ミミナナと姉妹になりました、頑張って生きてます 作:興味本位
0、
5日前
親戚のおじさんの首がなくなっていた
4日前
数少ない餓鬼が数人いなくなった
3日前
殴られたその日は何もなかった
2日前
殴られたその日は何もなかった
1日前
婆が体をねじ切られていた
最近起こった変なこと
「生きてる寧々子?」
「……生きてるよ菜々子、美々子は?」
「……」
「大丈夫そうかな」
「こんな状況大丈夫なわけないよ」
「そうだね、その通りだね」
私たちは誰に言われるまでもなく
光も入ってこない檻の中で
そっと抱き合っていた
1、
理由も言われず
私たちは檻の中へと連れてかれた
運び込まれたが適した表現かな
「寧々子が一番殴られた」
「大丈夫痛くない」
どこかの家の木の檻に詰められて
私たちは息を殺す
息を殺して待つのだ
意外と早いなって思った
私たちの登場シーンが来てしまったわけか
二人は絶望している
それはそうだここから希望なんて見えてこないだろうけど
もう少しだから
もう少しで決定されるから
あともうちょっとだけ頑張って
大きなため息が出てしまう
私はどこまでいっても他力本願でしかなかった
めんどくさい説明は省く
村で奇怪な事件が起こる
原因は誰だ?
私たち以外である
最近村で発生した呪霊の仕業かな
姿形を見たわけじゃないけど
近頃空気というか空間が濁っていたので
近しいモノはあった
自分たちが産み出した呪霊だというのに
そうまでして迫害をしたいのかな
村人は理解出来るものを理解できないものと放棄して
責任を私たちに取らせたわけだ
勘違いし続けやがって
私たちは普通だ一般的な可愛い3姉妹だ
それなのにこの仕打ちだよ
やけうちしてやりてぇものだよ
殴りたいならサンドバックでも買えばいいのに
それをしないのはどうしてだろうな
最初に戻って怖いから怖くない私たちを殴るのかな
軋む音とともに扉が開いた
2人の大人が入ってきた
みんな顔見知りの知らない人だ
大人は私たちのことを視線に入れながら会話をする
「変な奴が村に来たな」
「なんでも事件の解決だとか?」
「化け物のことを教えてやったのか」
「あぁ後で来るそうだ」
福音が聞こえるのと同時に可笑しなことにも気が付く
一人が斧を持っていた
まだ未使用なのか錆一つない綺麗な斧で
キラリといやらしく光る
「んで、どうすんだそれ?」
「殴った日は可笑しなことは起こらなかったろ」
「やるって言うのか?」
「そんなことして祟られるのはごめんだ」
「ならどうすんだ」
「聞いた話じゃ大きな手が襲ってくるらしい」
「じゃあそうか」
「ああそうだ」
「「手を切ってしまえばいい」」
は?
何を言っているんだこいつら?
2、
呪霊とは何か
呪術師とは何か
非術師とは何か
その問いを永遠と回す
答えの出ない問答を弄繰り回し
私は答えを出そうとしている
それに意味があるのか
そんなものに意義はあるのか
私は問いを永遠に回す
夏油傑は辺鄙な田舎へ任務で赴いた
簡単な任務であり
簡単な作業だった
祓いそして取り込んだ
慣れないその味を無視して
取り込む
今回の任務も例に洩れ簡単な任務だった
階級で言えば雑に見積もって準1級程度
夏油からすれば危険度は低い任務だった
しかし不可思議な点はあった
呪霊ではなく他のところに
「今回の事件の原因なら、こっちで捕らえてあるのよ」
――が何かを言った
「事件の原因ですか?」
「あぁ枷場のガキどもの仕業に違いないからな、今はあそこの家で捕らえてある」
――が何かを言っている
「そこに案内してもらっても?」
――どもと目的地へと向かう
この村は普通ではない
あまりにも一般的ではない
時代に取り残された残滓
時代を理解できない愚者の集い
凝り固まった精神者しかいない――山だった
――の言葉など無視して
一刻も早く帰還して寝ても良かったが
夏油傑はその選択をしなかった
その先に見える光景を
見捨てる訳にはいかなかったから
3、
「誰にする?」
「全員じゃないのか」
「それは多すぎるだろ」
「多すぎるって訳はないだろ」
「ならどうするか」
「選択するしかないだろうな」
「「どいつにするのか選ばないと」」
理解は出来なかったので認めるしかなかった
この異常者たちは殴るだけでは飽きたらず
私たちを殺そうとしていることを
正しくは殺すではなく
手を切断するだけなのかもしれないが
同じことだ子どもの腕を切断したら
出血多量とかで死ぬだろ?
だけど異常者は勘違いしている
私たちの誰かを殺したら
この異変は治まると勘違いしている
「違うアタシたちは関係ない!!」
檻が蹴られて菜々子の発言は消される
「どうすっか?」
「どれでも変わらんだろ」
「それに、失敗は2回出来るからな」
おいおい待て頭狂ってるだろこいつら
そんなこと前からわかっていたけど
ここまでぶっ飛んでるとは思ってなかった
私たちと呪いとの関係性なんて全くない
そもそも見えてないんだからわかるわけがないけど
現在村で起こっている異変と私たちそれを無理やりつなげて
どんな間違え方をすればそんな結論に行き着くのだろうか
思考がまとまることはなく
檻が開く
どうする
私たちは隅へ逃げる
どうする
斧に視線が行く
どうする
菜々子と美々子の顔を見る
怯えている二人の顔を見る
「私がやる」
「私がやるから、二人には何もしないで」
そこからは
流れるように進行した
やめてやめてと二人が叫んでいる
殴らないって言ったのにな
約束くらい守って欲しいもんだ
左腕を床につける
体勢は土下座みたいだ
なんか嫌だな
「寧々子寧々子!!」
「やめてよ、意味ないよ!!」
大丈夫もう少しもう少しだから
私の腕に何かが到着して
最終回は始まる
4、
叫び声が聞こえた
そこからの夏油の行動は早かった
発生源は目的地
枷場の子どもたちが捕らえられている場所
叫び声は止まることなく聞こえている
なんでだ?
原因となった呪霊は祓った
なのになぜ事件が続いている
祓い残しがあったのか
その気配は全くない
ならこの叫ぶ声の理由は
「――が」
そして夏油傑は確定させる
その扉を開いて決定されてしまう
なにも間違いではなかった
なにも正しくはなかった
仮に世界がこれを容認するのなら
私はそれを否定する
惨状がそこにあった
薄暗い倉庫に木の檻が一つ
5人いた
2人は大人で
3人は子供
可笑しな点がたくさんあった
大人の1人は
血が付いた斧を持っている
なぜ
子ども2人は
木の檻の中で叫んでいる
なぜ
大人の一人は
子どもを抑えつけているのか
なぜ
子どもの一人の
左腕からとめどなく血が流れている
なんでだ
なぜだ
なぜだろうか
声を発する前に動いた
大人二人の意識を刈り取る
殺しはしなかった
現状の把握が大前提であると
脳内はまだ正常だった
こんな状態であるのだから正常かどうかを問うのは間違っているが
夏油はまだ正常にこの惨状を認識できていた
怯えた子供と
死にそうな子供の姿を確認していた
真っ赤に染まったその部屋がまるで世界のように構築されている
倒れている子供に近づく
なんとか呼吸はしているが
このまま放置してしまえばその先は決まってしまう
Yシャツの袖を千切り
簡易的な治療をする
万全とは言わないが
少しばかりの延命にはなるだろう
後ろから慌ただしく――が入ってくる
「どうしたんだこりゃあ」
「――さん――さん大丈夫かい!!」
キーキーとうるさい
振り返らずに質問する
「これはなんですか?」
「何とは?この3人が一連の事件の原因でしょう?」
「この3人は頭がおかしい不思議な力で村人を度々襲うのです」
「私の孫もこの二人に殺されかけたことがあるのよ」
「寧々子寧々子!!」
「やだ!やだやだ!!」
ノイズまみれの声と波長がしっかりと合っている声が聞こえる
「黙りなさい化け物!!」
「――さん――さんをこうしたのもアンタらかい!!」
「やはり赤子の内に殺しておくべきだった」
泣き叫んでいる2人を安心させるように
呪霊を使って伝える
私は選ぶ
どうすべきなのかどうあるべきなのか
どちらの自分を正しいとするのか
『だ…』
カチリと何かが切り替わった
決定的なことを確定させた
『だい大丈夫…』
大丈夫君たちは私が助ける
私がそう私が――たちから君たちを
「皆さん、一旦外に出ましょうか」
離別の儀式をはじめる
その最初の一歩
私が私を選択してからの
呼吸を始めてからのはじまり
立ち上がり
――の後についていこうとして
ズボンを弱弱しい力で掴まれた
掴んでいたのは血にまみれた子ども
私は安心させるように子どもに近づき
「あなたの理由に」
「わたしたちをつかわないでください」
そして私は
子どもの言葉を飲み込んだ