帝国陸海軍に有っては、嘗て人類大戦の前線では仲良くやっていた例は多いのだが、司令部では徴収(ちょうしゅう)閥、殺馬(さつうま)閥に分かれて仲互いしていた例は多かった。
帝国海軍軍令部は奥州を押さえるには20万人程度の軍が必要と試算、陸軍側と折衝したが中国戦線を主戦場と見る陸軍側はこれを拒否した例がある。
そして現在、船団護衛を至上の命題と覚え、共通の認識で手を取り合って居るは奇跡に近い。
尤も、内国の財閥の与える黒い影も影響していただろう。
内国に資源がないことには商業が廻せない。そこで暗躍する旧家もあった。
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司令「参謀長、ガ島奪還作戦につき、今のところ補給については心配が無いと判断していいか。」
参謀長「資料の通りです。」
司令「…陸軍飛行戦隊に掛かっているか。」
参謀長「その点が問題ですか?」
司令「飛行戦隊の消耗率が知りたい。何時まで庇護が期待できるかな。」
参謀長「申し訳ございません、問い合わせてみます」
司令「陸さんの庇護のあるうちに決戦をしたい。」
参謀「早急に通信妖精を手配しました。」
参謀長「頼む、秘匿情報だからな。」
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司令「その他に事案はあるか?」
参謀A「司令」
司令「発言許可。」
参謀A「はっ。有難うございます。」
参謀A「線大佐をどうにかできませんか。」
司令「あ奴か。」
参謀A「特殊兵器に過干渉が目立ちます。」
参謀長「戦績をこちらに」
司令「…そうなんだよな。3枚目から急激に改善してるんだよ。」
参謀A「戦績を理由にクビにはできませんが、軍規上問題行動が多い」
司令「あー、諸君に言っておこう。ヤツは旧家のB(ぼっちゃん)だ」
司令「軍閥からの後押しもある。」
参謀A「何ということを。四菱閥ですかなッ(# ゚Д゚)」
参謀長「それ以上は言うなッ。」
司令「仕方ないだろう。我々の組織はまだ旧弊を消し切れていない。」
参謀長「…」
参謀A「わが海軍の風紀が乱れます。」
司令「…ヤツは基地から切り離して好きにさせよう。」
参謀長「ツラギに送りますか」
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発、海軍軍令部 根田増以蔵中将
宛、第二輸送護衛艦隊司令 線春仁大佐
ツラギヘノ転属ヲ命ズ、貴官ノ益益ノ活躍ヲ期待スルモノナリ
詳細ハ追ッテ沙汰
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天龍「如何いぅ事だよ。司令。」
春仁「読んで字の如くだ。判らないかな。」
浦風「ツラギへの転属を命ず。貴官の益益の活躍を期待するもの也」
浜風「益益の活躍を期待…」
春仁「そういう事さ。」
谷風「上等じゃねぇか。てやんでぇ。(#^ω^)ピキピキ」
磯風「武人の誉れだな、提督。」
春仁「磯、お前良いこと言うな。」
磯風「…磯ですか。」
春仁「さて、出立用意だ。期限は明日1000迄。」
天龍「速っ。」
春仁「天龍艦隊、各艦かかれっ」
天龍「応っ」
※※※
春仁「ふぅ…」
ウンディーヌ「…隊長」
春仁「わあぉ。お前か。久しぶりだな。元気か。」
ウンディーヌ「はい…。」
春仁「…。」
春仁「久しぶりなのに、元気がないな。話そうか」
ウンディーヌ「はい…。」
春仁「おい、紅茶でも飲め。海軍さんの紅茶だ。」
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バリーン
春仁「なんだとっ。」
ウンディーヌ「はい、大佐は間もなく左遷されます。」
春仁「なんであの人が( ゚Д゚)」
ウンディーヌ「司令部は私たち妖精飛行大隊の活躍を快く思っていません。」
春仁「…、度し難いな。」
春仁は妖精の手をとって言った。
春仁「よく知らせに来てくれたね。」
ウンディーヌ「(´∀`*)ポッ」
春仁「ちょ、ま、俺、男色の気はないぞ。」
ウンディーヌ「私怒りますよ。」
※※※
春仁「えええええええっ」
春仁「お前、女妖精だったのかーーーーー」
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ウンディーヌ「妖精に性別はありません。」
春仁「そうか…。兎も角、善く知らせに来て呉れたね。対応は早い方がいいからな。」
ウンディーヌ「有難うございます。でも、どうやって。」
春仁「実家に相談してみるさ。」