる

 

 

「追い詰めたぞ化け物!」

 

悪ガキどもも登場とはどうしたものか

 

後方に坂

前方に悪ガキ

 

左右に逃げようとしても

木々が邪魔をして逃げ切ることは難しいだろう

 

だから手詰まり

どうしたもんか

 

ひとまず対話から始める

 

「私たちあんたらに何かした覚えはないけど」

 

「化け物はいるだけで悪だからな」

 

「なんで私たちが化け物になるの」

 

「お父さんたちが言ってるんだから、当たり前だろ!!」

「お前らの親も化け物だって教わったぞ!」

「だから退治しに来てやったんだ」

 

俺たちが村の平和を守るんだ

 

くそ餓鬼どもは、それはもう楽しそうにしている

人を傷つけるのを楽しそうに楽しそうに

可笑しくておかしくなってしまうわ

 

そもそも餓鬼どもの中じゃ

私たちは人間じゃないのか

 

それなら楽しいのかもな

勧善懲悪だ

 

悪の理由は知らないけれど

 

 

「寧々子逃げよ!」

 

菜々子が美々子の手を握りながら伝えてくる

そうだね、と頷くが逃げるにしたって方法が見当たらない

 

餓鬼どもの横を抜けるのが最善ではあるんだろうが

暴力を振るわれることはわかり切っている

 

二人をどう逃がそうかと思考しているところで

 

「正義ぱーーんち」

 

先頭の餓鬼が殴って来たので避ける

 

「なんで避けてんだよ」

 

子どもの力だろうと殴られたら痛い

それにこんなところで暴れたら後ろに落ちてしまう

 

「おい、お前らも戦いに参加しろ!!」

 

返事と一緒に餓鬼どもが参入してくる

 

数は5人

 

やばいな逃げられない

 

菜々子は好戦的な態度をとり

美々子は持っている人形を強く抱きしめている

 

何とかしないと

何とかしないと

なんともできない状況に唇を噛んでしまう

泣くのを我慢しているように

 

「こんなことして楽しいの!!」

 

私は情けない言葉を上げる

 

「悪を倒すんだから、楽しいよ」

 

キャッキャと笑う餓鬼がいた

 

人間と会話している気分はしなかった

だからなのか心の中にあったものが

ブクブクとせりあがって熱くなって

溢れて出てきて

 

「なら、悪でもいいのか」

 

ちょっと溢れた

 

 

 

「えっ?」

 

周りの餓鬼どもが騒ぎ出した

 

「……血だ」

「唇から血が出てきた!!」

「なんでなんでなんで」

「こいつらだこいつらのなんかだ」

 

一瞬で大合唱を始めやがった

 

ミミナナは不思議そうな顔をして私を見てくる

 

「大丈夫、今のうちに逃げよ」

 

3人揃って走りだそうとしたところで

 

「ま、待て化け物ども!!」

 

殴りかかってきた餓鬼が唇から血を流しながら

再びこちらへと勢いをつけて向かってくる

 

そして足をどこかに引っ掛けて転倒した

 

「あぶない!!」

 

美々子の叫び声と一緒に

 

餓鬼は滑り落ちた

急斜面の下へ下へと落ちて行った

 

幸いなことにそこまでの高さはないので

生死にかかわることはないが

 

そんなことを知らない餓鬼どもは

更にボリュームを上げる

 

 

「こ、殺した!!」

 

 

待てそんなことはしてない

私たちが弁明を始める前に餓鬼どもは

何か呪文を言いながら逃げてしまった

 

「どうする寧々子?放っておく?」

 

「そうするわけにもいかないでしょ」

 

下を覗くと

 

いてぇ痛いよぉ、と元気よく叫ぶ餓鬼がいた

仕方ない助けるかとあの手この手で救助作業を行った結果

 

冒頭に戻る

 

 

 

 

 

3、

 

「寧々子」

 

「どうした美々子」

 

「ごめんね」

 

「何が?」

 

「何も出来なくてごめんね」

 

小さく泣いている美々子の姿

本来ならもっといろんなことを考えなきゃいけないけど

私は違うことを考えていた

 

白馬の王子がそろそろ来る時期かなと

 

そして私たちがどん底に行く時間もやってくるんだなと

 

どうしよっか

ひとまず泣いている子を抱きしめた

 

 

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