祝十話だってばよ!!
氷也は強運の持ち主だ。
いや、強運という言葉では生易しい。世界は常に氷也を中心に廻っていると言っても過言ではないかもしれない。
それ程までに、氷也の身の回りで起きる現象は神がかっている。"ラッキースケベトリガー"然りだ。
「よろしく」
「よ、よろしく…でしゅ…あ、です!
(う、うわ…ち、近くで見れば見るほど綺麗…つか、何か…エロいし…めっちゃイイ匂いしてくらくらする!
あ、あれ…か、身体が火照って…え!? ちょ、ぬ…
氷也が中忍試験会場で目を付けた内の1人である赤髪メガネッ娘が左隣に座ると、氷也は気さくに挨拶をした。その挨拶に緊張しながらも返す赤髪メガネッ娘だが、どうやら彼女も映画を鑑賞していたらしく、氷也のことを知っていたようだ。
現在、世界中にその名を轟かせた"白い悪魔"。その美しさは多くの女達を虜にしており、彼女もその内の1人のようである。
氷也の虜となってしまった赤髪メガネッ娘は、間近で氷也のフェロモンに当てられてしまい、試験が開始されるというのに発情状態に陥ってしまっているようだ。氷也から放たれるフェロモンはもはや、媚薬と言える。
「君もよろしく」
「ッ…あ、ああ…ッて、ウチに気安く話しかけんな!!
(コ、コイツは敵…大蛇丸様ですら警戒する"白い悪魔"…ッ、な、なんだ? コ、コイツから凄く甘い…美味しそうな匂いがする。コイツの身体に…触れたい…触り…たい…ハッ! ナ、ナニ考えてんだウチは!?)」
そして、右隣には氷也が目を付けたもう1人の気が強そうな赤髪美少女が座っており、彼女もまた氷也のフェロモンに当てられてしまっているようだ。
目を付けた美少女2人が揃って両隣に配置されるなど、さすがの一言に尽きる。これぞまさにドスケベの所業。
しかも、意中の相手に向けて媚薬のようなフェロモンを垂れ流し発情させてしまうとは……まったく大した奴である。
その証拠に、本人達は気付いているのか、無意識なのか……少しずつだが、氷也と距離を詰めており、肩が触れ合うまであと少しの距離に迫っている。
ドスケベな氷也のフェロモンに当てられたということは、きっと彼女達はエロい女予備軍なのだろう。
しかし、これから行われようとしているのは中忍試験だ。
第一の試験は会場の状態、様子からして筆記試験のようだが、決して男と女が親睦を深める為の席ではない。とはいえ、すでに氷也の席の両隣だけは空気が全然違っている。
両隣の美少女達は頬を染め、火照る身体を必死に抑え込もうとしている。が、火照りを抑え込めるはずもなく…。
「はあ…当てられちゃってるわね。
(それにしても、氷也の好きな赤…しかも地毛よね? 狡くない? 私も赤髪にするべき? けど、染めちゃったら負けた感あるし…なら、やっぱり私は
そんな2人の赤髪の美少女達の様子を、会場内で唯一理解できるであろうチャイナドレスの美少女テンテンは、ついさっきまで氷也にやりたい放題されていたにも関わらず回復しており、新たなライバル候補達に向けて少し後ろの席から闘志を燃やしているようだ。
氷也の女で在ることと、中忍試験……いったいどっちが大切なのだろうか…。
もっとも、テンテンは氷也のおかげでくノ一としても実力も開花させた。つまり、氷也のそばにいることこそが、彼女にとっては中忍になる為の一番の近道。
これから先も氷也の隣にいる為には、テンテンは女としての魅力とエロさも磨き上げなくてはならない。
彼女は日々、氷也の為に努力を怠っておらず、今日の下着の色、種類も全てが氷也好みだ。
「見てらっしゃい。
(氷也…私がアナタにとって一番の
この中忍試験は、極一部の女達の間のみでは、氷也を巡っての戦いに発展しようとしている。
❄️
木ノ葉隠れの里で開催される中忍選抜試験。
「もう一度訊く。
今後の忍人生を賭けた選択だ。やめるなら…引き返すなら今だぞ」
試験官森乃イビキが、第一の試験最大の問題を問う。
筆記試験だが、最終問題だけは何やら趣旨が違うらしい。
経験豊富な忍から放たれる威圧感に、ほとんどの下忍達が怯え、畏縮してしまっている。
しかし、この少年は違う。
「まっすぐ自分の言葉は曲げねェ。
それがオレの忍道だってばよ。それに…オレの憧れる男は…いつか超えたいと思ってる男は下忍だ。それでも、火影のように強くてカッコいい男なんだってばよ。だから…下忍のままだろうと関係ねェ。意地でもオレは火影になる。そんだけだってばよ」
試験官森乃イビキに怯えることもなく、第7班のうずまきナルトは迷いなく答える。
中忍試験第一の試験は、各個人の情報収集能力を試すことを目的とされた、謂わばカンニングもありの筆記試験だ。
ただ、カンニングをするなら忍らしく、気取られずに速やかに…。
無様なカンニングをした下忍は班員もろとも失格となり、今この場所に残っているのは、忍らしいカンニングという第一関門を切り抜けることができた下忍達だ。
ちなみに、ナルトは氷也の施しによって9問目までの解答を終えていた。
第一の試験が筆記試験であることを最初から読んでいた氷也は試験開始前に、視界を共有することができる両面鏡のような効果を持つ無色透明な氷遁の片眼鏡をナルトに施しており、そのおかげもあって超難問の数々をどうにか乗り切ったようだ。
だが、それだけでは第一の試験を突破することはできない。
"中忍"という部隊長に求められる資質はもっと別のところにある。
第9問目までは、中忍になれる可能性を秘めているかどうか……それを確かめる為にすぎない。
本当に重要なのは最後の第10問目。
これから出題される第10問目を受けるか受けないか…。受けるを選べば、もう引き返すことはできず、問題に正解できなければ来年以降の中忍試験の参加資格を永久に剥奪される。
受けないを選べば、その場で班員もろとも失格となるが、また来年の参加資格は残る。
受験者達にとっては究極の選択だろう。
もっとも、"二代目黄色い閃光"と称えられるナルトと同じく、木ノ葉隠れの里の"白い悪魔"と恐れられる氷也は、まったくもって動じてはいない。
寧ろ、いつも通りすぎる。
「ッ!?
(あ…手…を握って…ウチを安心させようとしてくれてる?)」
それどころか、不安に駆られている左隣の赤髪メガネッ娘を安心させるべく、会場の試験官達に見えないように机の下で手を握っている。本当のところは、触りたいから触っているだけだろうが…。
「ッ────!?
(え? え? 手を
か、身体が熱ッ────ん…ど、どうし…て…き、気持ち…イイ…あ…も、も…っと…触…って…ウ、ウチ…おかしく…なっちゃい…そう)」
しかも、"合谷"、"労宮"といった手にある性感ツボを巧みに押すことで、第一の試験が佳境だというのに、まったく別の刺激を与えるという……ドスケベここに極まるである。
「ッ!?
(コ、コイツ…何してやがる? まさか、ウチがこの程度でビビってるとでも思ってやがんのか? ハッ! だとしたら木ノ葉の忍はマジで甘ちゃ────んッ!? な、何だ? い、今…身体に電流みたいな…あ…ま、また…な、何だ…これ…ど、どんどん…身体が…
もちろん、右隣に座っている気の強そうな赤髪の美少女も同じセクハラを受けていた。いや、それを行っているのが氷也の場合、セクハラにはならない。これは
そんなろくでもないことをしながら、氷也は問題の内容がまるで任務のようだと思っているようだ。受けるを選び正解できなければ来年以降の参加資格を永久に剥奪される。これを任務で例えたならば、成功すれば生き、失敗すれば死ぬ……常に死と隣り合わせな忍の任務そのものだと。
基本、下忍に与えられるDランクや、Cランク程度の任務なら命の危険はほぼない。しかし、Bランク以上の任務となれば常に命の危険がある。すでに何度もBランク以上の任務を経験したからこそ、氷也には第10問目の内容がそうとしか思えずにいるのである。
つまり、10問目の問題とは、受けるか受けないか……死ぬかもしれない
どんなに危険な任務であろうとも、ここ一番で勇気を示し、苦境を突破する精神力。それを求められている。
氷也には簡単すぎる試験だ。
何故なら、氷也にはたとえどんな過酷な任務であろうと、受ける以外の選択肢がないのだ。寧ろ訊くまでもないだろう。
氷也の場合、
とはいえ、氷也が任務の傍らで女探しをしているなど、この試験官が知るはずもないが…。
「いい決意だ。
(さすがは"二代目黄色い閃光"…か。
ふッ、白い悪魔といい、とんでもないルーキーが出てきたものだ)」
そして、試験官はナルトの宣言をきっかけに、会場内……残る受験者達の不安と恐怖が払拭されたのを悟った。
これ以上の問答は必要なし。
「では、ここに残った者達に────中忍選抜試験"第一の試験"合格を申し渡す!!」
中忍試験第二の試験の試験官である木ノ葉隠れの里の"特別上忍"みたらしアンコ。
鎖帷子の上に直接ジャケットを羽織るという、第一の試験会場で約1名から目を付けられること間違いなしな扇情的な忍服を着用した紫色の髪の巨乳くノ一である。
「みたらしアンコ…甘い名前だ。
ふむ、生クリームやチョコソースなどを塗りたくり、フルーツをトッピングして堪能したい身体だな。イチャイチャパラダイス・"
そして、案の定……すでに氷也は目を付けていた。
第一の試験の合格が言い渡され、合格した者達が驚きの渦中にあるなか、氷也は受かって当然といった様子で、氷也の関心は試験よりもみたらしアンコに向いている。
ちなみに、両隣に座っている赤髪の美少女達は、氷也の性感ツボ攻めによって腰砕け状態のようで、氷也の言葉はまったく聞こえておらず、そんな余裕などない。絶頂を味わうも
もっとも、
「次行くわよ次ィ! 私についてらっしゃい!」
それもあり、氷也の頭の中はエロいことしか考えていない。
「俺がイカせてやろう」
❄️
場所は移り、木ノ葉隠れの里にある演習場の1つ──"死の森"。
中忍試験第二の試験は、第一の試験よりもより過酷な試験である。
第一の試験も覚悟を示さなければならなかったが、今度はその覚悟を実戦で示さなければならない。
第二の試験は、殺しもありの巻物争奪戦。
つまり、これまでの任務経験が大きく関係する試験でもある。
「え? 第7班のみの特別ルール?」
「何だってばよそれ?」
ただ、すでに並の中忍を凌ぐ任務経験のある第7班は、特別ルールのもと第二の試験に臨まないといけないようだ。
「ええ。
この試験はさっき皆の前で説明した通り、天の書と地の書を巡って闘ってもらう殺しもありの巻物争奪戦」
今現在、第7班の2人は各チームごとのスタート地点へと案内されたところだが、第7班のみの特別ルールの内容を、第二の試験の試験官みたらしアンコから説明されている。
第二の試験は、第一の試験と同様にチーム戦。
計
「あなた達2人には、1時間遅れて試験を開始させてもらうわ。それから、あなた達には天の書も地の書も渡さない。どちらの書も…奪い取りなさい」
その特別ルールとは、すでに下忍を遥かに凌駕する実力を持つ氷也とナルトに、ハンデを背負って試験に臨んでもらうことである。
これは、有名になりすぎてしまった弊害だろう。
その上、この特別ルールは本人達が知らないだけで、木ノ葉の
「ハンデありなのは何となくわかってたが…どこが特別ルール?」
「簡単だってばよ」
とはいえ、本人達はハンデを背負うことなどまったく気にした様子もなく何のその。
「ええ? もうちょっと驚いてくれない?
可愛げのないルーキーね」
「可愛げがあるのは女だけで十分。
それよりも…試験が終わったら俺とお茶でもいかがですか?」
ちなみに、同じ
両方の巻物を与えられていない第7班とは違い、第9班は両方の巻物を最初から所持しており、合格条件は両方の巻物も3日間死守すること。
もしどちらか片方でも奪われてしまったら、その瞬間に他のチームと同じ合格条件となり、両方の巻物を揃えて中央の塔にゴールすればいいとのことだ。
第7班に比べたら、圧倒的に優位ではないだろうか…。いや、氷也とナルトからしたら、この程度のハンデはDランク任務相当のものだろう。
「女好きってのは本当みたいね。
けど、私は自分の目で見たものしか信じないの。だから、アンタが白い悪魔と恐れられるだけの実力が本当にあるかどうか…私に示してくれたら…考えてあげる」
そして、みたらしアンコの挑発的な発言がどのような影響をこの試験に及ぼすか…。
「全チームから巻物奪うつもりで」
「それはやめて。
せめて、5チームくらいは残ってもらわないと困るわ」
第二の試験……見物である。
NARUTO FILM RED!!
氷也くんの両隣になった赤髪美少女達!
氷也のフェロモンに当てられ、下着が水遁で濡れ始めてしまったメガネッ娘と、お身体に触りますよ。したくなってきた毒舌美少女である。
氷遁・氷眼の術。
今回はナルトと視界共有する為に片眼鏡として使用したけど、術の効力は他にもある。氷のレンズを望遠鏡のように使い、遠く離れた場所でも覗ける。