ド根性(ドスケベ)忍伝   作:身勝手の極意

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ド根性(ドスケベ)忍伝 第六章

 

 

 目の前で繰り広げられる激しすぎる攻防を、瞳を紅く染め……うちは一族の血継限界"()()()"を発動した状態で観察する黒髪の少年──うちはサスケ。

 

 写輪眼は動体視力に秀でた瞳術。ただ、動体視力に秀でた写輪眼ですら、その激しすぎる攻防を完全に捉えることができず、うちはサスケは奥歯を噛みしめ、血が滲み出るほどに手を強く握り締め、己の無力さを痛感させられてしまっていた。

 

「氷也…ッ…

(これが…氷也の本気なのか!?)」

 

 水遁で打ち消せない程の威力を持った火遁を放ち、自身の担当上忍であるはたけカカシを捕らえた"鬼人"桃地再不斬を相手に渡り合う身体能力の高さ。

 

 同じ新米下忍でも、氷也とうちはサスケの実力には天と地の差があることが証明されてしまった。

 

「とんでもない子だな。

(しかも…サスケが写輪眼を()()()()()()()()か…。状況的にあまり良い傾向ではないな)」

 

 里内外で有名なカカシですら、氷也の下忍離れした実力の高さに感嘆の声を漏らしている。その一方で、サスケが氷也の戦闘を目の当たりにしたことをきっかけに写輪眼を開眼してしまったことを不安視していた。

 

 サスケは氷也という存在が決して乗り越えることのできない壁のようにすら感じ、無力感に苛まれ、失意に暮れた結果、脳内に吹き出した特殊なチャクラが視神経に反応し……写輪眼を開眼したのである。

 

 負の感情による開眼。サスケの精神は今、非常に不安定な状態だろう。

 

 うちは一族の代名詞であり、うちは一族がエリート忍者一族として恐れられた所以でもある写輪眼。サスケはその写輪眼をようやく開眼できたわけだが、あまり喜ばしい状況ではない。

 

「くそッ…

(どうやったら…オレは強くなれる!

()()()()()()()()為に…オレは強くならないといけないんだ!!)」

 

 サスケは、写輪眼を開眼したことで強い復讐心に駆られ、力を追い求めるあまり周りが見えない状態に陥っている。

 

「チィ! ()()がッ…

(な、何なんだこのガキはッ!)

 水遁・大ば──ッ!?」

 

「遅い…」

━━水遁・荒海(あるみ)━━

 

 一方で、サスケの焦る気持ちなど知らず、それどころか興味も示さないだろう氷也は、水面に手を突いてチャクラを流し込み、自身の意のままに水を操るのである。

 

 氷也に支配された水は激しく荒れ狂い、大津波となり鬼人を呑み込む。

 

 圧倒的だ。

 

 その圧倒的な光景に、サスケの表情はさらに険しくなってしまう。滲み出る激しい怒りは、弱い己と圧倒的な強さを持つ氷也に向けて放たれている。

 

「ぐはッ!!」

 

 鬼人の殺気に怯え、サスケは何一つできなかった。だが、氷也は違う。鬼人の殺気に怯えることもなく圧倒すらしている。大津波に呑み込まれ押し流された鬼人は大木へと激突すると悶絶しながら水を吐き出し咳き込んでしまっていた。

 

 今のサスケでは、ここまでの圧倒的な光景を決して再現することなどできない。

 

「さて…トドメと逝こうか」

━━風遁・風籟━━

 

 サスケでは、間違いなく瞬殺されていたはずだ。

 

 だが、クナイに高密度な風遁チャクラを纏わせ殺傷能力を高めた氷也は、鬼人にトドメを刺すつもりだ。殺す以外の選択肢はなく、氷也には戸惑いが一切見られない。

 

「はあ…はあ…まさか…生温い木ノ葉に…テメエのようなガキがいるとはな…」

 

 サスケは考える。

 

 己と氷也はいったい何が違うのか…。

 

 どうすれば、氷也のように強くなれるのか…。

 

「!

(震えて…いる? オレは恐れているのか?

 敵だけじゃなく、氷也の殺気にも…。オレは…復讐することにも…本当は怯えているのか。覚悟が足りないのか…)」

 

 ゆっくりとだが、迷いなど一切なく、鬼人の命を奪う為に歩みを進める氷也に、己の覚悟の足りなさを実感したサスケは、かつて()()()()から言われたことを思い出す。

 

 ────このオレを殺したくば恨め!憎め!

 

「憎しみ…」

 

 そして、サスケは己の忍道を見つける。

 

 目の前に広がる道は暗闇。その暗闇を照らすのは紅く染まりし瞳のみ。

 

 "憎しみ"が、うちはサスケの支えであり、最大の武器だ。

 

 

 ❄️

 

 

 "鬼人"桃地再不斬との死闘から数時間後。

 

「最新作は"イチャイチャソレイス"…決まりだな。

(()()()…世紀の大発見をした気分だ。 素晴らしい)」

 

 死闘を繰り広げた当の本人──氷也の今の様子を見ると、あの死闘は幻術だったのではないかと思わされてしまう。

 

 氷也は現在、鬼人の魔の手から救い出した波の国の橋職人の自宅にて、美しいバツイチ未亡人に夢中になっている。

 

「食事の支度まで手伝ってもらってごめんなさいね。

 それにしても、手際がいいわね。ふふ、きっと素敵な旦那様になりそう」

 

「いえいえこれくらい。

 まあ、結婚についてはまだよく分かりませんけど…ツナミさんみたいな美しい女性だったら幸せでしょうね」

 

 今回、第7班が与えられた任務は、Bランクの護衛、討伐任務だ。

 

「まァ! 本気にしちゃうわよ?」

 

 本来、新米の下忍にBランク以上の高難度任務を与えるなどほぼあり得ない。

 

 ただ、この任務に同じく新米下忍の班が関わってしまっていたこともあり、三代目火影・猿飛ヒルゼンは第7班に任せることにしたのである。

 

 それでも、新米下忍に任せるのは異例だろうが…。恐らく、第7班の担当上忍のヤマトと、第9班の担当上忍のはたけカカシが暗部時代に組んでいたこともあり、連携が取りやすいと判断したのだろう。ヤマトもカカシも里屈指の上忍で、どのような事態にも対応できる力を持っている。その上、第7班の新米下忍の2人は戦力としても申し分なしどころか、この4人が揃えばお釣りがくる。そう判断したのだ。

 

 残りの2人は、橋の建設の方にのみ集中してくれてればいい。

 

 第9班は元々、波の国の橋建設のお手伝い任務というDランクの任務を与えられていた。依頼主の橋職人が第9班を現地へと案内し、数週間かけて橋を完成させるという内容のものである。

 

 波の国は忍の隠れ里すらなく、国を治める大名ですらお金を待っていない貧しい国なのだそうだ。そこで、現状を打破するべく、波の国は橋の建設に乗り出たのである。

 

 波の国は周囲を海に囲まれた島国だ。橋が完成し陸路が開通すれば、波の国は物資と人の交流を得ることができ、経済も回復する。この橋はまさしく、波の国の希望の架け橋になるだろう。

 

 これは、波の国にとって国家事業のようなものだ。

 

 とはいえ、忍の隠れ里もない貧しい波の国は、圧倒的な人手不足。そこで、忍の手まで借りることにしたのである。

 

 しかし、波の国には他にも……いや、何よりも()()()()()を抱えていた。

 

 大富豪ガトー。

 

 1年程前に、財力と暴力を盾に波の国に入り込み、島の全ての海上交通・運搬を牛耳った男……"海運会社ガトーカンパニー"を運営する世界有数の大金持ち。

 

 ガトーは表向きこそ世界有数の大金持ちだが、裏では麻薬や武器その他もろもろの禁制品の密売、果ては企業や国の乗っ取りといったあくどい商売を生業とする男。 

 

 ガトーは、島国である波の国にとっての交通の要である海上のルートを独占することで、国の全ての富を独占。

 

 経済的に波の国を乗っ取ってしまったのだそうだ。

 

 だからこそ、そのガトーに対抗するべく、波の国の者達は橋の建設に乗り出したのである。

 

 海上が駄目なら陸路。波の国にとって、橋を完成させることが如何に大切なのかは明白。国家を建て直す為の唯一の希望だ。

 

 だが、波の国の完全支配を目論むガトーにとって、橋の完成は断固阻止すべき事態。

 

 しかし、表立って暴力沙汰を起こせば大問題になる。一応、表向きは真っ当な海運会社なのだ。

 

 そこで、ガトーは正規の忍ではなく、抜け忍を秘密裏に雇い、橋職人達の始末に乗り出したのである。

 

 そしてその情報を得た波の国の大名の1人が、三代目火影へと書面を送り、その結果……第7班が抜擢された。

 

 これが、第9班が波の国へと向かう道中で"鬼人"桃地再不斬に襲撃され、第7班が増援に駆けつけ、氷也が鬼人と死闘を繰り広げることになった事の顛末である。

 

「氷也くん。

 父から聞いたわ。あなた達が増援で派遣されなければ殺されてたって…ありがとう、父を助けてくれて」

 

「いえ…これが俺達、忍の仕事ですから」

 

 もっとも、世界に名を轟かせる鬼人が雇われていたのは、三代目にとっても想定外の事態で、少しでも駆けつけるのが遅ければ、第9班もろとも始末されていた。

 

 波の国の良心的な大名が希望を途絶えさせない為に、なけなしの金を叩きBランク任務の依頼をしてきたが、これは間違いなくAランク任務。

 

 本来なら、ここで任務は中断するべきところ。

 

「まあ、色々と心配でしょうが、安心してください。ツナミさん…あなた方は俺達が必ず守り抜きます」

 

「! ふふ、頼りにしてるわ…木ノ葉の素敵な忍さん」

 

 続行するのは、大国の隠れ里として抜け忍を雇う危険な輩を野放しにしておくわけにはいかないからなのだろう。

 

 そして、波の国に対する未来への投資だ。

 

「氷也くん、味見してくれる? あーん」

 

 現場の忍の1人である氷也からしたら、美しい未亡人と仲良くできる機会を与えてもらえたのだから感謝の気持ちが強いだろう。

 

 味見をしてもらおうと身を寄せてくるツナミ。彼女から放たれる魅惑的な未亡人の香りと強調された豊満な胸の谷間……氷也は、()()()()()()()()()し、ガトーカンパニーを滅ぼすことを心に誓うのである。

 

 エロい美女を悲しませる輩を氷也は決して赦しはしない。

 

 

 ❄️

 

 

 その日の夜遅く……場所は変わり…。

 

「あの()()()()…次は必ず殺す」

 

 増援に駆けつけた氷也と死闘を繰り広げるも、危なく殺されかける寸前だった"鬼人"桃地再不斬だが、彼もまた()()のおかげで窮地を脱していた。

 

 もっとも、再不斬の場合はその仲間が再不斬を追う忍として現れたこともあり、()()()()にされてしまうという、かなり荒っぽい手段である。

 

 高密度な風遁チャクラを纏ったクナイでトドメを刺されそうになった再不斬を、彼の仲間は首の仮死のツボを千本で突くことで仮死状態にし、どうにかその場を乗り切ったようだ。

 

 ただ、第7班の担当上忍で元暗部の"木遁のテンゾウ"ことヤマトは、去り際の行動でその者が再不斬の仲間であることに気付いており、再び襲撃があることを理解しているだろう。

 

 もちろん、再不斬側も気付かれていることは百も承知。

 

 そして、再不斬は先の死闘を経て、氷也を絶対に殺すべき敵に認定している。はたけカカシよりも厄介な敵として認識されているはずだ。

 

 鬼人に強敵認定されるとは……恐ろしい下忍である。

 

「やはり…あの子は()()()()()()()()なのですね」

 

「あ? んなもん、見ただけで分かんだろ…が、どこかお前に似た雰囲気を持ってやがったな。

 もしかしたら、お前と同じ()()()の血を引いてる可能性もあるかもしれねェ。もしそうなら、白…本気を出せ」

 

 それにしても、再不斬はたった一度の戦闘で、氷也が美少女ではなく美少年であることによく気付けたものである。大抵の者は間違えるのだが…。

 

 再不斬が見分けられたのは、恐らく彼の仲間が氷也と同じ雪一族の血を引く人物だったからなのだろう。雪一族の血を引く者達は、容姿がかなり整っているどころか、男女揃って儚く美しすぎるのが特徴なのである。

 

 氷也の場合、儚く美しく見えるのは容姿のみで、中身は超問題児のドスケベ。見た目に騙されてはいけない。

 

「はい。再不斬さんがそう仰るなら…全力で行きます」

 

 再不斬にとって見た目など、まったくもってどうでもいいことなのだろう。

 

 氷也を殺すことにのみ集中している。

 

 今度の戦いは、より厳しいものとなるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、橋職人の自宅に滞在する氷也はというと…。

 

「ひょ、氷也くん…ご、ごめんね、こんなおばさんの体なんて見せちゃって」

 

「とんでもない。

 ツナミさん、あなたはとても美しい」

 

 お風呂を借りようと向かった先にて、お風呂上がりでタオルを巻いただけの状態の美しい未亡人ツナミとラッキースケベタイムのようだ。

 

 お風呂上がり特有の艶っぽさ。体に巻いたタオルから見え隠れする白く美しい肌。強調された谷間。見え隠れする整えられた秘密の花園を覆う野原。

 

 どれもが美しくエロい。

 

 氷也は今、ツナミのタオルになりたいとすら思っているはずだ。

 

「もう…氷也くんは本当におませさんね。

 けど、ありがとう。嬉しいわ。

 あ、氷也くんもお風呂に入るのよね? ゆっくりと疲れを癒──あ…」

 

 そして、未亡人のエロさに魅せられた氷也は、ラッキースケベトリガーを発動する。

 

 はらり……巻いていただけのタオルが床に落ち、露になる未亡人の全貌。

 

 お風呂上がりの"ハラリズム"。

 

 波の国の任務(エロ)は氷也のやる気を熱く駆り立てる。

 

 

 

 






美しいバツイチ未亡人なツナミ。属性モリモリ?

イチャイチャソレイス。ソレイスは慰め。未亡人や、心に何らかの傷を負ってしまった女をイチャイチャして慰めることで、傷を癒し、エロに染め上げていくそんな作品?


サスケくん、ここで写輪眼を開眼。

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