ド根性(ドスケベ)忍伝   作:身勝手の極意

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自来也ってやっぱりカッコいいなぁ。



ド根性(ドスケベ)忍伝 第一章

 

 

 誰もが振り向き、振り返るであろう美貌。

 

 刺々しくも長く美しい白髪。

 

「つ…氷麗(つらら)?」

 

 そんな……誰もが振り向き、振り返るであろう美貌の持ち主に向け、"氷麗"という名を呟いたのは、その美貌の持ち主とそっくりな髪型、髪色の持ち主──自来也。この世界に、星の数程存在する忍の頂点と呼ぶに相応しい実力者の1人である。

 

 だが、自来也が氷麗と呼んだその者は、氷麗ではない。

 

「氷麗は僕の母です。

 そして、僕の名は氷也(ひょうや)。お会いできて光栄です、自来也さん…いえ、()()()と呼ぶべきでしょうか?」

 

 しかも、驚くべきことに女性(美少女)ではなく男性(美男子)である。

 

 しかし、氷也という名の絶世の美貌を持つ者が女ではなく男だったことなど、自来也にとって些細な問題だ。些細どころか、どうでもいい問題だろう。

 

 何故なら、自来也は"父さん"と呼ばれたのだ。

 

「お…お前は…まさか…」

 

「母──()()()()()()()()()()()のことを…あなたは覚えておられますか?」

 

 そして、氷也の言葉で自来也は己の人生最大の……血の気が引く思いを味わったそうな。

 

 

 ❄️

 

 

 かつて、自来也が一途に想い続ける女以外で唯一、心を突き動かされた女が存在した。

 

 その女に瓜二つの少年──氷也との劇的な出会いから数ヶ月…。

 

「氷也、お前はどうだ?

 お前にとっての真のエロとは何だ?」

 

「僕は、見えそうで見えない"()()()()()"にこそ、真のエロを見出だしています」

 

 氷也と自来也は真剣な表情で大切な会話をしている。

 

 ただ、本人達にとって大切な話なだけで、他の者達からしたらどうしよもなく、ろくでもなく、馬鹿な話でしかない。

 

「チラリズムか…さすがは()()()()だのォ。

 うむ、次の作品のコンセプトは"チラリズム"にするぞ!タイトルも"イチャイチャチラリズム"に決定だ!」

 

「お褒めに預かり光栄だ()()()!」

 

 劇的な出会いから数ヶ月経過した現在、端から見たら氷也と自来也は仲睦まじい親子の関係を築き上げているようだ。

 

 己の息子だと聞かされた際の自来也は珍しく動揺していたが、数日間共に行動をする内に、氷也が己が今も想い続ける女以外で唯一愛した女の息子であることを確信し、そこからさらに時間が経ち、己の息子であることも受け入れ、今では己の助手としてそばに置いているようだ。

 

 しかし、この親子には問題がある。

 

 それは、この親子がとてつもなくスケベで女好きということだ。たった今の会話の内容も、自来也が執筆するエロ小説についてなのである。

 

 しかも、ついさっきまで女風呂を親子揃って覗いていた。小説のネタを求めて……仕事の一環なのだそうだ。

 

 自来也はともかく、氷也は絶世の美貌を持つ母親似の美男子で、女風呂を覗くなど誰が想像できようか…。想像できないが、氷也の覗き癖は間違いなく自来也譲りだろう。

 

 この親子は女の敵だ。

 

「氷也、儂と共にエロ道を極めるぞ!」

 

「ああ!」

 

 氷也と自来也が親子など、その事実を知りたいと思う者は恐らくいない。寧ろ、親子であってほしくないと思う者の方が大多数なのではないだろうか…。

 

 だが、これは偽りようのない事実。氷也と自来也も、己達の意思で遺伝子検査を行い確認済みだ。そして、これがまた厄介なことなのだが、自来也は忍界最高峰の忍で、氷也は自来也と才色兼備だった母親の良いところを多く受け継いでおり、忍としての才能にも恵まれているのである。

 

 自来也も氷也の才能に気付き、これまで何もしてやれなかった埋め合わせとして鍛え始めたようだ。

 

 今のところ、氷也は忍としての才能を覗き(エロ)の為に使っているが、これは自来也の悪い遺伝だ。

 

 忍としての才能の高さはピカ一。その反面、人間としては破綻している。

 

 両親の良いところも悪いところも、ここまで完璧に近く受け継いだ子はなかなか存在しないだろう。

 

 忍としては欲しいが、人間としては……悩ましい限りである。

 

「もちろん、儂の息子なら忍道も極めてもらうがな!」

 

 良くも悪くも、忍界で有名な自来也だ。その息子であることは遅かれ早かれ発覚し、大きな話題を呼ぶはず。氷也の成長がこれから先、忍界に与える影響は少なくはないだろう。

 

 そして、これより数年後──氷也の名は全世界に響き渡ることになる。

 

 

 ❄️

 

 

 自来也の故郷は、忍び五大国の一つに数えられる火の国の隠れ里──"木ノ葉隠れの里"だ。

 

 そして、五大国最強の忍びの隠れ里と謳われる木ノ葉隠れの里の現在の里長は、自来也の師匠である三代目火影・猿飛ヒルゼンである。

 

 その三代目火影・猿飛ヒルゼンは現在、どこか呆れ果てたような……それでいて諦めたかのような、何とも言い難い表情を浮かべ、久々に里に帰郷した自来也に視線を向けていた。

 

「いつかは…このような日が来るのではないかと考えたこともあった。それと同時に、無類の女好きのお主であっても…このようなことはしないだろうと信じていた」

 

 三代目は自来也に向けてそのように口を開くと、続いて自来也の隣に立つ美男子へと視線を移す。自来也そっくりの長い白髪を後ろで一本に束ねた美男子は、自来也の息子である。

 

「儂は氷也が生まれてから10年以上…氷也の存在を認知すらしておらず、何一つしてやることができなかった。本当に申し訳ないと反省しておる。しかし、あの子との…氷也の母…氷麗(つらら)と過ごした時間には…後悔など何一つない」

 

 自来也が今も秘かに想い続ける女以外で唯一、心を突き動かされた氷麗という美しい女。そして自来也にとって、氷也という存在は氷麗との愛の結晶なのだ。

 

「無類の女好きでありながら、実は()()()()でもあったお前がそこまで言うとはな…。

 おっと…息子…氷也の前でする話ではなかったな、すまぬ」

 

「いえ、俺のことはお気になさらず。

 父さんの母に対する想いを知ってますので」

 

 無類の女好きとして有名で、世界各地を旅する自来也は、各地至る所に隠し子がいるのではないかと噂されることも多々あるが、そこに関しては徹底的に気を付けていたようで、このような事態を経験するのは初めてのようである。

 

 だが、自来也の氷麗に対する想いは本物であり、今では父親として氷也を育て、接している。一緒に女風呂を覗いたり、エロ小説の執筆を手伝わせたりなど、父親以前に大人としてどうなのかという部分も多々見受けられるが、そこは自来也だから仕方ないかもしれない。寧ろ、さすがは自来也の息子というべきか、氷也も自来也の期待に応えている。

 

 息子としても、忍としても……そして、エロスを追究する男として、氷也は自来也に鍛え上げられ、立派に成長している。

 

「うほん!

 それでだが…猿飛先生。氷也を木ノ葉の忍として迎え入れてほしいんだが…どうかのォ?」

 

 だからこそ、自来也は氷也の更なる成長を考え、己の手元から放すことを決意した。

 

 自来也はこの数年、氷也と共に世界各地を旅しながら、忍の技術、知識を教え込んだ。氷也も、自来也(父親)と過ごす時間が嬉しく、自来也の教えたことを恐るべき早さで学び、習得し、昇華していった。

 

「息子自慢にとられるかもしれんが、氷也の才能はとんでもない。()()()()()()と契約も結び気に入られておる。儂と、()()()()()の氷麗の影響もあってチャクラ量も多く、手札も多彩だ。並の中忍ではどんだけ束になろうと勝てんだろうのォ」

 

 あとは、自来也から叩き込まれ、身に付け、昇華したものを実戦で十全に使いこなせるかどうか…。

 

 自来也はその為に、氷也を木ノ葉の忍にどうかと三代目火影に勧めるのである。

 

()()()()()()()才能を秘めておる」

 

「それほどか…」

 

 かつて、里の狂気と恐れられた自来也。

 

 その自来也の息子であり、弟子でもある氷也は、木ノ葉隠れの里でどのような伝説を残すのか…。

 

 新たな物語が始まりを迎える。

 

 






自来也が綱手以外で唯一心を突き動かされた雪一族の美しい女との間に生まれたオリ主ものです!

名は、氷也。
氷麗(つらら)と自来也から一文字ずつ。

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