ド根性(ドスケベ)忍伝   作:身勝手の極意

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まだまだ暑さは続く…。



ド根性(ドスケベ)忍伝 第二十一章

 

 

 その手に触れられたが最期……滅び、尽きる。

 

「ッ……!

(さすがは()()()()

 いえ、彼の実力はそれだけでは片付けられない。何れ……間違いなく()()にとって最大の脅威となる)」

 

 氷也が見初めた女の体は灰と化す。

 

 氷也はすでに見抜いていたのだ。

 

 目の前の美女が分身であることを。

 

「今度は()()()()()()、本当のあなたに会いたいものだ。その時は、優しく紙を捲るように、無我無中で読み漁るように、互いの全て(エロス)互いに曝け出しましょう(脱がせっこ)

━━ 灼遁・灰滅 ━━

 

 写輪眼や白眼といった瞳術がなくとも、女のことになれば氷也は全てを見抜き、暴くのだ。

 

 そして、一度狙った女は決して逃すことはない。

 

「さて、最新作〝イチャイチャテイクオフ(脱がせっこ)〟の執筆の為に、彼女について色々と教えていただこうか……うちはイタチ、干柿鬼鮫」

 

 あの外套の下には、いったいどのような秘密(エロス)が隠されているのか…。氷也は彼女を脱がせたくて脱がせたくて、そればかり考えている。

 

 ドスケベである氷也は彼女が分身だろうと関係なく、外套の上からでも見抜いた。彼女は()()()()()()と…。

 

「私達を相手に随分と余裕で──ぐおぉ!?」

 

「!?

(オレの豪火球を()()()()()()()()()()()()()のか!?)」

 

 さすがはドスケベ。エロの権化。S級犯罪者が相手であろうと、優先順位は女とエロ。

 

「彼女を想い熱く滾る俺の(エロス)に比べたら、アンタの火遁など取るに足らん」

━━飛雷神の術〝導雷〟━━

 

 今の氷也は神がかっている。

 

「鬼鮫……無事か?」

 

「え、ええ、なんとか…」

 

 時空間忍術の極意をこうも簡単に使い熟すだけではなく、二つの血継限界(氷遁と灼遁)を有し、基本の性質変化の扱いにも長けた若者が存在しようとは、イタチの予想を遥かに上回っているはずだ。しかも、その若者はイタチの後輩ときた。

 

「これほどとはな…。

(ここまで飛雷神の術を使い熟すとは、これでは彼こそが四代目火影の後継者。

 いや、彼にとっては飛雷神の術も武器の一つに過ぎない。彼の恐ろしすぎる術の多彩さはどちらかというならば、二代目火影の再来だ。白い悪魔とはよく言ったものだな)」

 

 今、イタチの写輪眼には、古巣(故郷)の偉大な忍2人の姿が氷也と重なって見えているのではないだろうか。

 

 片や、イタチが生まれた時にはすでに故人でこそあったが、天才エリート一族と謳われたうちは一族の古参の手練れ(お年寄り)達ですら、悪魔のようで卑劣だったと語った二代目火影・千手扉間。

 

 片や、歴代最年少で火影に就任した四代目火影・波風ミナト。

 

「この刀は彼女の外套を少しずつ斬り裂く(脱がせる)為にある。故に、アンタ達に向けるものではない。

 なら、()()()()()()に乗っかるってのもありだな!」

━━ 氷遁幻術・天逆毎(あまのざこ) ━━

 

 ただ、氷也の才能の使い所は常人は言うまでもなく、相当な手練れだろうと理解し難いはずだ。理解できるとしたら、同類(ドスケベ)のみだ。つまり、理解できた者はドスケベということである。

 

「これはッ……ぐッ!?

(()()()()()()()()()()!!)」

 

「イタチさん!?

(まさかイタチさんを幻術に嵌めたとでも!?)」

 

 無論、イタチと鬼鮫は氷也の同類(ドスケベ)ではない。

 

 そもそも、同じドスケベであろうと、氷也が次に何を仕掛けてくるかなど理解できるはずもないのだが…。

 

 まさか、己を写す氷の鏡が目の前に現れたと思いきや、その鏡が割れた瞬間に見えてる世界が逆様になってしまうとは。それ以前に、忍界最高の幻術使いと自負する己が幻術に嵌められてしまうとは…。

 

「お?」

 

「大した幻術だ……が、オレ相手に二度目はない」

 

 もっとも、イタチも鬼鮫もS級犯罪者だ。

 

 そう簡単に、大人しくやられるつもりはいだろう。

 

 幻術による視界反転の隙を突かれ、死角から氷也の拳を受けてしまい吹き飛ばされたイタチは態勢を立て直すと同時に幻術を解除し、氷也の追い打ちを防ぎ反撃へと出る。

 

 氷也の蹴りを腕を交差させて防ぎ、その脚を掴みながら印を結び至近距離からイタチは忍術を放つ。

 

 その洗練された動きからも、忍・体・幻術の全てに於いて非常に高い実力を有していることは明白だ。

 

「逃げ場はないですよ!

 〝水遁・五食鮫〟!!」

 

 おまけに、凶悪な笑みを浮かべた鬼鮫も氷也を狙っており、水を媒介にして作り出した五匹の鮫が逃げ場なく全方位を囲うように出現し、イタチ諸共攻撃せんと飛びかかってきた。

 

「おいおい仲間諸共……!

()()()か。いつの間に…」

 

「この状況でその冷静さ。本当に大したものだ。

 〝水遁・水牙弾〟!」

 

 迫る五匹の鮫はイタチ諸共喰らおうとしているが、氷也に殴り飛ばされた際に影分身を作り入れ替わっていたイタチは、諸共やられることなどお構いなしに自身も氷也に向けて術を展開した。

 

 圧縮回転が掛けられた水の塊が無数に舞い上がり上空から氷也へと襲い来る。

 

 上空からはイタチの水遁。

 

 下からは鬼鮫が放った五匹の鮫。

 

 おまけに、この場から離脱しようにも本体のイタチと鬼鮫が待ち構えており、さすがの氷也でも万事休す。

 

 次の瞬間、激しい水飛沫が舞う。

 

 

 ❄

 

 

 物言わぬ死体が()()

 

 その死体を前に氷也は首を捻る。

 

()()()()()()?」

 

 S級犯罪者2人との激戦は幕を閉じた。

 

 うちはイタチに身動きを封じられ、干柿鬼鮫との連携によって万事休すかと思われた氷也だったが、困った時はとりあえずコレと言わんばかりに〝飛雷神の術〟を使ってその場から離脱した氷也は、イタチと鬼鮫の背後を取り心臓を一突き…。

 

 S級犯罪者を2人も討伐するという偉業が為された……はずなのだが、殺したはずの人物達は先程まで戦っていた人物達とはまったくの別人と化していた。

 

 さすがの氷也も、この事態には困惑を隠せないでいるようだ。

 

 これがもし、好みの女であったならば、何かしらの違和感を感じ取っていただろう。現に、紙分身の美女を相手にした際は紙分身であることを見抜いていたのだから間違いない。

 

 しかし、相手は男2人。

 

 気付かないのも当然である。

 

「うちはイタチの写輪眼も火遁も間違いなく本物(うちは一族)だった。干柿鬼鮫も、()()()()()()()()()()()と比べても倍以上は……いや、〝尾のない尾獣〟と称されるにしては少ないな」

 

 とはいえ、先程の戦闘を思い返してみれば不審な点が幾つか出てくることに氷也は眉を寄せる。

 

 そもそも、氷也本人もS級犯罪者2人相手に勝てるとは思っていなかったのだ。S級犯罪者の厄介さは、すでに大蛇丸を相手にしたことで理解しているのである。

 

 元々、ある程度の情報を得たところで、飛雷神の術で撤退するのが氷也の作戦だった。

 

 だが、氷也が此度の戦いで味わったものは幻術ではなく事実だ。イタチの写輪眼も火遁も、写輪眼を用いた幻術も間違いなく本物で、鬼鮫の水遁も並の忍を凌駕する威力と規模のものだった。

 

 ならば、これはいったいどういうことなのか…。

 

「S級犯罪者というのはどいつもこいつも厄介な術を使いやがるもんだな」

 

 変化の術とは違う()()()()()であることは疑いようのない事実だが、今どれだけ思考を巡らせたところで明確な答えは出てこないだろう。

 

 ただ、相手にとっては氷也も厄介な術を使う危険人物。そのように認識されたのは確かである。ついでに、無類の女好きのドスケベであることも把握されただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり、波の国の外れでは…。

 

「ふう……()()()()()()()()()()()()()()というのに、それでも2人がかりで殺られてしまうとは。

 またとんでもないクソガキが現れたものですねェ」

 

 海に囲まれた波の国。その国境付近の崖で、術が解けたことを確認し、立ち上がる人物──干柿鬼鮫は、極上の獲物を見つけたと言わんばかりの笑みを浮かべていた。

 

 殺されたと干柿鬼鮫自らが口にしているが、彼は間違いなく生きている。

 

「それにしても……イタチさんまで〝象転の術〟を使って出てくるとは思いませんでしたよ」

 

「相手は噂の白い悪魔だからな。

 それに、チャクラは半分減ってしまったが、その分の()()はあった」

 

 対して、鬼鮫と共にいる人物──うちはイタチは、生きているのに殺されたという奇妙な経験をしているわりには至って冷静な様子である。

 

 もっとも、その内心は如何ほどのものか…。

 

()()()()()()()()()というのは本当のようですね」

 

 ただ、この2人もただ黙って殺られたわけではない。

 

 そもそも、イタチと鬼鮫の狙いは〝木ノ葉の白い悪魔〟と戦い、その実力を確認する為でもあったのだ。

 

「寧ろ、大蛇丸は彼からよく逃げ切れたものだ。

(あれで()()()()()()()とはな。

 どう考えても、良きライバルにはなれないタイプだ…。)」

 

 すでに、この2人が()()()()()()()()は、氷也と大蛇丸の間で起きた一件を耳にしていたらしい。2人の様子からして、木ノ葉の白い悪魔が大蛇丸を追い詰めたのが事実なのかどうか、それを確かめる為に、生きている人間の体を生贄として同一体を作り出す〝象転の術〟という特殊な術を用い事実確認を行ったようだ。

 

 この2人が所属する組織は大蛇丸と何らかの因縁があるらしく、大蛇丸の動向を常に探っていたようで、そこでその一件を知ったのだろう。

 

「彼がこのまま大蛇丸を葬ってくれれば、我々〝()〟としては手間が省けて楽なんですがねェ」

 

 とはいえ、波の国で白い悪魔──氷也と出会したのはたまたまの偶然。どうやら、鬼鮫は〝鬼人〟再不斬の首斬り包丁の回収の為に波の国を訪れていたらしく、そこに偶然にも白い悪魔がいたというのが今回の一連の流れであり、事の発端のようだ。

 

 結果的に、氷也が大蛇丸を退けるだけの実力者であり、3人目の時空間忍術の使い手であることを把握できたのは大きかっただろう。多少なりとも、己の手札を曝してまで戦った意味もあるというものだ。

 

「それか共倒れになってくれれば尚良しといったところですが、それはあまり期待できないでしょうね」

 

「…彼は底が知れないからな」

 

 その反面、稀に見る怪物が誕生し、今も尚止まることなく進化し続けていることを身に沁みて理解させられたはずだ。

 

 そして何よりも恐ろしいのは、同じ時空間忍術(飛雷神の術)使いでも、四代目火影より二代目火影の方に氷也が近い部類であることだろう。

 

 極めて合理的で容赦のない思考回路を持ち、相手が女でなければ情け容赦なく、いかに効率的に敵を殺すのかという点を重視できる人物だと、氷也という忍をイタチは此度の戦いでそのように分析している。

 

 忍術の発明家としての側面も持ち、対極に位置する氷遁と灼遁を扱い熟し、幻術にも精通するどころかイタチの幻術を跳ね返す程の対瞳術用の結界術(氷遁結界)を有しているのだから恐ろしいにも程がある。

 

 S級犯罪者といえど、万全の状態で戦ったとしてもどうなっていたことか…。

 

 あの大蛇丸ですらも撤退を余儀なくされたのだから当然と言えば当然ではある。

 

「次は全力で殺り合いたいものですねェ」

 

 だが、血に餓えた獣にとっては極上の獲物。

 

 次に相見える時は、間違いなく今回以上の戦いが繰り広げられるはずだ。

 

「お前の術は目立つ。

 場所を選んでから戦うことだ」

 

「おや……イタチさんはよろしいんですか?」

 

 一方で、苦手意識を植え付けられた者もいるのは当然だろう。なんせ、悪魔と恐れられるくらいなのだから…。

 

「オレは()()()()()()()

 

 もっとも、この者達が再び相見えるのは確定事項だ。決して、逃れることはできない。

 

 

 ❄

 

 

 あの激闘から数日…。

 

「ああ、なんて可愛いのでしょう。

 ああ、なんて美しいのでしょう。

 ああ、素敵です。カッコいいです。

 ああ、なんてエロいお方なのでしょう。見ているだけで、全身が蕩けてしまってます。見ているだけで、私の蜜壺から大量の蜜が漏れ出してしまっています」

 

 出会った瞬間にはすでに出来上がっていた(発情していた)高身長の美女が氷也の目の前に現れた。

 

 これまた氷也好みの調教しがいのあるグラマラスな年上美女であるが、何を隠そう……高嶺の花を絵に描いたようやなこの美女は、忍び五大国が一つ水の国の隠れ里〝霧隠れの里〟に於いて、女性で初めて影に就任した五代目水影・照美メイである。

 

「ファンです。サインをください。

 出来れば、私の身体に生涯消えることのないサイン(マーキング)を刻み込んで所有物にして頂きたいです」

 

 ただ、霧隠れの里では誰もが憧れる水影は、好みの男(年下美少年)の前ではドスケベに豹変する痴女であったようだ。

 

 それにしても、霧隠れの里の里長が自ら他里の忍の前に現れようとは異例の事態ではなかろうか…。それも、まだ下忍になって日の浅い少年のもとを訪れるなど……とはいえ、下忍になって日の浅いその少年は、霧隠れの里の抜け忍であった〝鬼人〟桃地再不斬と氷遁使いの白を討伐するだけではなく、ノンフィクション大ヒット映画〝風雲姫シリーズ完結編〟にて雪の国の英雄となり、S級犯罪者である大蛇丸に撤退を余儀なくさせた異例の下忍──〝白い悪魔〟氷也だ。

 

 五代目水影が出てきてもおかしくはない。

 

「〝首斬り包丁〟を返却して頂いたお礼として、貴方様には私を差し上げます」

 

 いや、これは五代目水影だからこそ起きた事態である。

 

「ご、五代目!?

 い、いいい、いったい何を仰ってるのですか!?」

 

 右目を眼帯で覆い隠した側近にとっては異常事態のようであるが…。

 

 照美メイ、28歳。霧隠れの里初の女性水影。三十路。独身。恋人いない歴10年程。結婚願望あり(極大)。好みの男性は強くて将来性のある美男子。

 

 氷也は照美メイにとって理想の殿方すぎたのである。

 

「ほら、首斬り包丁だ」

 

「うおッ!?

 き、霧隠れの里の゙(忍刀)をぞんざいに扱うな!!」

 

 事の発端は無論言うまでもなく、数日前に勃発した氷也と〝暁〟の二人組による激闘だ。

 

 実はその激闘を、少し離れた場所からこの側近の男──青が()()()()のである。

 

 どうやら、青は鬼人・再不斬と白が討伐された情報をもとに、断刀・首斬り包丁の回収を命じられており、波の国近辺で捜索、情報収集に当たっていた。そこに、木ノ葉の白い悪魔とS級犯罪者にして霧隠れの里の抜け忍の1人である〝怪人〟干柿鬼鮫が現れたのである。

 

 大層驚いたであろうが、事の成り行きを視ていた青は、首斬り包丁を氷也が所持していること、干柿鬼鮫が木ノ葉の抜け忍である〝同族殺し〟のうちはイタチと組んでいる情報を得て、一旦霧隠れの里に帰還した。

 

 青としては、照美メイに報告後、新たに部隊を編成した後に対応するつもりでいただろう。

 

 しかし、そこに照美メイから待ったがかかったのである。

 

 そしてあろうことか、照美メイが自ら赴くと言い出したのである。

 

「あん!

 ひょ、氷也様ッ!!」

 

「俺が優しく、大切に扱うのは女のみだ」

 

 この機会を絶対に逃すまいと、婚期を逃すまいと、照美メイは己を奮い立たせ、業務を放り出し波の国へと赴いた。

 

 そう、結婚する為に。

 

「あ……と、溶けてしまいそうです。

 氷也様、どうか貴方様の印を刻んで下さい。

(はぁん、見た目も忍としての強さも、匂いまでも全てが私の理想そのもの!私──照美メイ!人妻になります!)」

 

 人知れず、木ノ葉隠れの里と霧隠れの里が同盟関係を結ぶ方向に、時代が動き出す。

 

 

 

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