オーディン(ウード)だけが可哀想な目に会う 作:ごめんね
注意書きの通り、シリアスです。シリアスすぎてオーディン(ウード)さんは殆どいつもの芝居がかった話し方をしません。
というか、凄まじくキャラ崩壊しているかもしれません。
つまりこの物語は全て自己満足の上に成り立っています。それでも良ければ、下へ。
俺達の元いた絶望の未来の世界と、元いた時代から十数年過去の世界で、俺は沢山の敵を斬ってきた。
あの時は俺も、真剣にかっこいい必殺技とか考えてたな。
それに、その後ハイドラさんに頼まれてやってきた暗夜王国でも、俺達は戦い続けたよな。
アズールとセレナも一緒に異世界に飛ばされた時は、やっていけるか不安だったけど、何だかんだ上手くいって、何だかんだ主も見つけられて。
それに、大事な家族も出来た。
アズールも子どもに恵まれていたし、セレナは……まあ、うん。
カムイ様やレオン様達と一緒にあの巨大な竜を倒した時は、感動で前も見えなかった気がする。
俺達、三人で一緒だったよな。
ヤバい窮地も三人で乗り越えたし、使える主が皆でばらばらになった時は滅茶苦茶不安だったし焦ったけど、でもカムイ様がいて、俺達もまた三人一緒になれたんだよな。
帰る時、家族を置いていけないって、俺とアズールでごねたっけ。セレナも寂しそうにしてたけど、あたし達の帰る場所は
あの時が懐かしいな。
アズール、セレナ。
『ダメだよ、ルーナ。僕は二人を置いていけない。君もそうだよね、オーディン……』
『そんなこと言ったって……あたし達はこの世界にはいられないのよ。 元々違う世界からやってきたんだから』
『いや、俺はラズワルドと同じだ。帰るならあの子も……。 オフェリアも一緒に──』
あのね!! ルーナの苛立ちを抑えきれないような怒声で、俺達は注意を向けざるを得なかった。
『そもそも、目的は達成したのよ!? そりゃあんた達は嫌だろうけど、皆で帰らないといけないのに、未練がましく残るわけ!?』
その言葉に、俺は何も言い返せなかった。それはラズワルドも同意見だったらしく、情けない事に二人して俯いてしまう。
『……ルーナ、僕は──』
『聞きたくない。どうせ女々しい言い訳でしょ?』
『おい、そこまで言う事は……!』
だが、ルーナがこうまで強く言う理由も分からない訳ではなかった。俺もラズワルド……いや、
『僕は! ……みんな大切だよ。母さんも父さんも姉さんも、ピエリもソレイユだって! ……どっちかを選べるわけないじゃないか』
『……俺もそうだ、セレナ。本当はこっちの世界で親密な繋がりを作るべきではなかったのかも知れない。だけど、家族が……シャーロッテとオフェリアっていう、守るべきものが出来てしまったんだ、俺には』
『わからないわけ、ないじゃない』
セレナもアズールも、気がついたら俺も涙を浮かべていた。多分、こういうところで似てるから俺達は三人一緒だったんだろうか。
『わからないわけないから、あたしは帰ろうって言ってるのよ。 家族を残しているのは皆一緒よ。 だから、あたしも父さんと母さんに会いたいって』
『……俺も、クロム叔父さんに会いたいな』
『あははっ……父さんはウードの事凄く気にかけてたからね』
『ルキナはアズールの事、あんまり心配してなさそうよね! あんたいつも夜ナンパに出かけてたし』
セレナが笑う。
『勘弁してよ……ただのナンパとは何もかも違うんだから』
『はっはっはっ、ははっ……何もかも、か』
何もかも違う。そう、この世界は元いた世界とは何もかもが違う。邪竜ギムレーは存在しないし、白夜王国、暗夜王国の名前なんて古い神話の時代でしか見た事がなかった。
『帰り、たい……のかな』
『ウード……』
俺の呟きを、アズールは深刻そうに聞き留めた。
『俺も……父さんに……母さんに会いたい』
『……僕だって。みんなに会いたいよ』
俺は、こっちの世界に来る前にハイドラさんから聞いた事を思い出していた。
『《それは時空を超えることができる、転移の力を込めた水晶玉だ。お前たちが役目を果たしたあと、全てを終えた後に
二度と帰れない。それはわかっている。でも、家族を置いて帰って、それで終わりか。
二人はどうなる?
妻と娘を置いて消える父親が、どこにいるんだ?
『ウード、行こうよ』
『え……?』
『僕達は、決意を固めないといけないんだ。僕はソレイユに会いに行くよ。君も、オフェリアちゃんに会っていきなよ』
そう言ったアズールの瞳は、真っ直ぐと俺を見据えていた。まるで心の奥底で考えていた事を、そっくりそのままアズールも考えていて、それでいてアズールの方が早く決断したんだろう。
『……そうだな。俺もそうする。セレナはどうする?』
『あたしは…………そうね。あたしもカミラ様に顔見せておきたいし、行かないとね』
『じゃあ、今から一週間後……。 十二の日に、またここで合流しよう。二人ともそれでいいか?』
『うん』
『ええ、あたしもそれでいいわ』
俺達はその後、一週間思い思いに過ごしたと思う。
俺はオフェリアの星占いにめいっぱい付き合ったし、修行の稽古を付けもした。
シャーロッテとオフェリアを誘って、最終日の一日前に、リビングで一緒に話し合った。
暗夜王国よりもずっと遠い場所に故郷があって、そこに帰らないといけないこと。そこに帰れば、もう二度と戻って来れないこと。多分そこに家族を連れていく事は出来ない事も。
オフェリアはもう成人しそうな歳だというのにわんわん泣いてしまって、暫く抱いて慰めていた。シャーロッテともその後に話をする事を伝えた。
俺は泣き疲れて寝てしまったオフェリアを寝室に連れて行って寝かせて、そしてシャーロッテと腹を割って話し合った。
『……本当にごめん。わかってくれなんて言えないけど…』
『…………』
『でも、俺は仲間を置いて一人で残るなんてできない』
シャーロッテは俯く俺の肩を優しく叩いた。
『オフェリアの事は私が何とかするから。……オーディンは、悔いのないようにやったらいいわ』
『え……? 俺を、責めないのか?』
『当たり前でしょ。オーディンは私に
『やる事……とはまた違う、けど……。でも、俺は父親で、家族を置いていこうとしてる。 それを許せるのか、シャーロッテは?』
『私はそれでいいわ。許せる。 だから、オフェリアとも腹割って話し合いなさいよ。明日には行くかもしれないんでしょ?』
シャーロッテはそう言って、俺の背中を優しくさすってくれた。優しさだけが心に突き刺さっていく感じがして、申し訳なさと不甲斐なさが胸を貫く。
『私は何時でも待ってる。ババアになったってあんたの帰りを待ってるんだから』
『……ああ』
彼女はそのまま寝室に入っていく。月は既に頭上を通り過ぎていて、深夜を迎えようとしている。
俺は、どうすればいいんだ。
アズール、お前も同じ気持ちなのかな。
セレナはカミラ様と離れたくないんだろうか。
──ウードはウードだよ。
──まったく、しっかりしなさいよ。
俺は、寝る時になってもまだ決めあぐねていた。
『父さん、行かないでよ』
『ごめんな、オフェリア……父さんは行くよ』
『…………うん……』
玄関で俺は私物の刀と魔導書を携えて、泣くオフェリアの頭を撫でる。戦争中と戦後の短い間しか親子として暮らせなかったのが申し訳なかった。
シャーロッテは来ていない。昨日の話し合いでも言っていた通り、待っていると言ったからだろうか。
『オーディン』
不意に背後から声をかけられる。
『? ……えっ!? れ、レオン様!?』
『シャーロッテが教えてくれたよ、お前が出ていくってね』
『……そう、だったんですか』
レオン様の言葉も、どこか重く感じた。
『ねぇ、オーディン。今からでも考え直して──』
『レオン様っ!』
俺の声で少し驚かせてしまったようだが、構わず続ける。
『俺、今までレオン様に仕える事が出来て、なんというかとても……嬉しかったです。でも……』
『オーディン……。お前らしくないよ。そんな畏まった言い方は。どうせ今生の別れみたいにするんだったら、あの芝居がかった言い方で言ってよ』
レオン様のそう言う声は震えていた。俺の声も震えていたかもしれない。オフェリアに泣く姿を見せたくなくて、俺は自分の顔を思い切り引っ叩く。
『……自若なる我が主よ。今際の別れを共に、また何れ見えん……!』
『…………うん、オーディンらしいよ』
『……へへっ、ありがとうございます、レオン様』
真面目な話だったのに急に芝居がかった話し方をしろと言われて、思わず笑ってしまった。だが、そのおかげで気が楽になった気もする。
『ては、またいつか……会いましょう』
『うん……またね、オーディン』
『父さんっ!』
『…………オフェリア』
『いつかまた、会えるんだよね……父さん』
『……約束だ』
集合場所に向かうまで、俺は振り返らなかった。
一度振り返ってしまえば、そこには俺の大切な家族がいて、仲間がいて、戦友がいて。そして、その暖かさと優しさの海に、もう二度と歩けない程依存してしまいそうだったから。
『……あっ、ウード! ……来たんだね』
『ああ、決心は着いた。俺も行こう』
『ようやくね。あんた一番遅かったわよ?』
アズールとセレナが迎え入れてくれる。アズールがその手に少しひび割れて欠けた水晶を持っている。
『それは──』
『……うん。あの時ハイドラさんから受け取った水晶だよ』
『これを使えば帰れるのよね?』
『ハイドラさんの言う通りなら……僕達は、これであの世界に……帰れるんだよね』
『
アズールが頷く。セレナが指を触れると、微かに反応して光る。恐らく、全員で触れて祈る事で、元の世界に戻れるんだろう。
『……二人は、どっちの世界に帰りたいんだ?』
『僕は……僕はみんなに会いたい』
『あたしも……母さんに顔見せないとじゃない』
二人の意思は固いらしい。
『そう、だよな。俺達は三人で一緒だ。 行こうぜ、アズール! セレナ!』
『うん!』
『ええ!』
三人で水晶に手を被せた。すると、指と指の隙間から凄まじい光が生まれては消え、その光量に俺達の身体は頭頂から爪先まで包まれていく。
『ウードっ!』
しかし、突如として俺達を異変が襲う。
「なっ、なんだよアズール……?」
『ウード、あんたなんか
「へ、変ってなんだよ、からかってるのか!?」
俺達全員の身体が、水晶を中心に浮いていく中、俺だけが違和感に襲われていた。
「なんだ、これ……アズール、セレナっ! お前ら、何だか透けてるぞっ!?」
『それはこっちのセリフだよ、ウード!! 君こそ──』
『ウード、こっちに手伸ばしてっ! はや──』
手だけは水晶越しに繋がっているのに、姿が一切見えなくなってしまう。そして俺は、水晶から出てきた謎の衝撃に弾き飛ばされてしまう。
「うわぁぁぁっ!?」
『ウードっ!!』
『ちょっと、ウード!?』
「父さん、また会えるよね」
「ま、あたし達を置いて死ぬタマじゃないわよ、オーディンは」
「……うん」
「うぐっ……く、ここは……?」
目覚めた場所、そこは草原だった。
広々としていて、まばらに木が何本か生えている。遠くには建物なんかが見えていて、街道がすぐ向こうにあった。
「見覚えのある場所、だ……。 そうか、俺は戻ってきたのか、あの懐かしき我がふるさと、そして我等が使命の、その始まりの地へと。 ……なあ、アズール、セレナ。俺達──」
だが、それとなく覚える違和感もそこにあった。確かに、戻ってきた場所はイーリス聖王国へ向かうための街道のそばで、向こうに見えるのは王国の城下町だ。
しかし俺を出迎えたのは、そこを漂う重々しい空気だった。
「おい、アズール……セレナ……。 ……おい、聞いてるのか?」
振り返る。
「…………はっ……? お、おいおい、悪い冗談はやめてくれって、二人とも。 からかってるのか?」
しかし、辺りを見渡しても誰もいない。
「……冗談はやめてくれ…………。 なんで居ないんだ……」
悪い予感が脳裏をよぎって仕方がない。
恐ろしい未来を否定したくて俺は飛ぶように立ち上がり、まだ視界の眩む足取りの中、城下町へと急いだ。
「……そ、そんな…………ここは……」
破壊された屋根。轟々と燃える出店や屋台。無造作に転がる剣や槍。壊れた家屋から吹き出る黒煙。
そのどれにも見覚えがあった。
「……ク……クロム叔父さんっ! 母さん! 父さんっ!!」
精一杯の大声で名前を叫ぶ。両親の名を呼ぶ。もし本当にこの世界がそうなら、いるわけが無いのに。それでも縋りたかった。
「……マークっ!!!」
妹の声は聞こえない。
「どうして、だよ」
膝を着く。
「どうして俺だけが……ここに」
左の拳で思い切りレンガの地面を殴りつける。篭手に傷がつくが、そんな事どうでもよかった。
「アズール……セレナ……シャーロッテ……っ!」
愛すべき仲間を、家族の名を呟く。
「オフェリア……俺は……!」
なぜこんな選択をしてしまったのか。俺は多分、一生かかっても納得できないものだろう。そう思えるほどに、この未来の世界はあまりにも残酷極まりない、荒廃しきった終わりの世界なのだから。
「帰らなきゃよかった……っ!!」
「あ、あのっ!」
涙を流す俺の肩を、誰かが優しく叩いた。
「……っ!?」
涙を拭く事すらせず、俺はあまりに急だったので急いで振り返る。そこには一人の青年が、俺を心配そうに見つめていた。
「……ああ、ウードさんだ……やっぱりウードさんだ!! 僕ですよ、ウードさん! マークです!!」
マーク。その名前はとても親しみのある名前だ。しかし、俺の目の前に今いるこの
「……マーク? いや、でも……俺の妹じゃないだろっ! あんたが誰かはわからないが、俺をからかわないでくれ……」
「待ってくださいウードさん! 僕は本当のマークですよっ!? 母さんと父さん……つまりルフレとクロムさんの間に産まれた、正真正銘ウードさんの従兄弟です!!」
「……父さんが、母さん……? あんまり訳の分からないことを……いやでも、確かにこの空気の感じは……マーク、なのか?」
目の前のマークと名乗った男は、一見俺の知る妹、マークとは別人だ。だが彼の纏う空気……雰囲気は、あの天真爛漫なマークにそっくりだった。
「はいっ! 僕、ずっとここで一人で戦ってきたんです。 ギムレーを倒した時、多分僕だけが何かの弾みでここに飛ばされたと思うんです」
「戦って……? つまりマーク、お前は自分のいた世界で、クロム叔父さんや父さん……いや、マークの母さんと一緒に戦っていた。それで恐らく、ギムレーを討ち滅ぼした末に何かの反動でこの絶望の世界に飛んできた。……そういう事でいいんだな?」
「はい……。 理由は定かじゃないんですが、僕としてはギムレーが最後の力を振り絞って、母さんと父さんの近くにいた僕を標的に、異世界へ飛ばす禁術か何かを使ったんじゃないか……って」
そうか、俺だけじゃなかったんだ。 こうやってみんなと切り離されてしまったのは。
つまり、このマークは俺の妹ではない
「えっと……マーク、悪いっ! 俺の妹はマーク一人だ。お前を家族としては見れない……」
「……はい、それはわかってます……」
「でもっ! ……友達として。クロム叔父さんの子供なら、親戚として。始めてみることはできるんじゃないか?」
「……えへへ。 ……僕の知ってるウードさんも、いつもそうやって、なんだかんだ困った事を解決してくれました」
じゃあ……! 俺の言葉を飲み込むように、マークは笑顔で頷いた。
「僕達、また一緒ですね!」
「……ああ! ──貴様はこれより、我らが無事元の時空へと帰還する、その術を共に探究する為の相棒だっ!」
「えへへへっ……はいっ!!」
がしっと手を握り、互いに頷く。
これからのやる事は多い。まずは現状の把握と、屍兵が近くに残っているのかの確認だ。
以前の戦いで俺を含む、俺と同世代のみんなはナーガ様の力で過去へ飛ばされた。その際、祭壇まで向かった時に目につく屍兵はとにかく蹴散らして消滅させ、その数を減らしたのだ。
それが、後々に残される事となる、救うことができなかった人達のために俺達ができる、唯一の償いだったからだ。
それが今功を奏しているのかは定かではないが、しかし俺とマークが出会うまでに屍兵とは会っていない。
「アズール、セレナ……ブレディ、シャンブレー、ンン……デジェル、シンシア、ノワール……。 ルキナ、マーク。 俺は絶対に帰る。何年かかろうとも。俺が新なる術を開発してでも、別世界を文字通り歩いてやる。だから──」
「ウードさんっ、異界の門なら一時的に行き来ができますし、あれを更に発展させられないでしょうか!?」
「……なるほど、それもありだな! よーしっ、行くぞマークっ!!」
「はいっ!!」
俺達はそれぞれの得物を携えて歩き始めた。
「──だからまた、会えるよな。
「ウードさん……ええ、きっと会えますよっ!」
【力を封印せし者】【異界より来た子】
屍兵に支配され、邪竜の力が大地を包み込む絶望の未来に、とある伝承が語られている。──異界から舞い降りた二人の英雄、竜を討ちて死者を滅し、姿を消さん。ウードとマークのその後を知る者は誰一人としていない。一説では、これによって聖王の血は完全に途絶えたものとされている。
コンコン。
ノックが家の中に響く。訪問者だろうか。
「ごめん! 代わりに出て!」
「うん! よいしょっ……はーい!」
「はーい、どなたですかっ?」
ドアを開ける。そこに立っていたのは一人の男。
その人は、何よりも大切な、たった一人の父親だった。
「……ははっ、戻ってきたぜ……!」
「……ぁ……あ、あぁ……っ!!」
私は思わず口を手で押え、泣き崩れてしまった。
「……ちょっと、どうした……の…………」
後から来た母さんも絶句した。
「……久しぶりだな、シャーロッテ。老けたか?」
「……ばか。オーディンこそ、シワが目立ってるわよ」
私は父さんの胸に飛び込んで抱きつく。十年もどこに行ってたの、なんで傷だらけなの、そんな言葉を口から出す事もできなくて。
嗚咽を漏らしながらようやく一言だけ言えた。
「うっ、ぐずっ……おかえり、父さん…っ」
「ああ……ただいま、オフェリア」
私を抱きしめてくれた父さんの手は、大きくって、何よりも暖かった。
太陽に隠れて見えない星々の何よりも煌めいている、私のいちばん尊敬する父さんが帰ってきてくれた。
それだけで私は泣いちゃって、母さんも父さんも涙を流してた。
「さあ、家に入ろうぜ。 ……積もる話もあるんだ。今度は呪いも無いだろうし、向こうでの話を聞かせてやろう……」
そう語る父さんの眼差しは私と母さんを見つめていて、暖かい。十年間の寂しさを埋めるだけの、爛々と輝く星群のような温もりが、そこにはあったの。
──また一緒に話をしたかったんだ、父さん。
血縁関係
ウード
妻シャーロッテ、娘オフェリア。
父ルフレ、母リズ、妹マーク。
アズール
妻ピエリ、娘ソレイユ。
父クロム、母オリヴィエ、姉ルキナ。
セレナ
父ロンクー、母ティアモ。
解説
※ここも胸糞注意
ウードがどうやってif世界に戻ってきたかというと、マークが言っていたように、異界の門に使われているらしい異界転移の術式を解読・転用する事で、十年の時をかけてようやく異界へ移動するための技術を編み出したのである。
そこからウードとマークの二人は後腐れのないようにギムレーを倒すべく、各地の生存者の元を尋ねて戦える人員をかき集めた。
マークの指揮とウードの戦闘能力。ウードの、神祖竜の血を服用した事によって得た竜脈を使用する能力を使い、竜脈の活用によってギムレーをどうにか封印。各地の屍兵を掃討して回った。
ほとんどの屍兵を掃討したウード隊の面々は解散。ウードとマークは、異界の門の前で集合し、門に流れる魔力を吸収して応用する事で、望んだ世界へ一度だけ飛ぶ事の可能な門を創造する。
マークとウードは再会する事が不可能であると知りながら、お互いの未来に幸運を祈り、門に入って別れた。門の先は文字通り望んだ世界へ繋がっており、そこは見た事のある景色だった────。
───と。
要するに、アズールやセレナ達子世代との再会を望んだウードもといオーディンが、最後の最後に選んでしまった世界は、親友や戦友達、両親や妹の住む覚醒の世界──つまり元の世界ではなく、自分は本来いるべきではない世界である、自らの家族が待つifの世界だったのでした。
アズールとセレナは目覚めた時、ウードだけがどこにもいない事にゾッとし、辺りを探索するも見つからず、ハイドラの言っていた『異世界の事を話すと泡となって消えてしまう』という警告を警戒して事情を説明できず、仲間や友人達にウード失踪の理由を一切説明できなかった。
その為、リズとルフレ、マーク(妹)と、アズール、セレナのみんなは今もウードの帰りを待っている。
ある種ハッピーエンドのはずです。
オーディン一家からしたら、ですが。
【花咲く笑顔】【秘めた憧憬】
アズールは消えた親友を迎えるため、旧ヴァルム帝国のとある場所で友の帰りを待ち続けている。セレナもまた、傭兵業を続けながら各地を転々と回り、親友の所在を探していたという。
本当に申し訳ない(満足)
ちなみにマーク(男)が帰った方の覚醒世界はまだハイドラが尋ねて来る前の時間軸なので、いくら仲良くなっていてもマーク(男)の世界のウード、アズール、セレナの三人は突如失踪し、ウードだけが帰ってこない平行世界になります。(ド鬼畜)