ミミナナと姉妹になりました、頑張って生きてます   作:興味本位

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寧々子は幸せになる

 

0、

 

春風駘蕩

 

のどかな春の訪れに私は大きく伸びをする

春いいよね春

 

過ごしやすいし

なんかやる気が湧いてくるし

新しいことが始まる予感がずっとする季節

 

「寧々子、はやく準備準備!」

「初日から遅刻はまずいと思うよ、寧々子」

 

「わかってるよ、菜々子美々子」

 

そんでもって

 

私たちは今日から高専生になります

 

美々子と菜々子は慌てている様子だが

時間的にも距離的にも余裕はある

 

単純な理由で一足先に寮で生活しているためだ

夏油様の家で住みたい!!と大喧嘩をかましたこともあったが

そもそも夏油様も自宅より高専にいるほうが多いので

寮生活する形になった

 

そのため遅刻する心配はないわけだけど

二人とも初登校でそわそわしているのかな

だったら滅茶苦茶可愛いじゃないか

 

私がのそのそと登校の準備をしていると

二人はもぞもぞと鞄から何かを取り出した

 

おい嘘だろ

縄とスマホをしまいなさい

私たちの愛情は運命共同体だよね!

二人の危ない成長に冷や汗が止まらないな私!!

 

「い~ち、に~い」

 

「わ、わかってるから!もうちょっと待ってよ!!」

 

命の危機を感じ爆速で登校の準備を終わらせる

 

そうだよね!

遅刻するよりも時間に余裕がある女性はかっこいいもんね

 

 

二人に引きずられる形で私たちは部屋から出て

校舎へと向かう

 

 

部屋からも確認できたが

天気は晴れ寒くも暖かくもない素晴らしい気候だ

周囲の景観を損なわないように

上品に植えられている植物たちも喜んでいることだろう

 

「菜々子、スマホカバー変えたの?」

「うん!夏油様に買ってもらった、可愛くない」

「……ずるい、私もほしい」

「美々子だってこの前縄もらってたじゃん」

「それとこれとは別」

 

夏油様、私たち甘すぎませんかね

ダメ人間になったらどうしてくれるんだ

あぁでも養えるくらいの経済力あるな夏油様

それもそれで問題だと思うけども

 

そんなのほほんとしたことを考えていると

 

「あれ、今日からだっけあんたたち?」

 

歌姫先生が声をかけてくれた

 

「歌姫先生おはようございます」

 

「うん、おはよう。そっか3人とも、もう高校生か……」

「えっ、まじで高校生?」

 

「そうですけど、どうかしました」

 

「……時間の流れをね……ひしひしと感じてんのよ」

 

遠い目をしながら先生は言い

黒いオーラが全身から見える

 

まだ全然若いですとは言えなかった

そんな無責任なこと言えるはずもないので

 

先生はどうにか気を持ち直し

会話を再開した

 

「改めて今日からよろしくね。他の一年はあと一人だけだけど」

 

「すくな」

 

「仕方ないでしょ、そんなひょいひょいいるもんじゃないんだから」

 

「夏油様は、今日来ないの?」

 

「あいつは任務、明日辺り帰ってくるんじゃない?あ~、でもあいつのことだから3人の様子を見るために速攻で帰ってくるかも」

 

やったーと喜ぶ二人を見ながら

私も喜ぶ

 

普通の会話をして

日常の一つ一つを楽しんで

当たり前を当たり前に享受できる日々に

 

私も喜ぶ

 

そんな風に惚けていると歌姫先生が気をかけてくれた

 

「どうかした?」

 

「いえ、少し昔のこと思って」

 

「あんたはそんな歳じゃないでしょ」

 

チョップを頂いたので今日はいい日になりそうだ

 

 

 

 

 

1、

 

作戦もなにもなく

五条悟は「ラクショーだっての」と

ノックもせず夏油傑の部屋に入っていった

 

同席者はなし

 

男二人の会話だ

 

心配はあったが

女性たち4人は

教室でのんびり談笑していた

 

五条悟が入室して

そこまで時間を経てず

 

 

夏油傑の部屋が爆発した

 

 

『外で話そうぜ傑!!』

 

五条の敵意むき出しの大声に

3人の子どもは

家入硝子に視線を向ける

 

「夜蛾先生の胃痛が始まるね」

 

家入硝子は楽しそうな表情を浮かべながら

3人の子どもを引き連れて

 

高い土煙と有り得ない音がしている校庭へと向かった

 

 

 

『君には理解できないさ』

『わかるように言えって言ってんだろうが!!』

 

 

まさに乱闘だ

投げて蹴って殴ってぶちのめす喧嘩

 

互いに術式をつかえばそんなものではすまないだろうが

現状二人とも術式は使っていなかった

 

 

「硝子さん、どうしましょう」

「なるようにしかならないでしょ」

「えぇ~!!」

「ここ居たら巻き込まれるかもしれないし、ちょい離れよっか」

 

4人は距離を取りながら2人を見ていた

 

会話も途切れ途切れだし

何を言ってるか不明なところもあったが

 

夏油傑、五条悟は

本気の本気で殴り合っていることだけはわかった

 

 

『私は私の考えは本当だ、それをくだらないとは言わせない』

『ざけんじゃねーよ傑、そんなもんのために全部無駄にすんのかよ』

『そんなものではない!!意味もある意義ですらある』

『何言ってるか意味不明だっての!!』

 

 

激しい口論を交わしながら

戦闘はボルテージをあげていく

お互いの主張は食い違ったまま

平行線のまま爆発していく

 

 

そして

 

緊張の糸は

極限まで張り詰め

 

張り詰めて

 

張り詰めて

 

臨界点に達する

 

 

『なら、お前は俺に殺されてもいいって言うのかよ!!!』

 

五条悟は叫び

 

『あぁ、それには意味がある』

 

夏油傑は答え

 

「……本気じゃんあいつら」

 

家入硝子はドン引きした

 

 

 

「……はぁ、夜蛾先生呼んでくるか」

3人を連れて校舎へ歩き出そうとしたところで

一人子供が走りだした

 

「「寧々子!?」」

「ありゃ、寧々子ちゃん」

 

 

 

「―――」

わかってたはずなんだけどね

混ぜたら危険な最強コンビで

混ぜたら最強の最高コンビだから

こうなるかもなとは思ってたけど

ここまでのことになっちゃうのか

 

「や――」

なら仕方ないよね

夏油様が五条に殺されるのもある意味で軌道修正だし

最初の展開に戻って未来先取り的な

そんな訳にはならないけど納得いくでしょ

 

「やめ―」

でもさあれだよあれ

納得いってるんだったらどうしてかね

どうしてそんな悲しい表情してるんだろう

 

「やめて!!!」

一歩間違わずとも死地で

二歩間違わずとも運命な

その空間に

 

世界の部外者が厚顔無恥にも乱入したのだ

 

 

 

 

 

2、

 

滅茶滅茶怖い

平常でも十分怖かったのに

それと比較できないくらいに怖くて

真剣で暴力的で涙が出てしまうほど悲しい空間はどうしてだろう

 

私は考えて考えて考え抜いて

無意識に走りだして

無意識に叫んでいた

 

「夏油様を」

 

「夏油様を殺さないで!!」

 

こんなに夏油様のこと好きだったかな私

でも理由が思いつかなくても意味が見つからなくても

そうしないと私は幸せだって胸を張って言えないから

美々子と菜々子と笑いあうことが出来ないから

私がそうしたいからそうする

 

それで十分だ

 

私は走る

二人に少しでも近づくように

 

私は叫ぶ

二人に聞こえるように大声で

聞こえてないとやばいので大きな声で

 

「五条さん、五条様!!お願いですお願いですから」

「夏油様を殺さないで!!夏油様を殺さないでください!!」

「夏油様は私たちのために怒ってくれたの、助けてくれたの!!」

「だから、だから夏油様を夏油様と」

「夏油様となかよくして……」

 

そんな子どものたわ言

二人が叫びあっていたことと

何のかかわりのない

スケールも違う話

 

私は叫び続けて

泣いて転んだ

恥ずかしいです

 

何言ってんだ私は仲良くしてとか

究極のところまで行ってなってしまったんだから

後は五条様と夏油様の問題であるべきなのに

……可笑しなところまで首を突っ込んでしまっている

 

私が転んで倒れて

そこからの反応はない

 

爆発音とかも声も聞こえなかった

 

私のことには気付いてくれてたのかな

多分気づいてくれたと思う

距離は離れてるけど声が聞こえないほどでもないはずだ

 

でも

それを聞いて二人がどうなっているかはわからない

見たいけど見たくなくて顔を上げられてないから

 

 

「「寧々子!!」」

 

 

美々子と菜々子の声だった

起き上がって後ろを見れば二人も泣きながら走っていた

二人の隣にはやれやれと肩をすくめている硝子さんもいる

 

じゃあ、と前を見る

 

 

 

五条様は構えていた

術式を発動できる構え

 

後は引鉄を引くだけの構えを

 

 

「……やめた」

 

 

解いた

 

 

「殺さねぇよ、親友を殺すわけねぇだろうが」

 

五条は寧々子たちのほうを向いて言う

さっきまでの地獄の空気を教えてやりたかったが

そこは堪えた

 

 

 

 

 

3、

 

五条と夏油は再び向き合いなおした

 

互いに服は汚れ

あちらこちらに傷が出来ていた

 

 

「……なぁ傑」

 

「……なんだい悟」

 

 

最強と成った五条は

最凶に成りかかっている夏油に

語りかける

 

 

「……俺の世界はさ、なんつーか俺だけだ」

 

「……何をいってるんだ」

 

 

「とりあえず、聞いてくれ」

 

 

最強はゆっくりとゆっくりと思い出すように話す

 

 

「俺の世界は俺だけだった、それ以外は別になんかいるなって感じで」

 

「誰がいても誰がいなくても関係なかった」

 

「今までもそうだったし、これからだってそんな感じかなって」

 

「だから、実際問題一般人がどうなろうと別にいいんだよ俺」

 

 

「だったら!」

 

 

「でもさ」

 

五条は夏油の言葉を遮って言う

 

「でもさ、傑はちげーじゃん」

 

五条は夏油を真っすぐ見て言う

普段つけているサングラスはなく

綺麗な目で全てを見通す目で言う

 

「傑だけじゃなくて、硝子も夜蛾センも七海も」

 

「天内だって灰原もちげーじゃん」

 

全てがわかる目を

たった一人に向けて言う

 

「俺の世界に勝手に入った癖に勝手にいなくなんなよ」

 

「そんなんつまんねぇだろうが」

 

 

 

「……俺たちは二人で最強だろ、傑」

 

 

 

五条悟は言う

夏油傑が掲げた大きなことではなく

小さい小さい当然のこと

 

俺たちは親友で最強だと

だから勝手にいなくなるなと

 

最強は親友に伝える

真剣に気持ちを込めて

 

夏油は

 

「……」

 

長い長い沈黙があって

何かを隠すように俯いて

小さく嗚咽を漏らして

 

震えた声で言うのだ

 

 

「……ぁあ、私たちは」

 

 

「……最強だ」

 

 

高校生らしく答えた

大きなことを小さくして

決別を喧嘩に変えて

 

分相応に友達と喧嘩して

親友と仲直りをしたのだった

 

 

 

 

 

 

「夜蛾先生呼んだから、すぐ来るぞクズども」

 

家入の一言ですべてが霧散した

 

「「はっ?」」

 

「こんだけ暴れりゃそりゃくるだろ」

「だとしてもだろ!!何やってんだよ硝子!!」

「私に言うな」

「ふふ、落ち着けないな全く」

 

先ほどまでの空気から一変して

日常の一枚に全てが変化する

 

 

『ガッデム!!悟!!傑!!そこから動くな!!』

 

校舎から威圧感しかない怒りの声が聞こえる

目を細めて見ればぬいぐるみの大軍が進軍しているような

 

 

「やべ!逃げんぞ傑、硝子!!」

「なんで私もだよ」

「そうだね、急がないと」

 

3人は慌ただしく逃走準備を始める

楽しそうに夏休み中の子どものように

 

「おい、ガキンチョ」

 

「は、はい!!」

 

急に私に振るかこのイケメン

 

「助かった、そんだけ」

 

それだけ残して夜蛾先生からの逃走を始める

 

だからその続きは

 

あの三人だけの知らない続き

 

 

 

 

 

4、

 

針を現代に戻す

 

私たちは呪術高専京都校へと入学した

東京校でもよかったが

上層部が

 

『夏油と五条をまとめるな』

 

と弱腰の対応をした結果

京都校に行くこととなった

 

 

幼馴染である伏黒君やら東京校組とも絡みたかったが

交流会とかで遠からず仲良くなるだろう

 

 

「寧々子行くよ」

「寧々子行こ」

 

 

ここからまだまだ忙しくなるんだろうけど

 

確かなことは

 

私たちは今

 

幸せだ

 

 

「行こうか菜々子、美々子」

 

 

今日はいい日だ

帰ったら映画を借りて

ご飯をいっぱい作って

 

3人揃って寝よう

 

私は校内へと足を入れた

 

 

 

 

 




これにいて一旦寧々子の冒険はおしまいです。

断片的に続きを書ければなと考えておりますので、
その時はまた読んでいただければはしゃぎます。

またこんな展開とか見たいとかあったら教えてください(浅ましい考え)

感想等いただけると今後の糧になります、
あと純粋に嬉しいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました
またどこかで





―――――

「悟見てくれよ」
「どったの?」

夏油は五条に写真を見せる

「お、似合ってるじゃん」
「私は普通のがいいと言ったんだけどね」
「今度、恵も連れて撮影会でもしようか」
「いいねそれ」

その写真には
ボンタンのような制服を着た
3人の姿が写っていた
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