ド根性(ドスケベ)忍伝   作:身勝手の極意

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イチャイチャ少なめ?

前話のあとがきで書き忘れましたが、英雄と言われているイナリくんのパパの死亡理由が違っております。ガトーには処刑されておりません。



ド根性(ドスケベ)忍伝 第七章

 

 

 副業のはずでありながらも、官能小説家として世界に名を轟かせる自来也は現在、とある人物から"口寄せの術"を介して送り届けられた原稿用紙に目を通していた。

 

 達筆な字で原稿用紙に書き込まれたエロの数々に、自来也は鼻の下を伸ばし、鼻息も荒く興奮気味である。

 

「さすがは()()()()と喜ぶべきか…。

 絵の才能だけではなく、文才まであるとは…氷也、まったく大した奴だ」

 

 世界的に有名な官能小説家である自来也にここまで言わせるのは、自来也の息子しかいない。

 

 心に傷を負った美しい未亡人と、その美しい未亡人と出会ったとある男による官能小説──イチャイチャソレイス・ワンナイト。

 

 とある理由で、美しい未亡人の実家に滞在することとなった男と、美しい未亡人が繰り広げるエッチなトラブル(寄宿あるある)の数々。風呂上がりの未亡人と脱衣所での遭遇から、巻いていたバスタオルが落ちたことで美しい裸体が露になるハラリズム。トイレの鍵がかけ忘れられていたことで、未亡人のトイレ現場に遭遇するラッキースケベ・トイレ。未亡人の父親や息子に隠れて少しずつ近づいていく2人の距離。そして、心に傷を負った美しい未亡人は男に心を癒され、徐々に心を開いていき、ある日……未亡人の方から求める一夜限りの激しい交わり。

 

 物語の締めくくりは、その一夜限りの交わりをきっかけに、未亡人が自身も1人の女であること、女であることの喜びを思い出したことで悲しい過去を乗り越え、彼女の止まっていた時が再び動き始め、女としての新たな人生が始まるというものだ。

 

「まだ表現の甘さは所々にあるが、未亡人のエロさと美しさが実に際立っておる。挿絵も…ハッ! ま、まさかこれは氷也の実体験か!? あ、あやつッ──任務で美しい未亡人と出会ってイイ思いしておるんじゃないだろうのォ!? うらやまけしからん!!」

 

 ただ、この官能小説がフィクションなのか、それともノンフィクションなのか……それはこれを書き上げた本人しか知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、自来也が官能小説を読み終わった頃、その官能小説を書き上げた本人はというと…。

 

「ツナミさん? どうかしましたか?」

 

 滞在先から少し離れた森にて、護衛任務の空き時間に氷也は修業していた。

 

 その氷也のもとに、滞在先の美しい未亡人であるツナミが夕食の支度ができたことを告げに現れ…。

 

「ッ……。

(す、凄い…これが忍の肉体…逞しくて…何だかエロい。目が離せない。ああ…体が火照って…だ、ダメよ私ッ! 理性を保たないと! ああでもッ……()()()きちゃう!!)」

 

 修業後の氷也の肉体美を前に、美しい未亡人は火を点けられる寸前……イチャイチャソレイス・ワンナイトへと突入しそうな状況と化している。

 

 絶世の美貌を持つ氷也だが、彼は忍。しかも、下忍最強と称しても過言ではない逸材だ。

 

 そんな逸材の肉体は無駄なく筋肉がついており、一見華奢に見えるが脱ぐと凄いのである。修業後の汗が光輝いてすら見え、逞しさにより一層拍車をかけており、未亡人となってしまったことで異性としばらく触れ合っていないツナミにとっては、その肉体美は媚薬の如く危険な代物だろう。

 

 何より、ここまでの肉体美を目にするのが初めてなのか、ツナミは生唾を飲み込んですらいる。

 

「ツナミさん…まじまじと見つめられると、さすがに恥ずかしいんですが…」

 

「ッ……。

(や、やだ…かわいいィ)」

 

 そして、ツナミは激しく胸を高鳴らせてしまう。恥ずかしがる氷也に追い討ちをかけられてしまった。どうやら、氷也の恥じらいが火に油を注いでしまったらしい。

 

 その言動、素振りが理性を失わせてしまったのか、ツナミは無意識のうちに氷也へと近寄り、剥き出しになった氷也の二の腕、胸板へと順に触れた後にすれすれの距離まで詰め寄り、氷也の汗の匂いすら逃すまいと深く吸い込んだ。

 

 汗の匂いを不快に感じることもなく、ツナミは……雌としての本能を呼び起こされてしまう。

 

 彼女は今、発情している。

 

 氷也が任務で滞在するようになり数日が経過したが、ツナミにとって氷也という存在は、年下の少年ではなく立派な1人の男だった。

 

 強く逞しく美しい。頼りになり、主夫としての腕前も相当なもので、女にとって理想的すぎる男。

 

 こうなるのは、必然だったのかもしれない。

 

「氷也くん…

(欲しい…今すぐ…)」

 

 ツナミは氷也の目の前で地に膝を突き、彼のズボンを脱がせようと手を伸ばし、ついに雄と雌が交わる時が…。

 

 

 ❄️

 

 

 結果として、氷也とツナミが一線を越えてワンナイトすることはなかった。

 

 そもそも、ツナミは夕食の支度ができたことを告げる為に、氷也のもとにやって来たのだ。ツナミが戻ってくるのが遅いと心配する家族と、それを怪しんだヤマトがやって来るのはお決まりの展開だろう。

 

「氷也…勝負しろ」

 

「断る」

 

 第7班が任務で波の国を訪れもうすぐ1週間。氷也は今現在、不機嫌かと思いきや、かつてないほどの興奮状態にある。

 

 あと少し、もう少しでイチャイチャソレイス・ワンナイトが完成するところだった。普通なら、それを邪魔されてしまい不機嫌になっているはず。

 

 しかし、それすらも氷也にとっては、エロをより向上させる為の刺激的なスパイスだったのである。

 

 対してツナミは、悶々とした状態が続いているようで、しかも正気を取り戻したことで羞恥心に駆られ、氷也を避けているようだ。ただ、避けつつも氷也を強く求めている。羞恥心に駆られ恥じらいながらも欲求に抗えなくなりつつある乙女(発情)状態のツナミの様子は氷也を興奮させるばかりなのだ。

 

()()()ェ、氷也がお前と勝負するわけないってばよ」

 

「…ウスラトンカチは黙ってやがれ」

 

 そして、氷也は物語の締めくくりへと入ろうとしている。

 

 乙女と化した未亡人をよりエロくする為の最終段階──焦らし作戦だ。

 

 ツナミは今、羞じらいと欲求の狭間で葛藤している。だから、氷也はツナミの欲求が膨れ上がり、爆発するように仕向けるつもりでいるのだ。

 

 その為に、氷也は勝負を挑んできたうちはサスケすらも利用するのである。

 

「うちは…お前がもし、ナルトに勝てたなら考えなくもない」

 

「ふ、ふざけんじゃねェ!

 俺がドベと勝負して負けるとでも思ってんのか!?」

 

 チラチラと見つめてくるツナミに気付かぬフリをしながら、氷也はうちはサスケを煽り、エロの為に話を進めていく。

 

「まあ、俺の一番弟子にはお前じゃあ勝てんよ」

 

「へッ、今の俺を忍者学校(アカデミー)の時と同じだと思ってたら大火傷するってばよ!!」

 

 ツナミの視線を敢えて無視する焦らし作戦は効果覿面のようで、彼女の視線は、私を見てと氷也に強く呼びかけている。

 

「ドベが調子に乗ってんじゃねェよ!!」

 

「ナルトがドベなのはもう過去の話だ。

 信じられないなら、その眼で確かめて見ることだな…ついてこい」

 

 外に出る氷也を物欲しそうな瞳で見ていることしかできないツナミと、そんなツナミの様子を背中越しでも理解しているのか、氷也は口角を上げて上機嫌である。

 

 一回り以上も年上の未亡人すら掌の上で操り、エロくしてしまう……まったく、大した奴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うちはサスケに恋する乙女──春野サクラにとって、それは悪夢以外の何物でもない。

 

「う…うそ…サスケくんがナルトなんかに…負けるなんて…そ、そんな…。

(あ! も、もしかして幻術!? そ、そうに違いないわ!

 これは恐らく…カカシ先生が私にかけた幻術"魔幻・奈落見の術"よ!なら…"解"!!)」

 

 彼女の視線の先で、無様にも地べたに倒れ伏し敗者と化したうちはサスケと、敗者を見下すうずまきナルト。

 

 恋い焦がれ、憧れ続けてきたうちはサスケが、これまで邪険にしていたうずまきナルトに負けたという現実を受け入れきれない春野サクラは、この現実が相手の心の奥底にある一番見たくないものを映し出し、相手に精神的大ダメージを与える幻術であると思い込み、"幻術返し"を試みる。

 

 ただ悲しいことに、これは幻術ではなく現実。

 

「! 幻術じゃ…ない…」

 

 春野サクラは、これが現実であったことに絶望する。

 

 うずまきナルトは忍者学校始まって以来の落ちこぼれだった。これは偽りない事実だ。

 

 だが、ナルトはもう……万年ドベの落ちこぼれではない。

 

 何があろうとも夢を絶対に諦めず、自分の言葉を曲げず、前に進み続けてきた落ちこぼれの少年は開花し、眩く輝いている。その光はこれからますます強まっていくだろう。

 

「くッ…う…

(こ、これが…あのナルト…だと!?)」

 

 うちはサスケ以上の火遁忍術。うちは一族の代名詞でもある動体視力に優れた"写輪眼"ですら捉えきれない瞬身の術。

 

 全てに於いて、うずまきナルトはうちはサスケを凌駕していた。

 

 春野サクラにとっても、うちはサスケにとっても、この日の出来事は一生忘れることはできないはずだ。

 

 しかし、絶望する2人とは対照的に、ナルトの師匠である氷也は誇らしげな表情を浮かべている。自身とは違う相手と戦っている姿を目にし、ナルトが思っている以上に成長していたことを知ることができたのもあるだろう。

 

「ふッ…さすがは俺の一番弟子だ。

 ナルトが"()()()()()"の再来って言われる日も近いかもしれないな」

 

 新しい伝説が今この瞬間から始まるのである。

 

 そして、その瞬間を目撃していたのは氷也達だけではない。

 

()()()()()

(こ、ここまで…成長していたとは。今のサスケじゃ、勝てるはずがない)」

 

 うちはサスケと春野サクラの担当上忍であるはたけカカシは、火影の意志が脈々と受け継がれていることを目の当たりにしていた。

 

 はたけカカシの瞳には、かつての恩師の姿がナルトに重なって見えていた。しかもそれだけではない。ナルトを鍛え上げた氷也に、カカシの師匠を育て上げた大師匠(自来也)の姿まで重なって見えたのである。

 

「テンゾウ…お前が羨ましいよ」

 

 ただ、はたけカカシは懐かしさなどを感じると同時に、悔しさと、後輩であるヤマトに対する羨ましさを感じているようだ。

 

 本心では、今は亡き恩師に代わって、次代の火影を自身の手で育て上げたかったはずだ。その役目が自身ではなく、暗部時代の後輩に委ねられたことを彼は羨ましがっている。

 

 とはいえ、ナルトをここまで育て上げることができるかと聞かれたら、はたけカカシでも不可能だったかもしれない。氷也だからこそ、ナルトをここまで育て上げることができたのだ。氷也だからこそ、ナルトを黄色い閃光の再来と言わしめるまでに育て上げることができるのかもしれない。

 

 ナルトを育て上げたのは担当上忍のヤマトでもなく氷也なのだ。

 

「俺に勝てないようじゃ、氷也に勝てるはずないってばよ。氷也はもっと強ェ」

 

 そして、ナルト自身の努力の賜物だろう。

 

 氷也に出会う前、ナルトはうちはサスケを一方的にライバル視していた。だが、今はもううちはサスケをライバル視などしていない。越えるべき壁でもない。

 

「火影になるには、氷也を絶対に超えなきゃいけねェんだ。こんなところで立ち止まってるわけにはいかねェ」

 

「ドベが調子に乗ってんじゃねェよ! うおォォォ!!」

 

 プライドの高いうちはサスケにとって、これまで見下していたナルトに負けたことは、かつてないほどの屈辱のはずだ。

 

 それでも、ナルトとうちはサスケの間に大きな差があるのは事実だ。氷也に弟子入りしたことで成長し、下忍になり更に成長した。

 

「俺はもう…ドベのうずまきナルトじゃねェ。氷也の一番弟子で未来の火影…第7班のうずまきナルトだってばよ!」

━━金剛封鎖・雷縛━━

 

 背中から伸びるチャクラの鎖がうちはサスケを雁字搦めにし、雷遁チャクラで麻痺させ完全に動きを封じる。

 

 開花した才能は父親譲りでもあり、母親譲り。

 

 ナルトもまた、氷也と同様に両親から多くの才能を受け継いでいる。

 

 

 ❄️

 

 

 場所は移り…。

 

「氷…也…くん…ん…」

 

 氷也達第7班が滞在する家の一室……ツナミの部屋から漏れる甘い声。

 

 一族の特殊な力──血継限界"氷遁"によって作り出した氷遁影分身の氷也は、氷也を想い()()()()()()()()ツナミの様子を、両面鏡のような特性を持つ分身を利用してリアルタイムで本体宛に送っていた。

 

 今頃、本体の氷也は歓喜にうち震えているはずだ。

 

 物語はついに佳境を迎えようとしている。

 

 






夏バテである。

思った以上に成長していたナルトくんの回。

そして歓喜にうち震える氷也。フルフルニィ。

クシナの遺伝も強く金剛封鎖と、ミナトと同じ三つの性質変化に目覚めてしまっていた模様。

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