イチャイチャは少ないよ!
先の戦いから1週間。
鬼人・桃地再不斬とその仲間は予想通りに再びタズナを狙い襲撃してきた。
しかし、戦いの舞台は建設中の橋……第7班の領域だ。担当上忍のヤマトが何もせずに待ち構えているはずがなく、鬼人達は橋に降り立ったと同時に罠にかかり、捕らえられたも当然だった。
そもそも、鬼人に勝ち目など最初からなかったのである。
鬼人が得意とする"霧隠れの術"も、感知タイプでもある氷也と、敵の居場所を察知する方法を持ったヤマトには無意味なもの。
「お、霧が晴れた…ヤマト先生の方は終わったか」
「さすがヤマト先生だってばよ!」
鬼人はヤマトに捕らえられた。
残すは、霧隠れの里の追い忍部隊の仮面を装着した鬼人の仲間だと思われる人物のみ。
「こっちもさっさと終わらせるとしよう」
第7班が与えられた任務を失敗することはない。どのような状況に陥ろうとも必ず乗り切り、勝つ。
「この橋に手を出したのがお前達の運の尽きだ」
波の国にとって、建設中のこの橋は希望の架け橋……必ず完成させなければならない。
橋建設のリーダーであるタズナにとって、たとえ命に替えても成さなければならないことだ。
波の国で暮らす民の為。まだ幼い孫とその孫の未来の為。そして……愛しい娘の為。
橋の完成を阻止する為に命を狙われようとも、タズナは諦めるわけにはいかない。
全ては大切な者の幸せの為なのだ。
だが、タズナは決して死なない。
「死なせはしない。俺が守り抜く。何一つ不安に思うことはない…だから安心しろ、
何故なら、タズナには未来の火影と、火影を超える忍がついているのだから…。
その忍達がタズナを守り抜く。どんな敵であろうとも……たとえ、敵が氷の術を扱う忍であろうとも負けることはない。太陽の化身の如く赤く燃え上がる炎龍を操り、氷の鏡を溶かし、破壊していく。
「くッ…熱ッ
(僕の氷遁を溶かすほどの…何て凄まじい威力だ!)」
自身の術に絶対的な自信を持っていた敵は、氷を溶かすほどの威力を持つ炎に戦慄している。
そして、タズナを守る忍は1人だけではない。
「さァ、終焉だ…相棒」
「!
(は、速ッ、防御をッ!)」
眩く輝く黄色い閃光が敵の背後に現れ、その掌の中にある小さな台風のような塊をぶつけてきた。
「橋は壊させないってばよ!!」
「がッ!」
氷の壁を背後に瞬時に作り出し防御しようとするも、炎龍の熱によって本来の硬さを維持できず、圧縮されたチャクラの塊を受けた氷の壁は脆く崩れ去り、敵はその術を食らい螺旋状の傷を受けながら吹き飛ばされてしまう。
「ごふッ…
(負け…た…
吹き飛ばされ、地面を転がり倒れ伏した敵に、もはや立つ力は残ってなどいない。
対して、倒れ伏した敵の前に降り立った白髪の忍と金髪の忍はまだ戦える余力を持っている。
「俺達の勝ちだ」
波の国の未来は第7班の3人によって守られた。
この戦いは後に、波の国の伝説として語り継がれるだろう。
そして、氷晶の紋様が至る箇所に印され完成したこの橋は、"なると大橋"と名付けられるのである。
『拝啓 あれから1ヶ月が経過しましたが、氷也くんはいかがお過ごしでしょうか?
会えない日が続くにつれて、まるで降り積もる雪のように、あなたを恋い慕い、求める気持ちは激しく、深くなっていくばかりです。
抑えきれない本能……私は毎晩あなたを想い、身体の疼きを自ら抑え込むしかありません。あなたに触れてほしい。
ああ…あなたに会いたい。
私はいつも、あなたを橋の袂でお待ちしております。
ツナミより』
届いた官能的な恋文を握りしめ、本能が熱く昂るのを感じ取りながら、氷也は1ヶ月前を思い返す。
1ヶ月前、氷也達第7班は波の国の建設中の橋で、鬼人・桃地再不斬とその仲間……白という名の雪一族の少年と死闘を繰り広げた。
ヤマトは鬼人・再不斬と戦い、"コピー忍者"の異名を他国に轟かせるはたけカカシですら一時は劣勢に追い込まれた鬼人を相手に、ヤマトは見事に勝利を納めた。
そして、氷也とナルトは雪一族の氷遁使いである白を相手に終始、圧倒してみせた。並の火遁使いでは対処できないほどの氷遁使いだったが、蝦蟇油や風遁で火遁の威力を底上げすることができる氷也とナルトは白にとって相性最悪の相手。2人が負けるはずなどなかった。
鬼人と白との戦いの決着後、黒幕であるガトーが大勢の部下達を引き連れ、氷也達第7班と再不斬もろとも始末しようと現れたが、寄せ集めの集団では勝てるはずもなく、こうなるであろうことを予測していた再不斬自らの手でガトーは葬り去られたのである。
ただ、ヤマトとの戦いで満身創痍だった再不斬は己の命と引き替えに…。
再不斬という存在が生きる全てだった白は再不斬の死後、自ら氷也に殺してほしいと嘆願。氷也は白の願いを聞き入れ、その手で全てに終止符を打った。
こうして、ガトーという害虫が去り平穏を手に入れた波の国は、襲撃を気にすることなく橋の建設に集中することができるようになったのである。
「ツナミさん…
(こ、この
くッ…何故、俺は波の国にいないんだ!?)」
だが、新たな問題が起きてしまった。主に、困ったのは氷也だけなのだが…。
再不斬達を討伐後すぐ、氷也達第7班は三代目火影・猿飛ヒルゼンが使者として送り込んだ暗部から新しい任務を言い渡されたのである。もちろん、氷也は異議を申し立てた。当然、その異議はヤマトに却下されてしまい、紐状の樹木で縛り上げられ波の国をその日の内にあとにすることになってしまったようだが…。
波の国で出会った美しい未亡人ツナミとの別れの挨拶もほんの一瞬のみ──氷也とツナミは引き離されてしまったのである。
しかしこれもまた、エロをより一層強く激しく、熱く滾らせる為の刺激的なスパイス。
『追伸
もうすぐ
どんな困難が待ち受けていようとも、氷也は未亡人の為……エロの為に立ち上がる。
「続編…イチャイチャ
熱く滾った雄の象徴は今、
はてさて、氷也の新しい物語はどのようなものになるのか…。
❄️
鬼人・桃地再不斬達との死闘後すぐに第7班に与えられた任務は、またしてもAランクの任務だった。正確には、Cランクの護衛任務がAランクに格上げされたという……波の国と似たような展開だ。
任務内容は、大人気映画"風雲姫"シリーズの最終作の撮影の為に雪の国へ向かう、主演女優──富士風雪絵の護衛任務である。
しかし、新米下忍に立て続けにそのような任務を与えるとは三代目火影・猿飛ヒルゼンも思いきった行動をするものだ。それだけ、氷也とうずまきナルトを信頼しているということか…。いや、信頼はしているのだろうが、狙いは別のところにあるのだろう。恐らく、三代目は難易度の高い任務を与えることで、超問題児である氷也とナルトの行動を制限するつもりでいるのだ。
三代目の思いきった行動は強ち間違ってはいない。
現に氷也は波の国にて、
そして、氷也とナルトならば必ず任務を果たしてくれると信じて疑っていない。疑いがあるとしたら、氷也が有名女優とも事を起こしかけないか……それだけだ。
❄️
第7班が任務で訪れた地は雪の国。
第7班と依頼人、護衛対象者御一行は最初の撮影場所にて、雪の国の忍達の襲撃を受けたのである。雪忍達の狙いは、女優富士風雪絵として身分を偽っていた雪の国の先代君主の娘である風花小雪と、彼女が持つ国宝"六角水晶"だった。
雪の国では10年前にクーデターが起こり、先代君主風花早雪が実弟である風花ドトウに殺されたそうなのだが、実は10年前……先代君主からの依頼で、ヤマトは当時まだ暗部に所属していたはたけカカシと風花小雪の護衛任務に当たっており、風花小雪を雪の国から脱出させたのだそうだ。ヤマトとカカシに救出された風花小雪はそれ以降は身分を偽り、富士風雪絵として生活していたのである。
つまりこの撮影は、風花小雪を雪の国に帰ってこさせるとともに、風花ドトウから国を取り戻す為に、彼女のマネージャーであり、実は風花早雪の部下であった浅間三太夫が仕組んだものだったのだ。
第7班はまたしても依頼内容を偽られ、忍との戦いに身を投じることになってしまったのである。
こうして、最初の襲撃を受けるも難なく退けた氷也達第7班は雪の国の中心地に到着。その後も映画の撮影をしながら風花ドトウ一派と激戦を繰り広げることとなった。撮影に関しては、監督がこの機を利用してノンフィクション大作を作りたいと申し出てきたそうだ。作品の為にならば命をかける……監督もまたプロということだ。
ただ、状況は多勢に無勢。第7班は浅間三太夫ら風花早雪の部下達を守りながら戦わなければならず劣勢となり、ナルトと小雪を捕らえられてしまった。唯一の救いは、"六角水晶"をヤマトが偽物にすり替えていたことだろう。六角水晶はヤマトの用意周到さのおかげで、ドトウの手に渡ることはなかった。
とはいえ、状況は芳しくない。ナルトはチャクラの制御装置を装着されてしまったのだ。その装置は装着された者のチャクラを吸い上げ、強固な壁を作り、さらにチャクラを練ろうとすれば体に電撃が浴びせられるようにできている代物で、取り外すことも破壊することもできないとドトウが豪語するほどのもの。ナルトは、自身の強味でもある強大なチャクラを封じられてしまったのである。
第7班にとって、これは波の国以上の危機的な状況だ。
だが、第7班はこのような危機的状況に怯むことはない。彼らは
ドトウの根城へと侵入し、ナルトと小雪を救出した氷也とヤマトはナルトがチャクラを封じられたこの機を利用し、ナルトの内に封印された強大な
その結果、ナルトは自分の意思で初めて九尾が封印された世界へと入り込み、九尾と対面……九尾のチャクラを引き出すことに成功し、分け与えてもらったチャクラはほんの僅かなものではあったが、制御装置を破壊した。
九尾は言っていたそうだ…
『お前が本当に"
と…。
この事態に誰よりも驚いたのはドトウである。絶対的な自信があった故に、ドトウは大きく取り乱したことだろう。その反面、氷也達はドトウ一派の底を見たはずだ。並の上忍を凌いでこそいたが、九尾が渡したチャクラはほんの僅かなもの。そのほんの僅かなチャクラで制御装置は破壊された。それはつまり、そのナルトよりも多いチャクラ量の持ち主である氷也とヤマトには制御装置は通用しないということだ。
ドトウがこれまで遭遇したことのないチャクラ量の持ち主達が3人も存在している。
しかも、氷遁の本家本元……雪一族の氷也の前では、雪忍の氷遁など劣化版のようなものだ。波の国で死闘を繰り広げた白にも劣る溶けかけの脆い氷の術など、ただの火遁でも事足りてしまう。
一時は劣勢に追い込まれるも、本気を出した第7班からしたら取るに足らない存在だ。
このようにして、ドトウの野望はたった3人の忍によって粉々に打ち砕かれてしまったのである。
そして、今回の任務をきっかけに、氷也が一般男性と女優の禁断の恋に目覚めたのは当然のこと。
しかし、今回の主役は氷也ではない。
これは、未来の火影がお姫様を救い出す物語だ。
「ねェ、氷也…波の国の美しい未亡人に想いを馳せる天才忍者ってどういうことかな?」
波の国の任務を経て、第7班が雪の国を救ってから1ヶ月……第7班の活躍は、大人気映画シリーズ"風雲姫"の完結編にして、ノンフィクション大作として世界各国の映画館で公開されている。
監督が、この作品を早く世界各国のファン達に観て欲しいと急ピッチで準備を進め、公開に踏み切ったそうだ。
その結果、完結編であるこの作品は短期間で風雲姫シリーズの最高興行成績を更新し、最終的には歴代最高の興行成績を更新するだろうとすら予測されている。
そこまでの社会現象が起きると当然のことではあるが、意図せずしてこの作品に出演することになった3人の忍の身近な者達も劇場に足を運び、観賞したはずだ。
「ナルトくん…ナルトくんは、風雲姫様の忍になるの? 火影になるんじゃなかったのかな? それとも、風雲姫様を娶るつもりなのかな?」
「ヒ、ヒナタ?」
そして、映画の感想を本人達に述べるはずである。
「
「やっぱり去勢しとくべき?」
波の国、雪の国と立て続けにAランク任務を与えられた氷也とナルトは、その後も新米下忍とは思えぬ多忙な日々を送っているようだが、氷也とナルトの最大の敵は己か……それとも最愛の者か…。
血継限界って、写輪眼とかの瞳術や、屍骨脈とかの体質タイプこそがそう呼ばれるものであって、氷遁とか二つの性質を混ぜ合わせて生み出される性質変化って実は血継限界ではないんじゃないか?って思ったり。
四代目風影は自力で磁遁習得してるし、そもそも塵遁もそうだし。元になる性質の扱いに長け、チャクラコントロールに優れてたら、一族関係なく扱える代物だと思えている。
だから、氷也は氷遁だけではなく、灼遁も扱えるようになった。
波の国にて再不斬、白の討伐が終わってすぐに雪の国(映画第一作)の任務を与えられた第7班。
この任務で、ナルトは九尾のチャクラの引き出し方を覚える。ヤマトは、ネジ戦のナルトよりもチャクラ量多いのかな?